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ある少女のお話
しおりを挟む人間はどうしようもない絶望を抱え、逃げ場が無いと自殺をするらしい。
魔物の僕たちは、目には目を理不尽には理不尽を。どんな卑怯な方法でも図々しく生きるのが普通だから理解できない。
昨晩近所に住む女の子が自殺をしたらしいんだ。善良な子だったらしい。
噂によると、家事やら下の子達の世話をしつつも家にお金を入れる為に仕事もこなしてたらしい。
これといった悪評もなく、物静かで友達の少ない子だったそうだ。
ある日女の子は息抜きで酒場で1人お酒を嗜んでいた時、男と出会ったんだ。
その男は口が達者で物静かな女の子にとっては凄く新鮮に感じた。
それからと言うもの2人は酒場でよく飲むようになった。
もともと男とは縁の無かった女の子は次第に覚えのない感情に手繰り寄せられてしまい、自分の感情の全てを男に支配されるようになったんだ。
その男のこと以外は完全に盲目になった。
そしていつの日かその女の子は「その男の妻になりたい」と思うようになって、
これまで憧れてきたいっさいの幸せの束を見出そうとしたんだ。
女の子は思いの丈を言うと男は何度も口約束をしてくれた。
その言葉はあらゆる希望の確実さを保証してくれるように思えた。
男の大胆なボディータッチは欲望をいよいよと掻き立てて、心が満たされ窒息しそうになる。幸せが身を包む初めての感覚
ところが男は逃げてしまうのだ。人生で唯一心を差し渡した相手が消えたのだ。
暗闇に囲まれ希望も慰めもない。
苦しみから逃れる為女の子は首を吊った。
この話を彼女から聞いてもさっぱり自殺を選択する余地を僕は理解できない。
絶望なんてものは時が経てば薄まってくるし、慰める手もいつか差し伸べられるだろうに。
そんな事を言うと彼女は怒った顔で「コイをあなたは知らないのね。」と冷たく言い捨てて場を離れて行ったんだ。
そうそう、自殺に追いやった男はすでに結婚して子供もいるらしいんだ。
上手に隠して相手をしていたんだろうね。
僕たちの仲間じゃないだろうね?
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