愛し子の愛し子の異世界生活

いちこ

文字の大きさ
上 下
19 / 106
新しい世界

16 新生活 ジュード

しおりを挟む

 俺は生まれてからこんなに驚く事が続いたことはないと思う。

 マコトの使う魔法はまだ初級という感じだった。というか、魔法の種類や強さを知らないらしい。
 マコト曰く見たら分かるという。

 それ絶対に誰にも言ったらダメなやつだ。どんなに魔法センスがあろうと全属性見ただけで使える訳ない。

 何度も思うが過保護に育てられすぎだ。スキルもだが、魔力も無尽蔵みたいだ。

 マジックバッグを持っているだけでも羨ましがられるのに、マコトはアイテムボックスというスキルも持っている。

 これは容量に制限無く、時間固定も付いてるそうだ。

 これも絶対秘密だ。

 アイテムボックスはどこからでも出し入れ出来る。ダンジョンから出るときにマコト本人からこのスキルの事を聞いた。だからマコトが何もない空中からローブを取り出した時に

「マコト。アイテムは絶対にカバンから出したように見せないとダメだ。マジックバッグを持っている冒険者はたくさんいるが、アイテムボックスのスキルを持つ者は多くないと思う。下手したら国に囲い込まれるぞ。」

 と、強めに言うと、少し青い顔をしてコクコクと頷いていた。


 なんでもダンジョン内で過ごす間に色んな物を作ったらしい。創造のスキルとは聞いたこともない。

 見たり触ったりしたら、作れる。なんて、すぐに理解できなかった。

 ヒノトとミコトが言うにはダンジョン内ではずっと眠らせていたらしいので夢の中で作っていたと言うことか。
 その中でも自信作だとニコニコしながら出してきた。
 出す時に最初は適当に出そうとして、先ほどの俺のアドバイスを思い出したのか、慌てて腰のポーチから出したのは、ワタワタしててめちゃくちゃ可愛かった。

 そして出てきたのはシンプルだが白すぎるテントだった。
それに色を付けると言い、何色がいいかと聞かれる。
 触るだけで好きな色に変えれるとか、もうスキルなのか魔法なのかも分からない。
 ただ、ものすごく楽しそうに目を輝かせるマコトはやはり可愛い。
 
 しかし、マコトが作ったのだ、そもそも普通のテントだなんてありえない。案の定、奥に隠された空間があった。
 普通に家だった。生活できるな。

 大きな円形の部屋はあの白い部屋の感じに似ていた。
 それに色を付けていく。
 マコトは俺にも何色がいいかな聞いてくるので、二人で決めていった。

「これは?これは?」

 とニコニコしながら次々と聞かれるので、こちらまで笑顔になる。

 テントの中を案内してもらい、色を付けたいところにつけていく。
 左手の部屋は服だけを吊ったウォークインクローゼットとか言う部屋になっていた。
 これだけの服や靴があればしばらく買わなくても問題なさそうだ。
 本当は俺もマコトの服とか準備してやりたかったのだが、その辺りは心配いらないようだ。
 俺の服も作りたいと息巻いていた。楽しみだ。

 一通り中を見学したり、色をつけたり、かなり時間が経った気がするが、マコトは元気だ。今までのマコトならそろそろあの症状になって倒れていてもおかしくないはずなのに。

 奥の空間から表のテントに出てくる。

「あれ?真っ暗になってる。」

 マコトはこんなに時間が経ってるとは思ってなかったらしく驚いているが、夢中になると時間を忘れるタイプなのかもしれない。

「そうだな奥の部屋には時間の経過が分かる物がなかったから、時計を置くのが一番てっとり早いが、中の空間も外の明るさが分かるようにしたらいいんじゃないか?」

「あっ、そっか。窓とか無いから、外のこと分かんないもんね。でも暗いしまた明日かな?じゃあ、また色々教えてくれる?」

「ああ。そうだな。今日はもう家に入ろう。お腹空いただろう?」

「確かにー。お腹空いたー。」

 と、二人で外に出て、マコトがテントをしまった。

「あー。お腹ペコペコだ…」

 唐突にぐらりとマコトが倒れる。なんとなくそんな予感がしていたので、前のめりに倒れそうになった身体に後ろからお腹に片腕を回して難なく受け止める。

「時間切れか。」

 そう呟くと優しく横抱きにして、家に向かって歩き出した。見たところ顔色は悪くなく、眠っているだけのようだ。

 実は今は起きてる時間よりも、寝ている時間のほうが多い。
 マコトは朝起きたつもりだが、お風呂で寝てしまったのは一昨日だ。
 あの後まる一日眠っていたのだ。

 朝目覚めて薪割りを終わったところで眠った。半日経って目が覚めた。一時間ちょっと起きてて、五時間くらい寝ていたのだ。

 マコトには一時間くらいだと伝えたが、時間の感覚が掴めていないのか、気にする様子は無かった。
 少し遅いが昼食をとって、その後に魔法を使ったり色々して、今、外は暗くなっている。本当ならもっと早く眠ってしまうんじゃないかと思ったが、どうもテントの中は外の世界とは違うらしい。

 それでもきっと疲れもあるだろうと、ことさらマコトを優しく抱きしめた。眠るマコトの頬に唇を寄せる。とても心地良い、いい匂いがした。

 家の中に入ると、しっかりと浄化をかけた。もう夜なので二階のマコトの部屋に向かう。

 着替えをと思ったが、マコトの荷物は全てアイテムボックスにあるので、ここには無い。
 先に荷物の整理をするべきだったなと苦笑いがこぼれた。
 仕方なくピッタリしたスキニーパンツを脱がせて、自分のシャツを着せたら、大きすぎて膝近くまで隠れている。

 ものすごく可愛い。
 
 そう俺はかなり我慢を強いられている。
 まあ子供をどうこうする趣味は無いし、保護者としてと言われているのは良く分かっている。

 だがしかし、マコトは恐ろしく無自覚に可愛いのだ。
 もしかしたらいつの間にか俺も魅了にヤラれているのかもしれない。
 身長差のせいで見上げながら微笑まれたり、首を傾げる様は、本当に天使のようだと思う。薄茶色だった髪の毛もだいぶ濃い茶色になってきたが、ふわふわとした柔らかい髪の毛を揺らしながらニコリと笑うのだ。

 さらに初めてお風呂に入った時は、もっとヤバかった。

 湯船に浸かろうと持ち上げて、降ろそうとしたら、足を持ち上げて、俺の肩に乗せてきた。よっぽどお湯が嫌だったんだろう。
向かい合わせで立っていたのに、俺の腹を足場に肩に足を乗せると、マコトの股間は俺の目の前に来る。
ガシっと首に足を絡めてくるので、すぐ目の前にマコトのアレがぷらぷらしていた。

 少年趣味は無いが、マコトは可愛い。その彼が一糸纏わぬ姿で目の前にナニを魅せつけて来るのだ。
 
 あそこで理性を保てた俺を誰か褒めてほしい。

 まああとで抜いてスッキリする羽目になったが。

 俺は今までさほどそういった事に対する欲が強くなかったのだが。マコトのせいでそういう欲が生まれてしまったらしい。

 もちろんマコトを怖がらせたり、嫌がることはしたくない。
 しかも『性的なことは何も教えてないからね。変な事しないでよ。』
 などと言われてしまえば、さらに手を出しにくい。

 ベッドで眠るマコトの唇に軽く唇を落とす。
 まあこれからゆっくりと過ごしていけば、いずれ大人になるだろう。
 その時が本当に楽しみだと思った。

 
 

しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

とある文官のひとりごと

きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。 アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。 基本コメディで、少しだけシリアス? エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座) ムーンライト様でも公開しております。

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

処理中です...