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新しい世界
16 新生活 ジュード
しおりを挟む俺は生まれてからこんなに驚く事が続いたことはないと思う。
マコトの使う魔法はまだ初級という感じだった。というか、魔法の種類や強さを知らないらしい。
マコト曰く見たら分かるという。
それ絶対に誰にも言ったらダメなやつだ。どんなに魔法センスがあろうと全属性見ただけで使える訳ない。
何度も思うが過保護に育てられすぎだ。スキルもだが、魔力も無尽蔵みたいだ。
マジックバッグを持っているだけでも羨ましがられるのに、マコトはアイテムボックスというスキルも持っている。
これは容量に制限無く、時間固定も付いてるそうだ。
これも絶対秘密だ。
アイテムボックスはどこからでも出し入れ出来る。ダンジョンから出るときにマコト本人からこのスキルの事を聞いた。だからマコトが何もない空中からローブを取り出した時に
「マコト。アイテムは絶対にカバンから出したように見せないとダメだ。マジックバッグを持っている冒険者はたくさんいるが、アイテムボックスのスキルを持つ者は多くないと思う。下手したら国に囲い込まれるぞ。」
と、強めに言うと、少し青い顔をしてコクコクと頷いていた。
なんでもダンジョン内で過ごす間に色んな物を作ったらしい。創造のスキルとは聞いたこともない。
見たり触ったりしたら、作れる。なんて、すぐに理解できなかった。
ヒノトとミコトが言うにはダンジョン内ではずっと眠らせていたらしいので夢の中で作っていたと言うことか。
その中でも自信作だとニコニコしながら出してきた。
出す時に最初は適当に出そうとして、先ほどの俺のアドバイスを思い出したのか、慌てて腰のポーチから出したのは、ワタワタしててめちゃくちゃ可愛かった。
そして出てきたのはシンプルだが白すぎるテントだった。
それに色を付けると言い、何色がいいかと聞かれる。
触るだけで好きな色に変えれるとか、もうスキルなのか魔法なのかも分からない。
ただ、ものすごく楽しそうに目を輝かせるマコトはやはり可愛い。
しかし、マコトが作ったのだ、そもそも普通のテントだなんてありえない。案の定、奥に隠された空間があった。
普通に家だった。生活できるな。
大きな円形の部屋はあの白い部屋の感じに似ていた。
それに色を付けていく。
マコトは俺にも何色がいいかな聞いてくるので、二人で決めていった。
「これは?これは?」
とニコニコしながら次々と聞かれるので、こちらまで笑顔になる。
テントの中を案内してもらい、色を付けたいところにつけていく。
左手の部屋は服だけを吊ったウォークインクローゼットとか言う部屋になっていた。
これだけの服や靴があればしばらく買わなくても問題なさそうだ。
本当は俺もマコトの服とか準備してやりたかったのだが、その辺りは心配いらないようだ。
俺の服も作りたいと息巻いていた。楽しみだ。
一通り中を見学したり、色をつけたり、かなり時間が経った気がするが、マコトは元気だ。今までのマコトならそろそろあの症状になって倒れていてもおかしくないはずなのに。
奥の空間から表のテントに出てくる。
「あれ?真っ暗になってる。」
マコトはこんなに時間が経ってるとは思ってなかったらしく驚いているが、夢中になると時間を忘れるタイプなのかもしれない。
「そうだな奥の部屋には時間の経過が分かる物がなかったから、時計を置くのが一番てっとり早いが、中の空間も外の明るさが分かるようにしたらいいんじゃないか?」
「あっ、そっか。窓とか無いから、外のこと分かんないもんね。でも暗いしまた明日かな?じゃあ、また色々教えてくれる?」
「ああ。そうだな。今日はもう家に入ろう。お腹空いただろう?」
「確かにー。お腹空いたー。」
と、二人で外に出て、マコトがテントをしまった。
「あー。お腹ペコペコだ…」
唐突にぐらりとマコトが倒れる。なんとなくそんな予感がしていたので、前のめりに倒れそうになった身体に後ろからお腹に片腕を回して難なく受け止める。
「時間切れか。」
そう呟くと優しく横抱きにして、家に向かって歩き出した。見たところ顔色は悪くなく、眠っているだけのようだ。
実は今は起きてる時間よりも、寝ている時間のほうが多い。
マコトは朝起きたつもりだが、お風呂で寝てしまったのは一昨日だ。
あの後まる一日眠っていたのだ。
朝目覚めて薪割りを終わったところで眠った。半日経って目が覚めた。一時間ちょっと起きてて、五時間くらい寝ていたのだ。
マコトには一時間くらいだと伝えたが、時間の感覚が掴めていないのか、気にする様子は無かった。
少し遅いが昼食をとって、その後に魔法を使ったり色々して、今、外は暗くなっている。本当ならもっと早く眠ってしまうんじゃないかと思ったが、どうもテントの中は外の世界とは違うらしい。
それでもきっと疲れもあるだろうと、ことさらマコトを優しく抱きしめた。眠るマコトの頬に唇を寄せる。とても心地良い、いい匂いがした。
家の中に入ると、しっかりと浄化をかけた。もう夜なので二階のマコトの部屋に向かう。
着替えをと思ったが、マコトの荷物は全てアイテムボックスにあるので、ここには無い。
先に荷物の整理をするべきだったなと苦笑いがこぼれた。
仕方なくピッタリしたスキニーパンツを脱がせて、自分のシャツを着せたら、大きすぎて膝近くまで隠れている。
ものすごく可愛い。
そう俺はかなり我慢を強いられている。
まあ子供をどうこうする趣味は無いし、保護者としてと言われているのは良く分かっている。
だがしかし、マコトは恐ろしく無自覚に可愛いのだ。
もしかしたらいつの間にか俺も魅了にヤラれているのかもしれない。
身長差のせいで見上げながら微笑まれたり、首を傾げる様は、本当に天使のようだと思う。薄茶色だった髪の毛もだいぶ濃い茶色になってきたが、ふわふわとした柔らかい髪の毛を揺らしながらニコリと笑うのだ。
さらに初めてお風呂に入った時は、もっとヤバかった。
湯船に浸かろうと持ち上げて、降ろそうとしたら、足を持ち上げて、俺の肩に乗せてきた。よっぽどお湯が嫌だったんだろう。
向かい合わせで立っていたのに、俺の腹を足場に肩に足を乗せると、マコトの股間は俺の目の前に来る。
ガシっと首に足を絡めてくるので、すぐ目の前にマコトのアレがぷらぷらしていた。
少年趣味は無いが、マコトは可愛い。その彼が一糸纏わぬ姿で目の前にナニを魅せつけて来るのだ。
あそこで理性を保てた俺を誰か褒めてほしい。
まああとで抜いてスッキリする羽目になったが。
俺は今までさほどそういった事に対する欲が強くなかったのだが。マコトのせいでそういう欲が生まれてしまったらしい。
もちろんマコトを怖がらせたり、嫌がることはしたくない。
しかも『性的なことは何も教えてないからね。変な事しないでよ。』
などと言われてしまえば、さらに手を出しにくい。
ベッドで眠るマコトの唇に軽く唇を落とす。
まあこれからゆっくりと過ごしていけば、いずれ大人になるだろう。
その時が本当に楽しみだと思った。
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