愛し子の愛し子の異世界生活

いちこ

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新しい世界

4 森 ジュード*

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 キラービットに襲われ、ショックと恐怖で固まったマコトを優しく抱きしめていた。背中を撫で続けてやる。
 しばらく俺の腕の中でじっとしていたマコトが身じろぎした。

「すいません。ジュードさん。迷惑かけちゃって…。」

 頬を赤く染めながら、俯きがちに謝ってくる。元はと言えば、俺がきちんとマコトの事を見ていれば、こんなショックを与えることも無かったのだ。

「いや、マコトは何にも悪くない。こっちこそ申し訳ない。俺がちゃんと守ってやれなかったせいだ。気に病まないで欲しい。」

「えー、おれが勝手に離れちゃったんです。本当にすいません。助けてくれてありがとうございます。」

「そんな礼には及ばない。怖がらせて悪かった。」

 お互いに謝り続けて、埒が明かない。
 見上げていたマコトがふふふっと笑い出す。それにつられてこちらも笑ってしまう。するとまた顔を真っ赤にして眉尻がへにょんと下がった。

「イケメンマジでヤバい。」

とても小さい声で呟いている。まあ耳はいいので大抵聞こえるが。


 落ち着いたようなので、膝の上に横抱きにしていたマコトを地面に立たせる。目線を合わせるために腰を折る。

「もう大丈夫か?」

マコトはニコッと笑いながら

「はい。大丈夫です。」

「じゃあ、行けるか?」

「はい。よろしくお願いします。」

 だいぶん落ち着いたようで、明るく答える。元々明るい性格のようだ。
マコトの手を取り、再び前を向いて歩き出す。とりあえず俺の家に帰ろう。

「マコトは鑑定も使えるのか?」

さっき見た光景から推測してみる。

「はい。そうみたいです。」

 ただ無詠唱だったな。

「他に使える属性は分かってるのか?」

「魔法はイメージって教えられたんですけど。だからイメージさえ掴めたら多分どんな魔法でも全部できるんじゃないかと思うんですが、外に出てからなんかイメージがまとまらないというか、上手くいかなくて。」

 マコトが眉を八の字にして言う。

 はあ?全部ってどういう事だ?全属性とか有り得るのか?
 聞けば転移もできたらしく、アイテムボックスも使える。
 装備に付与もできるみたいに言ってるが、誰彼知られていい情報じゃない。
なんか色々付けられすぎてる。過保護過ぎないか?

 やはりギルドはもう少し慣れてからがいいだろう。

 森の中を歩く。マコトは少し落ち着いて、足元に気をつけながら歩いている。
 急に歩く速度が落ちた。
 なにか困ったような、怒ったような顔をして、時々立ち止まる。

「どうした?どこか痛いのか?」

 顔を赤くしたり、青くしたり、なんだかモジモジとしている。マコトがハッと顔を上げて、意を決したように話し出した。

「ジュ、ジュードさん。おれ、病気ですか?な、な、なんか変なんです。お腹というか、下半身というか、おへその下かな?あ、あの股間が、なんか変なんです!」

 マコトが涙目になって訴える。

「すまないがローブを開いてもいいだろうか?」

マコトの許可をもらい、ローブの前合わせを開く。白いシャツに薄緑のピッタリとしたズボンに膝までの編み上げブーツを履いている。
 想像以上に細い腰周りに驚くが、今はマコトの不調の原因を突き止めなければならない。
 股間が、と言うので、性的なものかと股間を見るが、別に勃ち上がっている訳でもない。
 するマコトが内股になってグッと身体に力を入れて、ブルっと震えた。涙目で真っ赤な顔をしている。

「あ、あ、なんか出ちゃいそう?なんですか?これ、なんですか?」

 俺は思わず片手で顔を覆い、天を仰いだ。そしてミコトの言葉を思い出す。

『お兄ちゃんは新しい世界で生まれ直したの。以前の兄は生まれて死ぬまで寝たきりだったわ。色々な事を知識として与えたけれど、実際には経験はまったくないの。極端な話、。』

 まさかと思うが、これは初めての尿意か!

 まさか出し方も知らないとは。驚きを隠せない。
 なんというか、悪いことをしているような感じがする。
 しかしマコトはもう決壊寸前のようだ。半ばパニックに陥っているマコトに優しく声をかける。

「マコト。落ち着け。これは病気じゃない。誰にでもある事だ。」

「ふぇぇ。じゃあなんなんですかあ。」

「これはおしっこだ。」

「お、おしっこですか?」

「そうだ。これは出せばいいんだ。やり方を教えるから、泣くな。」

 初めての尿意に泣きそうになっているマコトは素直に頷く。
 マコトの腕を取り、けもの道から外れて茂みの奥に進む。

「あ、ああ、あの、一緒にしてもらっても良いですか?」

 一緒に?俺が?

「見せてもらった方が分かりやすいんじゃないかと思うんです。」

 別に性的なお誘いでもない。いわゆる連れションというやつだ。だが何故かイケナイ事をしている気分になるのは、この可愛らしい少年がプルプルしながら真っ赤な顔で上目遣いにこんな事を言ってくるからだ。
 自分の口元を押さえながらどうしようかと逡巡する。多分顔も赤いだろう。恥ずかしい。照れる。しかしマコトの限界も近い。
 俺は心を決めた。

「わかった。俺の真似をして。
ほら、木の方に向いて。ズボンと下着を下ろすんだ。」

 説明しながら、履いていたズボンとパンツの腰紐を緩める。少し前側を下げて、自分の息子を出した。
 横に立ったマコトもゴソゴソとズボンとパンツを下げる。俺のに比べるとまだまだ子供の可愛らしいものがぷるんと出てきた。

「片手でそれを持って下半身に力を入れるんだ。遠くに飛ぶように出せばいい。こうやって。」

 マコトは真剣な顔をして、俺の息子を凝視している。恥ずかしさはあるが、自分も長い時間出していない。丁度いいので、自分もスッキリしてしまおうと、下腹部に力を入れる。

 じょろろろ。

「あ、出た。」

「マコトもしてみろ。」

「は、はい。」

 出し切った俺は素早く息子をしまい、身支度を整えた。
 マコトは、もう限界のはずなのに、まだ出していない。

「うんんん。出ないぃぃぃぃ。」

 赤い顔をしながらプルプルしている。本当に出ないで困っているようだ。

 仕方ないのでマコトの後ろに回り、腕を前に回して、マコトのソレにそっと手を添える。
 ビクッとするマコトの耳元で優しく声をかける。

「大丈夫。怖いことはない、ほら、手伝ってあげるから。お腹に力をいれてごらん?」

 するとマコトは顔を真っ赤にし、ぎゅっと目をつぶってブルブルと力を入れた。

 プシャッ

「あ、はあ、ああん」

 今まで使ったことの無い尿道は詰まったパイプのようになっていたのかもしれない。最初に大きく四方八方に飛び散った。そこからは一気に飛び出した尿が綺麗な放物線を描く。
 溜まっていたのか、ギリギリまで我慢しすぎたのか、少し長めの放尿の間、目をつぶったまま、自分の息子を持つことも出来ずに、後ろから回した俺の腕にしがみついている。今にも膝から崩れ落ちそうな身体を支えてやる。

「ふう。はあ。」

 ただ用を足してるだけなのに、項までピンクに染めた凄まじい色気に、軽く添えた左手のマコトの息子を、ぎゅっとしてしまいたくなる。
 しかしマコトはまだ子供だ。絶対に手を出してはイケナイ。
 俺は理性を総動員して、目の前の木から伸びた葉っぱの数を数えていた。

 ようやく勢いがなくなり、ぽたぽたとほとんど止まった。

「全部出たか?」

「はいぃ。」

「終わったらこうやってしまうんだ。」

 と、出し切った息子を軽く振り、水滴を落としてから、下着とズボンを上げてやる。

「はあああ。すごいスッキリしました。」

 ローブを整えて、フードを被り直し、晴れ晴れした明るい顔で、こちらに笑顔を向けてくる。

 これは何かの拷問か?

 変に性的な反応をしてしまいそうになる、自分を律せねばならない。
 俺はマコトの誘惑に耐えることができるのだろうか?
 これから先の事を考えると、引き攣った笑顔で応じるしか無かった。










 


 

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