7 / 106
新しい世界
4 森 ジュード*
しおりを挟むキラービットに襲われ、ショックと恐怖で固まったマコトを優しく抱きしめていた。背中を撫で続けてやる。
しばらく俺の腕の中でじっとしていたマコトが身じろぎした。
「すいません。ジュードさん。迷惑かけちゃって…。」
頬を赤く染めながら、俯きがちに謝ってくる。元はと言えば、俺がきちんとマコトの事を見ていれば、こんなショックを与えることも無かったのだ。
「いや、マコトは何にも悪くない。こっちこそ申し訳ない。俺がちゃんと守ってやれなかったせいだ。気に病まないで欲しい。」
「えー、おれが勝手に離れちゃったんです。本当にすいません。助けてくれてありがとうございます。」
「そんな礼には及ばない。怖がらせて悪かった。」
お互いに謝り続けて、埒が明かない。
見上げていたマコトがふふふっと笑い出す。それにつられてこちらも笑ってしまう。するとまた顔を真っ赤にして眉尻がへにょんと下がった。
「イケメンマジでヤバい。」
とても小さい声で呟いている。まあ耳はいいので大抵聞こえるが。
落ち着いたようなので、膝の上に横抱きにしていたマコトを地面に立たせる。目線を合わせるために腰を折る。
「もう大丈夫か?」
マコトはニコッと笑いながら
「はい。大丈夫です。」
「じゃあ、行けるか?」
「はい。よろしくお願いします。」
だいぶん落ち着いたようで、明るく答える。元々明るい性格のようだ。
マコトの手を取り、再び前を向いて歩き出す。とりあえず俺の家に帰ろう。
「マコトは鑑定も使えるのか?」
さっき見た光景から推測してみる。
「はい。そうみたいです。」
ただ無詠唱だったな。
「他に使える属性は分かってるのか?」
「魔法はイメージって教えられたんですけど。だからイメージさえ掴めたら多分どんな魔法でも全部できるんじゃないかと思うんですが、外に出てからなんかイメージがまとまらないというか、上手くいかなくて。」
マコトが眉を八の字にして言う。
はあ?全部ってどういう事だ?全属性とか有り得るのか?
聞けば転移もできたらしく、アイテムボックスも使える。
装備に付与もできるみたいに言ってるが、誰彼知られていい情報じゃない。
なんか色々付けられすぎてる。過保護過ぎないか?
やはりギルドはもう少し慣れてからがいいだろう。
森の中を歩く。マコトは少し落ち着いて、足元に気をつけながら歩いている。
急に歩く速度が落ちた。
なにか困ったような、怒ったような顔をして、時々立ち止まる。
「どうした?どこか痛いのか?」
顔を赤くしたり、青くしたり、なんだかモジモジとしている。マコトがハッと顔を上げて、意を決したように話し出した。
「ジュ、ジュードさん。おれ、病気ですか?な、な、なんか変なんです。お腹というか、下半身というか、おへその下かな?あ、あの股間が、なんか変なんです!」
マコトが涙目になって訴える。
「すまないがローブを開いてもいいだろうか?」
マコトの許可をもらい、ローブの前合わせを開く。白いシャツに薄緑のピッタリとしたズボンに膝までの編み上げブーツを履いている。
想像以上に細い腰周りに驚くが、今はマコトの不調の原因を突き止めなければならない。
股間が、と言うので、性的なものかと股間を見るが、別に勃ち上がっている訳でもない。
するマコトが内股になってグッと身体に力を入れて、ブルっと震えた。涙目で真っ赤な顔をしている。
「あ、あ、なんか出ちゃいそう?なんですか?これ、なんですか?」
俺は思わず片手で顔を覆い、天を仰いだ。そしてミコトの言葉を思い出す。
『お兄ちゃんは新しい世界で生まれ直したの。以前の兄は生まれて死ぬまで寝たきりだったわ。色々な事を知識として与えたけれど、実際には経験はまったくないの。極端な話、食事もお風呂もトイレも自分でした事無いの。』
まさかと思うが、これは初めての尿意か!
まさか出し方も知らないとは。驚きを隠せない。
なんというか、悪いことをしているような感じがする。
しかしマコトはもう決壊寸前のようだ。半ばパニックに陥っているマコトに優しく声をかける。
「マコト。落ち着け。これは病気じゃない。誰にでもある事だ。」
「ふぇぇ。じゃあなんなんですかあ。」
「これはおしっこだ。」
「お、おしっこですか?」
「そうだ。これは出せばいいんだ。やり方を教えるから、泣くな。」
初めての尿意に泣きそうになっているマコトは素直に頷く。
マコトの腕を取り、けもの道から外れて茂みの奥に進む。
「あ、ああ、あの、一緒にしてもらっても良いですか?」
一緒に?俺が?
「見せてもらった方が分かりやすいんじゃないかと思うんです。」
別に性的なお誘いでもない。いわゆる連れションというやつだ。だが何故かイケナイ事をしている気分になるのは、この可愛らしい少年がプルプルしながら真っ赤な顔で上目遣いにこんな事を言ってくるからだ。
自分の口元を押さえながらどうしようかと逡巡する。多分顔も赤いだろう。恥ずかしい。照れる。しかしマコトの限界も近い。
俺は心を決めた。
「わかった。俺の真似をして。
ほら、木の方に向いて。ズボンと下着を下ろすんだ。」
説明しながら、履いていたズボンとパンツの腰紐を緩める。少し前側を下げて、自分の息子を出した。
横に立ったマコトもゴソゴソとズボンとパンツを下げる。俺のに比べるとまだまだ子供の可愛らしいものがぷるんと出てきた。
「片手でそれを持って下半身に力を入れるんだ。遠くに飛ぶように出せばいい。こうやって。」
マコトは真剣な顔をして、俺の息子を凝視している。恥ずかしさはあるが、自分も長い時間出していない。丁度いいので、自分もスッキリしてしまおうと、下腹部に力を入れる。
じょろろろ。
「あ、出た。」
「マコトもしてみろ。」
「は、はい。」
出し切った俺は素早く息子をしまい、身支度を整えた。
マコトは、もう限界のはずなのに、まだ出していない。
「うんんん。出ないぃぃぃぃ。」
赤い顔をしながらプルプルしている。本当に出ないで困っているようだ。
仕方ないのでマコトの後ろに回り、腕を前に回して、マコトのソレにそっと手を添える。
ビクッとするマコトの耳元で優しく声をかける。
「大丈夫。怖いことはない、ほら、手伝ってあげるから。お腹に力をいれてごらん?」
するとマコトは顔を真っ赤にし、ぎゅっと目をつぶってブルブルと力を入れた。
プシャッ
「あ、はあ、ああん」
今まで使ったことの無い尿道は詰まったパイプのようになっていたのかもしれない。最初に大きく四方八方に飛び散った。そこからは一気に飛び出した尿が綺麗な放物線を描く。
溜まっていたのか、ギリギリまで我慢しすぎたのか、少し長めの放尿の間、目をつぶったまま、自分の息子を持つことも出来ずに、後ろから回した俺の腕にしがみついている。今にも膝から崩れ落ちそうな身体を支えてやる。
「ふう。はあ。」
ただ用を足してるだけなのに、項までピンクに染めた凄まじい色気に、軽く添えた左手のマコトの息子を、ぎゅっとしてしまいたくなる。
しかしマコトはまだ子供だ。絶対に手を出してはイケナイ。
俺は理性を総動員して、目の前の木から伸びた葉っぱの数を数えていた。
ようやく勢いがなくなり、ぽたぽたとほとんど止まった。
「全部出たか?」
「はいぃ。」
「終わったらこうやってしまうんだ。」
と、出し切った息子を軽く振り、水滴を落としてから、下着とズボンを上げてやる。
「はあああ。すごいスッキリしました。」
ローブを整えて、フードを被り直し、晴れ晴れした明るい顔で、こちらに笑顔を向けてくる。
これは何かの拷問か?
変に性的な反応をしてしまいそうになる、自分を律せねばならない。
俺はマコトの誘惑に耐えることができるのだろうか?
これから先の事を考えると、引き攣った笑顔で応じるしか無かった。
76
お気に入りに追加
338
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる