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サイドストーリー
「平和を願う彼女に出会い有り」
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いつもの朝。
いつもの鳥のさえずり。
いつもの天井。
そんないつものベッドで彼女は一時の幻想感から目を覚ます。
彼女の名はミリシア。
ミリシア・イーグレスト。
ミリシアにとっていつもの光景が見れるのが、朝の幸せを感じる瞬間となっている。
窓からは人々が町を往く。
扉の外からは明るく挨拶を交わす人々の声が。
そんな平和ないつもがミリシアは大好きだ。
昨日が平和であったことを噛みしめ、同時に今日も平和を願う。
この行為はミリシアの日課となっている。
朝の日課を続けていると、扉の先から若い女性の声がミリシアを呼ぶ。
「ミリシア~!そろそろ起きなさーい!」
「はーい!」
そんな扉先の声を受け、ミリシアは寝間着から普段着へ、その上からエプロンを掛ける。
そして、朝の温度に冷えきったドアノブをミリシアの温まった手の平で動かし開く。
扉を出て右手の階段を軽快に下りていく。
下りた先には店の準備を、椅子を机を運び出す若い女性の姿がある。
「おはよう。ミリシア。」
と作業の手を止め、ミリシアに近づきミリシアの純白の右頬に軽くキスをし、挨拶をする。
彼女はリード・イーグレスト。
ミリシアの母である。
「おはよう!お母さん。」
リードのキスを返すようにミリシアも右頬にキスをする。
「朝から悪いんだけど、ミリシアに頼みがあるの。」
リードは少し待ってて。とカウンターに入って行き、右手に籠を提げて直ぐに出て来た。
「私は店の準備で手が離せないの。」
「替わりに今日、料理に使うお野菜をいつもの場所に取りに行ってくれない?」
「うん!良いよ!」
ミリシアは快諾する。
「ありがとう。取ってきて欲しい物はこのメモに書いてあるから宜しくね。」
そう言いリードは、メモと籠をミリシアに渡す。
メモを受け取ったミリシアは直ぐに身を翻し、玄関へと歩いて行く。
「魔物は居ないだろうけど、注意して行ってらっしゃいねー!」
「はーい!行って来まーす!」
そんないつもの会話を行い、ミリシアは扉を開け外へ出る。
ブワッと風が流れ、ミリシアの茶髪を揺らして行く。
そしてミリシアはいつもの農場へ向かっていく。
10分ほど歩き、城門を潜り農場へ着く。
此処の農場はリードが私有する農場だ。
農場には様々な家畜、野菜、果物が植わっている。
ミリシアはメモを取り出し一つずつ確認しながら採集して行く。
牛の乳を絞り、野菜を引き抜き、果物をもぎ、次々と籠の中を豊富に彩っていく。
メモに記載された物を全て集め終え、手についた泥を近くの湧水で洗い流し、服装を整え、農場を後にする。
いつもの帰路を歩いていると、聞き覚えの無い声が聞こえる。
最初は空耳かとあまり気に留めていなかったミリシアだが、その声音は徐々に大きくなる。
流石に確かに聞こえていると思い、後ろを振り返ると、そこには母に注意して!と言われた物がミリシアに鬼の形相を向けて近づいて来ていた。
「ひっ…!嘘…でしょ…。」
その光景にミリシアは動けなくった。
(いや!喰われる!殺される!逃げないと!)
固まった足をミリシアの本能が動かしていた。
「誰…か…!誰かああ!助けてええ!」
その懇願は空しく周りに人は居ない。
このままでは間に合わない……。
(喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる…!!!)
ミリシアは無我夢中で走り続けた。
前方には三人の人が見える。
「人…だっ…!」
(この際誰でも良い…!私を助けて!)
彼らが命の綱だった。
「そこの人!助けてください!」
この悲鳴にも似た懇願がミリシアと白也達の出会いだった。
いつもの鳥のさえずり。
いつもの天井。
そんないつものベッドで彼女は一時の幻想感から目を覚ます。
彼女の名はミリシア。
ミリシア・イーグレスト。
ミリシアにとっていつもの光景が見れるのが、朝の幸せを感じる瞬間となっている。
窓からは人々が町を往く。
扉の外からは明るく挨拶を交わす人々の声が。
そんな平和ないつもがミリシアは大好きだ。
昨日が平和であったことを噛みしめ、同時に今日も平和を願う。
この行為はミリシアの日課となっている。
朝の日課を続けていると、扉の先から若い女性の声がミリシアを呼ぶ。
「ミリシア~!そろそろ起きなさーい!」
「はーい!」
そんな扉先の声を受け、ミリシアは寝間着から普段着へ、その上からエプロンを掛ける。
そして、朝の温度に冷えきったドアノブをミリシアの温まった手の平で動かし開く。
扉を出て右手の階段を軽快に下りていく。
下りた先には店の準備を、椅子を机を運び出す若い女性の姿がある。
「おはよう。ミリシア。」
と作業の手を止め、ミリシアに近づきミリシアの純白の右頬に軽くキスをし、挨拶をする。
彼女はリード・イーグレスト。
ミリシアの母である。
「おはよう!お母さん。」
リードのキスを返すようにミリシアも右頬にキスをする。
「朝から悪いんだけど、ミリシアに頼みがあるの。」
リードは少し待ってて。とカウンターに入って行き、右手に籠を提げて直ぐに出て来た。
「私は店の準備で手が離せないの。」
「替わりに今日、料理に使うお野菜をいつもの場所に取りに行ってくれない?」
「うん!良いよ!」
ミリシアは快諾する。
「ありがとう。取ってきて欲しい物はこのメモに書いてあるから宜しくね。」
そう言いリードは、メモと籠をミリシアに渡す。
メモを受け取ったミリシアは直ぐに身を翻し、玄関へと歩いて行く。
「魔物は居ないだろうけど、注意して行ってらっしゃいねー!」
「はーい!行って来まーす!」
そんないつもの会話を行い、ミリシアは扉を開け外へ出る。
ブワッと風が流れ、ミリシアの茶髪を揺らして行く。
そしてミリシアはいつもの農場へ向かっていく。
10分ほど歩き、城門を潜り農場へ着く。
此処の農場はリードが私有する農場だ。
農場には様々な家畜、野菜、果物が植わっている。
ミリシアはメモを取り出し一つずつ確認しながら採集して行く。
牛の乳を絞り、野菜を引き抜き、果物をもぎ、次々と籠の中を豊富に彩っていく。
メモに記載された物を全て集め終え、手についた泥を近くの湧水で洗い流し、服装を整え、農場を後にする。
いつもの帰路を歩いていると、聞き覚えの無い声が聞こえる。
最初は空耳かとあまり気に留めていなかったミリシアだが、その声音は徐々に大きくなる。
流石に確かに聞こえていると思い、後ろを振り返ると、そこには母に注意して!と言われた物がミリシアに鬼の形相を向けて近づいて来ていた。
「ひっ…!嘘…でしょ…。」
その光景にミリシアは動けなくった。
(いや!喰われる!殺される!逃げないと!)
固まった足をミリシアの本能が動かしていた。
「誰…か…!誰かああ!助けてええ!」
その懇願は空しく周りに人は居ない。
このままでは間に合わない……。
(喰われる喰われる喰われる喰われる喰われる…!!!)
ミリシアは無我夢中で走り続けた。
前方には三人の人が見える。
「人…だっ…!」
(この際誰でも良い…!私を助けて!)
彼らが命の綱だった。
「そこの人!助けてください!」
この悲鳴にも似た懇願がミリシアと白也達の出会いだった。
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