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~一節~ 目が覚めると幼なじみと異世界に居ました。
二話 「此処は最南端。ギースラ王国」
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ミリシアに案内してもらっている最中、「そういえば!」と朱莉はミリシアに駆け寄る。
「まだ、私達の名前を教えてなかった!」
「ごめんね~!」
「いえいえ、お気に為さらず!」
「私は奈良川 朱莉!アカリって呼んでね!」
「よろしくお願いします!アカリさん!」
「さん付けなんて、むず痒いなあ~、アカリで良いよ!」
「はい!改めてアカリ、よろしくお願いします!」
「こっちの凛としていて如何にもお姉さん!て感じの人は…」
と朱莉は両手で如何にもお姉さんて感じの人にサインを送る。
それに気付いた薫子は手を胸元に持ってきて紹介を始める。
「私は峰山 薫子皆にはルコって呼ばれているわ。呼び捨てでルコで良いわ。」
と薫子はミリシアに笑顔を見せて答える。
「よろしくお願いします、ルコ!」
「で、あっちの冴えない感じの男は…」
(今、思ったけど凄い事だよな…。異世界にまさか飛ばされるなんて!これからが楽しみだな~、あれやこれやしたいことが……)
これからの事について起こる事に気分を高揚させながらいると、前方で何かにぶつかる。
「そこの冴えないお兄さ~ん!」
「ん?アカリどうした?」
「どうした?じゃない!ミリシアの為に自己紹介してたのに、上の空なんだから!」
「ああ、ごめん。これからの事について少し考えてて…。」
どうやら、朱莉に当たってしまったようだ。朱莉に催促され、白也はミリシアに紹介を始める。
「ミリシア。俺の名前は此花 白也シローて呼ばれてるから、それで呼んでくれ。」
「はい!よろしくお願いします!シロー!」
白也が紹介を終えた頃でミリシアの宿場に着いたようだ。
「ここです!ここが私の母が経営する宿場『鈴音の癒し』です!」
「どうぞどうぞ!」
ミリシアは看板に書かれた(読めない)字を指差し、三人に店についてほんのばかし紹介する。
そして直ぐにミリシアは木で出来たモダンな扉を鈴音を鳴らし、入店していく。
その後に三人も鈴音を軽快に鳴らし続いていく。
「お帰り、ミリシア。」
「ただいま!お母さん!」
「「「お母さん?!」」」
そこにはとても14,5くらいの子供を産んだにしては余りにも若く、美しい女性が居た。
「ミリシア?その方達は?」
「この方達は私の命の恩人なの!」
「まあ!娘を助けて頂きありがとうございます!」
ミリシアの母はそう言って後ろで括っている髪を垂れ流し、深々と頭を下げ、三人に最大の礼を表した。
「頭を上げてください!俺達はただ通りすがった(その場に居た)だけで…」
それでも彼女は頭を深々と下げ続けている。
「あ!そのお礼といっては何ですか、この世界について教えてくれませんか?」
その言葉を聞き彼女は頭を上げ、その顔には?が浮かんでいたが、
「そんな事で宜しければ!」
「ミリシア!あちらの個室が空いてるから、そこで説明して差し上げなさい。」
と、奥に見える個室を指差しミリシアに指示する。
「分かった!こっちよ!」
ミリシアは白也の手を引いて奥の個室へと連れていく。それに朱莉と薫子は後に続いた。
「どうぞ!」
開けられた扉の先には、人が二人分寝れるであろうベッド。
丸い縁で象られた開閉式の窓。
その右下、部屋の隅には簡素な机と椅子、机の上には羽ペンとインクが備え付けられている。
部屋の中央には長テーブルが鎮座しており、周りには椅子が四つある。
それだけの非常に簡素な造りの部屋に成っている。
「どうぞ!お座りください!」
と、ミリシアは皆が座りやすい様にと、机の下に潜り込んでいた椅子を手前に引き出し、どうぞ!と手を差し出す。
気遣いの出来るとても良い子だ。
「ありがとう、ミリシア。」
皆一同にミリシアに礼を述べ、椅子に腰掛ける。
今まで立ちっぱなしだったからだろうか。
疲労感が足から床へ、根を広げていくかのような感じを覚える。
皆が座り終えたのを確認し、
「この世界についてでしたよね?」
とミリシアは皆に確認を取る。
「そうだ。」
と白也がその確認に応答する。
「長くなるので、厳選して大事な事を説明しますね。」
「まず、『この世界はどのような物』かを噛み砕いて説明しますね。」
「ずっと前、気が遠くなるほどの年月を遡る。」
「人なんかは居なく、この世界に何も無かった頃、一人の神が居ました。」
「その全知全能の神の名を『コロナ』という。」
「その神は様々な物を造り出した。」
「今あるほとんどはその神が造ったと言われています。」
「ほとんど、というのは?」
確かに、皆が気になった。
その全知全能である神である物が造れなかったものとは?
「正しくは造れなかったではないんです。」
「造れはしたんです。」
「どういうこと?」
ここら辺から朱莉の思考は追い付かなくなっていた。
「全てを造っている工程の中でコロナは『自分』を造った様です。」
「その第二の自分が造った物がコロナが造れなかったものなの。」
「その造れなかった物というのは何なの?」
「はい、それが我々『人』です。」
「何故、全知全能であるコロナは造れなかったんだ?」
「コロナは全知全能であったため未来も見える様でした。」
「人を造ってしまうと、遅かれ早かれ、自分の世界が壊れてしまう未来しか見えなかったそうなんです。」
「でも、第二の自分がそれを造ってしまったてことだね。」
「はい、だからコロナは自分の造った世界が壊されない為に第二の自分を消そうとしたそうです。」
「そして、消えました。コロナもろとも。」
「残ったのはコロナの造ったものと第二のコロナが造った人だけになりました。」
「これが今の世界だそうです。」
「これも伝承に過ぎませんけどね!一応そう伝えられています。」
「コロナって可哀想だね…」
「自分の造った物に消されるなんて…」
朱莉だけでなくその場の空気が落ち込んでしまった。
「……あ!逆に皆さんが知りたいことは何ですか?」
その暗い空気を変えようとミリシアが出来る最大の方法だった。
それから各々が知りたい事についての質疑応答を繰り返していった。
「未だに信じられません……。」
「ここじゃない、別の世界から皆さんが来たなんて…。」
「私達も急で驚いているの。」
「でも、ミリシアが色々教えてくれたお陰でこの世界についても大まかにだけど分かったわ。ありがとう。」
ミリシアにはこの世界は今五つの国に別れていてそれぞれ、北、西、東、南そして真ん中に国があり、ここは最南端にある国「ギースラ王国」であること。
それぞれの国は協力しあっているという事。さっき追い掛けられ、そして殺されかけた魔物みたいなものがそこら中に蔓延っていること。
その他色々な事を教えてくれた。
「最後に一ついいかな?」
白也が一つ、ミリシアに尋ねた。
「この、視界の右端の方に映るこれは何かな?」
今まで、ただの目に入ったゴミの様に思っていたが、どうやっても消えないため、気になり、白也はミリシアに聞いた。
「すいません!とても重要な事なのに!説明し忘れていました!」
「確かに。」「本当だ~!」
二人にも見えている様だ。
「えっと…まず皆さん、瞬きを二回連続でしてみてください。」
三人は言われた通りに瞬きを二回繰り返し行う。
「おわっ!」「何…これ…」「凄い凄い!ゲームみたい!」
何と、右端に写っていただけの物がスケールアップして、目の前の空間上に現れたのです。
「これは人体の盤面と言われる物です。」
「その人の持ち物や能力などありとあらゆるものが載っているんです!」
「この世界の人々は皆このステータスボードを使い、日々を過ごしています。」
「物の持ち運びや売買など様々な事がここでは出来るんです!」
「試しにここに紙が置いてあります。」
「ステータスボードを使うと…!こんな風に持ち物に出来たりします。」
ミリシアが手でステータスボードを操作すると、彼女の前に置いてある紙が忽然と姿を消し、彼女の持ち物欄に表示されているのです。
「本当にゲームの世界って感じだな…。」
「ほんとね…驚いたわ…。」
白也と薫子が驚いている横で朱莉がステータスボードをひたすら弄っていた。
「ステータスボードの使い方について分かる範囲ですが教えますね!」
その日はひたすらミリシアにステータスボードの使い方について伝授してもらった。
辺りはすっかり夕闇に包まれている。
「ステータスボード、使いこなすと便利だな!」
「そうね、とても楽だわ。」
「楽しいしね!」
「よし!今日はありがとうミリシア!」
「じゃあ、そろそろって…あ…。」
「もう夜か…。」
「どうしようか?私達行く宛無いけど。」
「良ければ、泊まって行きませんか?」
「部屋もちょうど三つ空きが有りますし!」
「流石にそこまでしてもらうのは悪いよ。」
と断ろうとした、白也だが、
「「本当に!」」
朱莉と薫子が目をキラキラさせて、ミリシアに詰め寄っていた。
「はい!是非泊まって行って下さい!大歓迎です!」
結局、ミリシアの計らいによってここに泊めて貰えることになった。
食事も食べ終え、三人は薫子の部屋に集まっていた。
「いや~良かった良かった!」
「最初はどうなるかと思ったけど何とかなるもんだね!」
「本当に。ミリシアには感謝ね。」
「改めて考えてみると凄い事になってるよな。」
「朝起きたら、急に得体の知れない所で目を覚ますし、獣に追い掛けられて死にかけるしで。」
「今日は大変だったわ。」
「なあ、二人とも。」
「ん?」「何?」
「俺はここで暮らして行こうと思う。」
「帰り方も分からないし、今はこうすることが一番だと俺は思うんだ。」
「本音は?」
「こんなゲームのような世界に折角来れたんだ。俺は楽しみたい!」
「やっぱりそういうと思った…。」
「シローらしいね!」
「私も居てもいいかなて思うよ。」
「アカリまで…。」
「なあ~、良いだろ~暫くはここに居ようぜ~。」
「三人揃ってゲーム部だろ?」
薫子は暫く考え込み、そして顔を上げるとやれやれって顔で、
「分かったわ。そうしましょう。」
「私も結構気になるし…。」
「「やったー!!」」
ここで、ゲーム部である白也、朱莉、薫子はこの異世界で生きていく事を決めた。
「そうと決まれば明日はミリシアが言ってた冒険者ギルドに行かないか?」
「暮らすにしてもやっぱり金が必要だろ?」
冒険者ギルドでは冒険者が街やその近辺の悩み事の解決等を行う、所謂何でも屋だ。お金が無いならここで稼ぐのが一番だ!とミリシアに言われた。
「そうね。明日はそうしましょう。」
「あ~!楽しみだな。モンスターとか狩れるんだろ!」
「面白そう!」
「そういうものには危険性が………。」
そうこう話していると夜は暮れていく。
お互いに明日の事について話し合い、それぞれの寝室で夜を明かした。
これから、きっと楽しいことが俺達を待っていると、先の事に心を躍らせながら、白也、朱莉、薫子の三人は深く泥の様に眠った。
「まだ、私達の名前を教えてなかった!」
「ごめんね~!」
「いえいえ、お気に為さらず!」
「私は奈良川 朱莉!アカリって呼んでね!」
「よろしくお願いします!アカリさん!」
「さん付けなんて、むず痒いなあ~、アカリで良いよ!」
「はい!改めてアカリ、よろしくお願いします!」
「こっちの凛としていて如何にもお姉さん!て感じの人は…」
と朱莉は両手で如何にもお姉さんて感じの人にサインを送る。
それに気付いた薫子は手を胸元に持ってきて紹介を始める。
「私は峰山 薫子皆にはルコって呼ばれているわ。呼び捨てでルコで良いわ。」
と薫子はミリシアに笑顔を見せて答える。
「よろしくお願いします、ルコ!」
「で、あっちの冴えない感じの男は…」
(今、思ったけど凄い事だよな…。異世界にまさか飛ばされるなんて!これからが楽しみだな~、あれやこれやしたいことが……)
これからの事について起こる事に気分を高揚させながらいると、前方で何かにぶつかる。
「そこの冴えないお兄さ~ん!」
「ん?アカリどうした?」
「どうした?じゃない!ミリシアの為に自己紹介してたのに、上の空なんだから!」
「ああ、ごめん。これからの事について少し考えてて…。」
どうやら、朱莉に当たってしまったようだ。朱莉に催促され、白也はミリシアに紹介を始める。
「ミリシア。俺の名前は此花 白也シローて呼ばれてるから、それで呼んでくれ。」
「はい!よろしくお願いします!シロー!」
白也が紹介を終えた頃でミリシアの宿場に着いたようだ。
「ここです!ここが私の母が経営する宿場『鈴音の癒し』です!」
「どうぞどうぞ!」
ミリシアは看板に書かれた(読めない)字を指差し、三人に店についてほんのばかし紹介する。
そして直ぐにミリシアは木で出来たモダンな扉を鈴音を鳴らし、入店していく。
その後に三人も鈴音を軽快に鳴らし続いていく。
「お帰り、ミリシア。」
「ただいま!お母さん!」
「「「お母さん?!」」」
そこにはとても14,5くらいの子供を産んだにしては余りにも若く、美しい女性が居た。
「ミリシア?その方達は?」
「この方達は私の命の恩人なの!」
「まあ!娘を助けて頂きありがとうございます!」
ミリシアの母はそう言って後ろで括っている髪を垂れ流し、深々と頭を下げ、三人に最大の礼を表した。
「頭を上げてください!俺達はただ通りすがった(その場に居た)だけで…」
それでも彼女は頭を深々と下げ続けている。
「あ!そのお礼といっては何ですか、この世界について教えてくれませんか?」
その言葉を聞き彼女は頭を上げ、その顔には?が浮かんでいたが、
「そんな事で宜しければ!」
「ミリシア!あちらの個室が空いてるから、そこで説明して差し上げなさい。」
と、奥に見える個室を指差しミリシアに指示する。
「分かった!こっちよ!」
ミリシアは白也の手を引いて奥の個室へと連れていく。それに朱莉と薫子は後に続いた。
「どうぞ!」
開けられた扉の先には、人が二人分寝れるであろうベッド。
丸い縁で象られた開閉式の窓。
その右下、部屋の隅には簡素な机と椅子、机の上には羽ペンとインクが備え付けられている。
部屋の中央には長テーブルが鎮座しており、周りには椅子が四つある。
それだけの非常に簡素な造りの部屋に成っている。
「どうぞ!お座りください!」
と、ミリシアは皆が座りやすい様にと、机の下に潜り込んでいた椅子を手前に引き出し、どうぞ!と手を差し出す。
気遣いの出来るとても良い子だ。
「ありがとう、ミリシア。」
皆一同にミリシアに礼を述べ、椅子に腰掛ける。
今まで立ちっぱなしだったからだろうか。
疲労感が足から床へ、根を広げていくかのような感じを覚える。
皆が座り終えたのを確認し、
「この世界についてでしたよね?」
とミリシアは皆に確認を取る。
「そうだ。」
と白也がその確認に応答する。
「長くなるので、厳選して大事な事を説明しますね。」
「まず、『この世界はどのような物』かを噛み砕いて説明しますね。」
「ずっと前、気が遠くなるほどの年月を遡る。」
「人なんかは居なく、この世界に何も無かった頃、一人の神が居ました。」
「その全知全能の神の名を『コロナ』という。」
「その神は様々な物を造り出した。」
「今あるほとんどはその神が造ったと言われています。」
「ほとんど、というのは?」
確かに、皆が気になった。
その全知全能である神である物が造れなかったものとは?
「正しくは造れなかったではないんです。」
「造れはしたんです。」
「どういうこと?」
ここら辺から朱莉の思考は追い付かなくなっていた。
「全てを造っている工程の中でコロナは『自分』を造った様です。」
「その第二の自分が造った物がコロナが造れなかったものなの。」
「その造れなかった物というのは何なの?」
「はい、それが我々『人』です。」
「何故、全知全能であるコロナは造れなかったんだ?」
「コロナは全知全能であったため未来も見える様でした。」
「人を造ってしまうと、遅かれ早かれ、自分の世界が壊れてしまう未来しか見えなかったそうなんです。」
「でも、第二の自分がそれを造ってしまったてことだね。」
「はい、だからコロナは自分の造った世界が壊されない為に第二の自分を消そうとしたそうです。」
「そして、消えました。コロナもろとも。」
「残ったのはコロナの造ったものと第二のコロナが造った人だけになりました。」
「これが今の世界だそうです。」
「これも伝承に過ぎませんけどね!一応そう伝えられています。」
「コロナって可哀想だね…」
「自分の造った物に消されるなんて…」
朱莉だけでなくその場の空気が落ち込んでしまった。
「……あ!逆に皆さんが知りたいことは何ですか?」
その暗い空気を変えようとミリシアが出来る最大の方法だった。
それから各々が知りたい事についての質疑応答を繰り返していった。
「未だに信じられません……。」
「ここじゃない、別の世界から皆さんが来たなんて…。」
「私達も急で驚いているの。」
「でも、ミリシアが色々教えてくれたお陰でこの世界についても大まかにだけど分かったわ。ありがとう。」
ミリシアにはこの世界は今五つの国に別れていてそれぞれ、北、西、東、南そして真ん中に国があり、ここは最南端にある国「ギースラ王国」であること。
それぞれの国は協力しあっているという事。さっき追い掛けられ、そして殺されかけた魔物みたいなものがそこら中に蔓延っていること。
その他色々な事を教えてくれた。
「最後に一ついいかな?」
白也が一つ、ミリシアに尋ねた。
「この、視界の右端の方に映るこれは何かな?」
今まで、ただの目に入ったゴミの様に思っていたが、どうやっても消えないため、気になり、白也はミリシアに聞いた。
「すいません!とても重要な事なのに!説明し忘れていました!」
「確かに。」「本当だ~!」
二人にも見えている様だ。
「えっと…まず皆さん、瞬きを二回連続でしてみてください。」
三人は言われた通りに瞬きを二回繰り返し行う。
「おわっ!」「何…これ…」「凄い凄い!ゲームみたい!」
何と、右端に写っていただけの物がスケールアップして、目の前の空間上に現れたのです。
「これは人体の盤面と言われる物です。」
「その人の持ち物や能力などありとあらゆるものが載っているんです!」
「この世界の人々は皆このステータスボードを使い、日々を過ごしています。」
「物の持ち運びや売買など様々な事がここでは出来るんです!」
「試しにここに紙が置いてあります。」
「ステータスボードを使うと…!こんな風に持ち物に出来たりします。」
ミリシアが手でステータスボードを操作すると、彼女の前に置いてある紙が忽然と姿を消し、彼女の持ち物欄に表示されているのです。
「本当にゲームの世界って感じだな…。」
「ほんとね…驚いたわ…。」
白也と薫子が驚いている横で朱莉がステータスボードをひたすら弄っていた。
「ステータスボードの使い方について分かる範囲ですが教えますね!」
その日はひたすらミリシアにステータスボードの使い方について伝授してもらった。
辺りはすっかり夕闇に包まれている。
「ステータスボード、使いこなすと便利だな!」
「そうね、とても楽だわ。」
「楽しいしね!」
「よし!今日はありがとうミリシア!」
「じゃあ、そろそろって…あ…。」
「もう夜か…。」
「どうしようか?私達行く宛無いけど。」
「良ければ、泊まって行きませんか?」
「部屋もちょうど三つ空きが有りますし!」
「流石にそこまでしてもらうのは悪いよ。」
と断ろうとした、白也だが、
「「本当に!」」
朱莉と薫子が目をキラキラさせて、ミリシアに詰め寄っていた。
「はい!是非泊まって行って下さい!大歓迎です!」
結局、ミリシアの計らいによってここに泊めて貰えることになった。
食事も食べ終え、三人は薫子の部屋に集まっていた。
「いや~良かった良かった!」
「最初はどうなるかと思ったけど何とかなるもんだね!」
「本当に。ミリシアには感謝ね。」
「改めて考えてみると凄い事になってるよな。」
「朝起きたら、急に得体の知れない所で目を覚ますし、獣に追い掛けられて死にかけるしで。」
「今日は大変だったわ。」
「なあ、二人とも。」
「ん?」「何?」
「俺はここで暮らして行こうと思う。」
「帰り方も分からないし、今はこうすることが一番だと俺は思うんだ。」
「本音は?」
「こんなゲームのような世界に折角来れたんだ。俺は楽しみたい!」
「やっぱりそういうと思った…。」
「シローらしいね!」
「私も居てもいいかなて思うよ。」
「アカリまで…。」
「なあ~、良いだろ~暫くはここに居ようぜ~。」
「三人揃ってゲーム部だろ?」
薫子は暫く考え込み、そして顔を上げるとやれやれって顔で、
「分かったわ。そうしましょう。」
「私も結構気になるし…。」
「「やったー!!」」
ここで、ゲーム部である白也、朱莉、薫子はこの異世界で生きていく事を決めた。
「そうと決まれば明日はミリシアが言ってた冒険者ギルドに行かないか?」
「暮らすにしてもやっぱり金が必要だろ?」
冒険者ギルドでは冒険者が街やその近辺の悩み事の解決等を行う、所謂何でも屋だ。お金が無いならここで稼ぐのが一番だ!とミリシアに言われた。
「そうね。明日はそうしましょう。」
「あ~!楽しみだな。モンスターとか狩れるんだろ!」
「面白そう!」
「そういうものには危険性が………。」
そうこう話していると夜は暮れていく。
お互いに明日の事について話し合い、それぞれの寝室で夜を明かした。
これから、きっと楽しいことが俺達を待っていると、先の事に心を躍らせながら、白也、朱莉、薫子の三人は深く泥の様に眠った。
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