幼なじみと異世界行きってありですか?

りみったー

文字の大きさ
上 下
2 / 6
~序章~

此花白也の物語の始まり

しおりを挟む
こんなことを思ったことは無いだろうか?

「空を飛びたい」「魔法が使いたい」
















「異世界に行ってみたい」



























俺、此花白也このはなしろやの答えとしては「はい」だ。
『いつも』の通学『いつも』の学校
『いつも』の授業『いつも』の昼食
『いつも』の部活『いつも』の下校
そんな『いつも』続きに俺は言い様の無い不安感を覚えた。
「俺はこのまま『いつも』続きの生活を送っていくのだろうか?」

「それは嫌だ!」

誰か俺をこの『いつも』続きの世界から連れ出してくれ。



















そんな事を考えている、いつもの通学路で。

いつも通りの通学を流し作業の様に行っている俺にいつも通り、後ろから近づく足音が聞こえる。

「今日も相変わらずダルそうね」

峰山 薫子みねやま かおるこ 
話しかけてくるのは同じく気だるそうな顔をした女だ。

彼女、峰山薫子は 俺の幼なじみである。
幼稚園から高校までずっと同じでとても長い時間一緒にいた、所謂いわゆる、親友ってとこだ。

「ルコも相変わらずダルそうだな」

「何も変化がないもの。しょうがないじゃない」

俺と並んで足並みを合わせてくれる彼女は少し憂鬱な顔をして、俺の言葉を返してきた。
そんな他愛もない話をしていると、また一つ足音が近づいて来た。

「やっほー!おはよう!シロー、ルコ!」

奈良川 朱莉ならかわ あかり
彼女も薫子と同じく幼なじみだ。
明るい笑顔を振り撒きながら俺と薫子の横に並ぶ彼女は今日も楽しそうだ。

「おはよーう」
「おはよう」

そんな明るさとは対称的に昨日もした挨拶を返す。

「お二方さん?そんなゆっくりで大丈夫?」

「何が?」

「ほら、本鈴まで後三分しかないよ?」

そんな朱莉のスマホの時刻を見ると8:27を写し出している。

「ほら 走るよ!」

薫子に背中を押され、いつも通りの通学路を三人で走っていった。



無事、本鈴には間に合い、授業を済ませ、今は
帰宅中。

「今日も部活やるよね!」

目をキラキラさせて朱莉は俺と薫子に言った。

「また俺の家かよ! まぁ別に良いけど」

「私も大丈夫よ」

と帰宅中の会話じゃないと思うが、これで合っているのだ。
俺と朱莉、薫子は部活をやっている。
正しくは部活の『ふり』なのだが。
入学初日に朱莉が

「この三人で部活を作りたいんです!」

と先生に相談しに行き、

「どんな部活だい?」

といわれ、

「ゲーム部です!!!」

とはち切れんばかりの笑顔で言った朱莉の顔は今でも鮮明に思い出される。
もちろん「駄目だ」と突き返され、
がくっと肩を落とした朱莉はその日の帰宅中に

「じゃあ、部活ぽいのをしよう!」

と言い、今の状況が完成した。




そして家に着き、二階にある俺の部屋に三人がくつろいでいる状態だ。

回想中にも合ったように今は「ゲーム部」として活動している感じだ。

「昨日、面白いの見つけて来たんだよね~」

と朱莉が鞄の中を漁り、

「これだよ!」

と10~15くらいのソフトが音を立てて鞄から溢れ出してきた。

「よく、そんなに見つけてくるよなー」

「そうね、大体一つか二つくらいのものなのにね」

「全部、面白そうだんたんだよ~」

「だから、今日はこれを遊ぼう!」

「じゃあ、準備しとくわね」

「じゃあ、俺はお菓子やら飲み物やら準備してくるわ」

朱莉の持ってきた山(ゲーム)を遊んでいると時間が経つのが早い。

この時だけは現実のいつもを忘れられるから俺は好きだ。
だからゲームは楽しい。
きっと二人もそう思っているだろう。



「いや~遊んだ遊んだ~」

「楽しかったね!」

「そうね」

「良い時間だし、続きは明日にでもするか」

「そうね、また明日にしましょう」

「よし!また面白いソフト探しておくね!」

こんな会話を少しし、お互いの帰路についた。

あの二人と遊ぶのは本当に楽しい。
でも、いつかそれも終わってしまう。
ゲーム部が終わった後はいつもそんな事を考えてしまう。楽しい時間にもいつか終わりはくる。それは分かっているが、どうしても終わらないで欲しいという気持ちは心の中に残り続ける。

そしてまた『いつも』に戻ってくる。

『いつも』の食事『いつも』の入浴
そして『いつも』の就寝へ

そして『いつも』は繰り返されるはずだった。





























目を覚ます。

いつも通りだ。

日の光が目に入る。

うん、いつも通りだ

朱莉と薫子がいる。

いつも通りじゃないか。

草原に立っている。

近くには高くそびえ立つ城壁が見える。

見たこともない動物が見たこともない人形をした何かに荷物を運ばせている。










































「ここは何処だ…?」









俺の『いつも』が終わった瞬間だった。

~序章~   完
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

神々に育てられた人の子は最強です

Solar
ファンタジー
突如現れた赤ん坊は多くの神様に育てられた。 その神様たちは自分たちの力を受け継ぐようその赤ん 坊に修行をつけ、世界の常識を教えた。 何故なら神様たちは人の闇を知っていたから、この子にはその闇で死んで欲しくないと思い、普通に生きてほしいと思い育てた。 その赤ん坊はすくすく育ち地上の学校に行った。 そして十八歳になった時、高校生の修学旅行に行く際異世界に召喚された。 その世界で主人公が楽しく冒険し、異種族達と仲良くし、無双するお話です 初めてですので余り期待しないでください。 小説家になろう、にも登録しています。そちらもよろしくお願いします。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...