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第82話 山へ帰宅
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「よう。元気でな、後輩」
「まだ帰ってなかったのかよ、先輩」
部屋に戻って少しだけ眠り、物音がしたので起き出してみたら、仏前結婚式の助っ人を頼んだ先輩生臭坊主がいた。
どうやら、俺の代わりに披露宴に顔を出して好き勝手暴れ回ったらしく、若い素人のお姉ちゃんの連絡先を大量にゲットしたと言って、意気揚々と帰っていった。
「俺が山まで送ってくから、さっさと朝飯食っちまえよ」
永空に促されて、息子の嫁が作った朝飯を食う。
白飯にワカメの味噌汁にお新香に豆腐と野菜の煮物。
フードコーディネーターの資格を持っているらしく、味はどれも抜群に旨い。
「肉と魚が無いって以外は完璧だな」
「坊主が精進料理に文句言ってんじゃねぇぞ!」
「旨かったぜ。嫁さん、俺にくれねぇ?」
「やらねぇよ!」
嫁はくれないそうなので、さっさと山に帰る事にした。
永空の運転で山に向かう道中、寺に戻って来いと言われたが、俺には帰りを待ってる家族がいるからな。
こいつも大事な家族だが、あいつらも化け狐に追い払われながら、遠巻きに見守ってくれてた家族みたいなもんだ。
俺にとっては、どっちも大事な存在だ。
「わかった。ちょくちょく様子見に来るから。
何かあったら連絡してくれ」
「おう、ありがとうな」
家まで送るとか言われたが、こいつがいると俺まで登山をしなきゃならないので、遠慮願う。
帰りはタクシーで帰ると言って永空は爺の家を訪ねたので、俺は化け狐に乗ってピューっと一気に山を上った。
庭で化け狐から降りると、あやかしが皆集まって来て、謎の胴上げが始まった。
何の胴上げなのかは全くわからないし、お前誰?って新顔のあやかしも混ざっていた。
まあ、胴上げされる機会なんてなかなか無いし、悪い気もしないので、そのまま二十回ほど大人しく投げ上げられといたが。
胴上げが終わって皆に礼を言ってから家に入ると、どうにも疲れが出たのか、すぐに囲炉裏の傍で眠ってしまった。
目を覚ますと、外はもう暗くなっていた。
魚と餅を焼いて軽めに食事を済ませ、熱い風呂に入って目を覚ます。
化け狐は風呂に入るのに酒を欲しがらないし、雪女が風呂の外に待機していて入り口側の壁が凍っている。
五子だけは、いつもの調子で元気に燥いでいるな。
目を覚ますつもりで風呂に入ったのに、風呂から出たらまた眠くなった。
囲炉裏の傍に座っていると、体が怠い気がしてくる。
「酒を飲みたいって気分でもねぇんだよな」
酒があるのに飲みたくならないってのは、俺にとっては奇妙な感覚だ。
『だったら、さっさと寝ておけ』
化け狐はそう言うけどな、眠いけど寝たいって感じはしないんだよ。
「お前が飲む分の酒を用意するか」
そう言って俺が立ち上がろうとしたら。
『いらん!さっさと寝ろ!』
化け狐に声を荒げて止められた。
これ以上怒らせるのも後が怖いので、言われた通り寝る事にしよう。
「まだ帰ってなかったのかよ、先輩」
部屋に戻って少しだけ眠り、物音がしたので起き出してみたら、仏前結婚式の助っ人を頼んだ先輩生臭坊主がいた。
どうやら、俺の代わりに披露宴に顔を出して好き勝手暴れ回ったらしく、若い素人のお姉ちゃんの連絡先を大量にゲットしたと言って、意気揚々と帰っていった。
「俺が山まで送ってくから、さっさと朝飯食っちまえよ」
永空に促されて、息子の嫁が作った朝飯を食う。
白飯にワカメの味噌汁にお新香に豆腐と野菜の煮物。
フードコーディネーターの資格を持っているらしく、味はどれも抜群に旨い。
「肉と魚が無いって以外は完璧だな」
「坊主が精進料理に文句言ってんじゃねぇぞ!」
「旨かったぜ。嫁さん、俺にくれねぇ?」
「やらねぇよ!」
嫁はくれないそうなので、さっさと山に帰る事にした。
永空の運転で山に向かう道中、寺に戻って来いと言われたが、俺には帰りを待ってる家族がいるからな。
こいつも大事な家族だが、あいつらも化け狐に追い払われながら、遠巻きに見守ってくれてた家族みたいなもんだ。
俺にとっては、どっちも大事な存在だ。
「わかった。ちょくちょく様子見に来るから。
何かあったら連絡してくれ」
「おう、ありがとうな」
家まで送るとか言われたが、こいつがいると俺まで登山をしなきゃならないので、遠慮願う。
帰りはタクシーで帰ると言って永空は爺の家を訪ねたので、俺は化け狐に乗ってピューっと一気に山を上った。
庭で化け狐から降りると、あやかしが皆集まって来て、謎の胴上げが始まった。
何の胴上げなのかは全くわからないし、お前誰?って新顔のあやかしも混ざっていた。
まあ、胴上げされる機会なんてなかなか無いし、悪い気もしないので、そのまま二十回ほど大人しく投げ上げられといたが。
胴上げが終わって皆に礼を言ってから家に入ると、どうにも疲れが出たのか、すぐに囲炉裏の傍で眠ってしまった。
目を覚ますと、外はもう暗くなっていた。
魚と餅を焼いて軽めに食事を済ませ、熱い風呂に入って目を覚ます。
化け狐は風呂に入るのに酒を欲しがらないし、雪女が風呂の外に待機していて入り口側の壁が凍っている。
五子だけは、いつもの調子で元気に燥いでいるな。
目を覚ますつもりで風呂に入ったのに、風呂から出たらまた眠くなった。
囲炉裏の傍に座っていると、体が怠い気がしてくる。
「酒を飲みたいって気分でもねぇんだよな」
酒があるのに飲みたくならないってのは、俺にとっては奇妙な感覚だ。
『だったら、さっさと寝ておけ』
化け狐はそう言うけどな、眠いけど寝たいって感じはしないんだよ。
「お前が飲む分の酒を用意するか」
そう言って俺が立ち上がろうとしたら。
『いらん!さっさと寝ろ!』
化け狐に声を荒げて止められた。
これ以上怒らせるのも後が怖いので、言われた通り寝る事にしよう。
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