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第38話 爺の茶請け
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今日は久々に下山する。
いや、麓まで荷物を取りに行くのも下山と言うならば、ちょくちょく下山はしているのだが。
昨日の夜から酒は飲んでいないので、目覚めは爽快。
アル中では無いから酒を抜いたところで手の震えも無い。
爺には昨日の内に連絡をしておいた。
あの男、毎日俺のベンツを乗り回してるらしいから、車を使う場合は前日予約が必要になる。
俺の車なんだけどな。
そういう訳だから、冬の間に何度も荷物を取りに行ったのに、爺には殆んど会えていない。
別にそれほど会いたいとも思っていないが。
「それじゃあ、帰りは夜か明日になるかわからんが留守番を頼む」
見送りに来たあやかし達に声を掛けたら、化け狐の背中に乗る。
「お前に乗るのも随分快適になったよな」
『ほう、今日は速度制限を掛けないのが望みか』
「止めて?死にそうになるから」
化け狐が普通に走ると、世界最恐のジェットコースターなんて目じゃないぐらいのアトラクションになってしまう。
振り落とされて事故死、なんて事にはなりたくないので、是非とも電動スクーターぐらいの速度でお願いしたい。
最近まで雪が積もっていたから、山の植物はまだまだ冬の装いだ。
新緑なんてものからは程遠い木々を横目にグングンと斜面を下り、麓に着いたら化け狐から降りる。
俺が所有している敷地の内と外で景色が全く違うが、悪戯に雑草が増えるよりかは全然良いな。
雑草だけ食ってくれるあやかしとかいないだろうか?
いたら滅茶苦茶便利なのに。
「爺。来たぞ」
「おう、永海さん久しぶりだな!
見ない間に痩せたんでないかい?」
「そんな筈は無いだろう。
近頃は小屋に籠ってブートキャンプ三昧だったんだぞ」
「そんな筈はねぇべ!
ブートキャンプやってたら、こんぐらいの筋肉が付くだろうよ!」
「ほう、どれどれ」
爺が腕まくりして力コブを作ったんで、触ってみて。
「プヨプヨじゃねぇか!
標準的な爺さんの腕じゃねぇか!」
「はっはっは!俺も全然運動してねぇんだ!
けど毎日飯だけは馬鹿みたいに食ってるから元気なもんよ!
永海さんはもう少し食った方がいいぞ!」
爺は豪快に笑ってから、茶でも飲んでけと俺を家に招き入れた。
爺の家の居間には仏壇がある。
何年か前にカミさん亡くなってるんで、大サービスで経をあげてやる。
これで茶請けぐらいはサービスしてくれるだろう。
「永海さん!ベンツってすげぇな!
ホステスのお姉ちゃんからのウケが違うぜ!」
茶請けにBODIVAのチョコレートが出て来る辺り、相当ブイブイ言わせてんなこの爺。
まあ場末のスナックとかキャバクラを狙えば、ベンツに乗ってるだけでも多少のステータスにはなるんだろうが。
『おい!我にもBODIVAを寄越せ!』
こいつはこいつで目ざといな。
どうしてあやかしがBODIVAを認識してるんだよって話だがな。
俺がお姉ちゃん達から貰ったのを食ってたから仕方ないんだよな。
「爺、甘いもん苦手だったよな?
余ってるBODIVA引き取るから全部くれ」
本命がどうだとか言って少しばかり渋ったが、ベンツを貸してやってる代わりに寄越せと言ったらニ十箱も出てきたので、全て回収。
泣いたふりをする爺に背を向けて、俺達は爺の家を後にした。
いや、麓まで荷物を取りに行くのも下山と言うならば、ちょくちょく下山はしているのだが。
昨日の夜から酒は飲んでいないので、目覚めは爽快。
アル中では無いから酒を抜いたところで手の震えも無い。
爺には昨日の内に連絡をしておいた。
あの男、毎日俺のベンツを乗り回してるらしいから、車を使う場合は前日予約が必要になる。
俺の車なんだけどな。
そういう訳だから、冬の間に何度も荷物を取りに行ったのに、爺には殆んど会えていない。
別にそれほど会いたいとも思っていないが。
「それじゃあ、帰りは夜か明日になるかわからんが留守番を頼む」
見送りに来たあやかし達に声を掛けたら、化け狐の背中に乗る。
「お前に乗るのも随分快適になったよな」
『ほう、今日は速度制限を掛けないのが望みか』
「止めて?死にそうになるから」
化け狐が普通に走ると、世界最恐のジェットコースターなんて目じゃないぐらいのアトラクションになってしまう。
振り落とされて事故死、なんて事にはなりたくないので、是非とも電動スクーターぐらいの速度でお願いしたい。
最近まで雪が積もっていたから、山の植物はまだまだ冬の装いだ。
新緑なんてものからは程遠い木々を横目にグングンと斜面を下り、麓に着いたら化け狐から降りる。
俺が所有している敷地の内と外で景色が全く違うが、悪戯に雑草が増えるよりかは全然良いな。
雑草だけ食ってくれるあやかしとかいないだろうか?
いたら滅茶苦茶便利なのに。
「爺。来たぞ」
「おう、永海さん久しぶりだな!
見ない間に痩せたんでないかい?」
「そんな筈は無いだろう。
近頃は小屋に籠ってブートキャンプ三昧だったんだぞ」
「そんな筈はねぇべ!
ブートキャンプやってたら、こんぐらいの筋肉が付くだろうよ!」
「ほう、どれどれ」
爺が腕まくりして力コブを作ったんで、触ってみて。
「プヨプヨじゃねぇか!
標準的な爺さんの腕じゃねぇか!」
「はっはっは!俺も全然運動してねぇんだ!
けど毎日飯だけは馬鹿みたいに食ってるから元気なもんよ!
永海さんはもう少し食った方がいいぞ!」
爺は豪快に笑ってから、茶でも飲んでけと俺を家に招き入れた。
爺の家の居間には仏壇がある。
何年か前にカミさん亡くなってるんで、大サービスで経をあげてやる。
これで茶請けぐらいはサービスしてくれるだろう。
「永海さん!ベンツってすげぇな!
ホステスのお姉ちゃんからのウケが違うぜ!」
茶請けにBODIVAのチョコレートが出て来る辺り、相当ブイブイ言わせてんなこの爺。
まあ場末のスナックとかキャバクラを狙えば、ベンツに乗ってるだけでも多少のステータスにはなるんだろうが。
『おい!我にもBODIVAを寄越せ!』
こいつはこいつで目ざといな。
どうしてあやかしがBODIVAを認識してるんだよって話だがな。
俺がお姉ちゃん達から貰ったのを食ってたから仕方ないんだよな。
「爺、甘いもん苦手だったよな?
余ってるBODIVA引き取るから全部くれ」
本命がどうだとか言って少しばかり渋ったが、ベンツを貸してやってる代わりに寄越せと言ったらニ十箱も出てきたので、全て回収。
泣いたふりをする爺に背を向けて、俺達は爺の家を後にした。
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