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第17話 スイカ割り
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夏のはじめに爺からスイカを貰ったんだが、畑に吐いた種が育ってスイカが出来てしまった。
言ってる事がわからんか?
大丈夫だ、俺だって全く意味がわからない。
「と言うか家庭菜園の規模が広がってねぇ?」
『ようやく気付いたか。初めと比べて倍ほども広がっているぞ』
「うちのあやかしは優秀な事で。
肥料も与えてないのに丸々としたでっかいスイカがポコポコと出来てるって、この畑肥沃な大地過ぎないか?」
「ミミズ共が頑張っているのだろう」
加夫羅太伊が地表に出て来て、全員揃って頭を下げた。
どう見たって大中小のミミズだが、こうしてみると案外愛嬌があるんだよな。
最近は一匹に跨るんじゃなくて、横に並んだ加夫羅太伊絨毯に乗るのがマイブームだ。
空飛ぶ絨毯ならぬ。地を這う絨毯に乗って家庭菜園の周囲を一周しながら、オリジナルよりも立派に育ったスイカを幾つか回収する。
今の季節は夏。
まあ夏も終わりかけだが、期せずしてスイカが出来てしまったら、あれをやるしかないだろう。
「よし、これより夏の定番スイカ割りを開催する」
俺が思い付きでやろうと言い出したスイカ割りだが、案外と参加者は集まった。
参加するのは俺、河童、以上。
河童が全員参加だから、俺を含めて10人だ。
急遽の開催にしては中々に集まった方だろう。
「化け狐もやらねぇ?」
『やらん』
雪女は冬以外は暑いから外に出たくないと言うし、座敷童は基本年中家にいる。
家鳴は主な活動時間が夜だし、最近住み着いた垢なめは、ずっと風呂掃除をしてるから不参加だ。
憑りつく系はあまり独立してくれないし、人型以外と見えない奴らは、目を隠したり棒を持ったりが難しい。
『それならば我に声を掛けたのもおかしいではないか』
「化け狐は、、、まあいいや。
早速俺からチャレンジするぜ。誘導は化け狐が頼む」
『仕方がない。やってやろう』
化け狐は面倒臭そうにしても、手伝ってはくれる。
スイカ割りはスイカさえ手元にあれば、手ぬぐいとぶっ叩く棒だけで出来る手軽さが良いよな。
スイカから5メートルぐらい離れてから、目を手ぬぐいで隠して、太くて長い木の棒を持ち、地面に棒の先を付けて10回まわる。
そして10回まわり終えると指示が飛んで。
『そのままだ』
そのまま?
そのままはおかしくねぇ?
何か地面がうねうね動いてねぇ?
これ多分だけど、少しずつ移動してねぇ?
ちょっとした動く歩道じゃねぇ?
『そこだ』
化け狐から叩けと指示が出たので、棒を振り上げて。
トン!
手応えはあったな。
手ぬぐいを外してみると、そこには少しだけ罅が入ったスイカがあった。
やはり成功していたらしい。
『もっと力一杯叩かんか。情けない』
「その前に俺、一歩も歩いてないんだが?
スイカ割りってこういう事じゃ、、、いや、お前らが悪いんじゃない。
お前らのおかげで成功したんだ。ありがとう」
俺が褒めてやると、スイカのところまで俺を運んだミミズ達は、何だか誇らし気である。
いつも畑仕事をやって貰ってる労いと思えば悪くないな。
罅割れたスイカは縁側に運び、包丁で八分の一に切って化け狐としゃりしゃりやる。
我が家の家庭菜園で採れたスイカは、滅茶苦茶甘いし瑞々しくて旨い。
「次は河童一号な。
指示役は俺と周りの河童全員でやってくれ」
特に勝負事でもないので全員で指示を出して、スイカが割れたら全員で喜ぶルールだ。
そしてサラッと八連続失敗を見る事になった。
「最後、河童九号。頑張れよ」
誰が何号とか見分けは付かないのだが、最後に残った河童が頭を縦振りして気合いを入れた。
「右。もう少し右だ。そのまま。
もう少し左だ。行き過ぎ。右」
やはり最後は成功が見たいので、真面目に指示を出す。
しかし九号は勘が悪いのか、どうにもスイカに向かってくれない。
そして九号はスイカの横を素通りして、畑の方に向かうとスイカの蔓に足を取られて。
ゴッ!
後頭部で頭突きを決めて、見事スイカ割りに成功したのであった。
勝負事では無かったんだが、お笑いスイカ割りグランプリの優勝は河童九号に決まった。
言ってる事がわからんか?
大丈夫だ、俺だって全く意味がわからない。
「と言うか家庭菜園の規模が広がってねぇ?」
『ようやく気付いたか。初めと比べて倍ほども広がっているぞ』
「うちのあやかしは優秀な事で。
肥料も与えてないのに丸々としたでっかいスイカがポコポコと出来てるって、この畑肥沃な大地過ぎないか?」
「ミミズ共が頑張っているのだろう」
加夫羅太伊が地表に出て来て、全員揃って頭を下げた。
どう見たって大中小のミミズだが、こうしてみると案外愛嬌があるんだよな。
最近は一匹に跨るんじゃなくて、横に並んだ加夫羅太伊絨毯に乗るのがマイブームだ。
空飛ぶ絨毯ならぬ。地を這う絨毯に乗って家庭菜園の周囲を一周しながら、オリジナルよりも立派に育ったスイカを幾つか回収する。
今の季節は夏。
まあ夏も終わりかけだが、期せずしてスイカが出来てしまったら、あれをやるしかないだろう。
「よし、これより夏の定番スイカ割りを開催する」
俺が思い付きでやろうと言い出したスイカ割りだが、案外と参加者は集まった。
参加するのは俺、河童、以上。
河童が全員参加だから、俺を含めて10人だ。
急遽の開催にしては中々に集まった方だろう。
「化け狐もやらねぇ?」
『やらん』
雪女は冬以外は暑いから外に出たくないと言うし、座敷童は基本年中家にいる。
家鳴は主な活動時間が夜だし、最近住み着いた垢なめは、ずっと風呂掃除をしてるから不参加だ。
憑りつく系はあまり独立してくれないし、人型以外と見えない奴らは、目を隠したり棒を持ったりが難しい。
『それならば我に声を掛けたのもおかしいではないか』
「化け狐は、、、まあいいや。
早速俺からチャレンジするぜ。誘導は化け狐が頼む」
『仕方がない。やってやろう』
化け狐は面倒臭そうにしても、手伝ってはくれる。
スイカ割りはスイカさえ手元にあれば、手ぬぐいとぶっ叩く棒だけで出来る手軽さが良いよな。
スイカから5メートルぐらい離れてから、目を手ぬぐいで隠して、太くて長い木の棒を持ち、地面に棒の先を付けて10回まわる。
そして10回まわり終えると指示が飛んで。
『そのままだ』
そのまま?
そのままはおかしくねぇ?
何か地面がうねうね動いてねぇ?
これ多分だけど、少しずつ移動してねぇ?
ちょっとした動く歩道じゃねぇ?
『そこだ』
化け狐から叩けと指示が出たので、棒を振り上げて。
トン!
手応えはあったな。
手ぬぐいを外してみると、そこには少しだけ罅が入ったスイカがあった。
やはり成功していたらしい。
『もっと力一杯叩かんか。情けない』
「その前に俺、一歩も歩いてないんだが?
スイカ割りってこういう事じゃ、、、いや、お前らが悪いんじゃない。
お前らのおかげで成功したんだ。ありがとう」
俺が褒めてやると、スイカのところまで俺を運んだミミズ達は、何だか誇らし気である。
いつも畑仕事をやって貰ってる労いと思えば悪くないな。
罅割れたスイカは縁側に運び、包丁で八分の一に切って化け狐としゃりしゃりやる。
我が家の家庭菜園で採れたスイカは、滅茶苦茶甘いし瑞々しくて旨い。
「次は河童一号な。
指示役は俺と周りの河童全員でやってくれ」
特に勝負事でもないので全員で指示を出して、スイカが割れたら全員で喜ぶルールだ。
そしてサラッと八連続失敗を見る事になった。
「最後、河童九号。頑張れよ」
誰が何号とか見分けは付かないのだが、最後に残った河童が頭を縦振りして気合いを入れた。
「右。もう少し右だ。そのまま。
もう少し左だ。行き過ぎ。右」
やはり最後は成功が見たいので、真面目に指示を出す。
しかし九号は勘が悪いのか、どうにもスイカに向かってくれない。
そして九号はスイカの横を素通りして、畑の方に向かうとスイカの蔓に足を取られて。
ゴッ!
後頭部で頭突きを決めて、見事スイカ割りに成功したのであった。
勝負事では無かったんだが、お笑いスイカ割りグランプリの優勝は河童九号に決まった。
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