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第9話 揺らし甲斐のある家
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小屋があるのは、山の頂上付近。
来たばかりの時は、周囲を木々に囲まれていたのだが、あやかしが気を利かせて小屋をリフォームする為の材木を用意してくれたので、中々の広さが拓けてしまった。
スローライフと言えば自給自足のイメージがあるので、家庭菜園でも始めようと思うんだが、まずは小屋から家と呼べる住処にレベルアップさせたい。
「しかし、この歳でソロ改築は骨が折れるぜ。
何なら死んでしまうかもしれない。主に腰が」
『確かにな。だったら土建屋に頼めば良かろう。檀家にでもおるだろう』
「いるにはいるがなぁ。スローライフって言ったら、住みやすい家に自力でリフォームするだろう。
ああいうのって憧れちゃうんだよな」
自分好みに、自分の好きに、自力で住処を作り上げるなんてロマンしか感じない。
「そういう訳だから家鳴が揺らし甲斐のある家にリフォームすれば良いと思うんだよ」
『他力ではないか!』
化け狐から良いツッコミを頂いたが。
俺にとっての住みやすい家にリフォームするよりも、よっぽど良いと思うんだけどな。
正直言って、俺はあまり住処に拘りはない。
狭っ苦しいのとボロいのは嫌だが、それなりに広くて、それなりに綺麗ならば、どんな家だって構わない。
『それは我も同様だな』
化け狐も酒が飲めれば気にしないって感じだよな。
「座敷童も、別にこの小屋が良くて集まった訳じゃないんだろう?」
全開にした窓からうんうんと頷いているから、どんな家でも問題はなさそうだ。
「だったら一番拘りがありそうな奴に任せるのが一番だろう。
馬鹿息子がよく勘違いして地震だなんだって騒いでたが、ついて来てるんだろう?」
小屋がぐらりと揺れたと思ったら膝ぐらいまでの小さい鬼が6人も姿を現した。
だから数が多いんだって。
今は多い方が好都合だけれども。
こいつらは時々寺を叩いてたあやかしで、あまり近寄ったりはしないから、化け狐からも目溢しをされてた奴らだな。
「この小屋をベースに、お前らが今までで一番揺らし甲斐のあった家を再現してくれるか?
耐震強度は低くても、座敷童がいるから幸せパワーで何とかなるだろう。だから強度はあんまり気にしなくて良い」
『何だ幸せパワーとは。お主、座敷童を過大評価していないか?』
「一軒に四人いんだぞ?三人家族の家だったら、家族よりも座敷童のが多いんだぞ?
滅茶苦茶幸せパワー高そうじゃねぇのよ」
『だから幸せパワーとは何だ。その幸せパワーとやらに対する過剰な信頼は何処から生まれるのだ』
何処からと言われたら、座敷童がうんうん頷いているからに尽きるが。
とにかく俺は座敷童と、既に気合いが入りまくって、腕立てをして筋肉のパンプアップを図っている家鳴を信じたいのだ。
「それに、例え家が崩れても、お前が助けてくれるんだろう?」
『む、それはそうだが』
こうして俺は、家鳴に小屋のリフォームを依頼した。
翌朝目を覚ましたら、狭苦しい小屋から、ちょっとした武家屋敷の家屋みたいな家に変わっていた。
来たばかりの時は、周囲を木々に囲まれていたのだが、あやかしが気を利かせて小屋をリフォームする為の材木を用意してくれたので、中々の広さが拓けてしまった。
スローライフと言えば自給自足のイメージがあるので、家庭菜園でも始めようと思うんだが、まずは小屋から家と呼べる住処にレベルアップさせたい。
「しかし、この歳でソロ改築は骨が折れるぜ。
何なら死んでしまうかもしれない。主に腰が」
『確かにな。だったら土建屋に頼めば良かろう。檀家にでもおるだろう』
「いるにはいるがなぁ。スローライフって言ったら、住みやすい家に自力でリフォームするだろう。
ああいうのって憧れちゃうんだよな」
自分好みに、自分の好きに、自力で住処を作り上げるなんてロマンしか感じない。
「そういう訳だから家鳴が揺らし甲斐のある家にリフォームすれば良いと思うんだよ」
『他力ではないか!』
化け狐から良いツッコミを頂いたが。
俺にとっての住みやすい家にリフォームするよりも、よっぽど良いと思うんだけどな。
正直言って、俺はあまり住処に拘りはない。
狭っ苦しいのとボロいのは嫌だが、それなりに広くて、それなりに綺麗ならば、どんな家だって構わない。
『それは我も同様だな』
化け狐も酒が飲めれば気にしないって感じだよな。
「座敷童も、別にこの小屋が良くて集まった訳じゃないんだろう?」
全開にした窓からうんうんと頷いているから、どんな家でも問題はなさそうだ。
「だったら一番拘りがありそうな奴に任せるのが一番だろう。
馬鹿息子がよく勘違いして地震だなんだって騒いでたが、ついて来てるんだろう?」
小屋がぐらりと揺れたと思ったら膝ぐらいまでの小さい鬼が6人も姿を現した。
だから数が多いんだって。
今は多い方が好都合だけれども。
こいつらは時々寺を叩いてたあやかしで、あまり近寄ったりはしないから、化け狐からも目溢しをされてた奴らだな。
「この小屋をベースに、お前らが今までで一番揺らし甲斐のあった家を再現してくれるか?
耐震強度は低くても、座敷童がいるから幸せパワーで何とかなるだろう。だから強度はあんまり気にしなくて良い」
『何だ幸せパワーとは。お主、座敷童を過大評価していないか?』
「一軒に四人いんだぞ?三人家族の家だったら、家族よりも座敷童のが多いんだぞ?
滅茶苦茶幸せパワー高そうじゃねぇのよ」
『だから幸せパワーとは何だ。その幸せパワーとやらに対する過剰な信頼は何処から生まれるのだ』
何処からと言われたら、座敷童がうんうん頷いているからに尽きるが。
とにかく俺は座敷童と、既に気合いが入りまくって、腕立てをして筋肉のパンプアップを図っている家鳴を信じたいのだ。
「それに、例え家が崩れても、お前が助けてくれるんだろう?」
『む、それはそうだが』
こうして俺は、家鳴に小屋のリフォームを依頼した。
翌朝目を覚ましたら、狭苦しい小屋から、ちょっとした武家屋敷の家屋みたいな家に変わっていた。
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