眼鏡ちゃん、バンドやる。

眠ゐ犬

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ギターの調整をしてくれました!②

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 石ナンデスを机に置くと、御園先輩は一つ一つ説明をしながらギターの調整をしてくれる。

「指盤とフレットを磨くのは弦を交換する時にやるとして、まずはネックの反りを直していくからね。
 ストラトタイプのネック調整はヘッドにあるトラスロッドを回せば出来るんだ。ここね」

 そう言って御園先輩が指で差し示してくれたのは、ヘッドの付け根?辺りにある謎の出っ張り。
 この出っ張り、教えて貰わなきゃ何に使うのか一生わからなかったよ。

「トラスロッドを回すには六角レンチって道具が必要なんだ。これを使って調整してやる。
 このギターの場合は少し順反りしてるから、トラスロッドを時計回りに回してやれば真っ直ぐに出来る」

 ギターの調整作業をする御園先輩、何だか職人さんみたいで格好良い。
 真剣な表情だけど楽しそうで、ギターを触ってるのが心底楽しいんだろうなってのが伝わってくる。
 そんな姿に尊敬を覚えて、クンカクンカを自重している私がいるよ。

「一応やり方は教えておくけど、ネックの調整は素人には難しいから楽器屋に持ち込むのが無難かな。
 もし興味があるなら勉強すれば、ギターに掛かる費用が節約できて良いんだけどね」

「なるほど、それだったら勉強します」

 御園先輩がやってることなら、どんなことでも勉強しますよ!
 とりあえずボイスレコーダーで録音していないことに後悔だよ。
 後で調べれば同じ情報が出てくるかな?
 いや、私の脳に全てを詰め込んでしまえば問題ない!脳の要領を総動員して御園先輩の所作と言葉を記憶するんだ!

 ネックを触ったり弦に触れたりして、何度も確認をしながら六角レンチって工具?で調整をした御園先輩は、最終確認の為に石ナンデスを持って椅子に座った。

 ジャラーン チャカチャカ

 私の石ナンデスが、私が弾くのとは比べ物にならないぐらい格好良い音を鳴らしてる。
 左手の動きも格好良いんだけど、右手の動きも全然違うんだよね。
 なんて言うかな…海老とバッタぐらい違う?絶対にこの例え違うわ。
 スムーズでスマートで緩急がある感じ?お坊さんが木魚を叩くかの如く一定のリズムでギターを弾く私とは雲泥の差があるよ…。伸び代だね!

「これでネックは問題無さそうかな。眼鏡ちゃんは初心者だから、少し弦高を下げて弾き易くしようか」

 え?ギターを弾き易くしてくれるとか神なんですか!?女神様なんですか!?

「お願いします!」

 弾き易くなるのが嬉し過ぎて元気一杯に返事をしたら、御園先輩は何やら細ーい工具を出した。
 どれぐらい細いかって言うと、茹でたそうめんよりは太いかな?ってぐらい?…他に良い例えが思い浮かばなかったんだよ…。
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