11 / 20
VOLCANYOS ③
しおりを挟む
ドッドッツクツータッタッタッ ドッドッツクタッタッタッ
ドッドッツクツータッタッタッ ドッドッツクタッタッタッ
カウントが4つ入ってキレのいいドラムから曲が始まった。テンポは120。
ピンスポットライトがドラムの位置に当たり、マオの凛々しい顔と淡々とした正確な動きを照らした。
女でも惚れると言われそうな中性的な顔立ちに、前列にいる女性客が色めき立つ。
ドラムが8小節叩いたところで骨太なベースが入り、ディストーションの効いたギターがコードがジャーンとコードを鳴らしてからカッティングを始めた。
ステージ全体がライトで照らされ、VOLCANYOSの全貌が明らかになる。
髪を金色に染めたギターのリョウと朴訥な印象を持つベースのダン。
若さゆえの昂ぶりや逸りを見せずに、あくまでも淡々と演奏をしている姿が渋い。
誰かの吐いた煙草の煙がスモークとなって照明に味を出している。
入場時に配られたフライヤーに挟まっているアンケートには、一曲目はVOLCANYOSと書かれていた。
要するに、自己紹介代わりでバンド名と同じタイトルの曲を演奏する狙いであろう。
入りのメロディはイントロと言うよりもジャズで言うところのテーマに近い。
完璧に息を合わせたリズム隊にギターも合わせたテーマは、広がりのある重低音で迫力がある。
既にテーマの段階から心を掴まれた者達の体が縦に揺れ始め、特に日本オナニー最前線からのファンである里菜は手摺りに手を置き前のめりになってステージの様子を見つめていた。
3つの楽器が息を合わせたテーマが長めの16小節取られてから展開が変わった。
バスドラムがドッドッドッドッと四つ打ちになり、隙間にオープンハイハット。タッタタと小気味良いスネアドラムを鳴らす。
ベースは音数少なく、歯切れがよくシンプルに。
まるでダンスミュージックのような展開で、観客をノせに掛かっているようだ。
そんなリズムの上を、リョウが波乗りでもするかのようにギターソロをかます。
チョーキングを多用するメロディアスなギターソロはメロディセンスが抜群で、圧倒的なまでに完成度が高い。
トレモロでアクセントを付ける様子はまるでベテランギタリストのようで、恐らくは大枠だけ決めてアドリブで弾いているにも関わらず、鳴らす音に一切の躊躇いが無い。
その演奏はまるでギターが歌っているようで、ヴォーカルが入っていないのに満足感が半端ではなかった。
目を閉じて酔いしれるような演奏と佇まいに、同じギタリストの稔琉は圧倒されていた。
所謂ポップスやロックで言うところのAメロと言えるギターソロは16小節続き、リョウがコード演奏に入ると今度はベースのダンがソロを取り始めた。
先程までは落ち着いて後ろから音を支えていたベースが、1弦と2弦を多用してギターから歌を引き継ぐ。
本来は前面に出ることが少ないベースも、チョーキングを使いながら上手に歌い上げている。
このバンド、日本オナニー最前線の頃よりも個人のプレイを前面に押し出しやがる。
稔琉はそんな感想を抱きつつも、ブンブンと体に響く音を一つ残らず噛み締める。
本当に同年代かと驚愕するしかない実力者達の演奏だ。
こんな実力者達のフロントマンとして、悪ふざけとも言えるステージを披露していた伊織にも悪い意味で驚愕がながら、稔琉は体全体を音に預けた。
16小節のベースソロの後で、また展開が動いた。
ここまで完全にインストロメンタルだと思われた曲にヴォーカルが入ったのだ。
3人全員が初期衝動を声に乗せたような荒々しい歌…叫びが楽曲に新たな熱い色を加える。
「ROCK SCREAM CHAOTIC JAM HEAVY&GROOVY=VOLCANYOS!
ROCK SCREAM CHAOTIC JAM HEAVY&GROOVY=VOLCANYOS!」
歌詞もメロディも最低限でキャッチーなものだが、VOLCANYOSの熱さに乗せられて観客のヴォルテージも上がる。
稔琉も3人の声に合わせてVOLCANYOS!と声を出したくなるような熱いパフォーマンス。
里菜は初めて聴いた曲である筈なのに、2節目から既に声を合わせて叫んでいた。
そんな里菜に釣られるようにして、それは周囲にも広がっていった。
ドッドッツクツータッタッタッ ドッドッツクタッタッタッ
カウントが4つ入ってキレのいいドラムから曲が始まった。テンポは120。
ピンスポットライトがドラムの位置に当たり、マオの凛々しい顔と淡々とした正確な動きを照らした。
女でも惚れると言われそうな中性的な顔立ちに、前列にいる女性客が色めき立つ。
ドラムが8小節叩いたところで骨太なベースが入り、ディストーションの効いたギターがコードがジャーンとコードを鳴らしてからカッティングを始めた。
ステージ全体がライトで照らされ、VOLCANYOSの全貌が明らかになる。
髪を金色に染めたギターのリョウと朴訥な印象を持つベースのダン。
若さゆえの昂ぶりや逸りを見せずに、あくまでも淡々と演奏をしている姿が渋い。
誰かの吐いた煙草の煙がスモークとなって照明に味を出している。
入場時に配られたフライヤーに挟まっているアンケートには、一曲目はVOLCANYOSと書かれていた。
要するに、自己紹介代わりでバンド名と同じタイトルの曲を演奏する狙いであろう。
入りのメロディはイントロと言うよりもジャズで言うところのテーマに近い。
完璧に息を合わせたリズム隊にギターも合わせたテーマは、広がりのある重低音で迫力がある。
既にテーマの段階から心を掴まれた者達の体が縦に揺れ始め、特に日本オナニー最前線からのファンである里菜は手摺りに手を置き前のめりになってステージの様子を見つめていた。
3つの楽器が息を合わせたテーマが長めの16小節取られてから展開が変わった。
バスドラムがドッドッドッドッと四つ打ちになり、隙間にオープンハイハット。タッタタと小気味良いスネアドラムを鳴らす。
ベースは音数少なく、歯切れがよくシンプルに。
まるでダンスミュージックのような展開で、観客をノせに掛かっているようだ。
そんなリズムの上を、リョウが波乗りでもするかのようにギターソロをかます。
チョーキングを多用するメロディアスなギターソロはメロディセンスが抜群で、圧倒的なまでに完成度が高い。
トレモロでアクセントを付ける様子はまるでベテランギタリストのようで、恐らくは大枠だけ決めてアドリブで弾いているにも関わらず、鳴らす音に一切の躊躇いが無い。
その演奏はまるでギターが歌っているようで、ヴォーカルが入っていないのに満足感が半端ではなかった。
目を閉じて酔いしれるような演奏と佇まいに、同じギタリストの稔琉は圧倒されていた。
所謂ポップスやロックで言うところのAメロと言えるギターソロは16小節続き、リョウがコード演奏に入ると今度はベースのダンがソロを取り始めた。
先程までは落ち着いて後ろから音を支えていたベースが、1弦と2弦を多用してギターから歌を引き継ぐ。
本来は前面に出ることが少ないベースも、チョーキングを使いながら上手に歌い上げている。
このバンド、日本オナニー最前線の頃よりも個人のプレイを前面に押し出しやがる。
稔琉はそんな感想を抱きつつも、ブンブンと体に響く音を一つ残らず噛み締める。
本当に同年代かと驚愕するしかない実力者達の演奏だ。
こんな実力者達のフロントマンとして、悪ふざけとも言えるステージを披露していた伊織にも悪い意味で驚愕がながら、稔琉は体全体を音に預けた。
16小節のベースソロの後で、また展開が動いた。
ここまで完全にインストロメンタルだと思われた曲にヴォーカルが入ったのだ。
3人全員が初期衝動を声に乗せたような荒々しい歌…叫びが楽曲に新たな熱い色を加える。
「ROCK SCREAM CHAOTIC JAM HEAVY&GROOVY=VOLCANYOS!
ROCK SCREAM CHAOTIC JAM HEAVY&GROOVY=VOLCANYOS!」
歌詞もメロディも最低限でキャッチーなものだが、VOLCANYOSの熱さに乗せられて観客のヴォルテージも上がる。
稔琉も3人の声に合わせてVOLCANYOS!と声を出したくなるような熱いパフォーマンス。
里菜は初めて聴いた曲である筈なのに、2節目から既に声を合わせて叫んでいた。
そんな里菜に釣られるようにして、それは周囲にも広がっていった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
一人用声劇台本
ふゎ
恋愛
一人用声劇台本です。
男性向け女性用シチュエーションです。
私自身声の仕事をしており、
自分の好きな台本を書いてみようという気持ちで書いたものなので自己満のものになります。
ご使用したい方がいましたらお気軽にどうぞ
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ヘルツを彼女に合わせたら
高津すぐり
青春
大好きなラジオ番組「R-MIX」を聴こうとした高校生のフクチは、パーソナリティが突然、若い少女に代わった事に衝撃を受ける。謎の新人パーソナリティ・ハルカ、彼女の正体は一体?
ラジオが好きな省エネ男子高校生と、ラジオスターを目指す女子高校生の青春物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~
海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。
そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。
そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる