異世界ダンジョン【ラブホテル】~ダンジョンマスターに転生したので異世界でラブホテル経営してみる。破茶滅茶転生者のちょっとエッチなスローライフ

張形珍宝

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ラブホテル in エライマン

優勝決定と王と宰相の話し合い

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 現在絶賛開催中の第一回アーティスティック胴上げ選手権。
 速攻ヤろうぜBチームの投擲によってウエノヤツが目指すべき方向性が決まった。
 先程のタンジェリンオレンジオーガの体育座りの体勢から尻での着地にアイトは7点を入れた。
 これは要するに空中姿勢は芸術点よりもお笑い点の方が高い事を意味している。
 ヒショはアイトと同じ得点を出すので今回のターゲットとしては除外して。

 如何にしてアイトの笑いを誘うかが勝負の鍵となる。

 しかしながらエマの得点も馬鹿に出来ない。
 正直な話、オーガズの面々の身体能力には殆んど差が無い。
 最早色が違うだけじゃね?ってぐらいに殆んど同じ身体能力をしている。
 だから飛距離に関しては90m前後が限界となるだろう。
 そうなるとどれだけアイトとヒショから得点を稼いでもエマの得点次第で躱される可能性も出て来る。

 ではエマは一体どんな演技に高得点を付けるのか、という話だ。

 エマの場合は至ってシンプルだろう。
 突撃野郎Aチームの投擲でウルトラヴァイオレットオーガが見せた3D回転。
 あの芸術的な回転からの見事な着地にエマは10点を付けた。
 要するにエマは芸術性を重視する審査員である。
 つまりはこの戦い。

 エマを唸らせる芸術性とアイトの爆笑を誘うお笑い性を兼ね備えた演技をしたチームが勝利を掴む事になる。

 オーガズが各チーム円陣を作って相談を始める中。

「それでは続いてもうネタが無くなったぜCチームの第一投目!」

 アイトは相談する時間など待ってはくれなかった。
 全チーム趣向を凝らした投擲が続き。

「Eチーム第三投目」

 最早バリエーションが出尽くしてちょっと飽きて来たアイトの投げやりな掛け声と共に。

「わーっしょい。わーっしょい。わーっしょい」

 ウエノヤツ、シュリンプピンクオーガが高々と舞った。
 シュリンプピンクオーガはギュルギュルギュルと爆速の3D回転を見せた後で。

 何と舌での着地を試みる。

 落下のタイミングに合わせて頭を下にして。
 砂利のグラウンドに顔面を向ける。
 シュリンプピンクオーガは舌を固くして面ではなく点での着地を狙う。

 ズザァァァァァアア

 そしてシュリンプピンクオーガは芸術的に。

 芸術的に顔面から落下した。

 芸術的に顔面から落下してズザァァァ10mも砂利の上を顔面で滑っていった。

 見事な。

 見事な失敗演技である。

「ブフォッ!わっはっは!優勝!100億点!」

 こうして第一回アーティスティック胴上げ選手権の優勝は決した。
 結局の所、どれだけ練りに練って狙いに行った笑いよりも。
 失敗による面白ハプニングの方が強くハートを擽るのである。

 敬具。


 ランドソープ王国の王城。
 その一室では厳かな雰囲気で国王イレタッテ・ランドソープと宰相レスリーの話し合いが行われていた。

「遂に明日、エライマン領の視察に向けて出発となる訳だが」

 イレタッテは得意のゲンドウ座りでレスリーに話掛け。

「明日出発になるのだから無駄口叩いてないで執務を熟せよ愚王」

 レスリーから痛烈な言葉が浴びせられた。
 しかしイレタッテは全く怯む様子を見せず。

「俺の休息宿ラブホテル初上陸となる訳だが」

 イレタッテはそこまで口にすると溜めて。
 溜めに溜めて。

「どんなボケをかましてやろうかなぁ」

「相手方を怒らせる真似だけはするなよマジで」

 レスリーからマジなトーンで止められた。
 厳かなのは本当に雰囲気だけだった。

 国王のイレタッテと宰相のレスリー。
 ラブホテルがあるエライマン領の領主フォルカーは幼馴染の親友同士である。
 そして親友だからこそイレタッテの愚王ぶりは心得ているし、フォルカーの強さも心得ている。

 一対一であれば国王直属の近衛騎士でも敵わないフォルカーが死を覚悟する程の相手があのラブホテルには存在すると言うのだ。
 もしもイレタッテが失礼をかまして不興を買う様な事があれば、視察団が壊滅させられる恐れもあるだろう。

 そんなのに巻き込まれるなんてまっぴらごめんだ。

 レスリーは自分も妻を連れてラブホテルに行けるのを楽しみにしているのだ。
 その為に息子に経験を積ませると言って視察中の仕事を丸投げしたのだ。
 それなのにイレタッテの愚行でお楽しみを潰されて堪るか。

 イレタッテも大概だが、レスリーも宰相としては大概であった。

 しかしイレタッテが簡単には止まらないのをレスリーは知っている。
 何故なら今だって。

「やっぱり登場は全裸だよな。いや、ギリギリを攻めるならパンイチか」

 こんなにも愚かしいボケをかまそうとしているのだから。
 仮にも一国の王が全裸やパンイチで他国との会談に臨んだらどうなるか。
 毎回会談の前にマントの下をチェックされて使用人総出で服を着させられているのだ。
 駄目と言われても絶対にやろうとするのだ、この王は。
 だから。

「全裸は絶対に駄目だ。パンイチも駄目だが、どうしてもと言うならマントを着ろ。あと乳首は隠せ」

「えぇぇ。注文が多いぞレスリー。お前は少し気にし過ぎだ」

 お前が気にしなさ過ぎなのだ。

 レスリーは思わずそうツッコミそうになったがグッと堪える。
 イレタッテは規制が厳しくなる程にやりたくなる性分なのだ。
 だからある程度は遊びを持たせて筋道だけ付けてやった方がコントロールがしやすい。
 筋道を付けて、その筋道をずりずりと徐々に徐々にずらしていくのがイレタッテを操る正攻法である。
 決して全てが駄目だと押さえ付けてはいけないのだ。

「パンイチは良いと言っているんだから充分だろう。ギリギリを攻めるんだとお前が自分で言っていたじゃないか」

「おお!そうだな!パンイチでギリギリを攻めよう!」

 こうやってまずは全裸を回避。
 更に。

「パンイチにマント姿は絶対に面白いぞ。最初から最後まで裸よりも時々裸をチラ見せする方が緩急が付くだろう」

「おお!確かにそうだな!流石は一国の宰相をやってるだけあって頭がキレる!」

 お前は一国の王なんだけどな。

 一国の王が何をやろうとしているのだと口に出したいが、ここでもレスリーはグッと堪えた。
 そして上手くパンイチマントの変則コーデが決定しかけたタイミングでイレタッテは何かを考える様に目だけで上を見て。

「ポロリは?」

「駄目だ!」

 やはりと言うかイレタッテのイレタッテを露出しようと目論んだのでレスリーは全力で却下して。

「パンイチマントに王冠!靴と靴下は履かない!これ以上の露出は禁止だ!わかったな?」

「ふむ。まあそんな所か。良いだろう。そのシンプルスタイルで勝負してやる」

 レスリーが話を纏めてイレタッテも納得した様子で頷いた。
 これで休息宿ラブホテルへの訪問は完璧である。

「それじゃあ俺は城下にスイーツ食べに行ってくるから後はよろしく」

「寄り道しないで帰って来るんだぞ」

 ランドソープ王国の上層部は国王イレタッテに対して甘やかす体制を敷いている。
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