異世界ダンジョン【ラブホテル】~ダンジョンマスターに転生したので異世界でラブホテル経営してみる。破茶滅茶転生者のちょっとエッチなスローライフ

張形珍宝

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ラブホテル in エライマン

第一回アーティスティック胴上げ選手権①

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「アーティスティック胴上げ選手権やろう」

 一体何なんだそれは。

 ラブホテルがあるダンジョンの最上階層マスタールーム。
 ダンジョンマスターのアイトが今日も訳の分からない事を言い出した。

「何ですか?それ」

 最近フロントスタッフが増員されて時間が出来たエマはワンポを撫でくり回しながらつまらなそうに問い掛ける。

 エマは仕事が終わると部屋に引き籠るのではなく、マスタールームでアイトやヒショと共に過ごす。
 まだアイトのダンジョンが地下の洞穴だった時代から数十年も一緒にいるので二人がいるのがエマにとっての日常であり、二人がいると和むのだ。
 ダンジョンに落ちてきたばかりのエマの内面は今よりももっとロリだったが、今では立派なロリに成長している。

 エマは立派なロリとなっても二人との関係性は変わらない。
 それは家族であったり友人であったり、様々な感情があるが。
 少なくともアイトがろくでもない父親または友人または、、、である事は一生揺るがないだろう。

 話が逸れたが。

「アーティスティック胴上げ選手権とはアーティスティックに胴上げをしてぶん投げられたウエノヤツの飛距離と芸術性で得点を競う大会だぞ!俺の前世では世界2356ヶ国で週一開催されていたのだよ!わっはっは!」

 また適当言ってんなとエマは思った。
 どうせいつもの思い付きなのだ。
 大体アイトは以前本気のトーンで前世にあった国の数は200ちょっとだったと言っていた。
 付き合いの長いエマにはわかるが、あれは真実を語っていた。
 アイトは時々真面目な顔をして前世の事を語る時があるのだ。

 4年に一度くらいだが。

 そんな真面目な顔をしたアイトは結構格好良かったりするのだが、そんな話は置いておいて。

「これより!第一回アーティスティック胴上げ選手権を開催する!」

 思い付きから翌日には開催にこぎ着けた第一回アーティスティック胴上げ選手権。

 アイトの前世で言う田舎の学校の校庭を思わせる砂利のグラウンドにアーチ状になった入場門が設置され、何なら普通に校舎まである階層が新たに登場した。
 校舎の前には白地にピンクで休息宿ラブホテルと書かれたエステル帆布のテントが立てられ、シンプルな長机と3脚の椅子が置かれていて。
 真ん中の椅子にはリポーター用マイクを持ったアイトが鎮座する。

「わたくし司会進行と審査委員長を務めるアイトと申します」

 まずはアイトの挨拶が入り。

「審査員と秘書のヒショです」

 いつもの流れでヒショが続いた。

「そして」

「えっと、審査員と解説をするエマと「うぉん!」ワンポです。よろしくお願いします」

 どうやら今回はエマとワンポも運営側に加わるらしい。
 時間的にもエマは仕事から上がったばかりなので、寝る時間にはまだまだ早い。
 今までは直ぐにタイムアップでスヤァしていたが、今回の企画はきっと最後まで参加出来るだろう。

 エマの挨拶を聞いてうんうんと頷いたアイトは唐突に立ち上がり。

「それでは!選手、乳頭!」

 前世で大ブレイクしていた往年のギャグ“ケーキ乳頭”をアレンジしてしれっとスベったアイトをよそに入場行進曲が流れた。

「1年生の入場です」

 アイトが舌足らずな小学生の真似をして入場を促すと、軽快なスネアドラムのリズムに合わせて入場門から続々と選手が登場する。
 先頭のウルトラヴァイオレットオーガから縦一列で色とりどりのオーガ達が、手足の動きを合わせて行進し。
 全員で校庭を一周してから解説席があるテントの前に整列した。

 今回の企画、出場者はヤマオカを除いた色とりどりの変異種オーガ達のみとなっている。

 色は派手だが面子は地味だ!

 そんなオーガズの中から一体の、ちょっとよく名前を知らない変異種オーガが前に出て来て。

「ウガ、ウゴウズベスバズグロゲロポコチン」

 どうやら選手宣誓を行っているらしいのだが、言葉がわからないので全然聞き取れない。
 グロとゲロとポコチンは聞き取れたが、きっと空耳アワーだろう。
 アイトも何言ってんだこいつと首を傾げている。

 そして30分にも及ぶ選手宣誓の後で。

「ウォォォオオ!」

「「「「「ウオォォォォォオオオ!」」」」」

 雄叫びを上げたオーガ達が何だか盛り上がっているので長机で行われていた七並べを中断してぬるっと競技が開始された。

 アーティスティック胴上げ選手権は各チーム5名の胴上げをするシタノヤツラが胴上げされる側のウエノヤツをぶん投げて飛距離と芸術性を競う競技である。
 校庭の端には直径5mの円があり、そこから1/4円状にラインが敷かれている。
 さながらハンマー投げなどの投擲種目が行われるグラウンドの様なイメージだ。

 サークルの中に6人の変異種オーガが入ってウルトラヴァイオレットオーガを持ち上げ。

「それでは突撃野郎Aチームの第一投目!わーっしょい!」

 アイトの掛け声に合わせてウルトラヴァイオレットオーガの体が宙に浮き。

「わーっしょい!」

 2回目の掛け声で10m以上も上空に上がった。
 そして投擲が行われる3回目。

「わーっしょい!」

 5人のオーガが腕を鞭の様にしならせ、上空10mからの落下の勢いを利用して筋肉の反発で前方上空へとぶん投げた。

「「「「「ウオォォォォォオオオ!」」」」」

 そして、まるでハンマー投げの選手の様に雄叫びを上げるシタノヤツラ。
 空中に投げ出されたウエノヤツ、ウルトラヴァイオレットオーガは縦横と高速の3D回転を見せてから完璧な着地をして見せた。
 地面が砂利であるにも関わらず一切滑る事なく、ピタっと地面に足が吸い付く様な完璧な着地だ。

 飛距離は86m74。
 距離は充分、演技も完璧。
 これは高い得点が期待される。

「それでは審査員の得点は!」

 3人の審査員が0から10までの番号が書かれた札を上げる。

「0点0点10点!合計得点は96.74点だぁぁい!」

 審査の結果はアイト0点、ヒショ0点、エマ10点であった。
 ワンポは今回マスコットキャラクターなので審査には参加しない。
 どうやら審査員の出した得点が飛距離に追加されて合計得点となる模様である。
 その辺のルールはアイトが説明していないのでやってみなければわからない。
 なので順番が後になればなるほど有利である。

 因みにヒショはアイトの出す点を横目で見て得点を決定しているので、如何にしてアイトの得点を伸ばすかが優勝へと近付く鍵となる。
 そんな気がする。

「それでは続いて速攻ヤろうぜBチームの第一投目!」

 アイトに名前を呼ばれて6人のオーガ達がAチームと入れ替わりでサークルに入った。
 Bチーム第一投目のウエノヤツはタンジェリンオレンジオーガが担当するらしい。
 5人のシタノヤツラがウエノヤツを抱え上げ。

「わーっしょい!」

 アイトの掛け声に合わせてウエノヤツが高く舞い上がる。
 どうやら先程の投擲を参考にしてタンジェリンオレンジオーガは初めから芸術性を見せ付けるつもりらしい。
 まるでトランポリン競技のトップ選手の様な3D回転を見せながら落ちてくると。

「わーっしょい!」

 それを上手く受け止めたシタノヤツラが更に高さを出してウエノヤツを投げ上げた。
 既に先程Aチームが行った第一投目目の投擲と同じぐらいグルングルンと回転している。
 そんなウエノヤツをピタリと受け止めたシタノヤツラは腕をしならせ。

「わーっしょい!」

 出来うる限りの最高の高さと距離を出す投擲を見せた。
 するとウエノヤツ、シュリンプピンクオーガはそれまでの3D回転は何処へやら。
 腕で膝を抱えて完全に体育座りの格好で高く遠くへと飛んで行き。

 ズザァァァァァアア!

 そのまま尻で着地して砂利のグラウンドを滑っていった。

 距離は90m18。
 Aチームよりも距離は稼げているが、この物議を醸しそうな演技にどんな判定が下るのか。

「それでは審査員の得点は!」

 3人が札を上げ。

「7点、7点、5点!合計得点は109.18点だぁぁい!」

 エマの得点は控え目となったがアイトとヒショが7点を付けてAチーム以上の高評価が出た。
 どうやらこれで勝利への戦略が決まったようである。
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