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ラブホテル in ヤーサン
ボディペイント紅葉狩り①
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婚活パーティーから数日経ち。
スミスは何やら複雑な表情でラブホテルを訪れていた。
フロントでエマに声を掛けてアイトへと取り次いで貰い。
『やあやあスミス君。微妙に久しぶりじゃないか』
「どうもアイトさん。その節はお世話になりました」
その節とは勿論婚活パーティーの事である。
スミスは婚活パーティーで知り合ったメリッサと一夜を共にして付き合い始めたのだ。
アイトの中では既に終わった事なので今やあまり興味の無い話題である。
「それで、ご報告なんですが」
スミスの声色は何処か申し訳無さ気である。
「おう!おうおうおうおう!どうしたんだね!」
これは面白そうだと直感して一気にテンションが上がったアイト。
他人の不幸話は例に漏れず大好物である。
「メリッサと別れる事になりまして」
『わっはっはっはっは!まだ5日ぐらいしか経ってないのに?一体何があったって言うんだい!話してみなさい!』
スミスの破局話に爆笑するアイト。
叱責されるよりも笑い飛ばして貰えた方が気が楽なのでスミスとしては有難い。
「いやぁ。あのですね。あの日、下世話な話しですけど生でした訳じゃないですか。生で中にってなったら子供が出来るかもしれないんで責任取ろうと思って。少し良い宿に移って同棲を始めた訳ですよ。それで俺が冒険者の仕事に出掛けるって伝えて宿を出ようとしたら、私と仕事とどっちが大事なんだって引き止められまして。俺としては嬉しかったですよ。少しも離れたくないくらい俺の事が好きなんだなって。ですけど、俺には仲間もいますし。あっさりと仲間を見捨ててメリッサを取るってのは直ぐには出来ないって説明したんですよ。それで今朝ですね。宿を出ようとした時にメリッサが。想像してたのと違う!ネイトさんがこんなに冷たい人だと思わなかった!私の事を全然愛してくれてない!って言われましてね」
『うわぁ、、、』
スミスの詳細な説明は熱の籠った迫真の演技も相まってアイトすらも軽く引かせていた。
「はぁぁぁぁ」と深過ぎる溜息を漏らしたスミスに。
『それで?』
アイトは話しの続きを促した。
「別れるって言って出て行きましたよ。慰謝料だって言って俺の有り金全部持ってね。なので金を稼がなきゃ飯も食えない状態なんでラブホテルには暫く来れないかと」
『わっはっは!まあ早くに別れられて良かったじゃないか!』
アイトはスミスの話を笑い飛ばした。
笑い飛ばしてあげないと流石に可哀想だったからだ。
あの時、最終選考で日和った結果がこれなのだから。
「そうですね。けれど、捨てる神あれば拾う神ありですね。落ち込んで宿を出た所を婚活パーティーに来てたアンドレアが話掛けて来てくれて。メリッサとの事を話したら同情して飯を奢ってくれましてね。やっぱり彼女とは話が合うんで。金を貯めて今度はアンドレアとラブホテルに来ようって話しになりました。これも婚活パーティーを主催してくれたアイトさんのお陰ですよ。ありがとうございます」
そう言ってアイトにガチャ切りされたスミスは。
入って来た時とは比べ物にならない清々しい表情でラブホテルを後にしたのであった。
「紅葉狩りを楽しみたい」
所変わってマスタールーム。
理不尽にフラれた筈なのに何故かリア充へと変貌していたスミスへの不快感を払拭したアイトは。
気を取り直して本日のテーマを発表した。
こうして唐突に今したい事を口にするのはアイトの日常である。
「紅葉狩りとは何でしょうか?世界中に鶏足を狩り尽くすのですか?美味しいですよねモミジ」
確かに鶏の足は“モミジ”と呼ばれるが。
「違う違う。そうじゃそうじゃない。紅葉狩りって言うのは赤く色付いた木々を鑑賞して愛でる催しだよ。催しって言ってもおしっこしたい訳じゃないんだからねっ!勘違いしないでよねっ!」
意外と真面目に紅葉狩りの意味を説明したアイトは。
ヒショを連れて農園へとやって来た。
農園であれば沢山の果樹が生えているので紅葉が見られる可能性はある。
アイトにしては珍しく名案であった。
「オーガズ集合!」
アイトが集合を掛けると軍隊並みの速さでオーガズが集まり列を作った。
因みに集合時のポーズはラットスプレッドである。
「それでは代表者一名、前へ!」
アイトが指示を出すと列の真ん中辺りにいたミルキーホワイトオーガが出て来てアイトの前に立った。
「それではお願いします!」
そう言うとアイトは後ろに下がり。
ヒショがミルキーホワイトオーガの前に出た。
ミルキーホワイトオーガの顔が苦み走ったものに変わった瞬間。
バチコォォォン!
掌底に近いヒショの張り手がミルキーホワイトオーガの左胸を襲い。
後ろにいたオーガズも巻き込んでドミノ倒しになった。
そしてミルキーホワイトオーガの様子を見に行ったアイトは。
「紅葉じゃなくて蒼葉になってる!アウトォォ!」
一瞬にして青痣を作ったヒショのパワーでは紅葉を生み出すのは不可能と判断を下したのであった。
結局普通の紅葉狩りなどする気が無いアイトである。
そして夜になり。
「何やってるんですか?」
勤務を終えてマスタールームへと上がって来たエマが中で繰り広げられている謎の光景を目にして質問をする。
「いや、紅葉狩りをしようと思ってな」
アイトの返事を耳にしてもイマイチ状況が飲み込めない。
「紅葉狩りって鶏足でも狩るんですか?美味しいですよねモミジ」
さっきも聞いた台詞である。
二人とも酒飲みなので考える事は同じなのだ。
「そっちのモミジじゃなくて秋になると植物の葉っぱが綺麗な赤色に色付くだろ?それを鑑賞して愛でる行楽だよ。こうらくって言っても笑点で上手い事言う担当の人じゃないぞ」
「ああ、あの面白くな「だまらっしゃい!」」
今、確実に面白くないと口にしようとしたエマにストップを掛けるアイト。
それは笑点の禁句なのだ。
「笑点はあの人がいるから大喜利に抑揚がついてだな。って今はそれ所じゃないんだった。さっさと塗りを終わらせないと」
アイトはエマに向けていた視線を戻して手を動かす。
口を動かす暇があったら手を動かせってやつだ。
「で?結局それって何してるんですか?」
紅葉狩りが食べ物でなく行楽の方だとはわかった。
しかしそこから先がまるで理解出来ない。
一体皆揃って何をしているのかと、エマは問うているのだ。
「オーガズの体に紅葉を書いてボディペイント紅葉狩りをやろうと思ってな」
聞いた所で何をしているのかは理解出来なかった。
「何ですか?ボディペイント紅葉狩りって?」
エマがアイトに問うが、それは当然の疑問だろう。
ボディペイント紅葉狩りなんて単語はついさっき生まれたばかりの造語に違いない。
アイトはかなりの頻度で新語流行はしない語を生み出すので、初めの内にしっかりと説明を求めないと当然の様に日常会話に混ぜて来るので厄介なのだ。
「え?普通に言葉通りだけど?」
何でそんな事聞くの?的なオーラを醸し出しているが、今の所は何も理解が出来ていない。
そもそも紅葉が見たいなら何時もの様に紅葉の階層を作ってしまえば良いのだ。
海水浴がしたいからと海の階層を作り出した男ならば簡単に作れるだろうし、何なら手間も掛からない。
なのに何故ビキニパンツを穿いたオーガズの体に紅葉の絵を書いているのか。
それがエマには理解が出来ない。
「紅葉の階層作った方が早くないですか?」
早速核心部分をぶつけてみたエマだが。
「え?もう作ったよ?」
アイトは当然の様に言い放つ。
「え?じゃあ何でボディペイントしてるんですか?」
紅葉狩りをする為の階層があるのならば、それを愛でれば良いではないか。
大して上手くもない紅葉の絵を書いている意味が何処にも無いではないか。
「オーガズの肉体美と紅葉のコントラスト。地を這い宙を舞うアクロバティックな紅葉。つまりそう言う事だよ」
それっぽく言って自分一人で納得しているが、全く以て理解出来ない。
ヒショは「流石です」と言っているが、多分ヒショも理解はしていないだろう。
取り敢えず褒める事を優先する人だから。
人では無いんだけれども。
「なるほど。理解しました」
エマも全く理解は出来なかったが、面白そうなので手伝う事にして絵を描いた。
筆で体をなぞられているオーガズは。
全員漏れなく擽ったくも気持ち良さそうにムフフっている。
あまり大きくリアクションを取るとヒショが物理で蒼葉を描くので気付かれない様にひっそりと。
ひっそりと頬をニヨつかせているのであった。
スミスは何やら複雑な表情でラブホテルを訪れていた。
フロントでエマに声を掛けてアイトへと取り次いで貰い。
『やあやあスミス君。微妙に久しぶりじゃないか』
「どうもアイトさん。その節はお世話になりました」
その節とは勿論婚活パーティーの事である。
スミスは婚活パーティーで知り合ったメリッサと一夜を共にして付き合い始めたのだ。
アイトの中では既に終わった事なので今やあまり興味の無い話題である。
「それで、ご報告なんですが」
スミスの声色は何処か申し訳無さ気である。
「おう!おうおうおうおう!どうしたんだね!」
これは面白そうだと直感して一気にテンションが上がったアイト。
他人の不幸話は例に漏れず大好物である。
「メリッサと別れる事になりまして」
『わっはっはっはっは!まだ5日ぐらいしか経ってないのに?一体何があったって言うんだい!話してみなさい!』
スミスの破局話に爆笑するアイト。
叱責されるよりも笑い飛ばして貰えた方が気が楽なのでスミスとしては有難い。
「いやぁ。あのですね。あの日、下世話な話しですけど生でした訳じゃないですか。生で中にってなったら子供が出来るかもしれないんで責任取ろうと思って。少し良い宿に移って同棲を始めた訳ですよ。それで俺が冒険者の仕事に出掛けるって伝えて宿を出ようとしたら、私と仕事とどっちが大事なんだって引き止められまして。俺としては嬉しかったですよ。少しも離れたくないくらい俺の事が好きなんだなって。ですけど、俺には仲間もいますし。あっさりと仲間を見捨ててメリッサを取るってのは直ぐには出来ないって説明したんですよ。それで今朝ですね。宿を出ようとした時にメリッサが。想像してたのと違う!ネイトさんがこんなに冷たい人だと思わなかった!私の事を全然愛してくれてない!って言われましてね」
『うわぁ、、、』
スミスの詳細な説明は熱の籠った迫真の演技も相まってアイトすらも軽く引かせていた。
「はぁぁぁぁ」と深過ぎる溜息を漏らしたスミスに。
『それで?』
アイトは話しの続きを促した。
「別れるって言って出て行きましたよ。慰謝料だって言って俺の有り金全部持ってね。なので金を稼がなきゃ飯も食えない状態なんでラブホテルには暫く来れないかと」
『わっはっは!まあ早くに別れられて良かったじゃないか!』
アイトはスミスの話を笑い飛ばした。
笑い飛ばしてあげないと流石に可哀想だったからだ。
あの時、最終選考で日和った結果がこれなのだから。
「そうですね。けれど、捨てる神あれば拾う神ありですね。落ち込んで宿を出た所を婚活パーティーに来てたアンドレアが話掛けて来てくれて。メリッサとの事を話したら同情して飯を奢ってくれましてね。やっぱり彼女とは話が合うんで。金を貯めて今度はアンドレアとラブホテルに来ようって話しになりました。これも婚活パーティーを主催してくれたアイトさんのお陰ですよ。ありがとうございます」
そう言ってアイトにガチャ切りされたスミスは。
入って来た時とは比べ物にならない清々しい表情でラブホテルを後にしたのであった。
「紅葉狩りを楽しみたい」
所変わってマスタールーム。
理不尽にフラれた筈なのに何故かリア充へと変貌していたスミスへの不快感を払拭したアイトは。
気を取り直して本日のテーマを発表した。
こうして唐突に今したい事を口にするのはアイトの日常である。
「紅葉狩りとは何でしょうか?世界中に鶏足を狩り尽くすのですか?美味しいですよねモミジ」
確かに鶏の足は“モミジ”と呼ばれるが。
「違う違う。そうじゃそうじゃない。紅葉狩りって言うのは赤く色付いた木々を鑑賞して愛でる催しだよ。催しって言ってもおしっこしたい訳じゃないんだからねっ!勘違いしないでよねっ!」
意外と真面目に紅葉狩りの意味を説明したアイトは。
ヒショを連れて農園へとやって来た。
農園であれば沢山の果樹が生えているので紅葉が見られる可能性はある。
アイトにしては珍しく名案であった。
「オーガズ集合!」
アイトが集合を掛けると軍隊並みの速さでオーガズが集まり列を作った。
因みに集合時のポーズはラットスプレッドである。
「それでは代表者一名、前へ!」
アイトが指示を出すと列の真ん中辺りにいたミルキーホワイトオーガが出て来てアイトの前に立った。
「それではお願いします!」
そう言うとアイトは後ろに下がり。
ヒショがミルキーホワイトオーガの前に出た。
ミルキーホワイトオーガの顔が苦み走ったものに変わった瞬間。
バチコォォォン!
掌底に近いヒショの張り手がミルキーホワイトオーガの左胸を襲い。
後ろにいたオーガズも巻き込んでドミノ倒しになった。
そしてミルキーホワイトオーガの様子を見に行ったアイトは。
「紅葉じゃなくて蒼葉になってる!アウトォォ!」
一瞬にして青痣を作ったヒショのパワーでは紅葉を生み出すのは不可能と判断を下したのであった。
結局普通の紅葉狩りなどする気が無いアイトである。
そして夜になり。
「何やってるんですか?」
勤務を終えてマスタールームへと上がって来たエマが中で繰り広げられている謎の光景を目にして質問をする。
「いや、紅葉狩りをしようと思ってな」
アイトの返事を耳にしてもイマイチ状況が飲み込めない。
「紅葉狩りって鶏足でも狩るんですか?美味しいですよねモミジ」
さっきも聞いた台詞である。
二人とも酒飲みなので考える事は同じなのだ。
「そっちのモミジじゃなくて秋になると植物の葉っぱが綺麗な赤色に色付くだろ?それを鑑賞して愛でる行楽だよ。こうらくって言っても笑点で上手い事言う担当の人じゃないぞ」
「ああ、あの面白くな「だまらっしゃい!」」
今、確実に面白くないと口にしようとしたエマにストップを掛けるアイト。
それは笑点の禁句なのだ。
「笑点はあの人がいるから大喜利に抑揚がついてだな。って今はそれ所じゃないんだった。さっさと塗りを終わらせないと」
アイトはエマに向けていた視線を戻して手を動かす。
口を動かす暇があったら手を動かせってやつだ。
「で?結局それって何してるんですか?」
紅葉狩りが食べ物でなく行楽の方だとはわかった。
しかしそこから先がまるで理解出来ない。
一体皆揃って何をしているのかと、エマは問うているのだ。
「オーガズの体に紅葉を書いてボディペイント紅葉狩りをやろうと思ってな」
聞いた所で何をしているのかは理解出来なかった。
「何ですか?ボディペイント紅葉狩りって?」
エマがアイトに問うが、それは当然の疑問だろう。
ボディペイント紅葉狩りなんて単語はついさっき生まれたばかりの造語に違いない。
アイトはかなりの頻度で新語流行はしない語を生み出すので、初めの内にしっかりと説明を求めないと当然の様に日常会話に混ぜて来るので厄介なのだ。
「え?普通に言葉通りだけど?」
何でそんな事聞くの?的なオーラを醸し出しているが、今の所は何も理解が出来ていない。
そもそも紅葉が見たいなら何時もの様に紅葉の階層を作ってしまえば良いのだ。
海水浴がしたいからと海の階層を作り出した男ならば簡単に作れるだろうし、何なら手間も掛からない。
なのに何故ビキニパンツを穿いたオーガズの体に紅葉の絵を書いているのか。
それがエマには理解が出来ない。
「紅葉の階層作った方が早くないですか?」
早速核心部分をぶつけてみたエマだが。
「え?もう作ったよ?」
アイトは当然の様に言い放つ。
「え?じゃあ何でボディペイントしてるんですか?」
紅葉狩りをする為の階層があるのならば、それを愛でれば良いではないか。
大して上手くもない紅葉の絵を書いている意味が何処にも無いではないか。
「オーガズの肉体美と紅葉のコントラスト。地を這い宙を舞うアクロバティックな紅葉。つまりそう言う事だよ」
それっぽく言って自分一人で納得しているが、全く以て理解出来ない。
ヒショは「流石です」と言っているが、多分ヒショも理解はしていないだろう。
取り敢えず褒める事を優先する人だから。
人では無いんだけれども。
「なるほど。理解しました」
エマも全く理解は出来なかったが、面白そうなので手伝う事にして絵を描いた。
筆で体をなぞられているオーガズは。
全員漏れなく擽ったくも気持ち良さそうにムフフっている。
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