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ラブホテル in ヤーサン
驚愕する商人が妻の尻に敷かれているのは火を見るよりも明らかである③
しおりを挟む 部屋に入ってから既に十数分経ち。
706号室では今もバルバラとメアリーがベランダに出て夜景を眺めていた。
日が暮れていてもダンジョンの中なので気温は快適な温度に保たれていて。
空には満天の星空も広がっている
白く清潔で美しい部屋とベランダからの素晴らしい景色。
二人の中ではそれで既に完結している。
そうなるのも仕方が無い。
普通の宿であったなら狭い部屋にベッドがあるぐらいで。
高級な宿でも広い部屋に高そうな調度品が置かれている程度。
こんな常識外の夜景が楽しめる宿なんて他には無く。
衝撃と感動で本来の目的すら忘れてしまうのもやむを得ない流れであった。
しかし。
そんな二人に漸く自分の出番とばかりに声を掛けるのはまさかの人物。
そう。
ついさっきまで縮こまっていた、バルバラの夫でありメアリーの父であるタスケである。
「二人とも。そろそろ満足した頃合いでしょう。メインディッシュを味わうとしましょう」
二人が少しイラっとする程に得意げなタスケに。
そんなに自信があるなら私達を満足させてみなさいと強気な表情を見せる二人。
タスケのこめかみから汗が一筋流れ落ちるが、最早信じて進むしかない。
二人を連れてタスケが開いた扉の先には。
縦長の部屋の左右に横長の鏡が壁に埋め込まれていて。
鏡の下からせり出した机と起毛素材の高級そうな椅子。
そして机の上には訳の分からない魔道具らしき何かが数多く置かれていた。
訳が分からないので三人とも『お、おう、、、』ぐらいのリアクションしか取れないでいたが。
先ずはタスケが中に入って魔道具の傍に置かれている木札の文字を読む。
「ナノイオンスチーマー?顔に温かい蒸気を当てる事で肌に潤いを与え若々しい素肌を保つ効果が期待出来る。肌の透明感が増し化粧ノリもアップ」
「あなた!退いて!」
タスケが木札を口に出して読むとバルバラが後ろからタスケを乱暴に退けてナノイオンスチーマーが置かれている机の前に座った。
そしてじっくりと木札を読んで起動させ、前髪を纏めておく髪留めを着けて吹き出し口から出て来る蒸気を顔に当て始めた。
今は話掛けるなと背中から強烈な威圧感を放つバルバラはそっとしておいて。
タスケはナノイオンスチーマーの隣にある木札を読み上げる。
「光美容器?肌に特殊な光を当ててムダ毛を目立たなくする効果がある。使い始めは7日に一度程度から徐々に頻度を下げていく事で30日から60日に一度で充分な効果が見込める様になる」
「パパ!退いて!」
今度はメアリーがタスケを乱暴に退けて席に着いた。
そして光美容器を手に取り木札の説明通り、ムダ毛が気になっていた腕から光を当てていく。
こちらも今は話掛けるなと殺意を帯びた威圧感が半端じゃない。
706号室のコンセプトは美。
それは幾つもの理美容家電が置かれ。
岩盤浴やワイン風呂があり。
シャンプーリンスだけでなくコンディショナーにヘアマスク。
高価な化粧水に美容液、乳液に保湿クリームとフェイスパックまで用意された。
美を求める者とって至れり尽くせりな客室である。
故に美に興味が無いタスケにとっては然程興味をそそられる場所では無い。
妻と娘の必死な姿に少し前とは逆転して引いちゃってる側になっているし。
タスケは元より今日は二人をもてなすつもりでラブホテルに連れて来たので。
女性の美意識にちょっと引きながらも電話でフルーツ盛りを注文したのであった。
「美容にはビタミンと言う栄養を摂ると良いそうだよ」
注文から3分程で料理の到着を知らせるインターホンが鳴り。
入口扉の引き戸から回収したフルーツ盛り二皿を二人の前に並べたタスケ。
尋常たらざる話掛けるなオーラを出していた二人だったが。
「あら、気が利くわね。ありがとう」
「果物を食べると綺麗になるの?沢山食べてエリックにもっと愛されて、、、おっとこれはまだ秘密だった」
メアリーから何やら不穏な言葉が聞かれたが。
今は聞かなかった事にして二人に付き合うタスケ。
娘に手を出すとは後で覚えてろよエリックと内心で憤怒の炎が燃え上がっている事は商人の鉄面皮でどうにかこうにか表に出さないよう気を付けたのであった。
「これは、壮観ね」
「湯船だけで1、2、3、4、5個?他にも色々とあるし」
「冒険者ギルドのギルドマスターの奥様から聞いたシャンプーやリンスは洗い場にあるそうだ。初めは汚れが落ちて泡立つようになるまで何度も洗ってお湯で洗い流したらコンディショナーとトリートメントを付けて髪に栄養を与え。この部屋には更にヘアマスクなる一段上の美容アイテムも用意されているそうだよ。ヘアマスクはなんと美をテーマにしたランクAのこの部屋とランクSの部屋にしか無い特別な物だ!さあ!存分に楽しんでくれ!」
「「よくやった!」」
両親の前で裸になるも裸を見るのも恥ずかしいと言うメアリーの為にレンタルした水着を身に着けた三人は意気揚々と浴室に乗り込み。
先ずはエチケットと書かれていた手順で頭と体を洗い。
艶っ艶のピッカピカになった所で風呂を楽しむ。
「「「はぁ。気持ち良い、、、」」」
お湯に赤ワインが混ぜられた血行促進や肌を引き締める効果のあるワイン風呂で足を延ばすバルバラ。
血流を良くし、リラックス効果のあるシュワシュワした気泡の発生する炭酸風呂で湯船に凭れ掛るメアリー。
ボコボコと泡の出るジェットバスで体のコリを解すタスケ。
三人に言葉は無く、リラックスした状態でじっくりとラグジュアリーな時間を楽しんだ。
一通り風呂を堪能したら適温に温められた天然鉱石の上で横になり全身をじんわりと温める岩盤浴にバルバラとメアリーがチャレンジし。
通常二人で利用する事が想定されているので除け者になったタスケはサウナに入って注意書きに書かれている通り。
サウナと水風呂とガーデンチェアを行き来して心身共にととのえたのであった。
「「「最高だった、、、」」」
風呂から上がり。
艶っ艶ピッカピカの状態で理美容家電が置かれた美容ルームの隣室マッサージルームでマッサージチェアとベッド型マッサージ機で体を解した三人は。
思わず言葉を揃えて感想を漏らした。
体の心からポカポカしていて気持ちが良く。
半ば放心している様な状態である。
「私このまま寝るからパパとママはあっちのベッド使ってね」
バスローブを着てベッド型マッサージ機に仰向けになったまま気怠げに言ったメアリーが寝落ちしたので。
タスケとバルバラは最初の部屋に戻って二人でベランダに出た。
時間によって景色が変わる仕組みになっているので、ベランダの下は先程と違った夜景が楽しめる。
「今日はありがとう。最高の体験が出来たわ」
タスケに笑顔を向けて、素直に感謝を口にしたバルバラ。
普段から妻の事を美しいと思っているタスケだが。
風呂と理美容家電や美容グッズで磨かれたバルバラが何時もよりも更に。
出逢った頃のように若々しく美しいと感じさせていた。
「君とメアリーが喜んでくれて良かった。今日の君は何時もよりも一層美しいよ」
タスケは素直に美しさを賞賛し。
バルバラは顔を背けたが何処か嬉しそうだ。
「何かご褒美をあげなきゃいけないわね。何が良い?」
バルバラはそう言って背けた顔を戻してタスケの目を見つめた。
タスケはしばし悩んだ後で。
「エリックは将来独立するつもりだからな。僕の跡を継いでくれる息子が欲しい」
数刻前にメアリーが口を滑らせた内容から店の存続が危ぶまれる事態を想定しての事だ。
タスケとバルバラの間に子供は一人しかおらず。
メアリーは色恋には無頓着と思って将来は婿をとって跡を継がせて、と考えていた将来設計が瓦解したのだ。
故にタスケは第二子を望んだ。
しかし、ここ数年とんとご無沙汰なだけに断られるかと思っていたが。
「そうね。頑張ってみましょうか」
意外にもタスケの願いを承認したバルバラ。
二人の唇が重なり合い。
熱い夜のマッサージ対決が幕を開けた。
本来は肩のコリを解す筈の電動マッサージ器が大活躍したとだけは加えておこう。
706号室では今もバルバラとメアリーがベランダに出て夜景を眺めていた。
日が暮れていてもダンジョンの中なので気温は快適な温度に保たれていて。
空には満天の星空も広がっている
白く清潔で美しい部屋とベランダからの素晴らしい景色。
二人の中ではそれで既に完結している。
そうなるのも仕方が無い。
普通の宿であったなら狭い部屋にベッドがあるぐらいで。
高級な宿でも広い部屋に高そうな調度品が置かれている程度。
こんな常識外の夜景が楽しめる宿なんて他には無く。
衝撃と感動で本来の目的すら忘れてしまうのもやむを得ない流れであった。
しかし。
そんな二人に漸く自分の出番とばかりに声を掛けるのはまさかの人物。
そう。
ついさっきまで縮こまっていた、バルバラの夫でありメアリーの父であるタスケである。
「二人とも。そろそろ満足した頃合いでしょう。メインディッシュを味わうとしましょう」
二人が少しイラっとする程に得意げなタスケに。
そんなに自信があるなら私達を満足させてみなさいと強気な表情を見せる二人。
タスケのこめかみから汗が一筋流れ落ちるが、最早信じて進むしかない。
二人を連れてタスケが開いた扉の先には。
縦長の部屋の左右に横長の鏡が壁に埋め込まれていて。
鏡の下からせり出した机と起毛素材の高級そうな椅子。
そして机の上には訳の分からない魔道具らしき何かが数多く置かれていた。
訳が分からないので三人とも『お、おう、、、』ぐらいのリアクションしか取れないでいたが。
先ずはタスケが中に入って魔道具の傍に置かれている木札の文字を読む。
「ナノイオンスチーマー?顔に温かい蒸気を当てる事で肌に潤いを与え若々しい素肌を保つ効果が期待出来る。肌の透明感が増し化粧ノリもアップ」
「あなた!退いて!」
タスケが木札を口に出して読むとバルバラが後ろからタスケを乱暴に退けてナノイオンスチーマーが置かれている机の前に座った。
そしてじっくりと木札を読んで起動させ、前髪を纏めておく髪留めを着けて吹き出し口から出て来る蒸気を顔に当て始めた。
今は話掛けるなと背中から強烈な威圧感を放つバルバラはそっとしておいて。
タスケはナノイオンスチーマーの隣にある木札を読み上げる。
「光美容器?肌に特殊な光を当ててムダ毛を目立たなくする効果がある。使い始めは7日に一度程度から徐々に頻度を下げていく事で30日から60日に一度で充分な効果が見込める様になる」
「パパ!退いて!」
今度はメアリーがタスケを乱暴に退けて席に着いた。
そして光美容器を手に取り木札の説明通り、ムダ毛が気になっていた腕から光を当てていく。
こちらも今は話掛けるなと殺意を帯びた威圧感が半端じゃない。
706号室のコンセプトは美。
それは幾つもの理美容家電が置かれ。
岩盤浴やワイン風呂があり。
シャンプーリンスだけでなくコンディショナーにヘアマスク。
高価な化粧水に美容液、乳液に保湿クリームとフェイスパックまで用意された。
美を求める者とって至れり尽くせりな客室である。
故に美に興味が無いタスケにとっては然程興味をそそられる場所では無い。
妻と娘の必死な姿に少し前とは逆転して引いちゃってる側になっているし。
タスケは元より今日は二人をもてなすつもりでラブホテルに連れて来たので。
女性の美意識にちょっと引きながらも電話でフルーツ盛りを注文したのであった。
「美容にはビタミンと言う栄養を摂ると良いそうだよ」
注文から3分程で料理の到着を知らせるインターホンが鳴り。
入口扉の引き戸から回収したフルーツ盛り二皿を二人の前に並べたタスケ。
尋常たらざる話掛けるなオーラを出していた二人だったが。
「あら、気が利くわね。ありがとう」
「果物を食べると綺麗になるの?沢山食べてエリックにもっと愛されて、、、おっとこれはまだ秘密だった」
メアリーから何やら不穏な言葉が聞かれたが。
今は聞かなかった事にして二人に付き合うタスケ。
娘に手を出すとは後で覚えてろよエリックと内心で憤怒の炎が燃え上がっている事は商人の鉄面皮でどうにかこうにか表に出さないよう気を付けたのであった。
「これは、壮観ね」
「湯船だけで1、2、3、4、5個?他にも色々とあるし」
「冒険者ギルドのギルドマスターの奥様から聞いたシャンプーやリンスは洗い場にあるそうだ。初めは汚れが落ちて泡立つようになるまで何度も洗ってお湯で洗い流したらコンディショナーとトリートメントを付けて髪に栄養を与え。この部屋には更にヘアマスクなる一段上の美容アイテムも用意されているそうだよ。ヘアマスクはなんと美をテーマにしたランクAのこの部屋とランクSの部屋にしか無い特別な物だ!さあ!存分に楽しんでくれ!」
「「よくやった!」」
両親の前で裸になるも裸を見るのも恥ずかしいと言うメアリーの為にレンタルした水着を身に着けた三人は意気揚々と浴室に乗り込み。
先ずはエチケットと書かれていた手順で頭と体を洗い。
艶っ艶のピッカピカになった所で風呂を楽しむ。
「「「はぁ。気持ち良い、、、」」」
お湯に赤ワインが混ぜられた血行促進や肌を引き締める効果のあるワイン風呂で足を延ばすバルバラ。
血流を良くし、リラックス効果のあるシュワシュワした気泡の発生する炭酸風呂で湯船に凭れ掛るメアリー。
ボコボコと泡の出るジェットバスで体のコリを解すタスケ。
三人に言葉は無く、リラックスした状態でじっくりとラグジュアリーな時間を楽しんだ。
一通り風呂を堪能したら適温に温められた天然鉱石の上で横になり全身をじんわりと温める岩盤浴にバルバラとメアリーがチャレンジし。
通常二人で利用する事が想定されているので除け者になったタスケはサウナに入って注意書きに書かれている通り。
サウナと水風呂とガーデンチェアを行き来して心身共にととのえたのであった。
「「「最高だった、、、」」」
風呂から上がり。
艶っ艶ピッカピカの状態で理美容家電が置かれた美容ルームの隣室マッサージルームでマッサージチェアとベッド型マッサージ機で体を解した三人は。
思わず言葉を揃えて感想を漏らした。
体の心からポカポカしていて気持ちが良く。
半ば放心している様な状態である。
「私このまま寝るからパパとママはあっちのベッド使ってね」
バスローブを着てベッド型マッサージ機に仰向けになったまま気怠げに言ったメアリーが寝落ちしたので。
タスケとバルバラは最初の部屋に戻って二人でベランダに出た。
時間によって景色が変わる仕組みになっているので、ベランダの下は先程と違った夜景が楽しめる。
「今日はありがとう。最高の体験が出来たわ」
タスケに笑顔を向けて、素直に感謝を口にしたバルバラ。
普段から妻の事を美しいと思っているタスケだが。
風呂と理美容家電や美容グッズで磨かれたバルバラが何時もよりも更に。
出逢った頃のように若々しく美しいと感じさせていた。
「君とメアリーが喜んでくれて良かった。今日の君は何時もよりも一層美しいよ」
タスケは素直に美しさを賞賛し。
バルバラは顔を背けたが何処か嬉しそうだ。
「何かご褒美をあげなきゃいけないわね。何が良い?」
バルバラはそう言って背けた顔を戻してタスケの目を見つめた。
タスケはしばし悩んだ後で。
「エリックは将来独立するつもりだからな。僕の跡を継いでくれる息子が欲しい」
数刻前にメアリーが口を滑らせた内容から店の存続が危ぶまれる事態を想定しての事だ。
タスケとバルバラの間に子供は一人しかおらず。
メアリーは色恋には無頓着と思って将来は婿をとって跡を継がせて、と考えていた将来設計が瓦解したのだ。
故にタスケは第二子を望んだ。
しかし、ここ数年とんとご無沙汰なだけに断られるかと思っていたが。
「そうね。頑張ってみましょうか」
意外にもタスケの願いを承認したバルバラ。
二人の唇が重なり合い。
熱い夜のマッサージ対決が幕を開けた。
本来は肩のコリを解す筈の電動マッサージ器が大活躍したとだけは加えておこう。
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