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case2-3
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「逃亡生活は楽しいかって?
馬鹿言うなよ。楽しいはずが無いだろう。
俺だって普通の人間や動物と同じで生きる為に人の肉を食ってるんだぜ?
俺からすれば人の肉を食うってのは当たり前の行動なのによ、バレたら殺人で逮捕されるから逃げてるだけだ。
殺人が法律で認められてたら俺は逃げも隠れもせずに祖国で殺して肉を食うね」
場面が切り替わって別の安宿のベッドに座るコードが腿の上に肘をのせて話している。
エキゾチックなシーツの模様から中東である事が予想されるが、実際の所は定かではない。
前のシーンと比べると少し痩せたように見えて、目の下に薄いクマがある。
「肉によって味に違いがあるかって?
あるね。滅茶苦茶ある。普通の奴らが食ってる肉だってそうだろ?
若い女の肉は柔らかくて旨いし、若い男の肉は噛み応えがあって旨い。
痩せてる奴の肉は繊維が詰まってて旨いし、太ってる奴の肉は脂がのってて旨い」
手で顎を挟んで一つ一つ、その肉を食らった時を思い出しながら感想を言うコード。
どんな肉でも一通り食べてきたと話しながら、余程人の肉が好きなのか早口になって味の違いを説明していく。
「因みに好んで食う奴はいないかもしれないが、老人の肉も普通に旨いぜ。
カニバリズム症候群になる前に食ったどんな肉よりも旨い。
俺は人の肉を食うまでコカインをやってたが、今は飯でトリップ出来るから薬には興味すら無くなった。
ある意味健康的だよな。はっはっは!」
そう言ってコードが笑った時に、ゴクリと生唾を飲み込む音が入り込んだ。
それがコードの狂気に恐怖しているからなのか、そうでないのかは本人にしかわからない。
そこから映像はコードの食事を映し、既に殆んど肉の残っていない骨を嬉しそうにしゃぶる様子はセンシティブな映像となっていた。
場面は切り替わる。
コードは砂漠をバックにサムズアップを見せている。
後方に有名なクロスカントリー車があって、運転手らしき男が手を振っている。
どうやら車に乗り込んで移動する前の映像らしい。
「俺はこれから念願のアフリカ大陸縦断だ。
最初は取材なんて鬱陶しいと思ってたが、案外楽しかったぜ。
サイモ...名前では呼ばない方が良いんだったか。
撮影してるこいつはヨーロッパに行くらしいから、ここでお別れだな」
そう言ったコードがカメラに近付きアップになって手を差し出すと、黒人男性の手が映り込んで握手を交わした。
映像に日付は残っていないが、それなりの長い期間を一緒に旅してきたのだろう。
撮影者に対して仲間意識を感じさせる言葉を掛けたコードは、もう一度カメラにサムズアップを見せてから背を向けた。
去り際のコードは何故だか哀愁を帯びていて、何だか映画の名シーンを思わせる程に絵になっている。
「あ、そうそう。言い忘れてた」
コードは最後に振り向いて、後の世界にとって重大な発言を残した。
「カニバリズム症候群の人間にはな、同類がわかるんだよ。
同類からは旨そうな匂いがしないからな。
今カメラを回してる奴が、どうして俺に食われてないのか不思議じゃなかったか?
ここまで言えば、わかるよな?」
そしてコードは口元を隠した布をずらして爽やかな笑みを浮かべる。
「それじゃあな。良きカニバリズムライフを!」
コードが乗り込んだ車が走り去った場面で映像は終わったが、最後に一瞬だけ怪しい笑みを浮かべた黒人男性の顔が見切れていた。
馬鹿言うなよ。楽しいはずが無いだろう。
俺だって普通の人間や動物と同じで生きる為に人の肉を食ってるんだぜ?
俺からすれば人の肉を食うってのは当たり前の行動なのによ、バレたら殺人で逮捕されるから逃げてるだけだ。
殺人が法律で認められてたら俺は逃げも隠れもせずに祖国で殺して肉を食うね」
場面が切り替わって別の安宿のベッドに座るコードが腿の上に肘をのせて話している。
エキゾチックなシーツの模様から中東である事が予想されるが、実際の所は定かではない。
前のシーンと比べると少し痩せたように見えて、目の下に薄いクマがある。
「肉によって味に違いがあるかって?
あるね。滅茶苦茶ある。普通の奴らが食ってる肉だってそうだろ?
若い女の肉は柔らかくて旨いし、若い男の肉は噛み応えがあって旨い。
痩せてる奴の肉は繊維が詰まってて旨いし、太ってる奴の肉は脂がのってて旨い」
手で顎を挟んで一つ一つ、その肉を食らった時を思い出しながら感想を言うコード。
どんな肉でも一通り食べてきたと話しながら、余程人の肉が好きなのか早口になって味の違いを説明していく。
「因みに好んで食う奴はいないかもしれないが、老人の肉も普通に旨いぜ。
カニバリズム症候群になる前に食ったどんな肉よりも旨い。
俺は人の肉を食うまでコカインをやってたが、今は飯でトリップ出来るから薬には興味すら無くなった。
ある意味健康的だよな。はっはっは!」
そう言ってコードが笑った時に、ゴクリと生唾を飲み込む音が入り込んだ。
それがコードの狂気に恐怖しているからなのか、そうでないのかは本人にしかわからない。
そこから映像はコードの食事を映し、既に殆んど肉の残っていない骨を嬉しそうにしゃぶる様子はセンシティブな映像となっていた。
場面は切り替わる。
コードは砂漠をバックにサムズアップを見せている。
後方に有名なクロスカントリー車があって、運転手らしき男が手を振っている。
どうやら車に乗り込んで移動する前の映像らしい。
「俺はこれから念願のアフリカ大陸縦断だ。
最初は取材なんて鬱陶しいと思ってたが、案外楽しかったぜ。
サイモ...名前では呼ばない方が良いんだったか。
撮影してるこいつはヨーロッパに行くらしいから、ここでお別れだな」
そう言ったコードがカメラに近付きアップになって手を差し出すと、黒人男性の手が映り込んで握手を交わした。
映像に日付は残っていないが、それなりの長い期間を一緒に旅してきたのだろう。
撮影者に対して仲間意識を感じさせる言葉を掛けたコードは、もう一度カメラにサムズアップを見せてから背を向けた。
去り際のコードは何故だか哀愁を帯びていて、何だか映画の名シーンを思わせる程に絵になっている。
「あ、そうそう。言い忘れてた」
コードは最後に振り向いて、後の世界にとって重大な発言を残した。
「カニバリズム症候群の人間にはな、同類がわかるんだよ。
同類からは旨そうな匂いがしないからな。
今カメラを回してる奴が、どうして俺に食われてないのか不思議じゃなかったか?
ここまで言えば、わかるよな?」
そしてコードは口元を隠した布をずらして爽やかな笑みを浮かべる。
「それじゃあな。良きカニバリズムライフを!」
コードが乗り込んだ車が走り去った場面で映像は終わったが、最後に一瞬だけ怪しい笑みを浮かべた黒人男性の顔が見切れていた。
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