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case1-3
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妻との別居を始めた。
今や私が食べられる物は葉野菜や柑橘系の果物ぐらい。
それもミキサーに掛けてジュースにしないと口にするのが難しくて、鼻を抓んで一気に飲み込んでどうにかという感じだ。
それ以外の食べ物は腐敗した生ゴミでも食べているような味と香りで、口に入れるとえずいてしまって体が受け付けてくれない。
無理矢理飲み込んでも体が拒否して吐瀉してしまうので食べるのは諦めた。
体はどんどんと痩せ細り、鏡を見れば頬がゲッソリと扱けてしまっている。
とある理由で会社に行く事が困難になって、1週間前からウイークリーマンションに引き籠ってリモートで行っている。
空腹だけではない異常な飢餓感と戦いながらどうにか仕事をこなしているが、それもそろそろ限界が近い。
「もう駄目だ...終わらせよう...」
そう口にしてキッチンに来た私は、眩暈がしてある物を手にしたまま倒れ、そのまま意識を手放した。
ピンポーン
ピリリリリリリリ
「ん、気を失っていたのか」
キッチンの床で目を覚ますと、スマートフォンとインターホンが鳴っていた。
誰かが心配をして様子を見に来てくれたのだろう。
空腹から来る飢餓感で満足に動かない体で立ち上がり、よろよろと歩いてスマートフォンを手にすると、そこには愛する妻の名前が表示されていた。
「もしもし」
「ようやく繋がった!どうしたの?大丈夫なの?」
妻の心配する声に大丈夫だと返事をする。
「今、あなたの部屋まで来てるの。
お願いだから顔を見せて安心させて」
心配そうな声でそう言われてしまっては、無下に帰す訳にもいかない。
部屋に招き入れると、妻は泣きそうな顔をして私に抱き着いて来た。
一週間しか離れていないはずなのに、随分と久しぶりに感じる妻の温もり。
妻の匂いが、感触が、私の心に愛情にも似た強い感情を抱かせる。
「心配したのよ...心配したの」
涙声でそう言って大粒の涙を流した妻に、私は改めて彼女を心の底から愛しているのだと実感した。
「もう離さないわ。あなたは私が支えるから。
どんなあなたも私は全て受け入れるから」
ああ、そうか。
妻は私の全てを受け入れてくれるのだ。
そう思ったら、何だか私の視界も滲んできた。
「ありがとう。ありがとう」
私は何度も何度も妻に礼を言った。
そして。
「いただきます」
ポケットに忍ばせていたナイフで、妻の背中を刺した。
「え?」
何が起きたか理解出来ない様子の妻から体を離して、今度は左胸のあばらから心臓を貫いた。
妻を苦しませたくないと、最後に残った理性で止めを刺した。
口から血を吐いて倒れた妻の服をナイフで破き、彼女の胸の肉を削いで口に入れる。
「あ゛あ゛あ゛あ゛!う゛ま゛い゛う゛ま゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛い゛!」
今までどれだけ食いたくても食えなかった肉の味に脳が蕩けそうになるほどの刺激を覚えて、叫ぶのを止められない。
極上の香りと極上の味。
長く恋焦がれても我慢してきた、愛する妻の肉は人生で最も美味なる味わいだった。
「ありがとう!私の全てを受け入れてくれてありがとう!
私も君の全てを受け入れるからね!」
前腕も上腕も肩も、腹も背中尻も、腿も脹脛も脚も、全てが極上。
頬が緩み切って、本当にほっぺたが落ちてしまうんじゃないかと錯覚させた。
こんなにも美味しい物が、この世に存在していたのかと深く深く感動している。
そして顔以外の妻の肉を一通り味わった私は、ふと気付いて彼女の下腹に目をやった。
「この中にも旨そうな肉があるんじゃないか」
私は妻の腹を裂いて、旨そうな肉を取り上げた。
今や私が食べられる物は葉野菜や柑橘系の果物ぐらい。
それもミキサーに掛けてジュースにしないと口にするのが難しくて、鼻を抓んで一気に飲み込んでどうにかという感じだ。
それ以外の食べ物は腐敗した生ゴミでも食べているような味と香りで、口に入れるとえずいてしまって体が受け付けてくれない。
無理矢理飲み込んでも体が拒否して吐瀉してしまうので食べるのは諦めた。
体はどんどんと痩せ細り、鏡を見れば頬がゲッソリと扱けてしまっている。
とある理由で会社に行く事が困難になって、1週間前からウイークリーマンションに引き籠ってリモートで行っている。
空腹だけではない異常な飢餓感と戦いながらどうにか仕事をこなしているが、それもそろそろ限界が近い。
「もう駄目だ...終わらせよう...」
そう口にしてキッチンに来た私は、眩暈がしてある物を手にしたまま倒れ、そのまま意識を手放した。
ピンポーン
ピリリリリリリリ
「ん、気を失っていたのか」
キッチンの床で目を覚ますと、スマートフォンとインターホンが鳴っていた。
誰かが心配をして様子を見に来てくれたのだろう。
空腹から来る飢餓感で満足に動かない体で立ち上がり、よろよろと歩いてスマートフォンを手にすると、そこには愛する妻の名前が表示されていた。
「もしもし」
「ようやく繋がった!どうしたの?大丈夫なの?」
妻の心配する声に大丈夫だと返事をする。
「今、あなたの部屋まで来てるの。
お願いだから顔を見せて安心させて」
心配そうな声でそう言われてしまっては、無下に帰す訳にもいかない。
部屋に招き入れると、妻は泣きそうな顔をして私に抱き着いて来た。
一週間しか離れていないはずなのに、随分と久しぶりに感じる妻の温もり。
妻の匂いが、感触が、私の心に愛情にも似た強い感情を抱かせる。
「心配したのよ...心配したの」
涙声でそう言って大粒の涙を流した妻に、私は改めて彼女を心の底から愛しているのだと実感した。
「もう離さないわ。あなたは私が支えるから。
どんなあなたも私は全て受け入れるから」
ああ、そうか。
妻は私の全てを受け入れてくれるのだ。
そう思ったら、何だか私の視界も滲んできた。
「ありがとう。ありがとう」
私は何度も何度も妻に礼を言った。
そして。
「いただきます」
ポケットに忍ばせていたナイフで、妻の背中を刺した。
「え?」
何が起きたか理解出来ない様子の妻から体を離して、今度は左胸のあばらから心臓を貫いた。
妻を苦しませたくないと、最後に残った理性で止めを刺した。
口から血を吐いて倒れた妻の服をナイフで破き、彼女の胸の肉を削いで口に入れる。
「あ゛あ゛あ゛あ゛!う゛ま゛い゛う゛ま゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛い゛!」
今までどれだけ食いたくても食えなかった肉の味に脳が蕩けそうになるほどの刺激を覚えて、叫ぶのを止められない。
極上の香りと極上の味。
長く恋焦がれても我慢してきた、愛する妻の肉は人生で最も美味なる味わいだった。
「ありがとう!私の全てを受け入れてくれてありがとう!
私も君の全てを受け入れるからね!」
前腕も上腕も肩も、腹も背中尻も、腿も脹脛も脚も、全てが極上。
頬が緩み切って、本当にほっぺたが落ちてしまうんじゃないかと錯覚させた。
こんなにも美味しい物が、この世に存在していたのかと深く深く感動している。
そして顔以外の妻の肉を一通り味わった私は、ふと気付いて彼女の下腹に目をやった。
「この中にも旨そうな肉があるんじゃないか」
私は妻の腹を裂いて、旨そうな肉を取り上げた。
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