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10 インベントリの検証

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 採取して工房に帰ると石英を細かくして珪砂にする。既に砕けて珪砂に成ってる物もあるが。
 その為の作業場があり、道具も幾つかある。

 石英を砕き不純物を取り除き珪砂にして、更に珪砂を細かくして、又不純物を取り除く。
 結構根気と力がいる作業だ。

「細かくして不純物を除かないと、透明で綺麗なガラスに成らないのよ」

「はい」


 黙々と石英を砕いていたが。
 ふと思いつき、砕く前の石英をインベントリに入れ戻す。

「インベントリ内の石を種類ごとに分類!」

 石英、珪砂、メノウ、クリスタル、石灰岩、石炭、礫岩、砂岩、泥岩、粘板岩、火山岩、凝灰岩、岩塩、石膏……数えきれない程の石に分類された。


「ヒャア! 沢山の石の種類が混ざってました!」

「そうよ、不純物を沢山含んでいるから取り除くのよ。不純物が少なく成れば成るほど、美しくて価値の高い製品が作れるの」

「え~と、石英を砕いたのが珪砂で、ガラスの材料にするには更に細かくすればいいのですね?」

「うん」


「石英を珪砂にして、珪砂をミリ単位に粉砕! 全ての珪砂を荷車に取り出し!」

 シュィイイインッ!

「できました!」


「凄い綺麗!こんなに不純物を除いた細かく綺麗な珪砂は見た事無いわ……」

「やった~!」


「ねぇ、メノウとかクリスタルも含まれてたはずだけど、一緒に粉砕したの?」

「いいえ、あります。メノウとクリスタルを取り出し」

 シュインッ!

 千代の掌にメノウとクリスタルが現れた。


「これも装飾に使うから、砕かないで取っておいてね。職人さんが加工してガラス製品や陶磁器製品に飾るのよ」

「はい、そうなんですね」


「はぁ、粉砕選別作業が省略出来て嬉しいわ。この分も給料に乗せないとね」

「はい、ありがとうございます。これも秘密でお願いします」


「他の職人に給料袋を見られると困るから、上乗せ分は自宅で私の金庫から払うわ」

「そうして下されば嬉しいです」


「チヨ、きっとすぐにお金持ちに成るから商業ギルドに早めに登録して、口座にお金を入れた方が良いわ。大金を持ち歩くのは危険だからね」

「はい」


「たぶん、私よりチヨの収入の方が多くなるでしょうね」

「そうなんですか、まだ見習いだからローリーさんより少なくして下さい」

「え、チヨが働いた分なのだから、貰っていいのよ?」

「魔法で楽してした事だし、技術的には全然勉強が足りてないので、修行中は見習いの給料で結構です」

「そうなの」

「はい」


「若いのに謙虚なのね」

「やりたかった事を勉強させて貰ってるので、とても充実していますから」

「そう、明日にでも町に一緒に行きましょうね」

「お願いします」


 インベントリには石以外にも、ついでに入ってしまった鉱物や草が入っていた。
 小粒の鉄、金、銀。それにハーブ、野草等だった。

 全てインベントリ内で種類毎に仕分けしておいた。

 分かった事は一定区間の物を纏めて収納しても、中で綺麗に分類できるし、細かくする事も出来るという事だった。
 同じ種類の物なら1つに纏める事も出来た。
 要はファイリングのタブみたいな物だと思った。


 水などは入れ物が無くても、分量を自由に分ける事が出来た。
 泥水も真水と泥に分ける事が出来て、真水は飲めるほど綺麗だった。
 そして泥は、更に石や粘土や砂や鉱物等に分類できた、石英の時の様に。

 採取時に固有名詞で指定して、余分な物を除いてそれだけでも採取出来る事も分かった。


 インベントリを使った便利な利用法を研究したが、午前中の見習いとしての仕事はまだ色々とある。

 ガラス工房と陶磁器工房の作業場の掃除だけでも広くて大変だ。
 作業着やタオルや布巾の洗濯も、洗濯機が無く手洗いなので、手間と時間が掛かる。
 初めて盥と洗濯板を使った。
 水は井戸から汲み出して、井戸端で洗濯する。

 洗濯が終わり、井戸の近くにある物干し竿に洗濯物を全て掛け終わると、

 ピンポロリン♪

 と、音がした。
 そう言えば、今までも時々そんな音がしていた。


 千代はステータスを開けた。

チヨ15歳
種族 人族
職業 ガラス職人見習い
Lv3
HP30/30 MP999/999
【魔法スキル】
 光属性魔法Ⅱ
 闇属性魔法Ⅰ
 火属性魔法Ⅱ
 水属性魔法Ⅰ
 風属性魔法Ⅰ
 土属性魔法Ⅰ
 時空属性魔法Ⅱ
  インベントリⅡ
  転移Ⅰ
 生活魔法Ⅰ
  着火Ⅱ
  洗浄Ⅰ
  乾燥Ⅰ

【生産スキル】
 ガラス細工Ⅰ
 陶磁器製作0
 採取Ⅰ

【固有スキル】
 鑑定Ⅰ
 仕分けⅠ

 【生活魔法Ⅰ】に【洗浄Ⅰ】と【乾燥Ⅰ】のスキルが追加されていた。


 見習いとしての雑用を終えてから、お湯を沸かして昼食の準備をする。
 皆自分の弁当を持参して来てるので、私はお茶を入れて皆に配った。
 陶磁器工房の職人さん達にもお茶を持って行った。

 食事は毎回パンを食べていて、お米は無いようだ。
 職人さん達皆の昼食もパンだった。
 パンは好きだが毎食パンは飽きるなぁ。と、思った。


 午後からは、ガラス細工の作業をローリーさんから教えて貰う。

 中々思った通りの形にならないが、

「上手上手、早く売れるようになりそうだわ」

「そうですか? 思い通りの形に全く成らないのですけど」

「だんだんと出来るように成るから心配いらないわよ」

「そうなんですね」


 すると、
 ピンポロリン♪

 と、又音が聞こえた。


 こっそりステータスを確認すると、
 【ガラス細工Ⅰ】が【ガラス細工Ⅱ】に上がっていた。

 試しに再度花瓶を作ってみる。
 そこそこ、思い描いていた花瓶らしい物が出来上がった。


「まぁ、上手くいきました!」

「ほ~ぅ、なかなかねぇ。取り敢えずこれは製品として預かりましょうね」

「やった~」


「「「ヘエェ!」」」

「姉さん、今度の新人さんは大物かも知れねえなぁ」

「うんうん」
「そだなぁ」


「皆もチヨを褒めてくれてるよ」

「皆さん、ありがとうございます。頑張ります!」

「「「おぅ、頑張りな」」」

「はい」
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