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第3章 異世界で領地を経営します
51 呪い龍ファフニール
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俺達3人は、お腹を大きく膨らましながら寝ている緑色の龍のすぐ横を、ソロリソロリと歩いて行く。
ゴッゴッゴッ…スピィィィッ…
ゴッゴッゴッ…スピィィィッ…
「こういう時は「抜き足差し足忍び足」って言いながらコソコソ歩くんだよ」
俺は両手を日本画の幽霊の様に前に出しながら、小声でオゥちゃんとラナちゃんに囁いた。
「んだなぁ」
「そうですね」
「よしっ、上手く通り抜けられそうだ……」
「んだなぁ」
「そうですね」
30メートルぐらいある龍の横をようやく通り過ぎる事が出来た。
ほっと胸をなでおろす。
スンスンスンッ!
「誰か匂いを嗅いでる様な音が?……そう言えば鼾の音が聞こえない! アッ!」
後ろを振り返ると、緑色の大きな龍の顔が、すぐ傍にあった。
スンスンスンッ!
『ジャッキーの匂いがするよ! 君はジャッキーだよね!』
「え……パッフィ?」
俺の頭の中に、新たに別の記憶が甦る。
子供の俺がハナリの海岸で、パッフィと言う魔法龍とカクレンボをしている記憶だ。
ギリシャのオデュッセウスとは別の前世で、名前はジャッキーだった。
「パッフィ! 久しぶりっ! 元気だったぁ?」
『ウオオオォォォンッ、寂しかったよぉ、会いたかったよぉ、ウオオオォォォンッ』
泣き叫ぶ龍の声で、地が揺れ山が揺れ、地響きが起きた。
「落ち着いてっ! 会えて良かったよぅ。どうしてこんな所にいるんだい? ハナリはずっと南のはずだよ」
俺は大きな頬を撫でながら、パッフィをなだめる。
『ジャッキーが居なくなってから寂しくて寂しくて、この山の洞窟に引きこもっていたんだよぅ』
「そっかぁ、ファフニールってパッフィの事だったんだぁ……何年ぶりなんだろうね?」
『人間の数え方は良く分からないけど、100年は経ってる筈だよ』
「引きこもっている洞窟って、この先のダンジョンの事かい?」
『そう言えば、人間達がそう言ってるのを聞いた事があるね』
「俺はこの地の領主に成ったんだけど、ダンジョンに有る魔力源泉を支配した方が良いらしいんだ」
『へ~、そりゃ~大変だね。ボスはベヒモスだけど、その前に洞窟の城にマッモンが住んでるんだよ』
「……マッモン! それは強欲の悪魔マッモンの事?」
『うん。 マッモンにせがまれて、財宝と洞窟を交換したんだ。マッモンは洞窟を改造して岩窟城を作って住んでるんだよ』
「ふ~ん、七つの大罪のマッモンはゴブリンを使役してると聞いてるけど」
『あぁ、緑の肌をした小鬼達も沢山住んでるね』
「どうやら一連の事件の決着を着けられそうだ。マッモンが黒幕に違い無い!」
「んだなぁ」
「そうですね」
ボキャブラリーは少ないが、オゥちゃんとラナちゃんも同意見らしい。目がキリッとした。
「パッフィも手伝ってくれるかい?」
『勿論いいけど、僕は役に立たないと思うよ。悪魔には物理攻撃も魔法攻撃も効かないからね』
「そうなんだ!?」
「ユウちゃん、悪魔には誰も攻撃出来ないだぁ!」
「旦那様、悪魔の実体は地獄にあります。この世界の体は投影に過ぎないので、ダメージを与える事は出来ません。ただし拠り代に憑依してる時はダメージを与えられると言われています」
「悪魔からの攻撃はどうなるの?」
「悪魔の攻撃は『偽りの言葉』と言われていて、直接この世の者を攻撃できません。しかし人々の欲望を吸って、魔力を高めたマッモンは、闇魔法によりゴブリン等の魔物を産み育て、より強く成長させます。通常のゴブリンよりも強いのです」
「……もしかしたら、俺とエリナなら何とか出来るかも……」
「「ユウちゃんとエリちゃんが!」」
「うん、一旦研修所に帰って日本からエリナを連れてこよう。パッフィも一緒に研修所に来るかい?」
『行ってもいいの?』
「いいよ、人間に変身できるかい?」
『できるできる』
ボワッと煙が舞い上がり、深緑のスーツを着た長髪細身のイケメン男性が現われた。
「マツジュンそっくり!」
「ジャッキーの記憶を覗いてその中から選んだんだよ」
「じゃあ、ジュンちゃんで良いかな?」
「ジュンちゃんで良いよ」
「財宝は置いてって良いの?」
「ジャッキーと一緒に居られるなら、財宝なんて要らないや。呪いも掛かってるしね」
「はははっ、そうなんだ。【浄化】して俺のインベントリーに入れて置こうか?」
「あぁ、それでいいよ、適当に使ってしまってもいいからね。そもそも龍に財宝の使い道なんてないんだから」
「オッケー。それじゃあ、研修所にテレポゲートオープン!」
ブゥウウウウウンッ!
この異世界は、俺の元の世界の不思議な伝記や逸話が現実化している。
今までここで経験した出来事や人物達は、元の世界で見聞きした事が基本になっている。
それならマッモンに関しても、現世での知識が役に立つ筈だ。
俺とエリナは母親の影響で、子供の頃から毎日読んでる古い本がある。
その本にマッモンに対抗する方法が書いてあった。
今までの異世界の経験からすると、それが通用すると思うんだ。
俺は土曜日になるのを待って日本に転移した。エリナに学校を休ませたくないからね。
エリナに事の成り行きを説明して、一緒に異世界の研修所に転移する。
そしていよいよオールキャストで、ダンジョン入口の岩窟城に臨む事に成った。
ユウリ(清水悠里)
エリナ(清水エリナ)
ヤマちゃん(オーディン)
ノブちゃん(剣聖上泉信綱)
オゥちゃん(トロル上位種オログ=ハイ)
ルミナ(ノルン三姉妹スクルド)
ラナちゃん(神獣スレイプニルの子グラーニ)
ナオちゃん(神獣ホワイトサーベルタイガー清水菜穂子)
ジュンちゃん(呪い龍ファフニール)
ユキ(ワルキューレブリュンヒルデ)はボス部屋で呼ぶ事になってる。
「皆様お集まり下さり有難う御座います。今日は岩窟城に行きゴブリンを倒し、マッモンをこの地から追い払います」
ざわざわざわざわっ……、
後ろの方に控えてる侍従達が動揺していた。
「マッモン対策は、俺とエリナに任せて下さい。
もしも秘策が通用しなかった時は、ゴブリンを全滅させてマッモンの力を削ぎましょう。
実体の無いマッモンは、それ以上何も出来ないと思います。
ただし闇魔法の間接的な影響を受けないように長居は無用です、奥に進みダンジョンを攻略して転移ポイントを作ります。
ボスのベヒモスは、転移ポイントからユックリと攻略しましょう」
俺は皆の顔を1人1人見回した。
「何か質問はありますか?」
シィィィンッ!
「ありませ~ん」
ルミナが代表して言った。
「それでは行きましょう、トロルヘイムの岩山にテレポゲートオープン!」
ブゥウウウウウンッ!
【後書き】
龍の下りは、マジックドラゴン・ジャッキーで検索してみてください。
いつもお読み下さり有難う御座います。
ゴッゴッゴッ…スピィィィッ…
ゴッゴッゴッ…スピィィィッ…
「こういう時は「抜き足差し足忍び足」って言いながらコソコソ歩くんだよ」
俺は両手を日本画の幽霊の様に前に出しながら、小声でオゥちゃんとラナちゃんに囁いた。
「んだなぁ」
「そうですね」
「よしっ、上手く通り抜けられそうだ……」
「んだなぁ」
「そうですね」
30メートルぐらいある龍の横をようやく通り過ぎる事が出来た。
ほっと胸をなでおろす。
スンスンスンッ!
「誰か匂いを嗅いでる様な音が?……そう言えば鼾の音が聞こえない! アッ!」
後ろを振り返ると、緑色の大きな龍の顔が、すぐ傍にあった。
スンスンスンッ!
『ジャッキーの匂いがするよ! 君はジャッキーだよね!』
「え……パッフィ?」
俺の頭の中に、新たに別の記憶が甦る。
子供の俺がハナリの海岸で、パッフィと言う魔法龍とカクレンボをしている記憶だ。
ギリシャのオデュッセウスとは別の前世で、名前はジャッキーだった。
「パッフィ! 久しぶりっ! 元気だったぁ?」
『ウオオオォォォンッ、寂しかったよぉ、会いたかったよぉ、ウオオオォォォンッ』
泣き叫ぶ龍の声で、地が揺れ山が揺れ、地響きが起きた。
「落ち着いてっ! 会えて良かったよぅ。どうしてこんな所にいるんだい? ハナリはずっと南のはずだよ」
俺は大きな頬を撫でながら、パッフィをなだめる。
『ジャッキーが居なくなってから寂しくて寂しくて、この山の洞窟に引きこもっていたんだよぅ』
「そっかぁ、ファフニールってパッフィの事だったんだぁ……何年ぶりなんだろうね?」
『人間の数え方は良く分からないけど、100年は経ってる筈だよ』
「引きこもっている洞窟って、この先のダンジョンの事かい?」
『そう言えば、人間達がそう言ってるのを聞いた事があるね』
「俺はこの地の領主に成ったんだけど、ダンジョンに有る魔力源泉を支配した方が良いらしいんだ」
『へ~、そりゃ~大変だね。ボスはベヒモスだけど、その前に洞窟の城にマッモンが住んでるんだよ』
「……マッモン! それは強欲の悪魔マッモンの事?」
『うん。 マッモンにせがまれて、財宝と洞窟を交換したんだ。マッモンは洞窟を改造して岩窟城を作って住んでるんだよ』
「ふ~ん、七つの大罪のマッモンはゴブリンを使役してると聞いてるけど」
『あぁ、緑の肌をした小鬼達も沢山住んでるね』
「どうやら一連の事件の決着を着けられそうだ。マッモンが黒幕に違い無い!」
「んだなぁ」
「そうですね」
ボキャブラリーは少ないが、オゥちゃんとラナちゃんも同意見らしい。目がキリッとした。
「パッフィも手伝ってくれるかい?」
『勿論いいけど、僕は役に立たないと思うよ。悪魔には物理攻撃も魔法攻撃も効かないからね』
「そうなんだ!?」
「ユウちゃん、悪魔には誰も攻撃出来ないだぁ!」
「旦那様、悪魔の実体は地獄にあります。この世界の体は投影に過ぎないので、ダメージを与える事は出来ません。ただし拠り代に憑依してる時はダメージを与えられると言われています」
「悪魔からの攻撃はどうなるの?」
「悪魔の攻撃は『偽りの言葉』と言われていて、直接この世の者を攻撃できません。しかし人々の欲望を吸って、魔力を高めたマッモンは、闇魔法によりゴブリン等の魔物を産み育て、より強く成長させます。通常のゴブリンよりも強いのです」
「……もしかしたら、俺とエリナなら何とか出来るかも……」
「「ユウちゃんとエリちゃんが!」」
「うん、一旦研修所に帰って日本からエリナを連れてこよう。パッフィも一緒に研修所に来るかい?」
『行ってもいいの?』
「いいよ、人間に変身できるかい?」
『できるできる』
ボワッと煙が舞い上がり、深緑のスーツを着た長髪細身のイケメン男性が現われた。
「マツジュンそっくり!」
「ジャッキーの記憶を覗いてその中から選んだんだよ」
「じゃあ、ジュンちゃんで良いかな?」
「ジュンちゃんで良いよ」
「財宝は置いてって良いの?」
「ジャッキーと一緒に居られるなら、財宝なんて要らないや。呪いも掛かってるしね」
「はははっ、そうなんだ。【浄化】して俺のインベントリーに入れて置こうか?」
「あぁ、それでいいよ、適当に使ってしまってもいいからね。そもそも龍に財宝の使い道なんてないんだから」
「オッケー。それじゃあ、研修所にテレポゲートオープン!」
ブゥウウウウウンッ!
この異世界は、俺の元の世界の不思議な伝記や逸話が現実化している。
今までここで経験した出来事や人物達は、元の世界で見聞きした事が基本になっている。
それならマッモンに関しても、現世での知識が役に立つ筈だ。
俺とエリナは母親の影響で、子供の頃から毎日読んでる古い本がある。
その本にマッモンに対抗する方法が書いてあった。
今までの異世界の経験からすると、それが通用すると思うんだ。
俺は土曜日になるのを待って日本に転移した。エリナに学校を休ませたくないからね。
エリナに事の成り行きを説明して、一緒に異世界の研修所に転移する。
そしていよいよオールキャストで、ダンジョン入口の岩窟城に臨む事に成った。
ユウリ(清水悠里)
エリナ(清水エリナ)
ヤマちゃん(オーディン)
ノブちゃん(剣聖上泉信綱)
オゥちゃん(トロル上位種オログ=ハイ)
ルミナ(ノルン三姉妹スクルド)
ラナちゃん(神獣スレイプニルの子グラーニ)
ナオちゃん(神獣ホワイトサーベルタイガー清水菜穂子)
ジュンちゃん(呪い龍ファフニール)
ユキ(ワルキューレブリュンヒルデ)はボス部屋で呼ぶ事になってる。
「皆様お集まり下さり有難う御座います。今日は岩窟城に行きゴブリンを倒し、マッモンをこの地から追い払います」
ざわざわざわざわっ……、
後ろの方に控えてる侍従達が動揺していた。
「マッモン対策は、俺とエリナに任せて下さい。
もしも秘策が通用しなかった時は、ゴブリンを全滅させてマッモンの力を削ぎましょう。
実体の無いマッモンは、それ以上何も出来ないと思います。
ただし闇魔法の間接的な影響を受けないように長居は無用です、奥に進みダンジョンを攻略して転移ポイントを作ります。
ボスのベヒモスは、転移ポイントからユックリと攻略しましょう」
俺は皆の顔を1人1人見回した。
「何か質問はありますか?」
シィィィンッ!
「ありませ~ん」
ルミナが代表して言った。
「それでは行きましょう、トロルヘイムの岩山にテレポゲートオープン!」
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