上 下
9 / 75
第1章 異世界で生活研修! って、日本に帰れますか?

9 研修所長コンちゃんの話

しおりを挟む
 研修所の所長コンちゃん視点の話です。
 悠里の妹エリナが登場します。

 〇 ▼ 〇

 コミケ友達のヤマちゃんから大きな荷物が届いた。
 同封されてた手紙には、こう書かれている。

「コンちゃんお久しぶりです、元気ですか?
 この荷物は、僕が日本を去る事に成った時に、君に届くようにと頼んでおいた物です。
 だから君に届いた時には、僕はもう、この世界に居ないはずです。

 中に入ってる物は、【異世界転移門】の魔道術式と魔石と魔石インクです。

 それと緊急用異世界転移魔道具も一つ有りますが、1回使うと壊れてしまいますから慎重に使って下さい。
 その他の物も使用限度と寿命が有りますので、必ず異世界で補充と充填をして下さいね。さもないと役に立たなく成ってしまいますよ。

 魔道術式は魔石インクで書いて下さい。
 魔石インクは、インクの中に魔石をすり潰した粉を入れて作るのです。

 魔石は採取した魔物によって質が違い、蓄えられるMPマナの上限も違います。
 基本的に強い魔物ほど良い魔石を持っています。
 異世界で沢山魔石を集めて、十分にMPマナを充填して持って帰って下さい。

 現世には異世界の10%ほどの魔力濃度しか有りません。
 魔力濃度が低いためMPマナが溜まり難く、その為に魔法もスキルも発動しにくいのです。
 結果的に経験地も得られませんから、スキルも覚える事ができません。

 現世のほとんどの人間は、MPが10から30程度しか有りませんが、【異世界転移門】を開くにはMP500以上が必要とされます。
 さらに転移門を開いたまま維持するには、1秒あたりMP50以上が必要です。

 魔道術式の上に十分なMPマナを溜め込んだ魔石を載せ、「開け異世界転移門」と、唱えてください。
 その時に、転移先に居る人物を強く意識すれば、その人のいる場所に門が繋がります。

 転移先には、妖精族の巨人オログ=ハイ、『オゥちゃん』をお勧めします。
 彼はとてもやさしく親切で、1人で妖精の森に住んでいます。
 彼の家から近くの町までは、歩いて1時間ほどで着くと思います。
 怪しまれないように、町から離れている所で準備を整えてから、現地人と交わった方が良いでしょう。

 オゥちゃんは、たまに薪を町に売りに行くので、連れていって貰うと良いと思います。
 それに彼はとても強いので、魔物や獣から守ってくれることでしょう。

 コンちゃんの幸運を祈ります、良い異世界体験が出来ます様に。
 ヤマちゃんより」





 異世界転移はうまくいった。
 オゥちゃんと出会い、異世界で数週間暮らした。
 オゥちゃんに手伝って貰いながら、魔石を溜めて魔石インクを作り魔道術式を書いた。
 又、町の生活習慣を見て歩き、準備するべき必要な物を調べた。

 そして現世に帰ってきた。
 再び異世界に行き、うまく冒険する為に色々準備しよう。
 そうだ、一緒に異世界へ行く有能な仲間を育てる異世界生活研修所を開設しよう。



 開設したばかりで、いきなり有能な人物の悠里君が、研修所にやって来た。
 異世界でやっと得たスキル【鑑定】LV1で悠里くんのステータスを見たら、MPマナが何と500も有る。
 異世界への行き来が容易く成るだろう。
 スキルも一つ持っているようだが、内容は解らなかった。きっと、私の鑑定スキルが低い為だろう。

 研修後に彼を呼んで、現地実習を説得する。
 彼は、なぜかポヤポヤしながらも異世界行きを了承してくれた。

 ボンネットの裏に、魔石インクで異次元転移の魔道術式を書いたタクシー魔道具で、長山さんと一緒に転移してもらう。
 私の好きな映画と同じように、かっこよく転移できるはずだ。
 長山さんのMPは50有る。
 スタッフの中でMPが1番多いから、タクシー魔道具の運転手に選ばれたのだ。



 出発してから30分程で、長山さんが1人で帰ってきた!
 大きな獣に襲われ、魔道具タクシーも魔石も無くなってしまったと言うことだ。

 長山さんは、緊急用のブレスレット型異世界転移魔道具で現世に戻ってきたという。
 そのブレスレットは魔石にヒビが入ってしまっていて、もう使えないだろう。
 こちらには十分なマナを充填してある魔石は残ってなく、新しく魔石インクも作れない。
 異世界転移門の魔道術式を、1回書くぐらいの魔石インクしか残ってないのだ。

 もう異世界へ行くことは、出来ないのだろうか?
 悠里君は、大丈夫だろうか?



 そんな時に、可愛い女子高生が1人で研修所を尋ねてきた。

 悠里くんの妹のエリナちゃんだ。

 彼女のMPも500有る! なんて兄弟だ。
 しかも魔法少女のコスプレイヤーだっ! 
 もちろん今日は、私服で来たが……。

 ふぅ、萌えるぅぅ。
 マジで本物の魔法少女に成るかもしれないぞ!
 色々妄想してしまった私は、女性スタッフにボコられたが、これ以上の人材は無いはずだろう。

 我々は、彼女に特別研修を受けて貰い、出来る限りの必需品を持たせる事にした。


 残ってた魔石を異世界転移門の魔道術式の上に置き、異世界転移門を開き彼女を送り出す。
 彼女が飛び込むと転移門は一瞬で閉じてしまった。

 はたして2人は、無事に戻って来れるだろうか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~

厘/りん
ファンタジー
ある休日、家族でお昼ご飯を食べていたらいきなり異世界へ転移した。俺(長男)カケルは日本と全く違う異世界に動揺していたが、父と母の様子がおかしかった。なぜか、やけに落ち着いている。問い詰めると、もともと父は異世界人だった(らしい)。信じられない! ☆第4回次世代ファンタジーカップ  142位でした。ありがとう御座いました。 ★Nolaノベルさん•なろうさんに編集して掲載中。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

処理中です...