6 / 75
第1章 異世界で生活研修! って、日本に帰れますか?
6 閑話 オログ=ハイの話
しおりを挟む
次代冥王サウロンによって生み出された凶暴なトロルの上位種オログ=ハイ。
鎧兜や巨大な槌鉾・戦槌で武装して、通常のトロルより大型で力も強く俊敏な上、知能や戦闘技能も向上していて、太陽光を浴びても石化しないなど大幅に強化されている。
冥王サウロン配下の中でも近接戦闘において最も強く、強力な生物兵器として運用され、前線突破や城壁破壊などに凄まじい威力を発揮した。
しかし、いつしか争いが終わった。
冥界の玉座に座る冥王サウロンが、傍らに控えるオログ=ハイに諭すように言う。
「オログよ、冥界には樵は要らぬ、妖精の森で樵として暮らせ」
「ははぁっ、仰せのままにいたします」
「凶暴なオログ=ハイを厄介払いした。ハァハッハッハァァ……」(冥王後日談)
平和な世界に成ったが、オログ=ハイはボッチだった。
神族と巨人族は地上から居なくなっていた。
獣と魔物以外は、ほとんど地上に見られない。
妖精族もひっそりと隠れて暮らしている。
生き残ったわずかなトロール達は知能が低く、汚く臭く獣の様に生きている。
人族のように文化的な生活をして、話し相手になる友達が欲しい。
オログ=ハイは毎日1人で食事をし、1人で森の木を伐り、1人で戦の残骸を片付けていた。
綺麗になった古戦場の空き地に家を建て、畑を耕し家畜を飼った。
食べた果物の種は、森に投げ捨てた。
それは勝手に成木に育って実をつけていた。
ある日、果物のニオイを辿って、ブリュンヒルデ様の愛馬グラーニが、やって来た。
俺の話を理解してくれる賢い子だ。
お嬢様は、呪いにより異界の森の中で、永遠の眠りに着いていると言う。
灼熱の火の壁に遮られて、グラーニも近づけないらしい。
家畜小屋の隣に、グラーニの厩舎を建ててやった。
またある日、森の中から狼の遠吠えを聞いた。
人族の家を窓から覗くと、お腹が大きく膨らんだ大狼が、ベッドに寝ている。
俺の家のそばで悪さしてるだか?
斧で首を切り落とし大きな腹を裂くと、なんと中からお婆さんと孫が出てきた。
俺は人族を驚かさないように分体して小さくなり、荷馬車に乗せて町に連れて行った。
町の広場に着くと、沢山の人族が集まっていた。
これから大狼狩に行く所だったそうだ。
俺は皆にとても感謝された。
「「「何かお礼を」」」
と、言われたので
「俺ぁ樵だぁ、薪を買ってくれねえだかぁ?」
と、頼んだ。
「それなら週に1回町に来て、広場で薪を売っておくれ。
薪が売れ残ったら町で買い取るから、荷馬車一杯に積んで来てくれ。
ただし値段は他の者と同じにしてくれ、それが町の決まりだから」
町長が皆と相談してから、そう言った。
「わかっただぁ」
「いやぁ、薪は重くて運ぶのも伐るのも大変だから、ちょうど良かったなぁ」
と、中年男が言った。
「戦で男手も少なく成ってるしねぇ」
と、中年女が言った。
「重労働が少なく成って助かるなぁ」
町民達は喜んだ。
が、俺と距離を保ち、近づこうとはしなかった……。
人族ともっと仲良くするには、どうすれば良いかなぁ。
帰る途中で湖の精霊に聞いてみた。
「やさしく親切にする事、素直に話しを聞く事、否定しない事、我慢する事」
はあぁ、湖の精霊は樵に親切なんだなぁ。
この前も、湖に斧を落とした樵を助けてたしなぁ。
今日は良い日だったなぁ。
しかし、それからも人族の友達は出来なかった。
1人で食事をして、1人で畑を耕して、1人で家畜の世話をして、1人で木を伐った。
そして週に1度、町に薪を売りに行った。
町で人族と話が出来るのが、とても嬉しかった。
たまに材木の注文も受けた。
重い材木や薪を家まで運んでやると、とても喜ばれた。
町の者も少しづつ打解けて来たが、まだ友達としての会話は出来なかった。
そんなある日、
ドドオオオォォォンッ
と、爆発音が聞こえて眩しくなり、空に2本の光の線が走る。
そして、その光を追い駆けて行く、大きな獣が飛んで行くのが見えた。
そちらへ向かって走って行くと、少し開けた所に若い男が倒れていた。
鎧兜や巨大な槌鉾・戦槌で武装して、通常のトロルより大型で力も強く俊敏な上、知能や戦闘技能も向上していて、太陽光を浴びても石化しないなど大幅に強化されている。
冥王サウロン配下の中でも近接戦闘において最も強く、強力な生物兵器として運用され、前線突破や城壁破壊などに凄まじい威力を発揮した。
しかし、いつしか争いが終わった。
冥界の玉座に座る冥王サウロンが、傍らに控えるオログ=ハイに諭すように言う。
「オログよ、冥界には樵は要らぬ、妖精の森で樵として暮らせ」
「ははぁっ、仰せのままにいたします」
「凶暴なオログ=ハイを厄介払いした。ハァハッハッハァァ……」(冥王後日談)
平和な世界に成ったが、オログ=ハイはボッチだった。
神族と巨人族は地上から居なくなっていた。
獣と魔物以外は、ほとんど地上に見られない。
妖精族もひっそりと隠れて暮らしている。
生き残ったわずかなトロール達は知能が低く、汚く臭く獣の様に生きている。
人族のように文化的な生活をして、話し相手になる友達が欲しい。
オログ=ハイは毎日1人で食事をし、1人で森の木を伐り、1人で戦の残骸を片付けていた。
綺麗になった古戦場の空き地に家を建て、畑を耕し家畜を飼った。
食べた果物の種は、森に投げ捨てた。
それは勝手に成木に育って実をつけていた。
ある日、果物のニオイを辿って、ブリュンヒルデ様の愛馬グラーニが、やって来た。
俺の話を理解してくれる賢い子だ。
お嬢様は、呪いにより異界の森の中で、永遠の眠りに着いていると言う。
灼熱の火の壁に遮られて、グラーニも近づけないらしい。
家畜小屋の隣に、グラーニの厩舎を建ててやった。
またある日、森の中から狼の遠吠えを聞いた。
人族の家を窓から覗くと、お腹が大きく膨らんだ大狼が、ベッドに寝ている。
俺の家のそばで悪さしてるだか?
斧で首を切り落とし大きな腹を裂くと、なんと中からお婆さんと孫が出てきた。
俺は人族を驚かさないように分体して小さくなり、荷馬車に乗せて町に連れて行った。
町の広場に着くと、沢山の人族が集まっていた。
これから大狼狩に行く所だったそうだ。
俺は皆にとても感謝された。
「「「何かお礼を」」」
と、言われたので
「俺ぁ樵だぁ、薪を買ってくれねえだかぁ?」
と、頼んだ。
「それなら週に1回町に来て、広場で薪を売っておくれ。
薪が売れ残ったら町で買い取るから、荷馬車一杯に積んで来てくれ。
ただし値段は他の者と同じにしてくれ、それが町の決まりだから」
町長が皆と相談してから、そう言った。
「わかっただぁ」
「いやぁ、薪は重くて運ぶのも伐るのも大変だから、ちょうど良かったなぁ」
と、中年男が言った。
「戦で男手も少なく成ってるしねぇ」
と、中年女が言った。
「重労働が少なく成って助かるなぁ」
町民達は喜んだ。
が、俺と距離を保ち、近づこうとはしなかった……。
人族ともっと仲良くするには、どうすれば良いかなぁ。
帰る途中で湖の精霊に聞いてみた。
「やさしく親切にする事、素直に話しを聞く事、否定しない事、我慢する事」
はあぁ、湖の精霊は樵に親切なんだなぁ。
この前も、湖に斧を落とした樵を助けてたしなぁ。
今日は良い日だったなぁ。
しかし、それからも人族の友達は出来なかった。
1人で食事をして、1人で畑を耕して、1人で家畜の世話をして、1人で木を伐った。
そして週に1度、町に薪を売りに行った。
町で人族と話が出来るのが、とても嬉しかった。
たまに材木の注文も受けた。
重い材木や薪を家まで運んでやると、とても喜ばれた。
町の者も少しづつ打解けて来たが、まだ友達としての会話は出来なかった。
そんなある日、
ドドオオオォォォンッ
と、爆発音が聞こえて眩しくなり、空に2本の光の線が走る。
そして、その光を追い駆けて行く、大きな獣が飛んで行くのが見えた。
そちらへ向かって走って行くと、少し開けた所に若い男が倒れていた。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
異世界で貧乏神を守護神に選ぶのは間違っているのだろうか?
石のやっさん
ファンタジー
異世界への転移、僕にはもう祝福を受けた女神様が居ます!
主人公の黒木翼はクラスでは浮いた存在だった。
黒木はある理由から人との関りを最小限に押さえ生活していた。
そんなある日の事、クラス全員が異世界召喚に巻き込まれる。
全員が女神からジョブやチートを貰うなか、黒木はあえて断り、何も貰わずに異世界に行く事にした。
その理由は、彼にはもう『貧乏神』の守護神が居たからだ。
この物語は、貧乏神に恋する少年と少年を愛する貧乏神が異世界で暮す物語。
貧乏神の解釈が独自解釈ですので、その辺りはお許し下さい。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~
厘/りん
ファンタジー
ある休日、家族でお昼ご飯を食べていたらいきなり異世界へ転移した。俺(長男)カケルは日本と全く違う異世界に動揺していたが、父と母の様子がおかしかった。なぜか、やけに落ち着いている。問い詰めると、もともと父は異世界人だった(らしい)。信じられない!
☆第4回次世代ファンタジーカップ
142位でした。ありがとう御座いました。
★Nolaノベルさん•なろうさんに編集して掲載中。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる