70 / 100
第2章 アリタリカ帝国に留学
70 どら焼きとお茶
しおりを挟む
エリザとエリシャナが冒険者ギルドから帰って来ました。
「御嬢様、只今帰りました。 無事に冒険者登録を済ませて来ました」
「お帰りなさい。……どうでしたか? ダンジョンの情報は得られましたか?」
「はい。 先日ダンジョンで会った髭面の男に再会して、ダンジョンの情報を教えて貰いました。10階のボスはアンデッド系だそうです」
「それは良い事を聞きましたね」
「11階からはフロアが広くなり、各階毎にボスが存在するそうです」
「まぁ、それは大変ですね」
「我々は、御嬢様が作られたミスリル製の武器が有りますし、魔法攻撃も出来ますから、10階のアンデッド系ボスは問題無く攻略出来ると思います」
「そうですね」
ガチャリッ、
会話の最中に、サッチャンがお盆にどら焼きをイッパイ乗せて入って来ました。
「御嬢様、豆を砂糖で煮て、どら焼きを作ってみました。試食してみてくださいませ」
ケンちゃんが横からサッと手を出して、どら焼きに齧りつきました。
「あっ、御嬢様より先に食べるなんて、何と行儀の悪い亜熊人形でしょう……図々しいですねっ!」
「ングングッ……まぁまぁだね。俺は塩大福が良かったなぁ」
「お米が無いので大福は作れないのっ!」
「そっかぁ、残念だなぁ」
「私は河口駅東口の太郎焼の甘いのが好きですわ」
マリエルも手を伸ばしてどら焼きを試食してみます。
「あら、豆の味がチョット違う気がするけど、これはこれで十分に美味しいですね」
「御試食有難う御座います、御嬢様。小豆も砂糖もアースガルズで買った物なのですよ。それに材料は同じだと思いますので、鉄板の型枠を作れば太郎焼もたい焼きも作れます」
「サッチャン、小豆の栽培もしてみましょうか?」
「はい、豆は手間があまり掛らずに栽培できると言われてますから、ローザンヌの草原に豆撒きしてみましょう」
「北海道産の小豆は美味しいですから、気候的には大丈夫かもしれませんね」
「はい、日本産の小豆は90パーセントが北海道産だそうです」
「「へぇぇ」」
ケンちゃんも一緒に頷いていました。
「エリザとエリシャナも食べてみて下さいな」
「「頂きます」」
モッモッモッ……、
「美味しい」
「甘いです」
「ケーキ屋さんで売れるでしょうか?」
「はい。大丈夫だと思います、試しに置いてみましょう」
「サッチャン、他にも新製品を考えてますの?」
「クレープとベイクドチーズタルトを考えています。あんこ以外はローザンヌの生産物で作れるからです」
「あんこもローザンヌ産に出来るといいですね」
「出来ると思ってます」
ケイシーが緑茶を淹れて来てくれました。
「まぁ、グリーンティーもあるのですね」
「はい、御嬢様。アースガルズのお土産だそうです」
「緑茶はローザンヌでは難しそうですね」
「大きな温室が必要になるので実用的では無いですね。商売には成らないと思います」
「手間も掛りそうですしね」
「はい」
「私達だけで飲む為に、少しだけ栽培してもいいですよ」
「はい。アリタリカで手に入れた紅茶は既に試験栽培を始めています。それに緑茶と紅茶は製法が違うだけで、どちらも同じ木の葉っぱで作る事が出来るのです」
「ふ~ん、それにしてもサッチャンは研究熱心ですね」
「御嬢様、生産物をそのまま売るより、加工して完成品をお店で売った方が利益が跳ね上がるのです。
日本でも農家が苦労するのは、サイズと形を揃えた生産物を一括して買い取り業者に納めてしまうからです。
それに、運送会社や市場や店舗で利益を上乗せしてるのですから、それを一手に行ってしまえば全ての利益を得ることが出来るのです。
規格外や形の悪い生産物も加工して商品に成ってしまえば味も安全性も問題ありません。
お客様の方でも、生産から販売品まで1つの会社なら安心出来ますし、消費者の声も店舗から生産者まで行き届くのです」
「ふ~ん、皆がウインウインに成るのなら結構ですね」
「はい、そのように心がけます」
「それでは週末はゴーレム用の魔石を集める為に、再度ダンジョンに行きましょう」
「「「はい」」」
「今度は10階のアンデッド系ボスを倒しますわよ」
「「「はい」」」
私達は前回同様に馬車でダンジョン前の広場まで行きました。
やはり入口は列に成っていますが、静かに順番を待ってダンジョンに入場します。
パーティメンバーは前回と同じで陣形も一緒です。
「マリちゃん、5階までの雑魚モンスターは軽くあしらって、サクサク進もうね」
「まぁ、ケンちゃんは前回の探索で歯ごたえのある魔物に出会わなかったから、消化不良だったようね」
「そうだよぅ。弱い魔物は相手にしないで強い魔物と戦いたいよねぇ」
「でも今回は10階迄だからね。10階のボスが強いと良いけどねぇ」
「そうなんだけどぅ。アンデッド系だって聞いてるから、マリちゃんの【浄化】で簡単に倒さないでよっ」
「分かったわ、【浄化】は使わないね」
「うん、ありがとう。マリちゃんは見てるだけでいいからね」
「は~い」
マリエルのパーティは、サクサクと低級魔物をあしらいながら、ダンジョンを潜っていきました。
「御嬢様、只今帰りました。 無事に冒険者登録を済ませて来ました」
「お帰りなさい。……どうでしたか? ダンジョンの情報は得られましたか?」
「はい。 先日ダンジョンで会った髭面の男に再会して、ダンジョンの情報を教えて貰いました。10階のボスはアンデッド系だそうです」
「それは良い事を聞きましたね」
「11階からはフロアが広くなり、各階毎にボスが存在するそうです」
「まぁ、それは大変ですね」
「我々は、御嬢様が作られたミスリル製の武器が有りますし、魔法攻撃も出来ますから、10階のアンデッド系ボスは問題無く攻略出来ると思います」
「そうですね」
ガチャリッ、
会話の最中に、サッチャンがお盆にどら焼きをイッパイ乗せて入って来ました。
「御嬢様、豆を砂糖で煮て、どら焼きを作ってみました。試食してみてくださいませ」
ケンちゃんが横からサッと手を出して、どら焼きに齧りつきました。
「あっ、御嬢様より先に食べるなんて、何と行儀の悪い亜熊人形でしょう……図々しいですねっ!」
「ングングッ……まぁまぁだね。俺は塩大福が良かったなぁ」
「お米が無いので大福は作れないのっ!」
「そっかぁ、残念だなぁ」
「私は河口駅東口の太郎焼の甘いのが好きですわ」
マリエルも手を伸ばしてどら焼きを試食してみます。
「あら、豆の味がチョット違う気がするけど、これはこれで十分に美味しいですね」
「御試食有難う御座います、御嬢様。小豆も砂糖もアースガルズで買った物なのですよ。それに材料は同じだと思いますので、鉄板の型枠を作れば太郎焼もたい焼きも作れます」
「サッチャン、小豆の栽培もしてみましょうか?」
「はい、豆は手間があまり掛らずに栽培できると言われてますから、ローザンヌの草原に豆撒きしてみましょう」
「北海道産の小豆は美味しいですから、気候的には大丈夫かもしれませんね」
「はい、日本産の小豆は90パーセントが北海道産だそうです」
「「へぇぇ」」
ケンちゃんも一緒に頷いていました。
「エリザとエリシャナも食べてみて下さいな」
「「頂きます」」
モッモッモッ……、
「美味しい」
「甘いです」
「ケーキ屋さんで売れるでしょうか?」
「はい。大丈夫だと思います、試しに置いてみましょう」
「サッチャン、他にも新製品を考えてますの?」
「クレープとベイクドチーズタルトを考えています。あんこ以外はローザンヌの生産物で作れるからです」
「あんこもローザンヌ産に出来るといいですね」
「出来ると思ってます」
ケイシーが緑茶を淹れて来てくれました。
「まぁ、グリーンティーもあるのですね」
「はい、御嬢様。アースガルズのお土産だそうです」
「緑茶はローザンヌでは難しそうですね」
「大きな温室が必要になるので実用的では無いですね。商売には成らないと思います」
「手間も掛りそうですしね」
「はい」
「私達だけで飲む為に、少しだけ栽培してもいいですよ」
「はい。アリタリカで手に入れた紅茶は既に試験栽培を始めています。それに緑茶と紅茶は製法が違うだけで、どちらも同じ木の葉っぱで作る事が出来るのです」
「ふ~ん、それにしてもサッチャンは研究熱心ですね」
「御嬢様、生産物をそのまま売るより、加工して完成品をお店で売った方が利益が跳ね上がるのです。
日本でも農家が苦労するのは、サイズと形を揃えた生産物を一括して買い取り業者に納めてしまうからです。
それに、運送会社や市場や店舗で利益を上乗せしてるのですから、それを一手に行ってしまえば全ての利益を得ることが出来るのです。
規格外や形の悪い生産物も加工して商品に成ってしまえば味も安全性も問題ありません。
お客様の方でも、生産から販売品まで1つの会社なら安心出来ますし、消費者の声も店舗から生産者まで行き届くのです」
「ふ~ん、皆がウインウインに成るのなら結構ですね」
「はい、そのように心がけます」
「それでは週末はゴーレム用の魔石を集める為に、再度ダンジョンに行きましょう」
「「「はい」」」
「今度は10階のアンデッド系ボスを倒しますわよ」
「「「はい」」」
私達は前回同様に馬車でダンジョン前の広場まで行きました。
やはり入口は列に成っていますが、静かに順番を待ってダンジョンに入場します。
パーティメンバーは前回と同じで陣形も一緒です。
「マリちゃん、5階までの雑魚モンスターは軽くあしらって、サクサク進もうね」
「まぁ、ケンちゃんは前回の探索で歯ごたえのある魔物に出会わなかったから、消化不良だったようね」
「そうだよぅ。弱い魔物は相手にしないで強い魔物と戦いたいよねぇ」
「でも今回は10階迄だからね。10階のボスが強いと良いけどねぇ」
「そうなんだけどぅ。アンデッド系だって聞いてるから、マリちゃんの【浄化】で簡単に倒さないでよっ」
「分かったわ、【浄化】は使わないね」
「うん、ありがとう。マリちゃんは見てるだけでいいからね」
「は~い」
マリエルのパーティは、サクサクと低級魔物をあしらいながら、ダンジョンを潜っていきました。
0
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる