67 / 100
第2章 アリタリカ帝国に留学
67 ちょっと寄り道する?
しおりを挟む
私達のパーティは、ケンちゃんの【転移門】で一気にダンジョンから地上に戻ります。
【転移門】は私達が乗ってきた馬車のスグ脇に繋がっていました。
「ケンちゃん、良い場所に【転移門】を繋げたね」
「へへへ、人目に付かない場所にゲートを開かないと噂に成っちゃうからねぇ。何時もそうする癖が付いたんだよ」
「ふ~ん、ありがとう。 そうそうエリザ、ダンジョン内に低級魔族が居た事をギルドスタッフに報告して来て下さいね」
「はい、畏まりました」
エリザはダンジョン入口のスタッフに報告に行きました。
「フレニちゃんはレベルアップしてるでしょうから、ステータスを確認してみてください。低級魔族を倒したし、ボスも倒しているのですから」
「あのぅ、どのようにすればレベルを確認できるのですか?」
「マリちゃん、フレニは現地人だから自分でステータス画面を見れないと思うよ。誰かに鑑定して貰わないとね」
「そうでしたね。それじゃあ私が……フレニちゃんを【鑑定】!」
ピッキィイイイイインッ!
ポンピロリ~ン!
フレニ
レベル7
HP35 MP40
職業 羊飼い 絵描き 文官
【棒術】LV2
【鞭術】LV2
【土属性魔法】LV1
【生活魔法】LV2
【調教】LV2
【採取】LV2
【絵画】LV3
【識別】LV1
私は鑑定の結果をフレニちゃんに教えてあげました。
「……以上がフレニちゃんのステータスです。結構スキルもレベルも良いですね」
「有難う御座います。マリエル様」
「次にダンジョンに入る時は、後衛で土属性魔法を使ってもらいましょうね。レベル1だから【土弾】ドロダンゴの魔法が使えるはずです」
「畏まりました」
マリエル達は冒険者ギルドに登録していません、だからギルドに顔を出していませんでした。
貴族は特権で登録無しでダンジョンに入れます、勿論クエストを受けてないのでギルドの報酬は貰えません。
ダンジョンで冒険者が倒れると、やがてその遺体はダンジョンに吸収されてしまいます。
魔物の遺体やアイテムも同じです。それらの事象はダンジョン核に支配されているのだそうです。
マリエル達は、そんな事はいっさい気にかけずに、またダンジョンに魔石集めの目的の為に潜るつもりでいました。
学院は週末が休みなので、パーティでダンジョンに行きます。
目的は魔道具を作る為の魔石集なのですが、当然ドロップアイテムも持って帰ります。
「御嬢様、美味しいケーキを沢山作って販売する為に、もっと強い魔物を倒して、より良い魔石を集めましょう」
「サッチャン、皆に美味しいケーキを安価で食べて貰って、沢山笑顔に成って貰いましょうね」
「はい、その為に魔石を集めてゴーレムを作り、オートメーション化しているのです」
マリエルは沢山の人に美味しいケーキを食べて欲しいと思っていたのでしたが、サチコはより利益を上げる事を目指していました。
「ローザンヌのケーキ工場の倉庫に食材は揃っているのですか?」
「小麦、ミルク、カカオは沢山有りますが、バニラビーンズとか熱帯地方の香辛料も欲しいですね」
「香辛料ですか……」
「ピッツァやスパゲッティなどの料理も充実させたいのです」
「そう言えばケンちゃん、熱帯地方で胡椒は見付かったの?」
「それが、まだなんだぁ。あのお粉は何処に有るのかなぁ?」
「お粉? 胡椒は木の実から取るのよ」
と、サチコがケンちゃんをジロリと見ました。
「えっ! 最初からお粉じゃないの?」
「まったく、もぅ!」
サッチャンがメモ帳を取り出して絵を描き出しました。
「私の脳内図書館の百科事典には、この様な絵が描いてあります」
私とケンちゃんが、その絵を覗き込みます。
葡萄の房を細長くしたような沢山の緑色の実が、葉っぱの間にぶら下がっていました。
「サッチャン、大きさはどのぐらいなのですか?」
「はい、御嬢様。胡椒の実1個は、おもちゃの鉄砲の銀球ぐらいのサイズでしょうか。房の長さは20センチぐらいで幅は3センチぐらいだと思います」
「「あ~っ、見た事あるねぇ!」」
私とケンちゃんが同時に言いました。
「これ、熱帯地方にあったよぅ。マリちゃんは何処で見たの?」
「私はアースガルズの市場で売っているのを見ましたわ」
「ア、アースガルズですってぇぇぇっ!」
「そうよサッチャン、何で驚いてるの?」
「だって、アースガルズは地球で例えたら、て、天国ですよ!」
「やだぁ、サッチャンたら。私はまだ生きてますよ。アースガルズは亜人が暮す町なのです」
「違います! この世界では亡くなった善良な人間だけが、アースガルズに行けると言われているのですよ! 生きてる人間は行けない所なのです」
「私は祖父と祖母とお母様とエリザと一緒にアースガルズに行きましたけど」
「俺とスズちゃんも一緒だったよね」
「うん」
「たぶん違う何処かでしょう……」
「フレイヤ様や女神様達と『ヴィーンゴールヴ』で夕食を食べましたわ」
「お寿司を食べてタピオカミルクティを飲んだよねぇ~」
「なんじゃそりゃ~!」
「サッチャン、貴族の言葉使いをしなきゃダメですよ。メッ!」
「はい、御嬢様……って、本当にアースガルズに行けるなら、熱帯地方にジョギングしなくていいでしょうがぁぁぁっ」
「だからサッチャン。言葉使いは、おしとやかにしてください。侯爵家の文官に相応しくして下さいね」
「はい、御嬢様……でもアースガルズでは何でも食材が手に入ると聞いています。ケンちゃんが熱帯地方に行く必要はありません。もしかして簡単には行けないのですか?」
「う~ん……たぶん簡単に行けますね」
「行けるんか~い」
「今から行って見ますか?」
「「「行きま~す」」」
何故か皆が一斉に同意したのでした。
【転移門】は私達が乗ってきた馬車のスグ脇に繋がっていました。
「ケンちゃん、良い場所に【転移門】を繋げたね」
「へへへ、人目に付かない場所にゲートを開かないと噂に成っちゃうからねぇ。何時もそうする癖が付いたんだよ」
「ふ~ん、ありがとう。 そうそうエリザ、ダンジョン内に低級魔族が居た事をギルドスタッフに報告して来て下さいね」
「はい、畏まりました」
エリザはダンジョン入口のスタッフに報告に行きました。
「フレニちゃんはレベルアップしてるでしょうから、ステータスを確認してみてください。低級魔族を倒したし、ボスも倒しているのですから」
「あのぅ、どのようにすればレベルを確認できるのですか?」
「マリちゃん、フレニは現地人だから自分でステータス画面を見れないと思うよ。誰かに鑑定して貰わないとね」
「そうでしたね。それじゃあ私が……フレニちゃんを【鑑定】!」
ピッキィイイイイインッ!
ポンピロリ~ン!
フレニ
レベル7
HP35 MP40
職業 羊飼い 絵描き 文官
【棒術】LV2
【鞭術】LV2
【土属性魔法】LV1
【生活魔法】LV2
【調教】LV2
【採取】LV2
【絵画】LV3
【識別】LV1
私は鑑定の結果をフレニちゃんに教えてあげました。
「……以上がフレニちゃんのステータスです。結構スキルもレベルも良いですね」
「有難う御座います。マリエル様」
「次にダンジョンに入る時は、後衛で土属性魔法を使ってもらいましょうね。レベル1だから【土弾】ドロダンゴの魔法が使えるはずです」
「畏まりました」
マリエル達は冒険者ギルドに登録していません、だからギルドに顔を出していませんでした。
貴族は特権で登録無しでダンジョンに入れます、勿論クエストを受けてないのでギルドの報酬は貰えません。
ダンジョンで冒険者が倒れると、やがてその遺体はダンジョンに吸収されてしまいます。
魔物の遺体やアイテムも同じです。それらの事象はダンジョン核に支配されているのだそうです。
マリエル達は、そんな事はいっさい気にかけずに、またダンジョンに魔石集めの目的の為に潜るつもりでいました。
学院は週末が休みなので、パーティでダンジョンに行きます。
目的は魔道具を作る為の魔石集なのですが、当然ドロップアイテムも持って帰ります。
「御嬢様、美味しいケーキを沢山作って販売する為に、もっと強い魔物を倒して、より良い魔石を集めましょう」
「サッチャン、皆に美味しいケーキを安価で食べて貰って、沢山笑顔に成って貰いましょうね」
「はい、その為に魔石を集めてゴーレムを作り、オートメーション化しているのです」
マリエルは沢山の人に美味しいケーキを食べて欲しいと思っていたのでしたが、サチコはより利益を上げる事を目指していました。
「ローザンヌのケーキ工場の倉庫に食材は揃っているのですか?」
「小麦、ミルク、カカオは沢山有りますが、バニラビーンズとか熱帯地方の香辛料も欲しいですね」
「香辛料ですか……」
「ピッツァやスパゲッティなどの料理も充実させたいのです」
「そう言えばケンちゃん、熱帯地方で胡椒は見付かったの?」
「それが、まだなんだぁ。あのお粉は何処に有るのかなぁ?」
「お粉? 胡椒は木の実から取るのよ」
と、サチコがケンちゃんをジロリと見ました。
「えっ! 最初からお粉じゃないの?」
「まったく、もぅ!」
サッチャンがメモ帳を取り出して絵を描き出しました。
「私の脳内図書館の百科事典には、この様な絵が描いてあります」
私とケンちゃんが、その絵を覗き込みます。
葡萄の房を細長くしたような沢山の緑色の実が、葉っぱの間にぶら下がっていました。
「サッチャン、大きさはどのぐらいなのですか?」
「はい、御嬢様。胡椒の実1個は、おもちゃの鉄砲の銀球ぐらいのサイズでしょうか。房の長さは20センチぐらいで幅は3センチぐらいだと思います」
「「あ~っ、見た事あるねぇ!」」
私とケンちゃんが同時に言いました。
「これ、熱帯地方にあったよぅ。マリちゃんは何処で見たの?」
「私はアースガルズの市場で売っているのを見ましたわ」
「ア、アースガルズですってぇぇぇっ!」
「そうよサッチャン、何で驚いてるの?」
「だって、アースガルズは地球で例えたら、て、天国ですよ!」
「やだぁ、サッチャンたら。私はまだ生きてますよ。アースガルズは亜人が暮す町なのです」
「違います! この世界では亡くなった善良な人間だけが、アースガルズに行けると言われているのですよ! 生きてる人間は行けない所なのです」
「私は祖父と祖母とお母様とエリザと一緒にアースガルズに行きましたけど」
「俺とスズちゃんも一緒だったよね」
「うん」
「たぶん違う何処かでしょう……」
「フレイヤ様や女神様達と『ヴィーンゴールヴ』で夕食を食べましたわ」
「お寿司を食べてタピオカミルクティを飲んだよねぇ~」
「なんじゃそりゃ~!」
「サッチャン、貴族の言葉使いをしなきゃダメですよ。メッ!」
「はい、御嬢様……って、本当にアースガルズに行けるなら、熱帯地方にジョギングしなくていいでしょうがぁぁぁっ」
「だからサッチャン。言葉使いは、おしとやかにしてください。侯爵家の文官に相応しくして下さいね」
「はい、御嬢様……でもアースガルズでは何でも食材が手に入ると聞いています。ケンちゃんが熱帯地方に行く必要はありません。もしかして簡単には行けないのですか?」
「う~ん……たぶん簡単に行けますね」
「行けるんか~い」
「今から行って見ますか?」
「「「行きま~す」」」
何故か皆が一斉に同意したのでした。
0
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる