チートなんて簡単にあげないんだから~結局チートな突貫令嬢~

まきノ助

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第1章 アストリア王国に転生

45 マリエル侯爵令嬢12歳

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 私が侯爵令嬢になってから2年が経って、12歳に成りました。
 アストリア王立魔法学院の3年生です。

 アストリア王国とフランク王国の間では睨み合いが続いていますが、2年間大きな動きはありませんでした。


 私は、見た目も子供から大人の女性に変わりつつあります……たぶん。
 だって、毎日見てると自分の変化は分かりにくいのです。

 ケンちゃんは相変わらずです。
 人形だから物理的な成長はしませんが、能力は向上している見たいです。
 毎日ジョギングしています……人形だけど。

 黒い猫耳のスズちゃんの身長は、私より頭半分ぐらい低いですが、それ以外は私と同じ年齢ぐらいに見えます。
 猫耳とシッポ以外は人間ですので、メイド服を着てると秋葉原に居そうな感じで、とってもキュートです。

 カピバラのピーちゃんは、大型犬ぐらいのサイズで成長が止まっています。いつものんびりした顔に癒されるのです。

 寝室のベッドが大きくなりました。
 キングサイズでしょうか? 日本時代はシングルしか知りませんでした。
 ケンちゃんとスズちゃんと今でも一緒に寝ています。
 ケンちゃんは元男の子ですが、異世界にクマの人形として転生してからは○ン○ンが付いてませんので、安心して下さい。
 ピーちゃんはベッドの下に籐籠を置き寝藁を敷いてブランケットを掛けてその上に寝ています。
 外に犬小屋ならぬカピバラ小屋が有りますが殆ど使ってません。お昼寝に時々使ってるだけです。


 欧米の人は実年齢より老けて見えると言いますけれど。この世界の人は、一概に欧米とアジア等と区別し難くいのです。しいて言えば、程よく特徴が混ざり、やや欧米よりと言った感じです。

 クラスメートで親友のマルグレーテ・ロゼリアル公爵令嬢〈グレーテ〉とモモリル・バクルー伯爵令嬢〈リル〉は年齢以上に大人びて来ました。

「あら、マリーも令嬢と呼ばれるに相応しく成ってきましたよ。3人の中では、ちょっと子供っぽいですけどね」
 そうグレーテが言ってくれました。

「グレーテもリルも大人としての美しさが出てきましたわ。私はまだ子供っぽいですよね」

「いいえ、そこが良いのですよ」

「はい、マリーは可愛いですわ」


 3人共身長が伸びて、母親に追い付きそうです。

 御用商人が持って来てくれる服や下着も変わりました。異世界転生によく有る中世風御令嬢の装いに成りました。絵本に出て来る様な白い小さな日除け傘と、赤い小さな手提げバッグもあります。

 赤い手提げバッグは赤いランドセル(マジックバッグ)の代わりに特注した物で、やはりマジックバッグに成っています。


 ケンちゃん曰く、

「マリちゃん。胸が成長してきたから、ランドセルを背負うと胸が強調されて、ちょっとエロイね!」

「もぅ、ケンちゃんの目を【ブラインド】!」

 ピッキィィィンッ!

「アグゥゥッ!マリちゃん酷いよぅ!正直な感想を教えてあげたのにぃ……」

「そっかぁ……ケンちゃんの目を【開眼】!」

 ホワァァァンッ!


「ケンちゃん、ヤラシイ目で見ないでね! 私今12歳だけど、日本に居た時の17歳より胸が大きいみたいな気がするの」

「ふ~ん、やっぱり欧米の御姫様って感じに見えるよねぇ」

「日本だったらまだ小学校6年生だけど、コッチの世界の方が成長が早いみたいだね」


 侍従長曰く、侯爵令嬢に相応しい服装を着なければならないそうです。

 公爵令嬢のグレーテと服装のデザインが似ていますが、貴族の大人が見ればスグに家柄が分かるそうです。
 私もファッションに興味が出てきて、少しづつ違いが分かる様に成りました。
 上級貴族のそれぞれの家には花柄や紋様など、その家だけが使う物があるそうです。
 私の服やドレスにも、レオポルド侯爵家(旧ウォルフ辺境伯家)のすみれの花の刺繍が縫い込まれていました。





 エリザはマリエル女性騎士団の稽古と教育に毎日励んでます。
 総勢9人でエリザの妹エリシャナも入団しました。

 私の専属護衛騎士と専属側仕えも9人に増えました。
 実はマリエル女性騎士団が、護衛騎士と側仕えも兼ねているのです。
 本当は別にする予定だったのですが、両親や侍従長が話し合って兼任して貰う事にしたそうです。


「だって我が家の騎士達は、あまり活躍してくれないのです。私について来れないのですもの」

「いいえ、マリエル御嬢様が、考え無しに突然行動するので、私達は置いてかれてしまうのです!」
 エリザに苦情を言われました。


「うふふふふ、エリザは慣れてきた所為か、最近は何時でも何処でも一緒に居ますね」

「お嬢様のお陰で鍛えられましたからね」

「エリザ、私は手間が掛らない令嬢でしょ? だから兼任でも忙しくないでしょ?」

「はい、それは大丈夫なのですが。もう少しおしとやかにして下さいませ」

「は~い」


 実はマリエル騎士団の女性騎士達は、側仕えをして私の着替えや湯浴みを出来る事を喜んでいました。

「はぁ、可愛くてプルプルで、フニフニの御肌に触れる事が出来て嬉しいですぅ!」

 エリザの妹エリシャナが、始めてマリエルの着替えを手伝った時の感想です。


「エリシャナ、私は着せ替え人形では無くってよ」

 耳元でそう言って、着替え終わった距離感を使ってギュッとして上げました。

「まぁ、は~あぁ♡」

 エリシャナが、デレてしまいました。



 ジュディは侯爵家の副侍従長に成り、メアリィは弟エルクラインくんの専属側仕えに成りました。
 2人は給料も上がったようです。
 ジュディの夫ルイスはレオポルド騎士団の副団長に成っています。


 新しい領地も順調に発展しています。
 フランク王国とは睨み合いが続いてる状態ですが、サンクトガレン城を増築し、城壁を高くし、堀を深くして国境線を維持しています。

 リヒテンシュタイン城も大きく増築しました。
 サンクトガレン城の次にフランク王国に近いからです。


 近くの山脈から採取した鉱物や宝石や魔石で、剣や弓や杖を強化して、騎士や兵士の戦闘力の底上げをしました。
 魔道具製作の授業と図書館で読んだ資料を参考にして、シャルロッテ学院長にもアドバイスを貰ったのです。
 ポーションやスクロールも倉庫に準備して有ります。有事の際には惜しみなく使用する事に成っているのです。
 これらの物は、私とケンちゃんで作った物が殆どですので、金銭はあまり掛かっていませんでした。

 遠距離連絡用に無線ブローチを作りました、ミスリルの土台に小さな魔石が嵌めてある物です。
 買えば高価な物になるでしょうけど、魔道具屋には売っていません。
 自分の魔力を消費して、ブローチを持ってる他者と会話できるのですが、相手との距離が離れると消費魔力が多くなってしまいます。
 それぞれの部署のリーダーと女性騎士達に配りました。兵士全員に配るには、材料も魔石も足りないのです。

【念話】は相手もスキルを持ってる必要があります。無ければ一方通行で、こちらの話を送る事だけは出来るのですが。
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