チートなんて簡単にあげないんだから~結局チートな突貫令嬢~

まきノ助

文字の大きさ
上 下
11 / 100
第1章 アストリア王国に転生

11 採取とレベリング

しおりを挟む
 私達は城下の南の草原で、薬草採取と魔物討伐によるレベリングをしています。
 採取した薬草をケンちゃんのお腹のマジックバッグに入れると、レシピに従ってポーションを作る事ができるのです。
 作ったポーションは、そのままマジックバッグの中にキープする事も出来ますし、薬草のままキープしとく事も出来ます。
 つまり、熊のお人形であるケンちゃんのお腹は、マジックバッグ兼錬金装置に成ってるのです。


「私はまだレベル1だけど、パーティ登録したんだからレベルが上がるといいなぁ」

「お嬢様、私も手を繋いでましたけど、レベルを上げた方が良いのですか?」

「うふふふ、メアリィも一緒に冒険しましょっ!」

「はい……」


「とりあえず今は、ルイスとケンちゃんとピーちゃんに頑張って貰いましょうね」

「「はい」」
「オッケー」
「キュルキュル」


 私達は採取しながら、魔物を探します。

「スライム居ないねぇ」

「お城に近いですから……この辺には少ないです」
 ルイスが応えました。



「あっ、なんか違う色のスライムが居るよ!」

 銀色に鈍く光るスライムがお昼寝していて、鼻提灯はなちょうちんが飛んでフワフワと漂っています。


「へタレスライムです! へタレなのでスグに逃げますが、中々倒せず経験値が沢山得られると言われています。一発で仕留めないとスグに逃げてしまうのです」

 声をひそめてルイスが教えてくれました。


「ピーちゃん、お願いね」

「キュルキュルッ!」


 ピーちゃんが口を大きく開きます。

「ピャッ!」

 シュゥゥゥッ、ドォンッ!

 ピーちゃんの口から氷の弾丸が飛び、核に命中してへタレスライムを倒しました。


「ピーちゃん凄い! いい子いい子!」

「キュルキュルッ」


 パッパカパァァンッ! パッパカパァァンッ! パッパカパァァンッ!

「ワァ、3回もレベルが上がったわぁ。レベル4に成ったのぅ!」

「「おめでとうございます、お嬢様」」


「光属性魔法と土属性魔法が、レベル1だって!」

「お嬢様おめでとうございます。光属性魔法を使える者は少ないのですよ」

「わーい、やったぁぁ。……貴方達もレベルが上がったんでしょう?」

「私達は自分で確認できませんが、たぶん上がっていると思います」

「そぅ……じゃあ見てあげるね、ルイスとメアリィを【鑑定】!」

 シュィイイインッ!


「まぁ、ルイスがレベル24で、メアリィがレベル5だわ!」

「はい、有難う御座います」


「マリちゃん、俺はレベル8だよ!」

「ケンちゃんは、何か魔法が増えたの?」

「【火炎槍】ファイヤーランスが増えたよ」

「凄ぉぉいっ! 良かったねぇ」

「お嬢様、ファイヤーランスは、ファイヤーボールの上位魔法です」

「そうなんだ。教えてくれてありがとう、ルイス」



 暫く行くと、又銀色に鈍く光るスライムが居ました。

「あっ! 同じ銀色のスライムだけど、何か態度が悪そうに見えるわ!」

「ヤサグレへタレスライムです! 群れから独立してヤサグレてますが、やはりへタレなのでスグに逃げます。更に倒すのが難しいので、経験値がもっと沢山得られると言われています。一発で仕留めないと逃げてしまうのも同じです」

「じゃあ、逃げられない様に私が目潰しするね。……ヤサグレへタレスライムを【ブラインド】!」

 ピッキィイイインッ!
 ヒギィッ!

 ヤサグレへタレスライムは目が見えないので、ウロウロ、ジタバタしています。

「ケンちゃん、ファイヤーランスを使ってみたら?」

「オッケー……ヤサグレへタレスライムに【火炎槍】ファイヤーラーンス!」

 ボワッ…シュゥゥゥッ…ヴァアアアンッ!

 火炎槍が核に命中し、ヤサグレへタレスライムを倒しました。


「ケンちゃん凄い! いい子いい子!」
「ヘヘヘヘ~ッ」

 パッパカパァァンッ! パッパカパァァンッ! パッパカパァァンッ!

「わあ、又3回レベルが上がったわぁ。レベル7に成ったのぅ!」

「「お嬢様おめでとうございます」」


「う~ん、ちょっと気持ち悪く成ったから、今日はもぅ帰りましょうか?」

「マリちゃん、それたぶんレベル上げ酔いってヤツだよ」

「そう……メアリィも気持ち悪いの?」

「はい、ちょっと気分が悪いです」


「じゃあ、帰りましょう」

「「はい、お嬢様」」
「オッケー」
「キュルキュル」



 私達は馬車に乗ってお城に帰ります。
 しばらく馬車で走ると、道端に座り込む母子が居ました。

「ルイス馬車を停めてちょうだいな」

「はい、お嬢様」

 御者ぎょしゃをしているルイスが馬車を停めました。


「こんにちは、どうしたのですか?」

「母が病気で……城下のお医者様に見て貰おうと向かっているのですが、具合が酷く成ってしまって歩けないのです」

「まあ大変。ちょうど、お薬を持っていますから、お飲みになってくださいな」

「有難う御座います。お金は、これだけしか持っていないのですが足りますでしょうか?」

「お金は要りませんわ、遠慮なくお飲みになって下さいな」

(初めて作ったポーションだから、効き目が分からないしね)

「有難う御座います、頂きます」

 ゴクゴクゴクゴク……、
 ホワワワワァァァン!


「まぁ、飲んだばかりなのに……体が軽くなって、気分もさわやかに成りました!」

「そんなスグに?」

「はい。これ程良く効く薬とは、キット宮廷魔道師様が作った物なのですね。高価な物を有難う御座います、このご恩は忘れません。どうぞ御名前をお聞かせくださいませ」

「クロッシュア・ラグリス・レオポルド辺境伯様の一子いっし、マリエル・ウォルフ・レオポルド様です」

「ははぁぁっ、御領主様のお子様で。知らぬ事とは言え、ご無礼致しました」

 母子はそろって、その場に平伏しました。


「病気が治った様で良かったですね、ごきげんよう」

 私達は平伏する母子を置いて、さっさと馬車に乗って城に向かいました。

(試しに作ったポーションが効いて良かったわ)





「エイルちゃん、こんばんは。
 草原でレベリングをしています。
 レベル7に成って、光属性魔法と土属性魔法がレベル2に成りました。
 完全回復ポーションを病気の母親にあげたらスグに治りました。
 いつも見守ってくれて、ありがとう。
 おやすみなさい。
 親友マブダチのマリエルより」



「マリエルちゃん、こんばんは。
 レベルが上がって良かったね。
 土属性が有るのは分かってたけど、光属性も覚えて良かったね。
 光属性は、人族では珍しい魔法です。
 おやすみなさい。
 親友マブダチのエイルより」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします

宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。 しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。 そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。 彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか? 中世ヨーロッパ風のお話です。 HOTにランクインしました。ありがとうございます! ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです! ありがとうございます!

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...