チートなんて簡単にあげないんだから~結局チートな突貫令嬢~

まきノ助

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第1章 アストリア王国に転生

10 初めての冒険

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 ピーちゃんのお家ができました。

「ロベルト、ルイスありがとう。これあげるね」

 私は草原で採掘した金をあげました。
 因みに不純物を取り除いてインゴットに成形してあります。


「お嬢様、こんな高価な物は頂けません」

「こうかなの?」

「はい、とっても」


「わたしがみつけて、ルイスがほっただけなのよ」

「そうですが」


「ピーちゃんのおうちをつくってくれたでしょ。しょうじきなロベルトと、けっこんしたルイスへのごほうびです。わたしのプレゼントを受け取って下さい」

「はい、有難う御座います」
「有難う御座います」

「どういたしまして、これからもよろしくね」

「「はい」」


「ピーちゃん、おうちができましたよ~」

 ピーちゃんはノッソリと近づいて、小屋の匂いをスンスンと嗅いでいます。

「ほら、はいってごらん」

 ピーちゃんは1度小屋に入りましたが、又スグ出てきて草を食べだしました。


「お嬢様、天気がいいですから、きっと日向ひなたが気持ちいいのでしょう」

「そうなんだね」





 特に領地に問題等も起きず平和な時が流れ、私は5歳になりました。
 人族が魔法を使えるようになる年齢です。

 ピーちゃんは、かなり大きく成っています。
 時々、私を背中に乗せて歩いてくれるようにもなりました、庭の小屋がちょうど良い大きさに成なっています。
 草食で水場が好きで、水属性魔法と風属性魔法に適正があるようです。鑑定したママンがそう言ってました。

 ケンちゃんは隠す事無く堂々と、屋敷の中を闊歩かっぽしています。
 食事も全く遠慮しないで食べています。
 全然成長はしませんけど、良く食べるのでHPとMPは減らない様です。


「ケンちゃん、ポーションをフルコンプする為に、草原に薬草を採集に行くわよ!」

「ふ~ん、マリちゃんはポーションをフルコンプしたいんだね?」

「うん、とりあえず1度全部揃えるの。そうすればきっと、私の魔法のレベルも上がるでしょ?」

「魔物の討伐もするの?」

「うん、2人と1匹でしましょ。……1人と2匹かなぁ?」

「俺は熊だから1頭じゃないかなぁ」

「人形は1個かもね……数え方は置いといて、私とケンちゃんとピーちゃんで草原に行きましょう。そして採取とレベル上げをしましょうね」

「うん」
「キュルキュル」

 ピーちゃんも同意してくれました。


「ケンちゃん、ポーションの材料で足りない物はナ~ニ?」

「上級ポーションによく使う材料では、マンドレイクだと思うよ」

「マンドレイクって、抜くと叫ぶヤツだったよね?」

「うん」

「じゃあ、耳栓を用意しないとね」

「そうだね……俺とピーちゃんの耳栓も用意してね」

「うん、わかったわ」




 ルイスとジュディは結婚して子供も産まれました。現在、2歳の男の子ルディくんです。
 家族で住み込みで働いてるので、ルディくんも私とよく遊びます。

 ジュディは育児休暇が終わったので、側仕えに復帰しました。
 メアリィと言う独身の若い側仕えも増えました、ジュディが育児休暇をしてる間に雇われたのです。
 ルイスはズット専属護衛騎士を続けています。


「ルイス、南の草原に採取に行きますから準備して下さい」

「はい、畏まりました」


 皆で馬車で草原に向かいます。
 歩いても行けるのですが、パパンが許してくれません。

 15分程進み、広く見晴らしの良い所で馬車を降ります。


「ルイスとピーちゃんが前衛で、ケンちゃんが中衛で、私が後衛ですよ」

「はい、畏まりました」
「オッケー」
「キュルキュル」


 草原を見回すと、ホワンとした沢山の光の輪が見えます。

「メアリィは、私と一緒に薬草を摘んでちょうだいな」

「はい、お嬢様」

 ジュディは子供の為に屋敷でお留守番です。


「メアリィ、これはハーブのタイムだよ」

「はい、お嬢様」


「マンドレイクは何処どこかしら?……あっ、有った!」

 少し離れた所に、緑の光の輪とマンドレイクの小さな文字が見えました。

「みんな、マンドレイクが有ったから耳栓を着けてね。……それじゃあルイス、このマンドレイクを抜いてちょうだい」

「はい、畏まりました」


 ズボッ!
 ギョェエエエエエエエエエエッ!

 ルイスがマンドレイクを引き抜くと凄まじい奇声が出ましたが、準備していた耳栓のお陰で、皆の人体には影響を受けませんでした。


「ケンちゃん、ア~ン」
「ア~ン」

「うっ!」

 ケンちゃんがマンドレイクを飲み下すと、メアリィが顔をしかめて、両手で口をおおいました。


「大丈夫よメアリィ。ケンちゃんの体はマジックバックに成ってるんだから」

「そうなんですね。とても高価な魔道具なのでしょうね」

「ママンに貰ったのよ」

「素晴らしい奥様ですね」

「うん」


「お嬢様、あそこに角ウサギがいます」

「ルイス、討伐しましょう」

「はい、畏まりました」


「ちゃんと連携してね」

「はい」
「オッケー」
「キュルキュル」


 ルイスとピーちゃんが、ゆっくりと距離を縮めます。その後ろにケンちゃん、私とメアリィが続きます。

 角ウサギが私達に気付きました。
 その瞬間、ピーちゃんが口を大きく開きました。

「ピャッ!」

 シュウウウッ、ドォンッ!

 ピーちゃんの口からツララ状の氷が飛び、角ウサギのお腹に命中して穴が開きました。その一撃で角ウサギを倒したのです。

「ピーちゃん凄い!」

「氷の弾丸、アイスバレットですね」

「そうなんだ~」


 ルイスが角ウサギを解体します。

「お嬢様、角は漢方の材料になると聞いてます。マジックバックに入れましょう」

「うん、お願い」

「はい」


「お肉と皮もケンちゃんバックに入れましょう、嵩張かさばるからね。……ケンちゃん食べないでね」

「オッケー」


「ねぇケンちゃん、マンドレイクをもっと取った方がいいのかしら?」

「1本あればかなりの薬に使えるらしいけど、高価な物らしいから見つけたら取っといた方がいいかもね」

「そうよねぇ……ケンちゃん、上級ポーションを作ってみてくれる?」

「うん、ちょっと待ってね、レシピを見るから。えっとぅ……『完全回復ポーション』っていうのを作ってみるね」

 シュィイイイイインッ!

 ケンちゃんの手の上に、ビンに入ったポーションが現われました。


「わ~い、できたね~……誰かこれを鑑定できる?」

 シィィィンッ!

「誰も出来なかったんだ~、残念だね~」


『マリエルちゃんが【鑑定】できるよ』

「はい、エイルちゃん。教えてくれてどうもありがとう……ポーションを【鑑定】!」

 ピッキィイイインッ!

「『完全回復ポーション……怪我や病気を治し体力を満タンにする』だって!」


「お嬢様、【鑑定】は使い手の少ないスキルです」

「まぁ、そうなのぉ。エイルちゃん、ありがとう」

『どういたしまして』


「もう少し狩りと採集をしましょうね」

「「はい」」
「オッケー」
「キュルキュル」




「あっ、スライムだ!」

 青いバスケットボールぐらいのゼリー状の物体が、ウネウネとユックリ動いています。


「お嬢様、1番弱いスライムです。真ん中の核を攻撃すれば倒せます」

「そうなんだ。ケンちゃん、魔法攻撃で倒してみて」

「オッケー……【火弾】ファイヤーボーールッ!」

 ボッ、シュゥゥゥッ、バァンッ!


「ヤッター、スライムを倒したよ!」

「ケンちゃん、ヤッタね! でも……私には経験値は入らないのかな~?」


「お嬢様、パーティ登録をすれば経験値を分かち合うことが出来ます」

「そうなんだぁ。ルイス、その仕方を教えてちょうだいな」

「はい。皆で手を繋ぎ、リーダーが『パーティ名・パーティ登録』を言います」

「じゃあ、やってみるね。みんな手を繋いでちょうだい」
「『マリエル隊・パーティ登録』!」

 ピッキィイイインッ!

 みんなの体が同時に光ってパーティ登録が完了したようです。


「じゃあ、もう少し冒険しましょうね」

「「はい」」
「オッケー」
「キュルキュル」
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