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 そんなこんなでコンテストが始まる時間を迎える。
 
 先に始まる力自慢の大会の後に美人コンテストが始まるため、晶は様子を見に来ていた綾子達と合流し、夕は舞台裏に入って行く。
 
 舞台裏では日々筋トレをしていると思える屈強な肉体を持つ男性が多く、その中に夕を含め、数名の女性もいるが、その女性達は日々太陽の下で体を動かしているのであろう。
 健康な肉体美である。
 身長なら夕も負けていないが、腕の太さや、あまり焼けていない肌は少し浮く存在であるが、夕はそんな事を気にするほど弱いメンタルは持っていない。

しばらくすると大会が始まる。

 試合の様子を舞台横から舞台を覗く。
この次に美少女コンテストがあるせいなのか、浜の一部に人だかりができていた。
 そんな中で鍛えられた男達の戦いが始まる。
 一回戦目から普通の成人男性の太ももほどありそうな太い腕の男性二人の勝負に誰もが見入ってしまうほど、白熱した試合であった。

 それから順調に進み、夕の名前と、成人男性の名前が呼ばれる。
 舞台に出ると一瞬観客がざわりとする。
 夕の容姿であれば次に始まるコンテストに参加すれば間違いなく一番を取れるのではと思っただろう。
 それらは晶の存在を知らないからである。
 
「続いて女性の参加者ですが、とても美人ですね。お名前など良いですか?」
 進行役の女性がマイクを持っている手を夕に向ける。
 参加者は全員一言何かを言って試合が始まる。
「赤城、夕です。16歳です。えぇ~ 記念参加では無く、ガチで優勝賞品を狙いにいきます」
「その体で16歳ですか……。 末恐ろしいですね。優勝頑張ってください! 続いては……」
「宮本(みやもと) 吉城(よしき)です。優勝を目指していると言っていたので、私も手を抜かず全力であたりたいと思います」
 二人は台に腕を置き力の取りやすい体制をとる。

 夕は軽く腰を落とすと、審査員の男性陣はふと目を逸らし軽く咳払いをする。
 未成年とはいえ、体つきは大人に勝るものがある後姿に官能的な感情が芽生えたのであった。

「レディ~~ ゴッ!!」

 体を倒し体重をかける男性。
 だが、その手は初期位置から微動も動いてない。

「クウゥゥー!!」
 
 顔どころか首の方まで赤くなり始める。それ程力が加わっている証拠である。
 その力をまるで感じていないのか、夕の表情に変化がない。
 腕の太さ体格と男性側が大きく有利だと誰もが思っただろう。
 あの腕の何処にそれ程まで秘められた力があるのか不思議である。

「おおっと!! 余裕を持った状態で赤城 夕さんが勝利を勝ち取りました!」
 
 相手は肩で息をする中、夕の呼吸は乱れる事なく握手を交わす。

「いや~ 参ったね。全力でいっても動かないとはね。是非君には優勝をしてほしいものだよ」
 
 対戦相手だからこそ夕の強さが伝わったのだろう。彼女なら優勝を狙えるのではないかという事に。
 それから数戦は女性ばかりと試合する事となり、全勝を集めて、準々決勝まで上がった。
 
 次の対戦相手は消防隊員を職業としており、全身鍛え上げられている。

「申し訳ないけど、君には此処で負けてもらうよ」
 
 爽やかな笑顔で話しかけてくる男性。
 だが、夕の試合を見ている事もあり、闘争心は全開である。

「簡単には負けませんよ?」
クスリと笑う。

「レディーゴー!!」
 
 合図と共に双方に力が加わる。
 だが、アームレスリングの経験は無く合図からの反応が遅れて相手が有利の状態になってしまう。
 
 この時に誰もが、夕が負けたと思っただろう。
 息を吸い込み、お腹に力を加える。それに連動したかのように腕に力が入る。
 テーブルに手の甲が当たると鈍い音が響くと、男性は勢いのあまり態勢崩す。

「大丈夫か?」
 
 勝敗は決まる。
 夕は慌てて男性の方に駆け寄り、手を掴み起こす。

「お~痛て~ 強いな。急に力が異常に上がった様な気がしたが、何をしたのか聞いて良いかな?」
 
 ある程度、傾け純粋な力のみで押し返すのは並みの力では上がらない。

「武術です」
 
 だからこそ気になるのだと思うが、純粋に力では納得しないのではと思った夕は咄嗟に出た言葉が武術であった。
 世界には様々な武術があり、異常な能力を持つ者は存在する。そう言う武術があっても良いだろうと思った結果である。

「武術か……。世界は広いのだな。だが、その力があれば優勝を目指せるかもな」

 右手首でも痛めたのか、左手でさすりながらその場をさる。

 次に夕があたる対戦者になる勝負を舞台横から眺めると、一人はボディービルダーでもしているのか、綺麗に筋肉を鍛えた男性と、上半身が異常に鍛えられている男性。
 スポーツで上半身を以上に使うのか少しバランスが悪いように見えた。


 だが、二人とも夕の太もも以上に発達した腕。
 そんな強者と戦える事に胸が躍る。
 試合が始まると、両者の力は同等なのだろう。

 ピタリと止まりどちらも勝負を譲らない。
 暑い日差しが挑戦者の体を熱くする。数秒、数分の勝負だと言うのに二人は既に全身から汗が噴きだし、勝負の暑さが伝わって来る。

 日頃から体を動かしているスポーツマンの男性が徐々に優位に立ち始める。
 だが、相手の男性も負けたくないという気迫が会場を賑やかにする。だが日ごろから体を過激に運動しているおかげでスタミナ勝負ではスポーツマンの男性が上であり、持久力に負けた男性の手の甲が机につく。

 大型モニター越しでも伝わる迫力に拍手の嵐だが、勝利した男性の顔は少し浮かない顔をしていた。

「すまないが次の試合棄権させてもらうよ」
 
 腕や手首に負担が掛かる競技である。故に無理をした事で手首を痛めてしまったという事だ。

「おぉっと! ここで金城選手の負傷です! という事は赤城選手の……」
「すまない。私も」
 
 右手をみせると、既に手首あたりが腫れ始め出していた。
 それほどの激戦だったという事である。

「次の対戦相手は不戦勝って事で勝ち上がってもらう事で良いのでは? ここまで上り上がっているという事は実力もあるという事だろうね」
 
 脇で見ていた夕は先ほどの二人の選手を目が合うと親指を自信満々に立てる。
 それを見ていた進行役の女性も頷き夕はそのまま決勝戦まで駆けあがる。 
 
 対戦相手も決まり、いよいよ決勝戦が始まる。

「それでは一ブロックを勝ち抜いてきた。浜口 真崎さんの入場です!」



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