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お城の一室に戻ってきたユーリは、用意されている布団にもぐり込みながら考え事をする。
外国の来訪者達についての事だ。いくらこの国で魔法の発達が少ないと言えど、身体強化を使えば、魔道師と互角に立ち回れる。それなのに一方的に相手の要求を飲もうとしている事に不思議に思っていた。
信長、柴田を見る限りでは並の魔道師は相手にならないと思う。
だが、それを出来ないと言う事は、新兵器を持ってこられたのかもしれないと思いながら眠りについた。
ドタドタと慌ただしい音で目が覚める。
手を伸ばして背伸びをする。
「ん~~! っはぁ」
まだ寝たりないのか、眠そうに目を擦り部屋を出る。
侍女達は忙しそうに準備をしているのを横目で流しながら、風呂場に足を向ける。
しばらく歩くと聞きなれない声に呼び止められる。
「そこのお嬢さん。少しよろしいでしょうか?」
その言葉にユーリは振り向くと、20歳前後の青年が立っていた。
サラサラとした青髪、男性としては長い髪を後ろで括って、爽やかな雰囲気を作り出している。
容姿も整っていて、おっとりとした目、表情が何とも言い難い。
見慣れない鎧を着ていたのでユーリは、この人が外国の兵士なのかなと思いながら返事をする。
「どうしました?」
当たり障りなく返事を返す。
「いや~ 妖精の様にお美しい人が見えたので、つい声をかけてしまいました」
恥ずかしそうに頭を搔いている青年。
「そう? 妖精さんもいつも寝起きで、私みたいに髪がボサボサなのでしょうね」
クツクツと嫌味を言うように言葉を返す。
そして侍女達が居る場所を教えてユーリは、本来の目的場所の風呂場着く。
さっぱりとしたユーリは部屋でゴロゴロとしていると、襖越しに茶々の声が聞こえる。
「ユーリさん。入ってもよろしいですか?」
「ん? 茶々? 良いわよ」
部屋に入るや、茶々の表情は暗いものであった。
「どうしたの? 茶々?」
「その~ ユーリさんを呼んで欲しいと外国の方が……」
「わかったわ。準備をするから少し時間を貰える?」
「わかりましたぞ…… 伝えておきますぞ……」
茶々が部屋を出る事を確認した後に、ユーリはロベリアが指定した部屋に飛ぶ。
部屋に着くと同時に正面に衝撃が走る。あまりの不意の出来事に鈍い声を出す。
「うっ……」
目を下げると、なんとロイスが抱き着いていた。
「ロイス来ていたの?」
目線を上げると身内が全員集まっていた。
「なんで? 皆がいるのよ?」
エトナが口を開く。
「貴方がドレスを着るのでしょ? 見ないと損をしそうじゃない?」
「そっ、そうなの?」
その言葉に全員が頷く。
衣装の準備が整い次第、ユーリ、ロベリア、侍女以外のメンバーは部屋を出る。
お披露目として最後に見る方が、楽しみが増えると言うことらしい。
着せ替え人形みたいに、立っているだけで準備が終わっていく、着替えが終わると椅子に座らされて、化粧をしていく。
侍女いわく、ユーリは顔が完璧すぎるので、最低限の化粧だけで終わらす。
それを聞いたロベリアは不服そうにしている。
用意が終わると、待機していたメンバーが戻ってくる。
ユーリの姿を見た者達は、各々綺麗など褒め言葉の声があがる。
容姿について褒められる事に慣れていたと思っていたが、さすがのユーリでも恥ずかしくなって、逃げる様に言葉を残して、城に戻ろうとする。
「そろそろ行かないと、だからまたね!」
残されたメンバーは、ユーリの照れた顔をみたことに、お互いを見て笑っていた。
外国の来訪者達についての事だ。いくらこの国で魔法の発達が少ないと言えど、身体強化を使えば、魔道師と互角に立ち回れる。それなのに一方的に相手の要求を飲もうとしている事に不思議に思っていた。
信長、柴田を見る限りでは並の魔道師は相手にならないと思う。
だが、それを出来ないと言う事は、新兵器を持ってこられたのかもしれないと思いながら眠りについた。
ドタドタと慌ただしい音で目が覚める。
手を伸ばして背伸びをする。
「ん~~! っはぁ」
まだ寝たりないのか、眠そうに目を擦り部屋を出る。
侍女達は忙しそうに準備をしているのを横目で流しながら、風呂場に足を向ける。
しばらく歩くと聞きなれない声に呼び止められる。
「そこのお嬢さん。少しよろしいでしょうか?」
その言葉にユーリは振り向くと、20歳前後の青年が立っていた。
サラサラとした青髪、男性としては長い髪を後ろで括って、爽やかな雰囲気を作り出している。
容姿も整っていて、おっとりとした目、表情が何とも言い難い。
見慣れない鎧を着ていたのでユーリは、この人が外国の兵士なのかなと思いながら返事をする。
「どうしました?」
当たり障りなく返事を返す。
「いや~ 妖精の様にお美しい人が見えたので、つい声をかけてしまいました」
恥ずかしそうに頭を搔いている青年。
「そう? 妖精さんもいつも寝起きで、私みたいに髪がボサボサなのでしょうね」
クツクツと嫌味を言うように言葉を返す。
そして侍女達が居る場所を教えてユーリは、本来の目的場所の風呂場着く。
さっぱりとしたユーリは部屋でゴロゴロとしていると、襖越しに茶々の声が聞こえる。
「ユーリさん。入ってもよろしいですか?」
「ん? 茶々? 良いわよ」
部屋に入るや、茶々の表情は暗いものであった。
「どうしたの? 茶々?」
「その~ ユーリさんを呼んで欲しいと外国の方が……」
「わかったわ。準備をするから少し時間を貰える?」
「わかりましたぞ…… 伝えておきますぞ……」
茶々が部屋を出る事を確認した後に、ユーリはロベリアが指定した部屋に飛ぶ。
部屋に着くと同時に正面に衝撃が走る。あまりの不意の出来事に鈍い声を出す。
「うっ……」
目を下げると、なんとロイスが抱き着いていた。
「ロイス来ていたの?」
目線を上げると身内が全員集まっていた。
「なんで? 皆がいるのよ?」
エトナが口を開く。
「貴方がドレスを着るのでしょ? 見ないと損をしそうじゃない?」
「そっ、そうなの?」
その言葉に全員が頷く。
衣装の準備が整い次第、ユーリ、ロベリア、侍女以外のメンバーは部屋を出る。
お披露目として最後に見る方が、楽しみが増えると言うことらしい。
着せ替え人形みたいに、立っているだけで準備が終わっていく、着替えが終わると椅子に座らされて、化粧をしていく。
侍女いわく、ユーリは顔が完璧すぎるので、最低限の化粧だけで終わらす。
それを聞いたロベリアは不服そうにしている。
用意が終わると、待機していたメンバーが戻ってくる。
ユーリの姿を見た者達は、各々綺麗など褒め言葉の声があがる。
容姿について褒められる事に慣れていたと思っていたが、さすがのユーリでも恥ずかしくなって、逃げる様に言葉を残して、城に戻ろうとする。
「そろそろ行かないと、だからまたね!」
残されたメンバーは、ユーリの照れた顔をみたことに、お互いを見て笑っていた。
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