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そんな姿を見た雄二は人と何ら変わりがないと思い始める。
「見た目が違うだけで人と何ら変わりない生活をしているのですね。本当に人間を敵対して襲っているのでしょうか?」
「その質問に対して答えは出せないわ。人間にも色々な人がいるでしょ? 意図的に攻撃をする者や守るために戦う者と色々なのよ。だから魔族が悪いとは言えない。もちろん魔族同士で争いをする事もある。それは人間も一緒ね」
魔族の生活を上空から見ながら二人は魔王城から更に奥に飛んで行く。
すると、何千と並んでいる集団を見つけたのだ。どうやら魔物と魔族が戦っているのだ。
「魔族と魔物が戦っている?」
雄二は魔族が魔物を従えていると思っていたが、現実は違う。
魔族と魔物は全く関係無い。
あるとしても知性が高い魔物と共闘をしている事はあるが、従えていることは無い。
「それじゃ魔物が人間に攻撃を仕掛けていたのは? まったく関係が無かったということですか?」
「全く関係ないとは言えないわ。人間と魔族は何百年と戦争をしてきた。その中で魔物を誘導して攻撃をさせる事もしていたわ」
「だとしたら僕達は何の為に召喚をされたのでしょうね……」
乾いた声で笑う雄二。
「まぁ今回は魔族では無く魔人を倒すのでしょ? 魔人を倒さないと、どのみち人間は破滅に向かうわよ?」
「そうでしたね。僕達の役割はこれからですね。それにしても魔族は皆強いのですね。今戦っている魔物にも勝てるかどうか……」
「魔素が強ければ魔物も強くなるのよね」
魔物は魔素を取り込み強くなると言う事は、魔大陸から離れて人間が居る場所で住んでいる魔物と言うのは、いわば脱落者と言うわけだ。
魔物同士の戦いに敗れた魔物が下って、新たに巣をつくり生活を始めると言うことだ。
だからこそ、並の人間が魔大陸に行けない理由がここにあったのだ。
世間では魔素を体内に取り込み過ぎると体の毒となって死ぬと言われているが、それは間違いである。
崖の上に降り立った二人は戦闘をしている場所を眺めている。
数で不利な魔族は押されている。
そもそも人族の平均を上回っている魔族で押されていると言う事は魔人復活のせいで、魔物の活性化が起こっているのだ。
魔物の目は真っ赤になっているのが遠目でもわかる。
激戦を強いられる魔族。
魔人が復活から常に脅威にさらされていたのである。
魔族領の更に奥に魔人は住みつき、大陸全土を狙っている。最前線であり最終防衛である魔族領、ここが突破されれば大陸は魔人に統一されるのも時間の問題だ。
それほどまでに大事な場所である。その事を伝えると雄二は眉を寄せて考える。
「それなら早く助太刀に行かないと!」
「そうね……。もう持ちそうにないわね」
ユーリは男の姿に変える。
「日本で過ごしていた時の姿なのですね」
「女だと胸が邪魔で戦闘がしにくいのよ」
といいながら一振りの刀を取り出した。
前にラウムと戦った時に壊れた武器と全く同じ物である。
そしてユーリ達は戦場を見据えている。
戦場で戦っている魔族本部。
崖から雪崩のように降りて来て、魔族の本陣に攻撃を仕掛けている。
「くっっそ! まじうぜぇよ!」
口調が悪い魔族の女性。
漆黒の黒い鎧を身に纏い、それに反した白い髪に大きな剣を振り回して戦場で奮起している。
数年前からの戦いで魔族の兵士は数を減らしている。もとい人間みたいに繁殖が多くないので、魔族の人口そのものが少ないが、そのかわり長寿である。
最前線で大剣を振り回す魔族。
何百、何千と倒そうが途切れることの無い魔物。
すでに兵士達は日々の戦いで満身創痍であった。
魔物の波に飲み込まれる一部隊。白髪の魔族の部隊である。
「はは……。ここまでかよ」
彼女は呟く。
周りを見れば仲間はすでに居ない。いるのは目が真っ赤な魔物だけであった。
「この俺様を簡単に倒せるとは思うなよ!?」
自らを奮起するが多勢に無勢である。どんなに強くても囲まれている状態では時間の問題だと彼女はわかっている。
ただ少しでも多く倒して次の部隊で勝ってくれる事を祈って、折れるまで武器を振るう。
それもつかの間である彼女は魔物の攻撃に綺麗な黒味がかかった肌から血が流れ始める。
「クッ!」
もはやここまでと悟った彼女は生きる事を諦め目を瞑る。
何時まで経っても攻撃がされる気配が無い。おかしいと思った彼女は目を開けると、そこに居た黒髪の青年が二人戦場に参戦している。
「お前たちは?」
「話はあと! ヒール」
彼女の傷は癒えて、再び力が沸き起こってくる。
もう一度戦える。
腰を深く降ろした彼女は、まるで猪のように敵に襲い掛かる。
一振りすれば数匹の魔物が斬られる。
彼女は再び戻った力を存分に振るっている。というか目的に向かって飛んで行く弓矢のようだ。
助けてくれた者の事を忘れて駆ける魔族、二人はその後ろについて行く。
すると魔族の本陣周辺、第二陣部隊と合流を果たすべく、魔族は戻ろうとしていたのだ。
といえどすでに戦場になっている。血しぶきや血肉が飛び散る無残な光景に雄二は眉をひそめる。
今まで戦ってきた中では恋った光景を目にする事は少なかった。合ったとしても魔物を切った時に感じる肉と言う感覚であった。
「雄二? きつい?」
雄二の異変に気が付いたユーリが問う。
「いえ大丈夫です」
と雄二の拳に力が入っている。
そして魔物の集団の中を抜けたユーリ達は魔族の本部と合流をはたす。
「ヒルデ将軍! ご無事で何よりです」
「あぁ、すまないね。他の隊は全滅をしてしまった。私の責任だ」
「そんな事はありません。彼らも本望だと思います。してそちらの方は?」
初めてユーリ達の存在に気が付くヒルデ。
「む! そなた達は…… すまない。本陣を気にして忘れていたようだ」
「別に気にしなくていい。まぁ無事で何よりだ」
「主達は人の子らか? 何故この様な所に? そうだ、言い忘れていたが私は四天王のひとりヒルデガントだ。ヒルデと呼んでくれ」
荒っぽい口調の割にはしっかりとした感じのヒルデである。
「私はユーリ」
「僕は雄二です」
「ユーリとユウジか…… 名前が似ているが兄弟か?」
「他人だ。まぁ魔人討伐と言う同じ目標を持つ者だな」
魔人と聞いてヒルデは目を見開く。
「お主達、魔人の存在を知っていたのか……」
「まぁね。ただ人族では一部の者しか知らない。ほとんどは魔王が復活したと勘違いをしている」
「相変わらず人族は平和ボケをしているのだな」
クスクスと笑うヒルデは戦場では見せない可愛らしい笑顔であった。
「俺達も人族なのだけど……」
「それはすまなんだ。ここにいると言う事は我々魔族に力を貸してくれると言う事で良いかな? それにユーリとは離さないといけない事があるからな~」
ヒルデは100年前も生きていたのだろう。ユーリが前の勇者と言う事をわかっているようだ。
「まぁいいけど、無事に生きていたら話そうか」
「ほざけ」
とヒルデは呟き、3人は戦場に戻って行く。
「雄二! 今からが本番だ。絶対に離れるなよ?」
「はい!」
ユーリは前線に着くと腰を深く落して、鞘に収まっている刀を素早く数回振り抜く。
「一閃! 乱れ裂き!」
魔物達は風の刃に襲われて肉片に変わっていく。
「では僕も! ホーリースラッシュ!」
聖属性が付いた光の刃が魔物を襲う。ユーリの加護で見違えるような威力になった雄二の攻撃は次々と魔物を灰に変えていく。
「人族はこれ程までの力を……」
感心するヒルデはスキル等を使わずに一振りで何匹も巻き込みながら切り倒していく。
「見た目が違うだけで人と何ら変わりない生活をしているのですね。本当に人間を敵対して襲っているのでしょうか?」
「その質問に対して答えは出せないわ。人間にも色々な人がいるでしょ? 意図的に攻撃をする者や守るために戦う者と色々なのよ。だから魔族が悪いとは言えない。もちろん魔族同士で争いをする事もある。それは人間も一緒ね」
魔族の生活を上空から見ながら二人は魔王城から更に奥に飛んで行く。
すると、何千と並んでいる集団を見つけたのだ。どうやら魔物と魔族が戦っているのだ。
「魔族と魔物が戦っている?」
雄二は魔族が魔物を従えていると思っていたが、現実は違う。
魔族と魔物は全く関係無い。
あるとしても知性が高い魔物と共闘をしている事はあるが、従えていることは無い。
「それじゃ魔物が人間に攻撃を仕掛けていたのは? まったく関係が無かったということですか?」
「全く関係ないとは言えないわ。人間と魔族は何百年と戦争をしてきた。その中で魔物を誘導して攻撃をさせる事もしていたわ」
「だとしたら僕達は何の為に召喚をされたのでしょうね……」
乾いた声で笑う雄二。
「まぁ今回は魔族では無く魔人を倒すのでしょ? 魔人を倒さないと、どのみち人間は破滅に向かうわよ?」
「そうでしたね。僕達の役割はこれからですね。それにしても魔族は皆強いのですね。今戦っている魔物にも勝てるかどうか……」
「魔素が強ければ魔物も強くなるのよね」
魔物は魔素を取り込み強くなると言う事は、魔大陸から離れて人間が居る場所で住んでいる魔物と言うのは、いわば脱落者と言うわけだ。
魔物同士の戦いに敗れた魔物が下って、新たに巣をつくり生活を始めると言うことだ。
だからこそ、並の人間が魔大陸に行けない理由がここにあったのだ。
世間では魔素を体内に取り込み過ぎると体の毒となって死ぬと言われているが、それは間違いである。
崖の上に降り立った二人は戦闘をしている場所を眺めている。
数で不利な魔族は押されている。
そもそも人族の平均を上回っている魔族で押されていると言う事は魔人復活のせいで、魔物の活性化が起こっているのだ。
魔物の目は真っ赤になっているのが遠目でもわかる。
激戦を強いられる魔族。
魔人が復活から常に脅威にさらされていたのである。
魔族領の更に奥に魔人は住みつき、大陸全土を狙っている。最前線であり最終防衛である魔族領、ここが突破されれば大陸は魔人に統一されるのも時間の問題だ。
それほどまでに大事な場所である。その事を伝えると雄二は眉を寄せて考える。
「それなら早く助太刀に行かないと!」
「そうね……。もう持ちそうにないわね」
ユーリは男の姿に変える。
「日本で過ごしていた時の姿なのですね」
「女だと胸が邪魔で戦闘がしにくいのよ」
といいながら一振りの刀を取り出した。
前にラウムと戦った時に壊れた武器と全く同じ物である。
そしてユーリ達は戦場を見据えている。
戦場で戦っている魔族本部。
崖から雪崩のように降りて来て、魔族の本陣に攻撃を仕掛けている。
「くっっそ! まじうぜぇよ!」
口調が悪い魔族の女性。
漆黒の黒い鎧を身に纏い、それに反した白い髪に大きな剣を振り回して戦場で奮起している。
数年前からの戦いで魔族の兵士は数を減らしている。もとい人間みたいに繁殖が多くないので、魔族の人口そのものが少ないが、そのかわり長寿である。
最前線で大剣を振り回す魔族。
何百、何千と倒そうが途切れることの無い魔物。
すでに兵士達は日々の戦いで満身創痍であった。
魔物の波に飲み込まれる一部隊。白髪の魔族の部隊である。
「はは……。ここまでかよ」
彼女は呟く。
周りを見れば仲間はすでに居ない。いるのは目が真っ赤な魔物だけであった。
「この俺様を簡単に倒せるとは思うなよ!?」
自らを奮起するが多勢に無勢である。どんなに強くても囲まれている状態では時間の問題だと彼女はわかっている。
ただ少しでも多く倒して次の部隊で勝ってくれる事を祈って、折れるまで武器を振るう。
それもつかの間である彼女は魔物の攻撃に綺麗な黒味がかかった肌から血が流れ始める。
「クッ!」
もはやここまでと悟った彼女は生きる事を諦め目を瞑る。
何時まで経っても攻撃がされる気配が無い。おかしいと思った彼女は目を開けると、そこに居た黒髪の青年が二人戦場に参戦している。
「お前たちは?」
「話はあと! ヒール」
彼女の傷は癒えて、再び力が沸き起こってくる。
もう一度戦える。
腰を深く降ろした彼女は、まるで猪のように敵に襲い掛かる。
一振りすれば数匹の魔物が斬られる。
彼女は再び戻った力を存分に振るっている。というか目的に向かって飛んで行く弓矢のようだ。
助けてくれた者の事を忘れて駆ける魔族、二人はその後ろについて行く。
すると魔族の本陣周辺、第二陣部隊と合流を果たすべく、魔族は戻ろうとしていたのだ。
といえどすでに戦場になっている。血しぶきや血肉が飛び散る無残な光景に雄二は眉をひそめる。
今まで戦ってきた中では恋った光景を目にする事は少なかった。合ったとしても魔物を切った時に感じる肉と言う感覚であった。
「雄二? きつい?」
雄二の異変に気が付いたユーリが問う。
「いえ大丈夫です」
と雄二の拳に力が入っている。
そして魔物の集団の中を抜けたユーリ達は魔族の本部と合流をはたす。
「ヒルデ将軍! ご無事で何よりです」
「あぁ、すまないね。他の隊は全滅をしてしまった。私の責任だ」
「そんな事はありません。彼らも本望だと思います。してそちらの方は?」
初めてユーリ達の存在に気が付くヒルデ。
「む! そなた達は…… すまない。本陣を気にして忘れていたようだ」
「別に気にしなくていい。まぁ無事で何よりだ」
「主達は人の子らか? 何故この様な所に? そうだ、言い忘れていたが私は四天王のひとりヒルデガントだ。ヒルデと呼んでくれ」
荒っぽい口調の割にはしっかりとした感じのヒルデである。
「私はユーリ」
「僕は雄二です」
「ユーリとユウジか…… 名前が似ているが兄弟か?」
「他人だ。まぁ魔人討伐と言う同じ目標を持つ者だな」
魔人と聞いてヒルデは目を見開く。
「お主達、魔人の存在を知っていたのか……」
「まぁね。ただ人族では一部の者しか知らない。ほとんどは魔王が復活したと勘違いをしている」
「相変わらず人族は平和ボケをしているのだな」
クスクスと笑うヒルデは戦場では見せない可愛らしい笑顔であった。
「俺達も人族なのだけど……」
「それはすまなんだ。ここにいると言う事は我々魔族に力を貸してくれると言う事で良いかな? それにユーリとは離さないといけない事があるからな~」
ヒルデは100年前も生きていたのだろう。ユーリが前の勇者と言う事をわかっているようだ。
「まぁいいけど、無事に生きていたら話そうか」
「ほざけ」
とヒルデは呟き、3人は戦場に戻って行く。
「雄二! 今からが本番だ。絶対に離れるなよ?」
「はい!」
ユーリは前線に着くと腰を深く落して、鞘に収まっている刀を素早く数回振り抜く。
「一閃! 乱れ裂き!」
魔物達は風の刃に襲われて肉片に変わっていく。
「では僕も! ホーリースラッシュ!」
聖属性が付いた光の刃が魔物を襲う。ユーリの加護で見違えるような威力になった雄二の攻撃は次々と魔物を灰に変えていく。
「人族はこれ程までの力を……」
感心するヒルデはスキル等を使わずに一振りで何匹も巻き込みながら切り倒していく。
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