37 / 55
37
しおりを挟む
我に戻ったフリードが言う。
「ツカサ? もう座らなくても……」
首を振る。
「貴族様が言うとおり、私は平民であります。このままでも大丈夫です」
レイン達の方を見ながらも笑顔は絶やさない。
「ツカサだけというものあれだな」
フリードもツカサ同様に座ろうとしたが、レインに止められる。
「あい! またれい!!」
腰を折る最中で止まるフリード。
「公爵家以外の貴族と兵士は、今すぐこの場を去れ! そして今見た事は王命で他言無用とする!」
ぞろぞろと部屋を退室していく貴族、兵士達。残った10人程度貴族。
ふぅ~と大きなため息をつき椅子に座りなおすレイン。
「あ~ 何というか、ごめん!」
右手を前にだし軽く謝るレイン。
「こちらこそ、申し訳ない。色々迷惑をかけてしまいました」
「フリード、もういつも通りに話してよ。ここに居る貴族は皆僕達の仲を知っているからね。それとツカサちゃん? もう立ってほしいな」
「それは助かる」
フリードはツカサをサポートして立たせる。
「申し訳ありませんでした。不甲斐無い私のせいで……」
「びっくりだよ。いきなり物乞い見たいな格好をするから」
「すいません。私の世界では誠意を込めて謝るときは、あのようなものなので」
「まぁ世界が違うから仕方ないよね。でも王族の婚約者がむやみに人前で頭を地面につけるような真似だけはしてはいけないよ? フリードに迷惑が掛かってしまうからね。はい! この話はここまでね」
帝国には公爵家が4つあり、そのうちの一人が恐る恐る手を上げる。
「はいどうぞ!」
レインは気軽にその公爵に発言をあたえる。
「申し訳ありません。違う世界と言いましたが? ツカサ様はどういった方なのですか?」
他の公爵家も気になっていたのか頷く。
「ここから先は機密事項になるから言いふらさないでね。ツカサちゃんは、そのままの意味で此処とは別の世界から来たのです」
「なんと!?」
初めてツカサが違う世界の人だと知った貴族は動揺する。
「だから神託もあながち間違いじゃないと思うよ。そうじゃないと変な所があるからね」
「それは? どのような事ですか?」
「まずヴェルヘル王国どうして召喚の儀式を行ったか、そしてその儀式を知っていたのか……」
フリードは初めてそのことに疑問を持った。
「確かに俺の国付近で勇者が使っていた武器が見つかった。それを欲しさに戦争が始まると思っていたが、普通に考えれば可笑しなことだな。選ばれた者しか扱えない武器を他国が戦争までして取りに来るはずが無い。そして召喚の儀式を知っていた者は、うちの魔法師団団長であったが…… まさか!」
頷くレイン。
「もう魔王との戦争は始まっているのかもしれない。魔王を復活させるカギはツカサ殿だったのかもしれない」
会場に沈黙が訪れる。
「ヤッホ~ ツカサ聞こえる?」
気が抜けた声に聞き覚えがある。
そうユーノであった。
「皆勘違いをしているから教えてあげるね。召喚の儀式は僕が魔法師団団長に教えて、ツカサを召喚しました。少し意思を向けさせるようにもしたけどね。あとまだ魔王も復活はしていないけど、魔王の復活につれて魔物が強くなる事を教えてあげてね」
「お…… おい! 大丈夫か?」
呼びかけに気付かないツカサを心配したフリードが肩を揺すっていた。
「えっえぇ、大丈夫」
「なにかあったのか?」
ユーノからの事を皆に話す。
「先ほどユーノ様から教えてもらったことがあるのですが、今回の召喚の儀式はユーノ様が仕組んだものです。魔法師団の団長に儀式の仕方を教えていたみたいですね。あと魔王はまだ復活はしていませんが…… 復活が近くなると魔物の強さが強くなるみたいです」
レインは勢いよく椅子から立つ。
「なんと! 今ユーノ様とはなされたのですか!?」
「ツカサ? もう座らなくても……」
首を振る。
「貴族様が言うとおり、私は平民であります。このままでも大丈夫です」
レイン達の方を見ながらも笑顔は絶やさない。
「ツカサだけというものあれだな」
フリードもツカサ同様に座ろうとしたが、レインに止められる。
「あい! またれい!!」
腰を折る最中で止まるフリード。
「公爵家以外の貴族と兵士は、今すぐこの場を去れ! そして今見た事は王命で他言無用とする!」
ぞろぞろと部屋を退室していく貴族、兵士達。残った10人程度貴族。
ふぅ~と大きなため息をつき椅子に座りなおすレイン。
「あ~ 何というか、ごめん!」
右手を前にだし軽く謝るレイン。
「こちらこそ、申し訳ない。色々迷惑をかけてしまいました」
「フリード、もういつも通りに話してよ。ここに居る貴族は皆僕達の仲を知っているからね。それとツカサちゃん? もう立ってほしいな」
「それは助かる」
フリードはツカサをサポートして立たせる。
「申し訳ありませんでした。不甲斐無い私のせいで……」
「びっくりだよ。いきなり物乞い見たいな格好をするから」
「すいません。私の世界では誠意を込めて謝るときは、あのようなものなので」
「まぁ世界が違うから仕方ないよね。でも王族の婚約者がむやみに人前で頭を地面につけるような真似だけはしてはいけないよ? フリードに迷惑が掛かってしまうからね。はい! この話はここまでね」
帝国には公爵家が4つあり、そのうちの一人が恐る恐る手を上げる。
「はいどうぞ!」
レインは気軽にその公爵に発言をあたえる。
「申し訳ありません。違う世界と言いましたが? ツカサ様はどういった方なのですか?」
他の公爵家も気になっていたのか頷く。
「ここから先は機密事項になるから言いふらさないでね。ツカサちゃんは、そのままの意味で此処とは別の世界から来たのです」
「なんと!?」
初めてツカサが違う世界の人だと知った貴族は動揺する。
「だから神託もあながち間違いじゃないと思うよ。そうじゃないと変な所があるからね」
「それは? どのような事ですか?」
「まずヴェルヘル王国どうして召喚の儀式を行ったか、そしてその儀式を知っていたのか……」
フリードは初めてそのことに疑問を持った。
「確かに俺の国付近で勇者が使っていた武器が見つかった。それを欲しさに戦争が始まると思っていたが、普通に考えれば可笑しなことだな。選ばれた者しか扱えない武器を他国が戦争までして取りに来るはずが無い。そして召喚の儀式を知っていた者は、うちの魔法師団団長であったが…… まさか!」
頷くレイン。
「もう魔王との戦争は始まっているのかもしれない。魔王を復活させるカギはツカサ殿だったのかもしれない」
会場に沈黙が訪れる。
「ヤッホ~ ツカサ聞こえる?」
気が抜けた声に聞き覚えがある。
そうユーノであった。
「皆勘違いをしているから教えてあげるね。召喚の儀式は僕が魔法師団団長に教えて、ツカサを召喚しました。少し意思を向けさせるようにもしたけどね。あとまだ魔王も復活はしていないけど、魔王の復活につれて魔物が強くなる事を教えてあげてね」
「お…… おい! 大丈夫か?」
呼びかけに気付かないツカサを心配したフリードが肩を揺すっていた。
「えっえぇ、大丈夫」
「なにかあったのか?」
ユーノからの事を皆に話す。
「先ほどユーノ様から教えてもらったことがあるのですが、今回の召喚の儀式はユーノ様が仕組んだものです。魔法師団の団長に儀式の仕方を教えていたみたいですね。あと魔王はまだ復活はしていませんが…… 復活が近くなると魔物の強さが強くなるみたいです」
レインは勢いよく椅子から立つ。
「なんと! 今ユーノ様とはなされたのですか!?」
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
人質姫と忘れんぼ王子
雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。
やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。
お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。
初めて投稿します。
書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。
初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
小説家になろう様にも掲載しております。
読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。
新○文庫風に作ったそうです。
気に入っています(╹◡╹)
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる