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「お慈悲、いたみいります」
「畏まらないでくださいと言っているではありませんか、先ほどまでの口調でけっこうですよ」
「いやっ…… その様な事はできませんツカサ様」
「ツカサですよ。はい復唱」
 兵士は、隊長に助けを求めるかのように目で合図をおくる。
「ツカサ様、お戯れはその辺でよろしいかと」
「そうですね。では、私は友達がまだ一人しかいないのでお友達になってくれませんか? えぇとお名前は?」
「カルロと申します。失礼ですが私は平民ですが?」
「私ではだめですか」
 ツカサは肩を落とす。それを見たロイスは慌てだした。
「いえ私で良ければ喜んで」
「そう?ありがとう」
 笑みをこぼすとロイスはやってしまったと手のひらを顔にあてる。
 知らないうちに横に居たキララが不思議そうに声をかける。
「ツカサ様もう一人の友達はどなたですか? フリード王子さまでしょうか?」
「ん?キララだよ」
 と答えると今にも泣きそうになりながら喜んでいた。
「一生何があってもついていきますよ。ツカサ様」
 フリードにしかりキララもだが一生と言う言葉を軽すぎないかなと思う瞬間だった。
 その間、ロイスが何やら水晶みたいなものを用意していた。
「ツカサ様、魔力測定の準備ができたので水晶に手をおいてくれませんか」
 言われたとおりに手を置くと水晶の中で色んな色が混ざり合っている。
「さすがです。ツカサ様全属性をお持ちになっておられますね」
 ロイスが言うと後ろに居た兵士達が各々に凄いやおぉっという声がきこえる。
「では、魔法を使う前に少々ご説明をいたします」
 この世界の魔法は基本 火 水 風 土 聖 闇が存在している。基本魔法を使うときは言葉を唱えるとイメージがしやすくて良いらしい。
 ロイドは、ツカサに一度魔法をみせる。
「火よ、わが手に集え。ファイヤーボルト」
 唱えるとロイスの手に、火の球体が現れる。目標物に向けて撃つと一直線に飛んでいき的に当たると鈍い爆発音がこだまする。
「おぉ、ロイスさんすごいです」
 今にも飛び跳ねながら喜びそうなツカサ見ている兵士達はまるで小動物に癒されているような雰囲気で笑みをこぼす。
「では、ツカサ様今見たくしてください。ただ全力で魔力を使うのだけはやめてくださいね。魔力過疎といって倒れてしまうので」
「わかりました。ではいきます。火よ、わが手に集え。ファイヤーボール」
ツカサの手に野球ボール位の玉ができ、目標物にめがけて玉を飛ばす。威力はと速度は無いが見事に命中させた。
「一回で成功させるとは、流石ですねツカサ様」
とロイス達は、拍手をしながら見ている。
 初めて使う魔法が楽しくなったツカサは日が落ちるまで練習に夢中になって最後はキララに髪を引かれるように退出しる。
 部屋に戻ると疲れて泥の様に寝た。
「おはようございます、ツカサ様」
 目をこすりながら重い瞼をゆっくりとあける。
「おはよう、キララ」
「今日は、どうなさいますか?」
 昨日は魔法を使うのが楽しく。フリードの存在を忘れていた。どうも訓練を終わらした後ツカサを探していたが見つからなくて夕食の時少し不機嫌だった。
「そうだね、今日はフリードの所に行くから、動きやすい服がいいかな」
キララは、色々持ってきた服をツカサと見比べながらなやんでいる。
 基本令嬢は、ドレス類を着るため動きを優先する衣装は、無いに等しい。
 この世界にも冒険者があり、その女性たちは動きを優先する衣服はある。だがどれもその服は露出面が多くなるため、貴族令嬢に着せる物では無くキララは悩んでいた。
 少しするとキララは、服を持ってきた。
 革できた黒茶色の長袖長ズボンだった。服を来たツカサは、腰まである髪を紐で結ぶとポーテールができる。
 キララは、こんな服を着せるのは嫌だったが、いざ着ると凛々しく見えてうっとりとしていた。
「キララ? どうしたの?」
 身長が低いツカサは、見上げる様になる。上目で見られたキララは、自分の中にある母性本能の衝動に駆られ無意識にツカサの頭を撫でて幸福を感じていが、自分が犯した過ちに      気付き地面に頭がつきそうな位までさげる。
「もっ…… 申し訳ありません。ツカサ様の頭を撫でてしまうとは」
「キララの気持ちいいから、二人の時はなでてほしいな」
キララの手を掴みながら部屋をでる。
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