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三
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それから数日は、あこやは多々羅と村はずれの廃寺で過ごしていた。
季節は可憐な桜が咲き終わり、若葉に移り変わる時分。
もともと尼寺であった廃寺はところどころ障子や廂が痛んではいたが、雨風凌げれば充分であった。
多々羅の助言通り、そしてあこやの宣言通り。
巫女の式神である青龍が死んだとあやかしの間ではすぐに評判になり。
あこやの命を狙って魑魅魍魎が襲い掛かってきたが、ほとんどがあこやの張った結界すら超えられず。
わずかに結界を突破するあやかしも、待ち構えていたあこやに瞬く間に退治された。
今日も牛鬼を鉾鈴で串刺しにし、穢れを落とすため、あこやは近くを流れる小川に禊へと出かけて行った。
「俺の出る幕ないじゃんよ~」
つまらない~と不貞腐れた多々羅に、あこやは「お団子でも買ってきてください」と言いつけた。
多々羅が妖怪退治に使役されるときは食事や湯あみのとき、睡眠時くらいで、あとはもっぱら村里から捧げられる供物や衣類、文を届けるお遣いばかりさせられていた。
禊を終え、濡れ髪を手ぬぐいでふき取りながら、日が落ちてようやく帰ってきた多々羅を出迎え、あこやはため息ついた。
「ひどいですね。青龍に頼めば半刻もかからないうえに、おまけのよもぎ餅までつけてくれるはずなのに。串団子を三本買うのに半日もかかるなんて」
「悪かったな‼ 俺の顔を見た途端、村人たちが逃げ回るおかげでなあ! 村中這いずり回るはめになったわ。妙なお遣いばかりさせやがって。使い魔になるとは言ったが、小間使いになるとは言ってねえよ!」
上面の媚びも売れないほど、いらついた多々羅から風呂敷を受け取って、あこやは「まあ」と微笑んだ。
「ご苦労さまでした。村の者にあなたが私の使い魔だと知らせるためなので、それはよかったです」
「……? あやかしじゃなくて、村の人間にかあ?」
「ええそうです。有象無象のあやかしなんて私の敵ではないと言ったでしょう。それよりも──」
いえ、とあこやは一度言葉を呑み。胸元から巾着を取り出した。
「……それより、これをおつけなさい。一目で私のお遣いだと分かるから。次からは話が通りやすくなるはずです」
大粒の真珠玉を組紐で包編みした首輪だった。多々羅はものすごく嫌そうな顔をした。
「真珠なんて女々しくてやだ。金の首輪とも合わないし。俺は金が好きだから、くれるなら金にしてくれよ」
真珠の首輪をつっかえす。確かに多々羅の胸元には、金色のさざれ石を連ねた首輪が煌めいていた。
「そうですか? 確かに真珠は女性の象徴ですが、男性がつけても上品でいいのですよ。あなたは粗野すぎるので、もう少し落ち着きというものを、って、なんですって、金? これが?」
「そうだ。あの山は金が採れるから。採掘を許す代わり坑夫に俺にも献上させたんだ。山にはいろんなあやかしが出るから守ってやるっていう約束でよ。ちょっと間違えて、迷い人を何人か喰っちまったけど。あ~あ~青龍が邪魔しに来なければそのうち鬼神サマとして祀られたかもしれなかったのにな~」
あこやは眉をひそめた。
「これ、黄鉄鉱ですよ。金とよく間違えられるただの火打ち石です。騙されたのですね。可哀そうに……」
「ぁ゛あ゛⁉ くそがっ……! 今すぐあいつら根絶やしにしてやる! 縛りを解け! 山に戻るッ!」
ぶちり、と黄鉄鉱の首輪を引きちぎり、多々羅は頭から生える角を、怒りのあまりめきめきと鹿の角のように枝わかれさせた。ぐるる、と唸り声まであげる。それこそ鬼神のような迫力で牙をむき出しにする。あこやは臆することなく。むしろあきれ果て、転がった黄鉄鉱を拾った。
「妙に頭が切れるかと思えば、やっぱり単純ですね。こんなものに騙されるなんて。青龍が油断してやられたのも分かります」
珍しくあこやは、ふ、と笑い。
「そんなに怒らずとも黄鉄鉱も鉱石。火山活動で生成される大地の力を蓄えたいい石ですのに。それに、あなたは──」
多々羅の美しい金色の目を見据えた。
「わざわざ金で着飾らずとも。その髪も瞳もどんな宝石よりも美しい。よっぽど素敵」
あんまりにも、あこやがまっすぐに言うので、多々羅はがくりと調子を崩し。枝わかれさせた角をしゅわしゅわと戻した。
「きもちわるっ! なに⁉ 本当に面食いなの巫女さん⁉ 俺が〝楔打ち〟から逃れるために使い魔になったのは分かってるよねえ⁉ 妖怪退治に俺が必要ないならなんで使い魔にしたわけ⁉ 意味わかんねんだけど! こえーんだけど⁉ 早く〝楔打ち〟から解放してくれよ。もうこの山で悪さはしねえから~」
「そういうわけにはいきません。青龍を殺した責任はとってもらいます。少なくともひと月後の吉日までは。最初からあなたに何も期待はしてませんので、ここにいてくれればいいです」
ひと月後の吉日。村里のあの豚のような神主が言っていた言葉を思い出す。
「……そういや縁談とか言ってたっけな? なに、巫女さん、嫁入りするの?」
あこやは顔を伏せ、乾いてしまった串団子をぱくりと口に入れた。
「……まあ、そうですね。来月、庄屋の息子に嫁ぐのです。巫女としての鬼払いの仕事はあなたで最後でした。もし、嫁入りあとにあやかしが私を狙ってきても青龍がいれば追い払うのは容易かったのに」
どっかの馬鹿な鬼に殺されてしまったので、とじろりとあこやは睨み。多々羅はわざとらしくそっぽを向いた。
「……青龍がいなくても私一人で太刀打ちできると証明しなくてはいけなくなりました。私に手を出す気がなくなるまであやかしたちを倒し続けねば。嫁入り先の庄屋にもご迷惑になりますので」
「なるほど~そりゃ閨事のときにあやかしに襲われたら旦那さんも萎えちゃうよな~しかし、もったいねえな、そんなすごい霊力持ってるのに」
合点がいった、と多々羅は軋む板敷の上に寝ころんでけらけら笑ったが、あこやは真剣だった。
「だからこそです。私の祖先は遠い昔に水神と交わった一族。この霊力は代々受け継がれるもの。私も婚姻し、子に引き継がせねばなりませんから」
ふーん、と多々羅は興味なさそうに頬杖をついた。切れ長な瞳がまじまじとあこやを品定めする。
元結でまとめた黒髪を解き、巫女装束ではなく単衣姿のあこやは確かに年ごろの娘に見えた。真珠と称えられるほどの白い肌。薄衣に隠されたまろい胸元。艶やかな唇。物憂げに伏せられた睫毛は影を落とし。冷たい表情を除けば、なるほど〝真珠の巫女姫〟などどもてはやされる美しい娘だった。
「庄屋の息子なら玉の輿かあ。巫女さん美人だし、未来の旦那も気が気じゃないだろうな、鬼と籠っているなんて」
それはそれで優越感がある。気をよくした多々羅は身を起こし、あこやの濡れ髪に手を伸ばした。
「巫女さんも人が悪いなあ。嫁入り前に男と二人きりなんて。貞操観念が薄いんじゃねえの? いちおー俺も男なんだけど。襲われちゃうかもよ?」
──ま、どうせ〝楔打ち〟があるから、手を出せないと高をくくってるのだろう。その通りだが。
多々羅はただの軽口のつもりだったが、あこやはそのとき、ふと、多々羅の目を見た。まっすぐに、金色の目を。
「──いいですよ」
「は?」
「いいですよ、襲っても」
ぱちり、と燭台の火が揺れた。軽快に紡いでいたやりとりが途絶え、妙な間が生まれる。闇夜の中、お互いの息遣いだけが響く。
──なにかの罠、かと。多々羅は笑おうとしたが、引きつった声しかでなかった。
あこやがあんまりにも無防備に多々羅を見上げていたから。動揺するでも、恥じらうわけでもなく。まっすぐに。
「……ええ? 巫女さん、俺に一目惚れしちゃった、とか?」
「それはないですね」
「だよなあー! なに? 面食いの上に色狂いとか?」
大げさに馬鹿にする。あこやは怒らず、さして笑いもせず。
「いいえ、ただ別に、それもいいかと思っただけです。あなたはとても美しいので。嫁入り前に火遊びするのも」
「……本気で言ってる? 青龍を殺したの俺だけど?」
「その責任は今果たしてもらっています。これは、まあ、捨て置いてもいい戯言ですが──本気の戯言です」
完全に調子が狂い、多々羅は何とも言えずに押し黙る。
見つめ合ったまま──にらみ合ったまま。あこやの瞳の色を探るけれど、多々羅にはてんでその言葉の意味が分からず。
妙に真に迫っていて、嘘とは思えなかった。そのことに余計困惑した。
もともと複雑なことを考えるのは向いていないのだ。
真珠色の肌を一瞥し、
この美しい娘を力任せに押し倒したら、気持ちいいのは間違いないだろうな、と本能的に思った。この澄ました顔がどんな顔をするのか、どんな声をあげるのか、それは興味深くはある。あるが──
「……やめとく。なんか怖いし、不気味だわあんた」
「……あやかしに不気味と言われるとは心外です」
するり、とあこやの濡れ髪から手を離した。交わっていた視線がずれて、ぴんと張っていた緊張も解かれる。
あこやは「意外にいくじなしですね」と宣い、残った団子を平らげると、布団の中でさっさと寝入ってしまった。
季節は可憐な桜が咲き終わり、若葉に移り変わる時分。
もともと尼寺であった廃寺はところどころ障子や廂が痛んではいたが、雨風凌げれば充分であった。
多々羅の助言通り、そしてあこやの宣言通り。
巫女の式神である青龍が死んだとあやかしの間ではすぐに評判になり。
あこやの命を狙って魑魅魍魎が襲い掛かってきたが、ほとんどがあこやの張った結界すら超えられず。
わずかに結界を突破するあやかしも、待ち構えていたあこやに瞬く間に退治された。
今日も牛鬼を鉾鈴で串刺しにし、穢れを落とすため、あこやは近くを流れる小川に禊へと出かけて行った。
「俺の出る幕ないじゃんよ~」
つまらない~と不貞腐れた多々羅に、あこやは「お団子でも買ってきてください」と言いつけた。
多々羅が妖怪退治に使役されるときは食事や湯あみのとき、睡眠時くらいで、あとはもっぱら村里から捧げられる供物や衣類、文を届けるお遣いばかりさせられていた。
禊を終え、濡れ髪を手ぬぐいでふき取りながら、日が落ちてようやく帰ってきた多々羅を出迎え、あこやはため息ついた。
「ひどいですね。青龍に頼めば半刻もかからないうえに、おまけのよもぎ餅までつけてくれるはずなのに。串団子を三本買うのに半日もかかるなんて」
「悪かったな‼ 俺の顔を見た途端、村人たちが逃げ回るおかげでなあ! 村中這いずり回るはめになったわ。妙なお遣いばかりさせやがって。使い魔になるとは言ったが、小間使いになるとは言ってねえよ!」
上面の媚びも売れないほど、いらついた多々羅から風呂敷を受け取って、あこやは「まあ」と微笑んだ。
「ご苦労さまでした。村の者にあなたが私の使い魔だと知らせるためなので、それはよかったです」
「……? あやかしじゃなくて、村の人間にかあ?」
「ええそうです。有象無象のあやかしなんて私の敵ではないと言ったでしょう。それよりも──」
いえ、とあこやは一度言葉を呑み。胸元から巾着を取り出した。
「……それより、これをおつけなさい。一目で私のお遣いだと分かるから。次からは話が通りやすくなるはずです」
大粒の真珠玉を組紐で包編みした首輪だった。多々羅はものすごく嫌そうな顔をした。
「真珠なんて女々しくてやだ。金の首輪とも合わないし。俺は金が好きだから、くれるなら金にしてくれよ」
真珠の首輪をつっかえす。確かに多々羅の胸元には、金色のさざれ石を連ねた首輪が煌めいていた。
「そうですか? 確かに真珠は女性の象徴ですが、男性がつけても上品でいいのですよ。あなたは粗野すぎるので、もう少し落ち着きというものを、って、なんですって、金? これが?」
「そうだ。あの山は金が採れるから。採掘を許す代わり坑夫に俺にも献上させたんだ。山にはいろんなあやかしが出るから守ってやるっていう約束でよ。ちょっと間違えて、迷い人を何人か喰っちまったけど。あ~あ~青龍が邪魔しに来なければそのうち鬼神サマとして祀られたかもしれなかったのにな~」
あこやは眉をひそめた。
「これ、黄鉄鉱ですよ。金とよく間違えられるただの火打ち石です。騙されたのですね。可哀そうに……」
「ぁ゛あ゛⁉ くそがっ……! 今すぐあいつら根絶やしにしてやる! 縛りを解け! 山に戻るッ!」
ぶちり、と黄鉄鉱の首輪を引きちぎり、多々羅は頭から生える角を、怒りのあまりめきめきと鹿の角のように枝わかれさせた。ぐるる、と唸り声まであげる。それこそ鬼神のような迫力で牙をむき出しにする。あこやは臆することなく。むしろあきれ果て、転がった黄鉄鉱を拾った。
「妙に頭が切れるかと思えば、やっぱり単純ですね。こんなものに騙されるなんて。青龍が油断してやられたのも分かります」
珍しくあこやは、ふ、と笑い。
「そんなに怒らずとも黄鉄鉱も鉱石。火山活動で生成される大地の力を蓄えたいい石ですのに。それに、あなたは──」
多々羅の美しい金色の目を見据えた。
「わざわざ金で着飾らずとも。その髪も瞳もどんな宝石よりも美しい。よっぽど素敵」
あんまりにも、あこやがまっすぐに言うので、多々羅はがくりと調子を崩し。枝わかれさせた角をしゅわしゅわと戻した。
「きもちわるっ! なに⁉ 本当に面食いなの巫女さん⁉ 俺が〝楔打ち〟から逃れるために使い魔になったのは分かってるよねえ⁉ 妖怪退治に俺が必要ないならなんで使い魔にしたわけ⁉ 意味わかんねんだけど! こえーんだけど⁉ 早く〝楔打ち〟から解放してくれよ。もうこの山で悪さはしねえから~」
「そういうわけにはいきません。青龍を殺した責任はとってもらいます。少なくともひと月後の吉日までは。最初からあなたに何も期待はしてませんので、ここにいてくれればいいです」
ひと月後の吉日。村里のあの豚のような神主が言っていた言葉を思い出す。
「……そういや縁談とか言ってたっけな? なに、巫女さん、嫁入りするの?」
あこやは顔を伏せ、乾いてしまった串団子をぱくりと口に入れた。
「……まあ、そうですね。来月、庄屋の息子に嫁ぐのです。巫女としての鬼払いの仕事はあなたで最後でした。もし、嫁入りあとにあやかしが私を狙ってきても青龍がいれば追い払うのは容易かったのに」
どっかの馬鹿な鬼に殺されてしまったので、とじろりとあこやは睨み。多々羅はわざとらしくそっぽを向いた。
「……青龍がいなくても私一人で太刀打ちできると証明しなくてはいけなくなりました。私に手を出す気がなくなるまであやかしたちを倒し続けねば。嫁入り先の庄屋にもご迷惑になりますので」
「なるほど~そりゃ閨事のときにあやかしに襲われたら旦那さんも萎えちゃうよな~しかし、もったいねえな、そんなすごい霊力持ってるのに」
合点がいった、と多々羅は軋む板敷の上に寝ころんでけらけら笑ったが、あこやは真剣だった。
「だからこそです。私の祖先は遠い昔に水神と交わった一族。この霊力は代々受け継がれるもの。私も婚姻し、子に引き継がせねばなりませんから」
ふーん、と多々羅は興味なさそうに頬杖をついた。切れ長な瞳がまじまじとあこやを品定めする。
元結でまとめた黒髪を解き、巫女装束ではなく単衣姿のあこやは確かに年ごろの娘に見えた。真珠と称えられるほどの白い肌。薄衣に隠されたまろい胸元。艶やかな唇。物憂げに伏せられた睫毛は影を落とし。冷たい表情を除けば、なるほど〝真珠の巫女姫〟などどもてはやされる美しい娘だった。
「庄屋の息子なら玉の輿かあ。巫女さん美人だし、未来の旦那も気が気じゃないだろうな、鬼と籠っているなんて」
それはそれで優越感がある。気をよくした多々羅は身を起こし、あこやの濡れ髪に手を伸ばした。
「巫女さんも人が悪いなあ。嫁入り前に男と二人きりなんて。貞操観念が薄いんじゃねえの? いちおー俺も男なんだけど。襲われちゃうかもよ?」
──ま、どうせ〝楔打ち〟があるから、手を出せないと高をくくってるのだろう。その通りだが。
多々羅はただの軽口のつもりだったが、あこやはそのとき、ふと、多々羅の目を見た。まっすぐに、金色の目を。
「──いいですよ」
「は?」
「いいですよ、襲っても」
ぱちり、と燭台の火が揺れた。軽快に紡いでいたやりとりが途絶え、妙な間が生まれる。闇夜の中、お互いの息遣いだけが響く。
──なにかの罠、かと。多々羅は笑おうとしたが、引きつった声しかでなかった。
あこやがあんまりにも無防備に多々羅を見上げていたから。動揺するでも、恥じらうわけでもなく。まっすぐに。
「……ええ? 巫女さん、俺に一目惚れしちゃった、とか?」
「それはないですね」
「だよなあー! なに? 面食いの上に色狂いとか?」
大げさに馬鹿にする。あこやは怒らず、さして笑いもせず。
「いいえ、ただ別に、それもいいかと思っただけです。あなたはとても美しいので。嫁入り前に火遊びするのも」
「……本気で言ってる? 青龍を殺したの俺だけど?」
「その責任は今果たしてもらっています。これは、まあ、捨て置いてもいい戯言ですが──本気の戯言です」
完全に調子が狂い、多々羅は何とも言えずに押し黙る。
見つめ合ったまま──にらみ合ったまま。あこやの瞳の色を探るけれど、多々羅にはてんでその言葉の意味が分からず。
妙に真に迫っていて、嘘とは思えなかった。そのことに余計困惑した。
もともと複雑なことを考えるのは向いていないのだ。
真珠色の肌を一瞥し、
この美しい娘を力任せに押し倒したら、気持ちいいのは間違いないだろうな、と本能的に思った。この澄ました顔がどんな顔をするのか、どんな声をあげるのか、それは興味深くはある。あるが──
「……やめとく。なんか怖いし、不気味だわあんた」
「……あやかしに不気味と言われるとは心外です」
するり、とあこやの濡れ髪から手を離した。交わっていた視線がずれて、ぴんと張っていた緊張も解かれる。
あこやは「意外にいくじなしですね」と宣い、残った団子を平らげると、布団の中でさっさと寝入ってしまった。
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