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ありのままの気持ちを
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「え……と、結婚する前に、アロイス……アルと話をしたときは、すごく嫌な人だなあって思った」
「あれは……、その、すまない。あなたが私のことを覚えていないことに、拗ねていたんだ」
「ふふ……、アルが拗ねるとあんなふうになるんだ」
慌てるアロイスが珍しくて、レティシアは思わず笑った。
「本当にすまない。私は再会してすぐにレティだって気づいたのに、あなたはまったく気づいてくれないから八つ当たりした。それでひどいことを言ってしまった。自分でもあれはないと思う」
アロイスはきまり悪そうに頭を下げる。
「侯爵家のみんなは優しいし、過ごしていて、とても楽しかった。アルがすごく優しくて、気づいたらアルのことばっかり考えていて、好きになった。私のことを愛してくれる人なんていないと思っていたし、アルには好きな人がいるんだと思っていたから……」
「もう、それは嘘だとわかっただろう? 私がずっと愛しているのはあなただ」
アロイスのサファイア色の瞳が優しく彼女を見つめている。
レティシアはこれほど弱気な彼の姿を見るのは初めてだった。
彼は自分のことを愛しているのだとなんども口にするけれど、レティシアにはいまだに信じ難い。
これが夢ならば一生覚めずにいてほしいと願ってしまう。
彼女の返事を待つアロイスに、レティシアはいまの自分の素直な気持ちを告げることにした。
「私たちが子供だったころ、アルのことは大切な友達で、大好きなお兄ちゃんだった。でも今のアルに感じるのは、もっと醜くて、……汚いもの。私だけを見ていてほしい、他の誰も好きにならないで……って思ってしまう」
できればこんな醜い気持ちはアロイスには見せたくなかった。
けれど、こんなふうに弱っているアロイスに嘘はつけない。
「それは私も一緒だ。あなたがきちんと仕事をしていることはわかっていても、他の近衛のものと親しくしているのを目にすると、どうしても嫉妬を抑えられない。あなたは気づいていなかったのかもしれないが、かなり嫉妬しているぞ? 陛下にそそのかされて、近くにいられる方がいいと、安易にあなたを護衛とすることを承知してしまったことをこれほど後悔したことはない。できることならば、あなたを誰にも見せずにどこかに閉じ込めてしまいたいくらいだ」
驚くレティシアに、アロイスは苦笑する。
「人を愛しく思ったら、気持ちを返してほしいと思うのは普通だと思うが?」
レティシアは流石に彼を閉じ込めて誰にも見せたくないとまでは思わなかった。彼と同じほどの想いを返せるのかが不安になる。
「私は……愛するということがよくわかっていないのかもしれない。父はあの通り、私に関わるのは最低限だし、母は七歳の頃に亡くしてしまっているから、両親から愛されたという記憶はほとんどないの。愛して愛されるという経験がなかったから……」
生活こそ父親がある程度は保障してくれていたが、これまでレティシアに親身になって面倒をみてくれた人はいなかった。
学校では皆が競争相手で、心を打ち明けられるような友人を作ることができなかった。隙あらば蹴落とそうとしてくる相手に、心を打ち明けるのは無理だった。
就職したときからベルクール所長にはずっと世話になっているけれど、やはり上司と部下という関係を越えるものではない。
「私はきっと一生誰のことも愛さずに生きていくんだって思っていたの。だから、アロイス……アルのことを好きになってしまって、すごく戸惑った。自分で自分の気持ちが制御できないのが……怖い」
「それが恋だと思うがな?」
柔らかく微笑む彼に、レティシアはやはりアロイスを好きだという気持ちがこみ上げてくる。
「アルほど好きになった人はいないわ。恋と愛の違いは私にはよくわからないけれど、きっと私はあなたに恋してる」
レティシアは自分の気持ちをすべて告げ、じっと彼の反応を待った。
「レティ……!!」
アロイスのサファイアの瞳が輝く。
どちらからともなく唇が近づき、重なる。
触れるだけのキスなのに、今までのどのキスよりも気持ちが良くて、どうにかなってしまいそうだった。
「私はあなたを愛している。初めて出会ったときには、もう君に恋をしていた。策を弄して、あなたを強引に手に入れたが、それを後悔する気持ちはない。どんな手段を取ろうとも、あなたを手に入れたかったから。だが性急に事を運んだことだけは少し後悔している。あなたの気持ちが手に入らなければ、いくら身体を私のものにしても虚しいだけだとわかってしまったからな……」
アロイスはもう一度彼女の唇に口づけた。
「いまはあなたが私を想ってくれているとわかっただけで、満足だ。あなたは私に愛されているとわかるまで、ずっと私にただ愛されていればいい」
彼の吐息が唇に掛かるほど近い。もう一度感触を確かめたくなって、レティシアは自分から彼に口づけた。
すぐに主導権を彼に奪われ、唇を割って彼の舌が入り込む。
「ん……」
強く舌を吸い上げられて、息が上がる。
レティシアの意識はふわふわとして頼りなくなっていく。
「坊ちゃま、いえ……旦那様、そこまでです!」
「グレース!」
いつの間にか、グレースが寝室の扉を開けていた。
アロイスはしぶしぶレティシアから唇を離す。
レティシアはキスを見られた恥ずかしさに、顔を真っ赤に染め、彼の胸に顔を埋めた。
「奥様は、病み上がりだとわかっていらっしゃいますでしょう?」
「わかっている……」
憮然とした様子で、アロイスは抱きしめていたレティシアを解放する。
「さあ、旦那様も少しお休みください。ほとんど眠れていないのは皆、知っていますよ」
グレースに告げ口され、アロイスは仕方なさそうに立ち上がった。
グレースは食事の乗ったトレイを手にしていた。
「それは、レティの食事か?」
「はい。食べられそうならば食べておいた方が回復も早いかと」
「私が食べさせるから、グレースは下がっていい」
アロイスはグレースの手からトレイを取り上げる。
グレースはしぶっていたが、アロイスの強引さにため息をつきながらも、出口に向かった。
「旦那様、くどいようですが、奥様は病み上がりですからね!」
「わかっている!」
グレースが念押しして部屋を出ていくと、アロイスは受け取ったトレイをサイドテーブルに置いた。
スプーンにスープをすくい、レティシアに差し出してくる。
「あの、自分で……」
「二日も眠ったままだったんだ。私に世話をさせておくれ」
そう言われてしまうと、レティシアも強くは出られない。恥ずかしさを堪えて口を開けた。
消化のよさそうなコンソメスープが、胃に優しく染み渡る。
レティシアは恥ずかしさに耳まで真っ赤になりながら、彼の手から食事を取った。
パンとスープをだけでお腹がいっぱいになる。お腹も膨れた所為か、眠気が襲ってくる。
アロイスはうとうとと船をこぎ始めたレティシアの様子に気づき、トレイを片づけた。
「ほら、少し眠るといい」
「でもまだ話さないといけないことが……」
「それは明日でいい。治癒魔法で怪我は治せても、失った血は取り戻せないのだから。私も眠くなってきたから、一緒に寝よう」
アロイスは自分もベッドに入り、レティシアを背後から抱きしめる。
「えぇ?」
「ほら、寝るぞ」
確かに身体はだるく、いつもほどには動けそうにない。
温かな体温に包まれ、ぽんぽんと優しく布団の上からたたかれて、レティシアの意識はすぐに眠りに飲み込まれた。
「あれは……、その、すまない。あなたが私のことを覚えていないことに、拗ねていたんだ」
「ふふ……、アルが拗ねるとあんなふうになるんだ」
慌てるアロイスが珍しくて、レティシアは思わず笑った。
「本当にすまない。私は再会してすぐにレティだって気づいたのに、あなたはまったく気づいてくれないから八つ当たりした。それでひどいことを言ってしまった。自分でもあれはないと思う」
アロイスはきまり悪そうに頭を下げる。
「侯爵家のみんなは優しいし、過ごしていて、とても楽しかった。アルがすごく優しくて、気づいたらアルのことばっかり考えていて、好きになった。私のことを愛してくれる人なんていないと思っていたし、アルには好きな人がいるんだと思っていたから……」
「もう、それは嘘だとわかっただろう? 私がずっと愛しているのはあなただ」
アロイスのサファイア色の瞳が優しく彼女を見つめている。
レティシアはこれほど弱気な彼の姿を見るのは初めてだった。
彼は自分のことを愛しているのだとなんども口にするけれど、レティシアにはいまだに信じ難い。
これが夢ならば一生覚めずにいてほしいと願ってしまう。
彼女の返事を待つアロイスに、レティシアはいまの自分の素直な気持ちを告げることにした。
「私たちが子供だったころ、アルのことは大切な友達で、大好きなお兄ちゃんだった。でも今のアルに感じるのは、もっと醜くて、……汚いもの。私だけを見ていてほしい、他の誰も好きにならないで……って思ってしまう」
できればこんな醜い気持ちはアロイスには見せたくなかった。
けれど、こんなふうに弱っているアロイスに嘘はつけない。
「それは私も一緒だ。あなたがきちんと仕事をしていることはわかっていても、他の近衛のものと親しくしているのを目にすると、どうしても嫉妬を抑えられない。あなたは気づいていなかったのかもしれないが、かなり嫉妬しているぞ? 陛下にそそのかされて、近くにいられる方がいいと、安易にあなたを護衛とすることを承知してしまったことをこれほど後悔したことはない。できることならば、あなたを誰にも見せずにどこかに閉じ込めてしまいたいくらいだ」
驚くレティシアに、アロイスは苦笑する。
「人を愛しく思ったら、気持ちを返してほしいと思うのは普通だと思うが?」
レティシアは流石に彼を閉じ込めて誰にも見せたくないとまでは思わなかった。彼と同じほどの想いを返せるのかが不安になる。
「私は……愛するということがよくわかっていないのかもしれない。父はあの通り、私に関わるのは最低限だし、母は七歳の頃に亡くしてしまっているから、両親から愛されたという記憶はほとんどないの。愛して愛されるという経験がなかったから……」
生活こそ父親がある程度は保障してくれていたが、これまでレティシアに親身になって面倒をみてくれた人はいなかった。
学校では皆が競争相手で、心を打ち明けられるような友人を作ることができなかった。隙あらば蹴落とそうとしてくる相手に、心を打ち明けるのは無理だった。
就職したときからベルクール所長にはずっと世話になっているけれど、やはり上司と部下という関係を越えるものではない。
「私はきっと一生誰のことも愛さずに生きていくんだって思っていたの。だから、アロイス……アルのことを好きになってしまって、すごく戸惑った。自分で自分の気持ちが制御できないのが……怖い」
「それが恋だと思うがな?」
柔らかく微笑む彼に、レティシアはやはりアロイスを好きだという気持ちがこみ上げてくる。
「アルほど好きになった人はいないわ。恋と愛の違いは私にはよくわからないけれど、きっと私はあなたに恋してる」
レティシアは自分の気持ちをすべて告げ、じっと彼の反応を待った。
「レティ……!!」
アロイスのサファイアの瞳が輝く。
どちらからともなく唇が近づき、重なる。
触れるだけのキスなのに、今までのどのキスよりも気持ちが良くて、どうにかなってしまいそうだった。
「私はあなたを愛している。初めて出会ったときには、もう君に恋をしていた。策を弄して、あなたを強引に手に入れたが、それを後悔する気持ちはない。どんな手段を取ろうとも、あなたを手に入れたかったから。だが性急に事を運んだことだけは少し後悔している。あなたの気持ちが手に入らなければ、いくら身体を私のものにしても虚しいだけだとわかってしまったからな……」
アロイスはもう一度彼女の唇に口づけた。
「いまはあなたが私を想ってくれているとわかっただけで、満足だ。あなたは私に愛されているとわかるまで、ずっと私にただ愛されていればいい」
彼の吐息が唇に掛かるほど近い。もう一度感触を確かめたくなって、レティシアは自分から彼に口づけた。
すぐに主導権を彼に奪われ、唇を割って彼の舌が入り込む。
「ん……」
強く舌を吸い上げられて、息が上がる。
レティシアの意識はふわふわとして頼りなくなっていく。
「坊ちゃま、いえ……旦那様、そこまでです!」
「グレース!」
いつの間にか、グレースが寝室の扉を開けていた。
アロイスはしぶしぶレティシアから唇を離す。
レティシアはキスを見られた恥ずかしさに、顔を真っ赤に染め、彼の胸に顔を埋めた。
「奥様は、病み上がりだとわかっていらっしゃいますでしょう?」
「わかっている……」
憮然とした様子で、アロイスは抱きしめていたレティシアを解放する。
「さあ、旦那様も少しお休みください。ほとんど眠れていないのは皆、知っていますよ」
グレースに告げ口され、アロイスは仕方なさそうに立ち上がった。
グレースは食事の乗ったトレイを手にしていた。
「それは、レティの食事か?」
「はい。食べられそうならば食べておいた方が回復も早いかと」
「私が食べさせるから、グレースは下がっていい」
アロイスはグレースの手からトレイを取り上げる。
グレースはしぶっていたが、アロイスの強引さにため息をつきながらも、出口に向かった。
「旦那様、くどいようですが、奥様は病み上がりですからね!」
「わかっている!」
グレースが念押しして部屋を出ていくと、アロイスは受け取ったトレイをサイドテーブルに置いた。
スプーンにスープをすくい、レティシアに差し出してくる。
「あの、自分で……」
「二日も眠ったままだったんだ。私に世話をさせておくれ」
そう言われてしまうと、レティシアも強くは出られない。恥ずかしさを堪えて口を開けた。
消化のよさそうなコンソメスープが、胃に優しく染み渡る。
レティシアは恥ずかしさに耳まで真っ赤になりながら、彼の手から食事を取った。
パンとスープをだけでお腹がいっぱいになる。お腹も膨れた所為か、眠気が襲ってくる。
アロイスはうとうとと船をこぎ始めたレティシアの様子に気づき、トレイを片づけた。
「ほら、少し眠るといい」
「でもまだ話さないといけないことが……」
「それは明日でいい。治癒魔法で怪我は治せても、失った血は取り戻せないのだから。私も眠くなってきたから、一緒に寝よう」
アロイスは自分もベッドに入り、レティシアを背後から抱きしめる。
「えぇ?」
「ほら、寝るぞ」
確かに身体はだるく、いつもほどには動けそうにない。
温かな体温に包まれ、ぽんぽんと優しく布団の上からたたかれて、レティシアの意識はすぐに眠りに飲み込まれた。
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