【本編完結】イクと激弱になる喧嘩番長は皆に狙われる

miian

文字の大きさ
上 下
51 / 62
最終章 俺の好きな幼馴染(雄二視点)

ブチギレる

しおりを挟む
 久しぶりの学校に近づくにつれて、歩いてる奴から妙な噂がボソボソと耳に入ってくる。

「山神慎太は淫乱らしい」
「色々な男を手玉にとってる」
「色気が凄くて欲求不満」
「イクと弱くなるらしい」

 その噂が耳にしっかりと入った時、拳を握りしめすぎて血が地面に落ちていた。イクと弱くなるという噂も広まっている。

(俺が逃げなければ……)

 自分を責めることしかできなかった。……いや、まずは慎太を探そう。噂くらい後で消せばいい。足を速めてようやく学校へと入る。

(……慎太はどこだ?)

 探す間もなく慎太はすぐに現れた。髪を振り乱して何かから逃げている。どんな相手にも負けず嫌いを発揮し、相手に挑む慎太が逃げているのだ。呪いが発動しているか、発動寸前のどちらかなのだろう。

「慎太」

 ずっとずっと呼びたかった名前を呼んだ。慎太がこちらに気づき、安心したような嬉しそうな表情をして心臓を鷲摑みにされる。先ほどまで離れたことを後悔していたし、慎太に現れるなとまた言われんじゃないかって恐怖があった。でも、その慎太のほっとした表情を見て全てぶっ飛んだ。……のも束の間、慎太の服が乱れ、首筋に噛み痕とキスマークがついていることに気付き、先ほどまでの色々な感情を上書きするくらいに怒りで全身が震えた。俺以外の人間が慎太に触れた。それだけで全員ぶちのめして殺してやりたかった。

 慎太はそんな俺に気付かず、手を引っ張って逃げようとした。ちょうど良かった。誰が追いかけてきているのか知らないが、ぶっ飛ばす。慎太を連れて屋上へと向かう。

「おいっ、屋上に来たら行き止まりだろ!」

 慎太が屋上へ連れてきたことを怒っている。力が出ないと言うのならどうして俺を頼ってくれないんだ……。俺はそんなにも頼りないか?慎太の首筋の噛み痕とキスマークがまた目に入り、この怒りはどうすればいい?

「俺と付き合うなら、お前のこと守ってやるぞ?」

 俺は咄嗟にそんなことを聞いていた。逃げないといけない状況で俺を頼ってくれないことが悔しかった。慎太の乱れた姿を見たことも相まって意地悪な質問をしていた。あの神は俺が気持ちを伝えれないようにしていると言ったが、この質問はセーフだったらしい。まぁ、その質問を言ったところで慎太は驚き、戸惑うだけだった。そのことからも慎太は俺をそんな対象としては全く見ていない。屋上にちょうど人の気配ーー慎太を追いかけてきた奴らが来なければ慎太は全力で断ろうとしただろう。

「ようやく追い詰めたぜ……」

 やって来たのは元番長の戸塚、ボクシング部の中村、体育教師の岡田、化学教師の森川だった。こいつらが慎太に手を出そうとしたと分かり、血管がブチギレぞうだった。全員猿みたいに股間をパンパンに膨らませている。いや、あの時の俺も猿となんら変わりはないか……。

「おい、山神!お前、ケツにローター入れたまんまだろ!ほんと淫乱だな!」

 戸塚の発言にもう我慢ならなかった。全員必ずぶっ飛ばす。ローターという言葉を聞いて、猿は色めき立っている。もう殺意しか湧かなかった。猿たちは我先にと慎太に近づこうとする。そして、各々が慎太にしたことを言い始めた。

「俺は山神のちんぽをしゃぶった仲だぞ」
「俺は山神のケツ叩いたぜ」
「私は素股をした」
「俺はローターをいれたぞ」

 頭の血管が破裂しそうになるくらい怒りで体温が上がる。

「なんだと?俺はちんぽをつついたぞ」
「俺は山神の乳首を噛んだぜ」
「私は尻の穴を見た」
「俺は顔射したぞ」

 今すぐ殴り殺したいのを必死に我慢して腕に力を入れる。いや、今すぐ再起不能にする。

「お前らまとめてかかってこい。俺を倒したら慎太は好きにしていい。ただ俺が勝ったらもう二度と慎太に手を出すな」

 そうして俺は全員をぶちのめした。慎太が俺の勝手な提案に怒っていたが、俺が負けるとでも思ってんのか?全員をぶちのめしても怒りは収まらなかった。分かってる。慎太に怒りをぶつけるのは間違ってるって分かってる。慎太から逃げた自分が悪いことも。それでも、慎太がやすやすと誰かに触れられたことが耐え難かった。

 そして慎太も慎太だ。どうしてあいつらに触られてそんな風にいられるんだ。もう怒りを抑えることが出来なかった。

「何あいつらに触らせてんだよ」

 屋上に奴らが来た時、慎太が咄嗟にポケットを守ろうとしたのを見逃さなかった。案の定、ポケットに手を突っ込むとスイッチが入っていた。これを持っているってことは本当に慎太の中にローターが入っているということだ。ブチぎれてそのスイッチを壊すと慎太に詰め寄った。壁に追い詰め、逃げ場のない怒りを壁にぶつけた。

(……慎太は俺のもんだ)

 あいつらに触られた慎太を今すぐ俺の手で上書きする。もうこれ以上、誰にも触れさせない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

父のチンポが気になって仕方ない息子の夜這い!

ミクリ21
BL
父に夜這いする息子の話。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...