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最終章 俺の好きな幼馴染(雄二視点)
現れた爺
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慎太に現れるなと言われてから学校を2日間休んだ。どうしてあの時、俺は抑えられなかったのだろうか……。そしたら今日もいつものように慎太と一緒に学校へ行き、一緒に過ごすことが出来たのに……。
「雄二、今いい?あんたまだ体調悪いの?」
あの日、朝まで慎太を抱いて家に帰った俺は顔色が心底顔色が悪かったらしい。
部屋にずっと引き込んでいても何も言われなかった。
でも数日経っても出てこない俺を母親がさすがに心配して覗き込んだ。
慎太にどんな顔して会ったらいい?なんて言えばいい?
もし万が一何もなかったことにして前のように戻るなんてことになったら?
そんなの無理だ。俺はもう慎太の蜜を吸ってしまったのだから……。
2日間、そんなことを考えてずっと過ごしていた。怖くて慎太の部屋が見えるカーテンを開けることも出来なかった。
「覚えてるか分からないけど、遠い親戚の人が亡くなって……山奥の田舎なんだけど、体調が悪いなら……」
慎太とのあの出来事を忘れることも、目の前の慎太に触れることができないのも耐え難かった。
ーーだから……だから……俺は……
「一緒に行く」
慎太に会うことが怖くて俺は言葉を被せるように返事していた。
ーー俺は逃げた……
その親戚の家と言うのは本当に山奥で行くのに2日かかった。転寝していたら慎太が夢に出てきた。
あの時のように色めき立った慎太を見て、キスしたくなって顔を近づけた。
この前は嫌がってたくせに何故か慎太はぎゅっと目をつぶってる。
その表情を見て、何故か俺は焦り「起きろ」と声かけていた。
……変な夢だった。
その翌日。また変な夢を見た。真っ暗な中、そいつは現れた。
「あいつに忠告してやったのにいまだにあいつはおにぎりを持ってきよらん!なんて不届き者じゃ!せいぜい呪いに苦しめばいい。ワシに花を生けたお前に……なっ?!」
神々しい輝きを放って舞い降りてきた小さな爺。
俺はそいつを片手で掴んだ。
「うるせぇっ!どういうことだっ?!説明しろっ」
「おまっ、ワシは神様じゃぞっ?!」
「神様なら捕まってんなよ」
「な、なにを生意気なっ!油断してたんじゃ!」
「知るか。教えろ」
「い、いやじゃ!離せ!」
現れた時の呪いという言葉が気になって咄嗟にそいつを捕まえていた。神だろうが何だろうが知らん。掴んでいた手に力を入れる。
「わ、分かった!分かったから力を緩めぃ!」
少し力を緩めてやると爺は説明し始めた。
「……で……というわけじゃ!」
慎太は小汚いヤンキーに突き飛ばされた時に道祖伸を壊して、そこにいたこの爺神が怒ってイクと激弱になる呪いをかけたらしい。その呪いの影響で色気も出るらしい。
じゃぁ、あの時、オレが慎太を押し倒して我慢できなかったのはこの爺のせいかよ……。
俺はそのせいで……。
「あいつが謝るかおにぎりを持ってくれば許してやるつもりだったのに、あいつはすっかり忘れて、イクのを我慢しておるまぬけじゃったわ。まぁ、ちょっと苦労しているみたいじゃがの」
「おい、どう苦労してんだよ?」
「おまっ、力を緩めぃ!オナニーの我慢のしすぎで暴発しかけよったんじゃ!完全にイカなくても色気が出る。ワシの呪いは完璧じゃ!」
その神の言い草から慎太はあまり喜ばしい状況ではないようだった。この時、自分が思っている以上に慎太は危機的状況で俺は慎太から逃げたことを死ぬほど後悔した。
「おい、どうすれば呪いを解くんだ?」
「あいつが自分で気付いて謝らなければダメじゃ。お前が教えたり無理やり謝らせるのもダメじゃ」
おいおい、慎太はおにぎりを持って行くのを忘れてイクのを我慢しているような男だぞ?俺がそのことに絶望を感じていると神がニヤッと笑った。
「ふふん、ワシに花を生けたお前の前にわざわざ現れてやったんじゃ。感謝しろ。そして、あいつの夢にまで自然に入り込んで窮地を助けたんじゃ。その想いに免じて助言を……」
「助言もクソもねぇ。他の方法を早く言え」
「ワ、ワシは腹が減ったんじゃ!ずーっとおにぎりが……」
「うるせぇ」
「わ、わかった!元々お前には言ってやるつもりだったんじゃ……落ち着け!ただ本当に腹が減って力が出ないのじゃ。おにぎりを持ってきてくれたら教えてやる」
この場で言うことはないと神が意思表示を示したので、俺は舌打ちして少し手を緩めてやった。今すぐ帰って慎太の元へ行かないと……。神を完全に解放する前に1つ気になっていることがあり、質問する。
「……中でイクのはどうなんだ?」
「な、中でイク?!お、おぬし、神になんてこと聞いてるんじゃ!」
「うるせぇ、どうなんだ?」
「お、落ち着け!その、中でイクとかワシは知らんからおそらく呪いの効力はないはずじゃ……」
「……じゃぁ、中でしかイケなくなればあいつの力は弱くならないんだな……いや、まずは確かめないと……」
慎太がイクと弱くなるとバレてしまえば慎太が襲われる可能性は高い。こちらから喧嘩を吹っ掛けたことなんてなかった。何故かいつも周りが喧嘩を売って来るのだ。慎太だってもちろん強い(俺の方がちょっとだけで強いだけで)。でも、卑怯な手を使われたら……。
「爺、また握り飯は持って行ってやる。じゃぁな」
「あっ!こら!まず先に飯持って来ーい!」
掴んでいた爺を離すと俺はすぐさまその夢の中から出て行き、慎太の元へと向かった。あの日、慎太が何かを壊したことが頭の片隅に残っていて、夜中にこっそり花をそっと添えに行ったことを思い出した。と言っても道端に咲いていた紫色の花を添えただけだが。
「あいつ、夢の中から颯爽と出て行き寄ったわ……」
ポツンと1人取り残された神がボソッと呟いた。普通は自分の意志で夢から抜け出すのは難しい。それだけあの男の想いが強いってことかのう……。久しぶりに若い人間の熱にあてられそうじゃ。まぁ、相手があのまぬけじゃ苦労しそうじゃが……。
「そうじゃ!あいつの前に現れておにぎりをあいつにも要求すれば二重におにぎりがもらえる!ワシは天才じゃ!」
神がいいことを思いついたと閃き、輝かしい光を放ってその神もその場から消え失せた。
「雄二、今いい?あんたまだ体調悪いの?」
あの日、朝まで慎太を抱いて家に帰った俺は顔色が心底顔色が悪かったらしい。
部屋にずっと引き込んでいても何も言われなかった。
でも数日経っても出てこない俺を母親がさすがに心配して覗き込んだ。
慎太にどんな顔して会ったらいい?なんて言えばいい?
もし万が一何もなかったことにして前のように戻るなんてことになったら?
そんなの無理だ。俺はもう慎太の蜜を吸ってしまったのだから……。
2日間、そんなことを考えてずっと過ごしていた。怖くて慎太の部屋が見えるカーテンを開けることも出来なかった。
「覚えてるか分からないけど、遠い親戚の人が亡くなって……山奥の田舎なんだけど、体調が悪いなら……」
慎太とのあの出来事を忘れることも、目の前の慎太に触れることができないのも耐え難かった。
ーーだから……だから……俺は……
「一緒に行く」
慎太に会うことが怖くて俺は言葉を被せるように返事していた。
ーー俺は逃げた……
その親戚の家と言うのは本当に山奥で行くのに2日かかった。転寝していたら慎太が夢に出てきた。
あの時のように色めき立った慎太を見て、キスしたくなって顔を近づけた。
この前は嫌がってたくせに何故か慎太はぎゅっと目をつぶってる。
その表情を見て、何故か俺は焦り「起きろ」と声かけていた。
……変な夢だった。
その翌日。また変な夢を見た。真っ暗な中、そいつは現れた。
「あいつに忠告してやったのにいまだにあいつはおにぎりを持ってきよらん!なんて不届き者じゃ!せいぜい呪いに苦しめばいい。ワシに花を生けたお前に……なっ?!」
神々しい輝きを放って舞い降りてきた小さな爺。
俺はそいつを片手で掴んだ。
「うるせぇっ!どういうことだっ?!説明しろっ」
「おまっ、ワシは神様じゃぞっ?!」
「神様なら捕まってんなよ」
「な、なにを生意気なっ!油断してたんじゃ!」
「知るか。教えろ」
「い、いやじゃ!離せ!」
現れた時の呪いという言葉が気になって咄嗟にそいつを捕まえていた。神だろうが何だろうが知らん。掴んでいた手に力を入れる。
「わ、分かった!分かったから力を緩めぃ!」
少し力を緩めてやると爺は説明し始めた。
「……で……というわけじゃ!」
慎太は小汚いヤンキーに突き飛ばされた時に道祖伸を壊して、そこにいたこの爺神が怒ってイクと激弱になる呪いをかけたらしい。その呪いの影響で色気も出るらしい。
じゃぁ、あの時、オレが慎太を押し倒して我慢できなかったのはこの爺のせいかよ……。
俺はそのせいで……。
「あいつが謝るかおにぎりを持ってくれば許してやるつもりだったのに、あいつはすっかり忘れて、イクのを我慢しておるまぬけじゃったわ。まぁ、ちょっと苦労しているみたいじゃがの」
「おい、どう苦労してんだよ?」
「おまっ、力を緩めぃ!オナニーの我慢のしすぎで暴発しかけよったんじゃ!完全にイカなくても色気が出る。ワシの呪いは完璧じゃ!」
その神の言い草から慎太はあまり喜ばしい状況ではないようだった。この時、自分が思っている以上に慎太は危機的状況で俺は慎太から逃げたことを死ぬほど後悔した。
「おい、どうすれば呪いを解くんだ?」
「あいつが自分で気付いて謝らなければダメじゃ。お前が教えたり無理やり謝らせるのもダメじゃ」
おいおい、慎太はおにぎりを持って行くのを忘れてイクのを我慢しているような男だぞ?俺がそのことに絶望を感じていると神がニヤッと笑った。
「ふふん、ワシに花を生けたお前の前にわざわざ現れてやったんじゃ。感謝しろ。そして、あいつの夢にまで自然に入り込んで窮地を助けたんじゃ。その想いに免じて助言を……」
「助言もクソもねぇ。他の方法を早く言え」
「ワ、ワシは腹が減ったんじゃ!ずーっとおにぎりが……」
「うるせぇ」
「わ、わかった!元々お前には言ってやるつもりだったんじゃ……落ち着け!ただ本当に腹が減って力が出ないのじゃ。おにぎりを持ってきてくれたら教えてやる」
この場で言うことはないと神が意思表示を示したので、俺は舌打ちして少し手を緩めてやった。今すぐ帰って慎太の元へ行かないと……。神を完全に解放する前に1つ気になっていることがあり、質問する。
「……中でイクのはどうなんだ?」
「な、中でイク?!お、おぬし、神になんてこと聞いてるんじゃ!」
「うるせぇ、どうなんだ?」
「お、落ち着け!その、中でイクとかワシは知らんからおそらく呪いの効力はないはずじゃ……」
「……じゃぁ、中でしかイケなくなればあいつの力は弱くならないんだな……いや、まずは確かめないと……」
慎太がイクと弱くなるとバレてしまえば慎太が襲われる可能性は高い。こちらから喧嘩を吹っ掛けたことなんてなかった。何故かいつも周りが喧嘩を売って来るのだ。慎太だってもちろん強い(俺の方がちょっとだけで強いだけで)。でも、卑怯な手を使われたら……。
「爺、また握り飯は持って行ってやる。じゃぁな」
「あっ!こら!まず先に飯持って来ーい!」
掴んでいた爺を離すと俺はすぐさまその夢の中から出て行き、慎太の元へと向かった。あの日、慎太が何かを壊したことが頭の片隅に残っていて、夜中にこっそり花をそっと添えに行ったことを思い出した。と言っても道端に咲いていた紫色の花を添えただけだが。
「あいつ、夢の中から颯爽と出て行き寄ったわ……」
ポツンと1人取り残された神がボソッと呟いた。普通は自分の意志で夢から抜け出すのは難しい。それだけあの男の想いが強いってことかのう……。久しぶりに若い人間の熱にあてられそうじゃ。まぁ、相手があのまぬけじゃ苦労しそうじゃが……。
「そうじゃ!あいつの前に現れておにぎりをあいつにも要求すれば二重におにぎりがもらえる!ワシは天才じゃ!」
神がいいことを思いついたと閃き、輝かしい光を放ってその神もその場から消え失せた。
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