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第二章 皆に狙われる!
化学室で①
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校舎裏の窓から中へと入った。窓の鍵は閉めたものの、追いつかれるのは時間の問題だ。
(ここはどこあたりなんだ……?)
きょろきょろと見渡すもこの校舎は古くてあまり使われていない校舎だった。なのでここがどこかいまいち分からない。でも近くに教室はなく人気も無さそうだ。
どこかから人の足音が聞こえる。オレは近くの階段を駆け上がり、目に入った部屋へと入ることにした。スライド式の扉を開けると、中は無機質な白い机がいくつか並んでいる。
(あ、ここは……)
「おい、山神、ここで何してる」
入った教室が何の場所か分かった。化学室だ。
そして、厭味ったらしい口調で後ろから声をかけられた。オレは振り返りそいつを見る。化学教師の森川だ。
森川は銀縁のメガネをかけていて冷淡な表情をしている。クールな顔たちではあるのだろうがオレはこいつのこの顔が嫌いだった。瘦せ型の身長高めのこいつはいつもオレを見下ろして馬鹿にしたような目で見てくる。
「お前、さっきも喧嘩してただろ?」
「あれは……」
戸塚が喧嘩を吹っ掛けてきた。確かにオレもその喧嘩に乗ったけど、あいつは何人もの人数でオレに向かってきてあいつの方が卑怯な手段を使ったのに。
でも、これを言ったところで森川にはどうでもいいことなのだろう。こいつはどうしてかオレを目の敵にしているのだ。
「それにお前の噂も聞いたぞ。喧嘩ばかりしているからあんな変な噂が流れるんじゃないのか?」
こいつのこの憎たらしい口調が嫌いなんだよな。でも、森川はくだらない噂を信じてはいなさそうで、オレに何かしようとかは考えてないらしい。
「なんだよ……お前には関係ないだろ?」
オレは森川に突き放すように言って、この部屋を出ようとした。森川を通り過ぎて、扉に手をかけたときだった。
「助けてやろうか?」
森川の意外な言葉でオレは足を止めた。あの森川が今なんて?オレは驚いて振り返り、森川を見た。何を考えているか分からない無表情な顔をしている。
「……いきなり、どうしたんだよ……?」
こいつはオレを嫌ってるはずだ。なのに一体どうしてそんなことを?オレが怪しんだ目をすると、森川には似合わない優しい笑みを浮かべて口を開いた。
「いや、私も教師だ。困っている生徒がいたら助けないとだろ?」
こんなことを森川から言われると思っていなくて、オレはサブイボが立った。
(ぜってーなんか企んでる……)
危うく森川の言葉にそそのかされるところだったぜ……。オレは今度こそこの部屋を出ようとした。
「どれも性欲に絡んだ噂が多かったが、本当にそうなのか?」
「なっ、ちげーよ!」
オレは振り返り森川を睨みつけた。森川はまだ依然として何を考えているか分からない。
「欲求不満を抑える薬をやろうか?」
「はぁ?そんなのいらねー……」
いらねーよと言おうとした時に少し考えた。欲求不満を抑える薬ってなんだ?
それ飲んだらイカなくなってオレの力も元のまんまじゃないのか……?
「どんな……薬だよ……」
森川にそう言うと、カチャッとメガネの縁を指で一度上げた後、口角を上げて笑った。先ほどの不自然な笑みよりも今の笑い方の方がしっくりくる。
「まぁ、簡単に言うとイキにくくなる薬だ。イカずに欲求不満を抑えるモノだ」
おいっ!オレが求めてるような薬じゃねーか!
オレが食いついたと分かったのか、森川は話を続けた。
「勃起不全を治す薬とかがあるのは知ってるだろ?それの反対の薬だ。飲んでみるか?」
「オレが先に目の前で飲んでやるからそれを見てから考えてもいいぞ?」
森川はスタスタと歩き、白い机に透明な小さい袋に入った何かを置いた。
棚からビーカーを取り出して、白い机の横にある水道から水を出してそれに入れた。
(っておい、こいつビーカーをコップ代わりにしてんのかよ……?!)
森川が袋から白い錠剤を取り出し口に入れるとビーカーの水を飲み欲した。
森川のその様子を見るも特に変わりはないようだ。
「どうだ?何ともないだろ?まぁ、この薬の効果を知るには下半身を見るのが一番だが……」
「よせっ!やめろ!」
森川がベルトに手をかけたので、オレは咄嗟にそう叫んでいた。
(森川の下半身なんて見たくねーよ!)
森川が戸棚から違うビーカーを取り出して水道水を入れるとオレの方へ置いた。
そして、透明な袋をオレの方にポンと置いた。
じっと森川を見るも特に変化はなさそうだ。オレはその透明な袋から白い錠剤を取り出して口に入れた。置かれていたビーカーの水でそれを飲み干す。
「……きちんと飲んだな」
傍らでオレの喉元を見てきちんと飲み込んだか見張っていた森川が、オレがきちんと飲んだことを確認すると口角を上げて笑った。
(あれ……?なんか、おかしいぞ……?)
その薬を飲んで10秒もしないうちに身体がポカポカし始めた。オレのちんこもムズムズする……。いや、ムズムズどころじゃない……ちょっと勃起してるぞ?!
「お、い……何を飲ま、せた……?」
呼吸が荒くなり、途切れ途切れに目の前にいる森川に尋ねた。
「言われたものをそのまま飲むなんてお前は本当に馬鹿だな、お前が飲んだのは媚薬だ」
媚薬……?!なんてもの飲ませてんだ!!
オレはイキを荒くしながら森川を睨んだ。森川がこちらへとやって来たので、オレは思わず後ずさった。でも、オレの方へは来ず森川が向かったのは扉の方だ。
「生意気なお前をこうやって窮地に追いやれるとは感慨深いな」
「な、なにが……狙いだ……?」
「お前欲求不満なんだろ?お前を辱めて弱みでも握れたらと思ってな」
森川は化学室の扉の鍵をカチャッとかけるとオレに不敵な笑みを浮かべた。その冷たい視線からはどうやってオレを追い詰めようかと考えている。
その冷淡な目はまるで蛇のようでオレは小さな狭い箱に閉じ込められたマングースになった気分だった。
(ここはどこあたりなんだ……?)
きょろきょろと見渡すもこの校舎は古くてあまり使われていない校舎だった。なのでここがどこかいまいち分からない。でも近くに教室はなく人気も無さそうだ。
どこかから人の足音が聞こえる。オレは近くの階段を駆け上がり、目に入った部屋へと入ることにした。スライド式の扉を開けると、中は無機質な白い机がいくつか並んでいる。
(あ、ここは……)
「おい、山神、ここで何してる」
入った教室が何の場所か分かった。化学室だ。
そして、厭味ったらしい口調で後ろから声をかけられた。オレは振り返りそいつを見る。化学教師の森川だ。
森川は銀縁のメガネをかけていて冷淡な表情をしている。クールな顔たちではあるのだろうがオレはこいつのこの顔が嫌いだった。瘦せ型の身長高めのこいつはいつもオレを見下ろして馬鹿にしたような目で見てくる。
「お前、さっきも喧嘩してただろ?」
「あれは……」
戸塚が喧嘩を吹っ掛けてきた。確かにオレもその喧嘩に乗ったけど、あいつは何人もの人数でオレに向かってきてあいつの方が卑怯な手段を使ったのに。
でも、これを言ったところで森川にはどうでもいいことなのだろう。こいつはどうしてかオレを目の敵にしているのだ。
「それにお前の噂も聞いたぞ。喧嘩ばかりしているからあんな変な噂が流れるんじゃないのか?」
こいつのこの憎たらしい口調が嫌いなんだよな。でも、森川はくだらない噂を信じてはいなさそうで、オレに何かしようとかは考えてないらしい。
「なんだよ……お前には関係ないだろ?」
オレは森川に突き放すように言って、この部屋を出ようとした。森川を通り過ぎて、扉に手をかけたときだった。
「助けてやろうか?」
森川の意外な言葉でオレは足を止めた。あの森川が今なんて?オレは驚いて振り返り、森川を見た。何を考えているか分からない無表情な顔をしている。
「……いきなり、どうしたんだよ……?」
こいつはオレを嫌ってるはずだ。なのに一体どうしてそんなことを?オレが怪しんだ目をすると、森川には似合わない優しい笑みを浮かべて口を開いた。
「いや、私も教師だ。困っている生徒がいたら助けないとだろ?」
こんなことを森川から言われると思っていなくて、オレはサブイボが立った。
(ぜってーなんか企んでる……)
危うく森川の言葉にそそのかされるところだったぜ……。オレは今度こそこの部屋を出ようとした。
「どれも性欲に絡んだ噂が多かったが、本当にそうなのか?」
「なっ、ちげーよ!」
オレは振り返り森川を睨みつけた。森川はまだ依然として何を考えているか分からない。
「欲求不満を抑える薬をやろうか?」
「はぁ?そんなのいらねー……」
いらねーよと言おうとした時に少し考えた。欲求不満を抑える薬ってなんだ?
それ飲んだらイカなくなってオレの力も元のまんまじゃないのか……?
「どんな……薬だよ……」
森川にそう言うと、カチャッとメガネの縁を指で一度上げた後、口角を上げて笑った。先ほどの不自然な笑みよりも今の笑い方の方がしっくりくる。
「まぁ、簡単に言うとイキにくくなる薬だ。イカずに欲求不満を抑えるモノだ」
おいっ!オレが求めてるような薬じゃねーか!
オレが食いついたと分かったのか、森川は話を続けた。
「勃起不全を治す薬とかがあるのは知ってるだろ?それの反対の薬だ。飲んでみるか?」
「オレが先に目の前で飲んでやるからそれを見てから考えてもいいぞ?」
森川はスタスタと歩き、白い机に透明な小さい袋に入った何かを置いた。
棚からビーカーを取り出して、白い机の横にある水道から水を出してそれに入れた。
(っておい、こいつビーカーをコップ代わりにしてんのかよ……?!)
森川が袋から白い錠剤を取り出し口に入れるとビーカーの水を飲み欲した。
森川のその様子を見るも特に変わりはないようだ。
「どうだ?何ともないだろ?まぁ、この薬の効果を知るには下半身を見るのが一番だが……」
「よせっ!やめろ!」
森川がベルトに手をかけたので、オレは咄嗟にそう叫んでいた。
(森川の下半身なんて見たくねーよ!)
森川が戸棚から違うビーカーを取り出して水道水を入れるとオレの方へ置いた。
そして、透明な袋をオレの方にポンと置いた。
じっと森川を見るも特に変化はなさそうだ。オレはその透明な袋から白い錠剤を取り出して口に入れた。置かれていたビーカーの水でそれを飲み干す。
「……きちんと飲んだな」
傍らでオレの喉元を見てきちんと飲み込んだか見張っていた森川が、オレがきちんと飲んだことを確認すると口角を上げて笑った。
(あれ……?なんか、おかしいぞ……?)
その薬を飲んで10秒もしないうちに身体がポカポカし始めた。オレのちんこもムズムズする……。いや、ムズムズどころじゃない……ちょっと勃起してるぞ?!
「お、い……何を飲ま、せた……?」
呼吸が荒くなり、途切れ途切れに目の前にいる森川に尋ねた。
「言われたものをそのまま飲むなんてお前は本当に馬鹿だな、お前が飲んだのは媚薬だ」
媚薬……?!なんてもの飲ませてんだ!!
オレはイキを荒くしながら森川を睨んだ。森川がこちらへとやって来たので、オレは思わず後ずさった。でも、オレの方へは来ず森川が向かったのは扉の方だ。
「生意気なお前をこうやって窮地に追いやれるとは感慨深いな」
「な、なにが……狙いだ……?」
「お前欲求不満なんだろ?お前を辱めて弱みでも握れたらと思ってな」
森川は化学室の扉の鍵をカチャッとかけるとオレに不敵な笑みを浮かべた。その冷たい視線からはどうやってオレを追い詰めようかと考えている。
その冷淡な目はまるで蛇のようでオレは小さな狭い箱に閉じ込められたマングースになった気分だった。
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