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第一章 神の呪い

早引けしよう

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「ふわぁあ」

 オナニーをして眠りについていたオレは大きな欠伸をした。
 欠伸しながら起き上がると、もうすでに雄二が来ていて横に立っていた。

「おわっ、来てたなら起こせよ」

 いつもなら「早く起きろ」とか「いつまで寝てんだ」って声をかけるのに、今日の雄二は何も言わずに立っているだけだった。

「あ、あぁ、わりぃ……。頬の傷、大丈夫か?」

 雄二が何故か一瞬気まずそうに眼を逸らした後、オレの頬の傷を人差し指の背中で優しく撫でるようにして確認した。

「ん?あぁ、これくらい大丈夫だ」
「お前、またオナニーしたのか?」
「あったりまえだろ!オレの日課だかんな」

 呆れた口調で雄二に言われて腹が立ったので、フンと言った感じで返事してやった。

「イカくせぇんだよ。部屋の窓開けんぞ」

 イカくさい?そんなこと今まで言われたこともなければ気にしたこともなく、臭いを嗅いでみる。

「くさいか?オレには分からん」
「いや、まぁ自分では分からないのかもな……」

 手慣れた感じでオレの部屋の窓を開ける。ちなみに窓を開けると雄二の部屋の窓が見える。

「ははっ、なんかお前、おかんみたいだな」

 そうからかうと雄二はオレをにらみつけた。キリっとした目をした雄二もオレと同じく大分端整な顔たちだ。
 例えにらみつけている表情だとしても、女ならときめくやつは多いんじゃないだろうか?
 まぁ、オレの方がイケメンだから、オレには負けるけどな。

「なんだよ、怒るなよ。と言うか、お前顔赤いぞ?風邪でも引いてんじゃね?」
「風邪引いて鼻詰まってくれたらこのイカくさい臭いも嗅がなくてすむんだけどな」

 雄二の様子がいつもと違う気がしつつ、用意された制服を来て高校へと向かった。高校に向かう途中で雄二が警戒するように辺りを見回した。昨日、落ちぶれたヤンキーがオレに殴りかかろうとした道だ。

「なんだよ?昨日のことで警戒してんのか?大丈夫だって、もう油断しねぇから」
「お前はまたそんなこと言って……」
「ーーあんなとこにあんなんあったっけ?」

 オレが昨日尻餅をついた場所であろう所に花が置かれていた。よく見ると、花の向こうにある石が割れている。

「ん?」

 雄二がオレが見ていた方を見ようとした時だった。

「山神慎太!今日こそはお前をやっつけてやる!」

 昨日雄二にあれだけボコボコにされたはずなのに落ちぶれたヤンキーがまたオレたちの前に現れた。

「はぁ、昨日失神してたのに懲りないヤツだな……。俺がやる……」

 隣にいた雄二が呆れた口調でそう呟いた。雄二がそのヤンキーに拳を上げようとしたのが分かったので、その手を引き留める。

「やっぱオレがトドメ刺さないと駄目なんだ。オレに任せとけ!」
「いや、俺がやる」

 いつもならオレに譲る雄二が何故か自分で仕留めると譲らなかった。トドメを刺したと思っていたヤンキーが歯向かってきたからイラついてんのかな?

 そんな風なやり取りをしている間に狙う隙はいくらでもあるはずなのに、落ちぶれたヤンキーはこちらへと向かってこない。雄二もそれに気づいたのか2人でヤンキーの方を見た。

 すると、ヤンキーはオレを見て何故か顔を真っ赤にしている。

「な、お前、なんかイヤらしいぞっ……!」

 そう吐き捨てて、落ちぶれたヤンキーはどこかへと走っていった。2人で首を傾げながら、まぁとりあえず高校へ向かうかと歩き始めた。

 そして、その日、舎弟希望の中学生やオレに目をつけている教師、掃きだめクラスの上級生がオレの前に立つと、顔を赤くして何処かへと去っていくのだった。

「なんかお前、今日変な奴に絡まれやすそうだからさっさと帰れ」

 いつもサボる屋上で雄二がそうオレを窘めた。いや、絡んでくるくせにどっか行くから実際のところ絡まれてはないんだけど……。

 でも、なんか今日は変な感じだし、しょうがなしに帰ってオナニーでもしようかと立ち上がった。すると雄二も一緒に立ち上がった。

「ん?なんだ?お前も帰んの?」
「あぁ、俺もだるいし帰るわ」

 まぁいっかと思って雄二と一緒に家へと帰った。
 うちの家は母子家庭でおふくろしかいないから、大体夜まで家に人がいることがほとんどない。

(ーー明るいうちからオナニーしてやろう!)

 こんな明るい時からオナニーできるなんて、最高だ!
 あ、いや、朝方したっけな?まぁ、オナニーは何回してもいいしな。

(とっておきのオナホでオナニーしまくってやる)

 以前、雄二と私服で大学生風を装ってアダルトグッズのお店へ行ったことがある。その時、小遣いを奮発してオナホを買ったのだ。
 そう言えば、あの時、雄二はエロ本買ってたけど、いつもはオレに見せる癖に見せてこなかったな。

「あ、しん……」
「じゃぁ、またな!」

 お互いの家の前につき、雄二がオレに話しかけるも、オレはオナニーしたい欲が勝って颯爽と家に入った。
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