【本編完結】イクと激弱になる喧嘩番長は皆に狙われる

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第一章 神の呪い

学校のめんどくさい奴ら

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「おい、大丈夫か?」

 雄二が先ほどナイフが当たって少し血が滲んだオレの頬にグイっと親指を押し当てて、こすりあげた。

「いってぇ」

(ーー新手の嫌がらせか?!)

 雄二を睨みつけると、驚いた顔をしているので、ワザとじゃないようだ。そこで雄二が血を拭ったのだと気づく。別にこれくらい大したことないのに、雄二は昔からオレが血を流すと心配する。

 血が嫌いなら喧嘩しなければいいのに、そう言うと雄二はいつも決まって

「俺はお前の右腕なんだろ?」

 と返してくるのだ。

(血が嫌いなのにオレの右腕であろうとするなんてオレも可愛い舎弟を持ったもんだ)


「山神番長!俺を舎弟にしてください!」

 高校の正門へ入る直前に背後から呼び止められた。振り返ると中学生のヤンキーが立っていた。

「またお前か?こりないなぁ」

 中学生であどけない顔をしたヤンキーは少し前からオレにこうやって舎弟にしてくれと申し込んでくる。何でもどこかで喧嘩してるオレを見て、憧れているらしい。

「オレは舎弟なんてとるきないの。諦めて帰ってくんね?オレはオレより強い奴しか認めねぇし」
「じゃぁ、俺が山神番長に一発でもキメれたら舎弟にしてくれますか?」
「おう、いつでもかかってこいよ。今日はもう行くから帰んな」
「お前、またそんな約束して……」

 隣に立っている雄二が呆れた声でオレを見るも、それを聞いた中学生ヤンキーは納得して帰っていった。
 だってこんな風に毎日こうやって来られたらめんどくさいじゃん?

「おっ、山神、今日はまじめに来たんだな」

 教室へと向かう途中、体育教師の岡田が声をかけてきた。今、オレは教師2人に目をつけられていて、岡田はその内の1人だ。と言っても、岡田はもう1人に比べたら可愛いもんだ。

 岡田は、体育教師特有の熱血漢という感じで、

「喧嘩ばかりしているのは体力が有り余っているからだ。どうだ一緒にラグビーやらないか?」

 といつも言ってくる。
 ちなみにうちの高校にラグビー部なんてものはない。
 自分が学生時代、ラグビー部のキャプテンをやっていたからこの高校でもラグビー部を流行らせたいらしい。

「お前、また髪の毛染めたな。校則が緩いからって、学生は学生らしく黒髪にしとけよな」

 岡田がオレの髪色を見て、ゴツい手で髪をガシガシと触ろうとしてくる。

「先生、もう授業始まるんで行きますね」

 オレの髪に触れる前に、雄二が岡田の手を掴み、下ろさせる。

「あぁ、もうそんな時間か。お前ら真面目に授業受けろよ~」

 颯爽と岡田が去って行ったのを見た後、隣にいる雄二を少し見上げた。

「お前、授業なんて真面目に受けたことないだろ?」
「あいつの話長くてうぜぇから」

 まぁ、確かに雄二の言う通り、岡田の話は長くてうざい。その時、廊下の向こう側からもう1人の鬱陶しい教師がやって来るのが見えた。
 思わず雄二の腕を引っ張って近くの階段を駆け上がる。

 化学教師の森川だ。あいつは熱血教師の岡田とは違って、オレのことを目の敵にしているのかってくらいオレに会えば嫌味を言ってくるのだ。
 特に森川に何かしたわけでもないのに、高校入って結構すぐの時から森川はそうだった。
 一度森川を殴りそうになったところを雄二が止めに入り、雄二を殴ってしまったことがある。

『いくら腹が立ったとは言え、さすがに教師に手を出すのはダメだ』

 雄二は殴られたにも関わらず、特に気にせずそう言ってオレを諭した。
 雄二が身を呈してまで教師を殴らせないようにしたのはオレのおふくろに心配かけさせないようにしたのかもしれない。

「山神、寺山、今日こそはぶっ飛ばすからな」

 ガタイのいい学生がこちらに気づき、そうふっかけてきた。
 階段を上がった先にと言われているクラスがあったのを忘れていた。

 どうして掃きだめかって?問題を起こしたり学校をサボりすぎて卒業できなかった生徒を押し込めているクラスだからだ。いわゆる無法地帯っていうやつだな。

「お前たち、静かにしろ」

 背後からいけ好かない声が聞こえて振り向くと、化学教師の森川がいた。お前を避けるために階段を上ったってのに、お前も上がってくるのかよ。
 眼鏡をかけて堅物のような森川は冷淡な目をしてオレを見ていた。

「っち、行こうぜ、雄二」

 森川がオレを見ながら何か言いたそうにしたものの、無視して通り過ぎて行った。
 まぁ、こんな感じでオレの周りにはめんどくさそうな奴がごった返してる。


※中学生が出てきますが、中学生との性描写はありません。
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