4 / 62
第一章 神の呪い
学校のめんどくさい奴ら
しおりを挟む
「おい、大丈夫か?」
雄二が先ほどナイフが当たって少し血が滲んだオレの頬にグイっと親指を押し当てて、こすりあげた。
「いってぇ」
(ーー新手の嫌がらせか?!)
雄二を睨みつけると、驚いた顔をしているので、ワザとじゃないようだ。そこで雄二が血を拭ったのだと気づく。別にこれくらい大したことないのに、雄二は昔からオレが血を流すと心配する。
血が嫌いなら喧嘩しなければいいのに、そう言うと雄二はいつも決まって
「俺はお前の右腕なんだろ?」
と返してくるのだ。
(血が嫌いなのにオレの右腕であろうとするなんてオレも可愛い舎弟を持ったもんだ)
「山神番長!俺を舎弟にしてください!」
高校の正門へ入る直前に背後から呼び止められた。振り返ると中学生のヤンキーが立っていた。
「またお前か?こりないなぁ」
中学生であどけない顔をしたヤンキーは少し前からオレにこうやって舎弟にしてくれと申し込んでくる。何でもどこかで喧嘩してるオレを見て、憧れているらしい。
「オレは舎弟なんてとるきないの。諦めて帰ってくんね?オレはオレより強い奴しか認めねぇし」
「じゃぁ、俺が山神番長に一発でもキメれたら舎弟にしてくれますか?」
「おう、いつでもかかってこいよ。今日はもう行くから帰んな」
「お前、またそんな約束して……」
隣に立っている雄二が呆れた声でオレを見るも、それを聞いた中学生ヤンキーは納得して帰っていった。
だってこんな風に毎日こうやって来られたらめんどくさいじゃん?
「おっ、山神、今日はまじめに来たんだな」
教室へと向かう途中、体育教師の岡田が声をかけてきた。今、オレは教師2人に目をつけられていて、岡田はその内の1人だ。と言っても、岡田はもう1人に比べたら可愛いもんだ。
岡田は、体育教師特有の熱血漢という感じで、
「喧嘩ばかりしているのは体力が有り余っているからだ。どうだ一緒にラグビーやらないか?」
といつも言ってくる。
ちなみにうちの高校にラグビー部なんてものはない。
自分が学生時代、ラグビー部のキャプテンをやっていたからこの高校でもラグビー部を流行らせたいらしい。
「お前、また髪の毛染めたな。校則が緩いからって、学生は学生らしく黒髪にしとけよな」
岡田がオレの髪色を見て、ゴツい手で髪をガシガシと触ろうとしてくる。
「先生、もう授業始まるんで行きますね」
オレの髪に触れる前に、雄二が岡田の手を掴み、下ろさせる。
「あぁ、もうそんな時間か。お前ら真面目に授業受けろよ~」
颯爽と岡田が去って行ったのを見た後、隣にいる雄二を少し見上げた。
「お前、授業なんて真面目に受けたことないだろ?」
「あいつの話長くてうぜぇから」
まぁ、確かに雄二の言う通り、岡田の話は長くてうざい。その時、廊下の向こう側からもう1人の鬱陶しい教師がやって来るのが見えた。
思わず雄二の腕を引っ張って近くの階段を駆け上がる。
化学教師の森川だ。あいつは熱血教師の岡田とは違って、オレのことを目の敵にしているのかってくらいオレに会えば嫌味を言ってくるのだ。
特に森川に何かしたわけでもないのに、高校入って結構すぐの時から森川はそうだった。
一度森川を殴りそうになったところを雄二が止めに入り、雄二を殴ってしまったことがある。
『いくら腹が立ったとは言え、さすがに教師に手を出すのはダメだ』
雄二は殴られたにも関わらず、特に気にせずそう言ってオレを諭した。
雄二が身を呈してまで教師を殴らせないようにしたのはオレのおふくろに心配かけさせないようにしたのかもしれない。
「山神、寺山、今日こそはぶっ飛ばすからな」
ガタイのいい学生がこちらに気づき、そうふっかけてきた。
階段を上がった先に掃きだめと言われているクラスがあったのを忘れていた。
どうして掃きだめかって?問題を起こしたり学校をサボりすぎて卒業できなかった生徒を押し込めているクラスだからだ。いわゆる無法地帯っていうやつだな。
「お前たち、静かにしろ」
背後からいけ好かない声が聞こえて振り向くと、化学教師の森川がいた。お前を避けるために階段を上ったってのに、お前も上がってくるのかよ。
眼鏡をかけて堅物のような森川は冷淡な目をしてオレを見ていた。
「っち、行こうぜ、雄二」
森川がオレを見ながら何か言いたそうにしたものの、無視して通り過ぎて行った。
まぁ、こんな感じでオレの周りにはめんどくさそうな奴がごった返してる。
※中学生が出てきますが、中学生との性描写はありません。
雄二が先ほどナイフが当たって少し血が滲んだオレの頬にグイっと親指を押し当てて、こすりあげた。
「いってぇ」
(ーー新手の嫌がらせか?!)
雄二を睨みつけると、驚いた顔をしているので、ワザとじゃないようだ。そこで雄二が血を拭ったのだと気づく。別にこれくらい大したことないのに、雄二は昔からオレが血を流すと心配する。
血が嫌いなら喧嘩しなければいいのに、そう言うと雄二はいつも決まって
「俺はお前の右腕なんだろ?」
と返してくるのだ。
(血が嫌いなのにオレの右腕であろうとするなんてオレも可愛い舎弟を持ったもんだ)
「山神番長!俺を舎弟にしてください!」
高校の正門へ入る直前に背後から呼び止められた。振り返ると中学生のヤンキーが立っていた。
「またお前か?こりないなぁ」
中学生であどけない顔をしたヤンキーは少し前からオレにこうやって舎弟にしてくれと申し込んでくる。何でもどこかで喧嘩してるオレを見て、憧れているらしい。
「オレは舎弟なんてとるきないの。諦めて帰ってくんね?オレはオレより強い奴しか認めねぇし」
「じゃぁ、俺が山神番長に一発でもキメれたら舎弟にしてくれますか?」
「おう、いつでもかかってこいよ。今日はもう行くから帰んな」
「お前、またそんな約束して……」
隣に立っている雄二が呆れた声でオレを見るも、それを聞いた中学生ヤンキーは納得して帰っていった。
だってこんな風に毎日こうやって来られたらめんどくさいじゃん?
「おっ、山神、今日はまじめに来たんだな」
教室へと向かう途中、体育教師の岡田が声をかけてきた。今、オレは教師2人に目をつけられていて、岡田はその内の1人だ。と言っても、岡田はもう1人に比べたら可愛いもんだ。
岡田は、体育教師特有の熱血漢という感じで、
「喧嘩ばかりしているのは体力が有り余っているからだ。どうだ一緒にラグビーやらないか?」
といつも言ってくる。
ちなみにうちの高校にラグビー部なんてものはない。
自分が学生時代、ラグビー部のキャプテンをやっていたからこの高校でもラグビー部を流行らせたいらしい。
「お前、また髪の毛染めたな。校則が緩いからって、学生は学生らしく黒髪にしとけよな」
岡田がオレの髪色を見て、ゴツい手で髪をガシガシと触ろうとしてくる。
「先生、もう授業始まるんで行きますね」
オレの髪に触れる前に、雄二が岡田の手を掴み、下ろさせる。
「あぁ、もうそんな時間か。お前ら真面目に授業受けろよ~」
颯爽と岡田が去って行ったのを見た後、隣にいる雄二を少し見上げた。
「お前、授業なんて真面目に受けたことないだろ?」
「あいつの話長くてうぜぇから」
まぁ、確かに雄二の言う通り、岡田の話は長くてうざい。その時、廊下の向こう側からもう1人の鬱陶しい教師がやって来るのが見えた。
思わず雄二の腕を引っ張って近くの階段を駆け上がる。
化学教師の森川だ。あいつは熱血教師の岡田とは違って、オレのことを目の敵にしているのかってくらいオレに会えば嫌味を言ってくるのだ。
特に森川に何かしたわけでもないのに、高校入って結構すぐの時から森川はそうだった。
一度森川を殴りそうになったところを雄二が止めに入り、雄二を殴ってしまったことがある。
『いくら腹が立ったとは言え、さすがに教師に手を出すのはダメだ』
雄二は殴られたにも関わらず、特に気にせずそう言ってオレを諭した。
雄二が身を呈してまで教師を殴らせないようにしたのはオレのおふくろに心配かけさせないようにしたのかもしれない。
「山神、寺山、今日こそはぶっ飛ばすからな」
ガタイのいい学生がこちらに気づき、そうふっかけてきた。
階段を上がった先に掃きだめと言われているクラスがあったのを忘れていた。
どうして掃きだめかって?問題を起こしたり学校をサボりすぎて卒業できなかった生徒を押し込めているクラスだからだ。いわゆる無法地帯っていうやつだな。
「お前たち、静かにしろ」
背後からいけ好かない声が聞こえて振り向くと、化学教師の森川がいた。お前を避けるために階段を上ったってのに、お前も上がってくるのかよ。
眼鏡をかけて堅物のような森川は冷淡な目をしてオレを見ていた。
「っち、行こうぜ、雄二」
森川がオレを見ながら何か言いたそうにしたものの、無視して通り過ぎて行った。
まぁ、こんな感じでオレの周りにはめんどくさそうな奴がごった返してる。
※中学生が出てきますが、中学生との性描写はありません。
30
お気に入りに追加
163
あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる