【本編完結】イクと激弱になる喧嘩番長は皆に狙われる

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第一章 神の呪い

落ちぶれたヤンキーくんに絡まれる

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 オレと雄二が通っている高校は乾山高校という、まぁ不良が多い男子校だ。
 そして、オレは高校入ってすぐに三年生の数人に絡まれ、返り討ちにしたら何とそいつらはこの高校の番長だったとかで、オレが高校を仕切ることになった。
 絡まれた時、雄二ももちろん横にいて、一緒に三年生をボコボコにしたのは気持ち良かったな。
 ちなみに番長はずっと雄二を殴ろうとしていたのにあしらわれていて、オレが他の不良を倒して油断している時にオレに殴りかかろうとしてきたので、返り討ちにしてやった。

(油断したところ狙うとかほんと卑怯な奴だ。あんなクソ弱い三年が番長とか終わってる)

『お前が番長を倒したんだからお前がこの高校のトップだな』

 元番長を倒した時に雄二がオレにそう言った。

(雄二は番長のパンチを避けてただけだもんな!こうやってオレの方が強いと分かっていて、先にこういうことを言う雄二はやっぱ昔から一緒にいるだけあってオレのこと分かってんな!)

『じゃぁ、お前はオレの右腕だな!』

 ふふんと笑いながら元番長を踏みつけていたら、雄二はそのセリフに笑いながら一緒に元番長を踏んづけた。

『てか、番長って何するもんなんだ?』

 隣にいる雄二に聞くと「さぁ?」という返事しか返ってこなかった。
 売られた喧嘩は別に買うけど、今まで特に喧嘩をこっちから吹っ掛けたことはあまりなかった。
 まぁ、雄二がいれば何とかなるだろ。
 

 そして、それから二年が経ち高校三年生になって1か月が経った。
 結局番長が何をするか分からないまま過ごしていたものの特に何も問題なく日々が過ぎていた。
 まぁ、たまに喧嘩を売られることはあるけど、大概、オレの元へ来る前に雄二がヤッちまうか、2人で返り討ちにして負けなしだ。

 高校へと向かう途中、隣にいる雄二を見るとボタンを外した胸元からきらっと光るものが見えた。

「おっ、やっぱ似合うな、そのネックレス」
 
 その雄二の胸元からきらっと見えたネックレスは一昨日の雄二の誕生日にオレがあげたやつだ。
 銀色のプレートネックレスはシンプルなデザインで、黒い髪の雄二に似合ってる。
 やっぱオレのセンスはいいな。

 毎年、律儀に雄二がオレにプレゼントをくれるので、オレもしょうがなしに雄二にプレゼントやってんだ。
 ちなみにオレの誕生日は4月で雄二より先に18歳になった。雄二は5月で一昨日ようやく18歳だ。
 オレよりもあとに生まれたくせにオレよりも身長が高くて少しシャクだ。
 
 雄二からはピアスを貰った。今つけてるやつだ。
 金色で小さなフープピアス。シンプルで小さめだから寝てる時につけてても邪魔にならないし気に入ってる。

「お前も似合ってる……」

 雄二がそう言って、オレのピアスのついた耳に手を伸ばした。

ーーその時だった

「お前が山神慎太やまがみしんたか?」

 オレのフルネームを呼ぶ男が目の前に現れた。そいつは金髪でブレザーの制服を着ているが、金色の髪は何度も染めたせいでダメージを受けているし、ブレザーをだらしなく着ているので、まるで落ちぶれたヤンキーのような見た目だ。
 ボタンを外して着崩した格好をしているけど、同じくボタンを外して着崩してる雄二の方が何倍もキマってる。

(何で雄二の方がキマって見えるんだ?学ランとブレザーの差か?と言うか誰だ、こいつ?)

「あぁ、そうだけど?」

 そう答えるや否や、その落ちぶれたヤンキーはオレめがけて殴りかかってこようとした。その時、隣にいた雄二がその男の足を引っかけたので、そのヤンキーは前のめりになった。
 オレは迎え撃つ気満々で蹴りを入れようとしていた時に、ヤンキーが前のめりになったせいでそのヤンキーのお腹に勢いよくオレの蹴りが命中してヤンキーが飛んで行った。

「慎太が蹴りから入るつもりだとは思ってなかった……」

 ヤンキーの男は道端に転がっていてうめき声をあげている。雄二が足を引っかけなければあそこまでダメージは食らってなかっただろうに……。

「あぁ、いや蹴りをそろそろ極めようかと思って……」

 今日の朝、雄二の身長を改めて見て、身長よりも足の長さがポイントじゃないかと思った。
 だって、身長が高くても足が短かったらダサいだろ?
 家を出る時に雄二の足の長さをまじまじと見ると、オレと同じくらいな気がした。

(身長が少し高くてもオレと同じくらいの足の長さじゃ、オレの勝ちだな)

 そう考えて高校へ向かっていたものの、いや、足が長いだけじゃなくて蹴りの強さも大事じゃないか?ーーそう思った矢先に落ちぶれた不良が絡んできたので、蹴りを入れたのだ。
 ちなみにいつもならパンチで一発KOしている。

「うめき声も上げてるしさすがに死んでないよな?」

 さすがに死んでないと思いたいが、落ちぶれたヤンキーは道端に倒れたまんまで動かないのだ。向こうから殴りかかってきたとはいえ、さすがに死なれたら後味が悪い……。
 そう思って、オレは何も考えずに倒れているヤンキーの所へと走る。

「あ、おい、ちょっと待て」

 雄二が後ろから呼び止めるもオレは気にせずヤンキーの元へと向かい、雄二も追いかけてくるが、オレの方が一足先にヤンキーの元へ着いた時だった。

「おい?大丈夫か?お前がいきなり殴りかかってこようと……」

 声をかけると同時に倒れていたヤンキーはナイフを持ってオレを切りつけようとしてきた。
 咄嗟に避けるもヤンキーを覗き込んでいたオレの頬に軽く刃があたり、血がうっすら滲んだのが分かった。

「なっ、お前卑怯だぞっ!」

 ヤンキーにそう言うも、お構いなしにヤンキーはオレに斬りかかろうとしてくる。
 追いついてきた雄二がヤンキーの腕を蹴り上げてナイフはどこかへと飛んで行った。
 でも、飛んで行ったのはナイフだけで、ヤンキーはオレを攻撃することをあきらめず勢いよく突き飛ばした。

「ーーいってぇ……」

 ヤンキーの懇親の力だったのか、ガシャンという音と共に道端の何かにオレは尻餅をついていた。
 顔を上げると、雄二が落ちぶれたヤンキーをボコボコにしてもっと落ちぶれさせていた。

 さすがにそれ以上、ボコると死ぬんじゃね?そう思って慌てて立ち上がり、雄二を止めにいった。
 ヤンキーが何故、オレに殴りかかってきたか知りたかったのに、雄二がボコりすぎたせいで、落ち武者みたいになった不良は気絶していた。

(まぁ、雄二が殺してなかったからいいか……)

 どうせこいつがオレに殴りかかろうとして来たのも番長とかって理由だろう。
 雄二に「行こうぜ」と言って、ヤンキーを捨て置いて、高校へ向かった。

 その時、オレの壊したであろう何かが光り輝いていることを誰も知る由もなかった……。
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