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第三章 愛の逃避行

モグイエナの糸

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 ライリアンの森でコリンを採って、供え物袋に入れると吸い込まれるように中へと入って行った。トルデンが残りの供え物について教えてくれようと紙に書こうとしたが、何故か書くことは出来なかった。でも、口頭で伝えることは出来るらしくて1つずつ名前を言い、数を数えると全部で100個の供え物が必要らしい。もちろん簡単に集められるわけではなく、あちこちに行かないといけないらしい。

 そして、今はライリアンの森で果実のコリンと黄緑色の花・サワアンと紺色の花・クオルンナ、薬草のレディアを手に入れた。コリンはグルファン王国の近くの森でも採れるらしいが、それ以外はこのラハナリアの森でしか採れない。ってことは採らずに進むとめんどくさいってことだ。しかもまだ4つ……。

「まだまだ道のりは遠そうだな……」
「ふふっ、沢山言葉覚えれるね」

 何が楽しいのか分からないがトルデンは機嫌よくそう言った。

「でも、供え物の中に知らないものも多くあって……それを調べつつ進む方が良さそう。アルトロに聞いておけば良かったです」
「いや、でも、あいつ自分で引きこもりって言ってたし知らないんじゃないか?」
「……確かにそうですね。図書館にでも入れたらいいんですが」
「今いるライリアンの森の街にはないのか?」
「ライリアンの森はライリーアンの国に属しているんですが、ライリーアンの街はラハナ国にあって、ややこしいんですが、ライリアンの森はオクアル国とラハナ国を繋ぐ森みたいなイメージです。ラハナ国にはないと思いますし……」

 よく分からないがとりあえず図書館はないらしい。そして、太陽が昇ってきた頃、ジリジリと暑い日差しでトルデンとオレは汗だくだった。真夏ではないのにどうしてこんなに暑いんだ?ようやく街のような入り口が見えてきた時、検疫所の門番が近づいてきた。

「お前たち、何してるんだ?」

 門番が怪しむ感じでこちらを見ているが、七変化の魔法石のおかげか、魔力の多さなどに違和感はないらしい。

「ラハナ国に入りたくて」
「モグイエナの糸は持ってないのか?そのままでは死ぬぞ」
「「え?」」
「ラハナ国に入るのに必要なのを知らないのか?モグイエナのクモの糸はライリアンの森にある。取ってきなさい」

 その門番が言うには、モグイエナの糸を小指に巻き付けることで暑さ対策ができるらしい。ラハナ国はとても暑い国なのでそれがないと死ぬらしい。お、教えてくれて良かった……。

「あっ、モグイエナの糸も供え物に入ってました。取りこぼさず良かったです」
「言われてみたらそうだな」

 トルデンが言うまで思い出しもしなかったけど。一度聞いただけでは覚えられるはずがない。

「一体どこら辺にいるんですかね?」
「蜘蛛っていうからには木にいるんじゃないか?」
「クモは友也の国にもあるの?」
「あぁ、いるぞ。8本足で小さい昆虫の蜘蛛だろ?」
「??」

 あれ?オレ、おかしなこと言ってるかな?

「あ、あそこにいました」

 トルデンが指した方向には白いふわふわした何かがいた。トルデンがそれをぎゅっと捕まえるとピューっと糸を吐いた。確かに出てきたのは蜘蛛の糸のような細くて透明だったが、トルデンが掴んでるのはまるで……

「クモってそっちの雲なのかよ……」
「どうしました、友也?」

 ラハナ国から大分離れたのでその日の夜は木の穴蔵で過ごすことにし、雲と蜘蛛の違いを説明した。漢字は書けないけど、トルデンは面白そうに聞いていた。

【集めた供え物】
果実・コリン
黄緑色の花・サワアン
紺色の花・クオルンナ
薬草・レディア
素材・モグイエナの糸
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