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第三章 愛の逃避行

第1章までのあらすじと登場人物紹介(ネタバレあり)

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第1章までのあらすじ

友也は年齢の割に身長が低く、吊り目のせいで目つきが悪いと言われ、母親の恋人からよく殴られていた。ある日、母親を庇うために歯向かったところ突き飛ばされ意識を失い、目が覚めると異世界へ転生していた。友也は『自己犠牲』という能力の持ち主として、毒に臥せっていたグルファン王国の第二王子トルデンを助けるために召喚された。状況が分からないままに友也はトルデンの毒を貰い受け、苦しんだ。猛毒のため死ぬものだと思い友也は地下牢へと放り込まれていたが、能力のおかげか死ぬことはなく、回復したトルデンに救出された。トルデンは友也を甲斐甲斐しく世話した。

この世界は魔術を使える者が多い。魔術は攻撃魔術か護る魔術のどちらかしか使えないが、稀に両方使える者もいる。それがトルデンだった。ただトルデンは誰かを傷つけるのが嫌いで、攻撃魔術を使いこなすことができなかった。そのため、城では西の塔に追いやられており、トルデン自身も大人しい性格でひっそりと過ごしていたが、友也が来たことによって少しずつ変わっていった。神殿を取り仕切っていた騎士団長のオークスは友也の能力を使って悪だくみを考えていた。この世界に治癒師はいない。それに加えて通常、手をかざして能力を使うが友也は手を触れさすだけで相手の怪我や毒を貰うことが出来るのだから、使い勝手が良いと踏んだのだ。

トルデンは国やオークスが友也を利用しようとしていると気付き、友也を元の世界に戻すことにした。トルデンが友也を神殿へと送り届けた後、トルデンの知らぬところで友也を召喚した神官のムヒアスが友也を連れ去った。送り届けられた先はオークスの元で、友也の目の前でムヒアスは殺されてしまった。

オークスは友也をマルア国という戦争真っただ中の国へと売り飛ばした。マルア国は傭兵が多く、小汚い国だった。そこの国の王は最近父親を殺し、自身が王となり膨大な魔力で隣国を攻め入っていた。友也はそこで傷を貰い続けさせられた。ある時、地下牢の別の部屋に女の子が囚われていることに気付いた。スキルという名の少女を助けるべく、友也は隙を狙って逃がした。友也はスキルを逃がしたことにより殴られ、その国の王に犯されそうになったところをトルデンが救出した。トルデンは後ろ手に手枷をさせられていて、裸のままトルデンの外套で包まれた。その優しい手つきと温かい胸が懐かしくて頭を胸に委ねた。

トルデンは自身の愚かさと友也への救出が遅れたことに後悔と怒りで心はぐちゃぐちゃになっていた。その日、マルア国は今までにないほどの雷雨が襲い、一晩でマルア国は失われた。



第1章までの登場人物紹介

友也
吊り目。見た目と家庭環境のせいでよくヤンキーや不良に間違われるけど、そうでもない。幼少期からまともにご飯を食べていなかったので身長が低い。

トルデン第二王子
グルファン王国の第二王子。金髪、金色の瞳で優しそうな風貌。大人しく、ルゥ国出身の母を慕っていた。この世界では珍しい雷の魔術を使える。また護る魔術の結界も小さいながらにも使うことが出来る。

ラウリア第一王子
魔力が膨大で魔術に長けている。呑気で朗らかで自己肯定感が高くてナルシスト。透き通るような青い瞳でウェーブがかった金色の髪。

エンフィル第三王子
黒い髪に黒い瞳に鋭い目つきで冷たい視線。トルデンとの関係は少し謎なところが多い。

国王陛下
グルファン王国の国王陛下。外交に勤しんでいる。

騎士団長オークス
黒い髪に何を考えているかよく分からない狡猾そうな顔。友也を利用しようとする。

ルニス宰相
国王陛下が外交している間、国のことを頼まれている。トルデン、友也の管理も頼まれている。

ロズメア
グルファン王国の図書館で働く司書。腰が痛い。

ムヒアス神官
最年少の神官。神託が下り、友也を召喚した神官。糸目で何を考えているか分からない。

ユーシア神官
ホルアンの父親。神官は基本的に神殿で過ごすことになるが、例外としてルウファで息子のホルアンと共に住むことを認められている。それはテヒシタの後押しのおかげ。

テヒシタ神官
ジアルの父親。神殿で一番年長者。

ホルアン
ユーシアの息子。黒髪で真面目な青年。護る魔術の結界が使えて、トルデンから習っていた。

ジアル
テヒシタの息子。ホルアンとは幼馴染で寡黙。攻撃魔術が使えるが魔力はあまりなく、剣術も長けていない。でも繊細に扱うことができる。本当は父親と同じ神官になりたい。

スキル
アオフモア国の宿屋の娘。歌声が綺麗で精霊も魅了する。

アビー
アオフモア国の王女。精霊の加護と力を持っていると言われている。ただ精霊の力が強すぎて幼少期は伏せっていた。
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