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番外編 神の存在とは?
逃げ場のない蜘蛛の糸 ムヒアスside
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召喚者を呼び出した後、少ししたら誰にも言わずに神殿を去るようにとオークスがムヒアスに言った。オークスは、トルデンが召喚者を元に戻そうとしていることを知り、湖の近くにルアを戻す予定だと嘘をついたのだ。ムヒアスはルアを探し続けた。時間だけが過ぎ、途方に暮れていた時、そこに右腕を負傷したオークスが現れた。飛び掛かり、オークスを罵りながらルアの居場所を尋ねた。ても、オークスはルアの居場所を教えることはなかった。
「ルアは?!ルアはどこだ?!」
「何食わぬ顔で神殿に戻れ。そして、帰還の儀式を行うと言って、あの子供を連れ出せ。そうしたら女の本当の居場所を教えてやる」
「この卑怯者!」
「女の命に異常はない。だが、遅ければどうだかな」
いつもは感情を露わにしないムヒアスが怒鳴る。殺してやりたいくらい腸が煮えくり返っていた。でも、ルアを助けるためにはしょうがなかった。
オークスはグルファン王国から追われる身となってしまったため、グルファン王国付近での引き渡しはさけたいところだ。そこで北東に位置するアドニク国のアドニクルモアの森に連れて来るように言った。あの国はグルファン王国に敵対しているわけじゃないがよく思っていない。隠れみのにはうってつけだ。女を人質に取っているからムヒアスは死に物狂いで友也を連れて来るはずと目論み、それは正解だった。
オークスは根回しも念入りだった。テヒシタはどちらかと言うと召喚者を利用するより元の世界に戻したいというトルデンと同じ考えなことを知っていた。案の定、テヒシタはユーシアに言い、トルデンの耳に入ることとなった。ムヒアスが戻ったことは城には言わないように、残留しているこちら側の騎士に手回しもしていた。
そうこうしている内に召喚者がやって来てしまった。召喚者をオークスの元へ連れて行くために、ムヒアスはテヒシタの命を犠牲にしてしまった。ムヒアスは別にテヒシタ神官のことを嫌いではなかった。業務に携わることにはチクチクとうるさいがただそれだけだった。目を閉じ、いつの間にか夢の世界に入ると、いつも血にまみれたテヒシタ神官が目に映る。そして次にルアの姿が目に浮かぶ。お腹が大きく、出産の痛みに怯えていたルア。傍にいると約束した自分はどうして今、傍にいないのだろう……。ルアがこちらを見て「ひっ」と小さな悲鳴を上げる。ふと手を見ると血にまみれていた。ルアは血が嫌いなのだ。
「ごめん。ルア、すまない……ルア、行かないでくれ……ルア、今助けるから」
手を伸ばしたのにルアには届かない。この夢は召喚者が馬車で妊婦を助けた時から色濃く現れるようになった。召喚者の子供が私を起こし、悪夢から呼び戻す。目の前の子供は神託によってこちらの世界に呼び出された。今もこうやって利用されようとしているのにこちらを気遣う。神は一体どうしてこの少年を呼び出したのだろうか?何故彼にこの能力を与えたのだろうか?
妊婦を助けたことによって、ドドルア国とファーカス国が召喚者を探し始めた。御者は逃げ、森に逃げ込むと、今度はグルファン王国の騎士がやって来てルアの髪をひと房おいて行った。
(ルア……ルア……ルア……!)
騎士に怪我をさせられたが、それは召喚者の子供に貰われた。普通ならこんな小さな子供に、と思うはずが自分にはもう何も考えられなかった。ルアの髪を血で汚してしまったことで正気でいられなかった。その血を落とそうと水で何度も洗うのにどうしても落ちない。
(ルア、ごめん……ルア、無事でいてくれ……ルア……)
「ルアは?!ルアはどこだ?!」
「何食わぬ顔で神殿に戻れ。そして、帰還の儀式を行うと言って、あの子供を連れ出せ。そうしたら女の本当の居場所を教えてやる」
「この卑怯者!」
「女の命に異常はない。だが、遅ければどうだかな」
いつもは感情を露わにしないムヒアスが怒鳴る。殺してやりたいくらい腸が煮えくり返っていた。でも、ルアを助けるためにはしょうがなかった。
オークスはグルファン王国から追われる身となってしまったため、グルファン王国付近での引き渡しはさけたいところだ。そこで北東に位置するアドニク国のアドニクルモアの森に連れて来るように言った。あの国はグルファン王国に敵対しているわけじゃないがよく思っていない。隠れみのにはうってつけだ。女を人質に取っているからムヒアスは死に物狂いで友也を連れて来るはずと目論み、それは正解だった。
オークスは根回しも念入りだった。テヒシタはどちらかと言うと召喚者を利用するより元の世界に戻したいというトルデンと同じ考えなことを知っていた。案の定、テヒシタはユーシアに言い、トルデンの耳に入ることとなった。ムヒアスが戻ったことは城には言わないように、残留しているこちら側の騎士に手回しもしていた。
そうこうしている内に召喚者がやって来てしまった。召喚者をオークスの元へ連れて行くために、ムヒアスはテヒシタの命を犠牲にしてしまった。ムヒアスは別にテヒシタ神官のことを嫌いではなかった。業務に携わることにはチクチクとうるさいがただそれだけだった。目を閉じ、いつの間にか夢の世界に入ると、いつも血にまみれたテヒシタ神官が目に映る。そして次にルアの姿が目に浮かぶ。お腹が大きく、出産の痛みに怯えていたルア。傍にいると約束した自分はどうして今、傍にいないのだろう……。ルアがこちらを見て「ひっ」と小さな悲鳴を上げる。ふと手を見ると血にまみれていた。ルアは血が嫌いなのだ。
「ごめん。ルア、すまない……ルア、行かないでくれ……ルア、今助けるから」
手を伸ばしたのにルアには届かない。この夢は召喚者が馬車で妊婦を助けた時から色濃く現れるようになった。召喚者の子供が私を起こし、悪夢から呼び戻す。目の前の子供は神託によってこちらの世界に呼び出された。今もこうやって利用されようとしているのにこちらを気遣う。神は一体どうしてこの少年を呼び出したのだろうか?何故彼にこの能力を与えたのだろうか?
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(ルア……ルア……ルア……!)
騎士に怪我をさせられたが、それは召喚者の子供に貰われた。普通ならこんな小さな子供に、と思うはずが自分にはもう何も考えられなかった。ルアの髪を血で汚してしまったことで正気でいられなかった。その血を落とそうと水で何度も洗うのにどうしても落ちない。
(ルア、ごめん……ルア、無事でいてくれ……ルア……)
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