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第一章 手に入れた能力
結界魔術
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広場でゆっくり過ごした後、トルデンの言っていた魔術を教える子がいる場所へ向かった。
「ユーシア神官、お久しぶりです」
トルデンが向かった先は1つの家だった。家の前に着くとすぐに中から人が出てきた。トルデンがユーシアと呼んだその人は白髪交じりで貫録がある。
「トルデン様、体調が無事に戻ったとのことで良かったです。心配していたんです。彼がその召喚者様ですか?」
「はい、彼が私の命を救ってくれたトモヤです。トモヤ、ユーシア神官です。あ、ちょうど来ましたね。あの子たちのことも紹介しておきます。黒い髪の青年がホルアン、茶色い髪をした青年がジアルです。ホルアンはユーシアの息子です。ふふっ、ユーシア、もう嬉しそうな顔をしていますね」
ユーシアと呼ばれたその年配の男性を見ると、顔をほころばせている。ユーシアは年を取ってからできた息子のホルアンが可愛くてしょうがないらしい。
「最近、城へ剣術を習いに行くようになったので、一緒に過ごす時間が少なくなって……」
ユーシアが嬉しそうにもう一度息子の方を見た。今日は今やって来た2人に護る魔術を教えるらしい。と言っても、ジアルは護る魔術ではなく攻撃魔術を使うタイプとのことだ。トルデンはホルアンとジアルに何か説明した後、2人に何かを指示してユーシアとオレのいる少し離れた場所へとやって来た。ホルアンとジアルは手をかざして何かしている。
「ホルアンはもう少しで16歳でしたよね?将来はどうすると?」
戻って来たトルデンがユーシアに尋ねた。
「はい。ホルアンもジアルももう少しで16歳になります。息子のホルアンも私と同じように神官を望んでいるんですが、体力もありますし、できれば騎士団に入った方がいいんじゃないかと私は思っていて……」
「そうですね……ホルアンは結界の魔術も使えるし剣も使えるから騎士団の方が向いているかもしれません」
「トルデン様、できました!」
「ふふっ、上手ですね。ではホルアン、ここに結界を張ってみてください」
犬のような表情をしてホルアンという青年がこちらへとやって来た。ホルアンは真面目そうで返事もハキハキするタイプのようだ。もう一人の無口な人間ーージアルと紹介された人間をチラッと見た。何だろう端整な顔たちをしているのに、どこか掴めなくて何を考えているか分からない。攻撃魔術を使うジアルはよく分からないが薄い何かを作っては消している。ホルアンとジアル、2人は幼馴染で仲が良いみたいだ。戻って来たトルデンとまたユーシアが話し始める。
「私も亡くなった妻も魔力はあまりなかったんですが、ホルアンには魔力があってよかったとつくづく思います……」
ユーシアが息子のホルアンを見つめながらそう言った。あぁ、そう言えばさっき子供に魔力は遺伝するか分からないと言っていたな。そして、今の話だと魔力がない者同士の子供でも魔力があることがあるらしい。
「ジアルのお父様ーーテヒシタ神官に先日会いましたが、ジアルのことを気にかけていました。ジアルは将来どうしたいとかって聞いてますか?」
「父親を慕っていますし私にも懐いてくれているので、本人は神官を希望しているんですが……」
ユーシアはどこか濁しながら言った。その言い方はまるで神官にはなって欲しくないような、そんな言い方だ。
「ジアルはきめ細やかな魔術を使えるのでどこでもきっとやっていけます」
安心させるようにトルデンがユーシアに微笑んだ。テヒシタ神官はこの前、神殿で会った人だ。あの人があのジアルの父親らしい。
「ユーシア、ムヒアス神官が神殿からいなくなったみたいなんですが、何か知りませんか?」
「いえ、私は何も……」
「そう、ですか……。ユーシア、トモヤはその……念じなくても、それこそ彼の意志に関係なく触れるだけで相手の怪我を貰い受けるみたいなんですが、そう言った事例は今までにありますか?」
「召喚者様の能力はルウファ新聞で拝見しましたが、念じなくても貰い受けることができるのは知りませんでした……。私にはまだ神託が降りたことがなく、どのような感覚か分からないのですが、きっと神託が降りてきた神官なら何か知っているはずです。あ、今回の神託が降りたのはムヒアス神官でしたね……」
ユーシアもそのことに気付いて少し考え込んだような表情をした。
「ムヒアス神官が神殿へとやって来た時、オークス騎士団長が神殿を管理すると聞きました。私はその時にはもう神殿から離れてこちらに住まわせて頂いていたのですが……神殿での業務が忙しくなったようでテヒシタが大変そうでした……」
ユーシアも元々神殿にはいたらしいが、ホルアンの母親が亡くなりホルアンが大きくなるまでルウファで一緒に過ごすことを許してもらったらしい。そして、先ほどジアルが神官になりたそうだと言った時に濁したのは、ジアルの父親が大変そうだと知っているからかもしれない。
魔術を練習しているホルアンとジアルを見た。ホルアンは石ころや果物に結界を張り、ジアルは無言で何かをしている。その様子を見たトルデンが練習している2人に近づく。
「ふふっ、ジアルも上手になりましたね」
「トルデン様!できました!」
「ホルアン、上手ですね。私は小さな結界しか張れないですが、ホルアンはきっともっと大きな結界を張れるようになるはずです」
トルデンは教え方が丁寧で、教えられている2人も慕っているようだ。この日、日が暮れるまでトルデンはホルアンとジアルに魔術を教えた。
「ユーシア神官、お久しぶりです」
トルデンが向かった先は1つの家だった。家の前に着くとすぐに中から人が出てきた。トルデンがユーシアと呼んだその人は白髪交じりで貫録がある。
「トルデン様、体調が無事に戻ったとのことで良かったです。心配していたんです。彼がその召喚者様ですか?」
「はい、彼が私の命を救ってくれたトモヤです。トモヤ、ユーシア神官です。あ、ちょうど来ましたね。あの子たちのことも紹介しておきます。黒い髪の青年がホルアン、茶色い髪をした青年がジアルです。ホルアンはユーシアの息子です。ふふっ、ユーシア、もう嬉しそうな顔をしていますね」
ユーシアと呼ばれたその年配の男性を見ると、顔をほころばせている。ユーシアは年を取ってからできた息子のホルアンが可愛くてしょうがないらしい。
「最近、城へ剣術を習いに行くようになったので、一緒に過ごす時間が少なくなって……」
ユーシアが嬉しそうにもう一度息子の方を見た。今日は今やって来た2人に護る魔術を教えるらしい。と言っても、ジアルは護る魔術ではなく攻撃魔術を使うタイプとのことだ。トルデンはホルアンとジアルに何か説明した後、2人に何かを指示してユーシアとオレのいる少し離れた場所へとやって来た。ホルアンとジアルは手をかざして何かしている。
「ホルアンはもう少しで16歳でしたよね?将来はどうすると?」
戻って来たトルデンがユーシアに尋ねた。
「はい。ホルアンもジアルももう少しで16歳になります。息子のホルアンも私と同じように神官を望んでいるんですが、体力もありますし、できれば騎士団に入った方がいいんじゃないかと私は思っていて……」
「そうですね……ホルアンは結界の魔術も使えるし剣も使えるから騎士団の方が向いているかもしれません」
「トルデン様、できました!」
「ふふっ、上手ですね。ではホルアン、ここに結界を張ってみてください」
犬のような表情をしてホルアンという青年がこちらへとやって来た。ホルアンは真面目そうで返事もハキハキするタイプのようだ。もう一人の無口な人間ーージアルと紹介された人間をチラッと見た。何だろう端整な顔たちをしているのに、どこか掴めなくて何を考えているか分からない。攻撃魔術を使うジアルはよく分からないが薄い何かを作っては消している。ホルアンとジアル、2人は幼馴染で仲が良いみたいだ。戻って来たトルデンとまたユーシアが話し始める。
「私も亡くなった妻も魔力はあまりなかったんですが、ホルアンには魔力があってよかったとつくづく思います……」
ユーシアが息子のホルアンを見つめながらそう言った。あぁ、そう言えばさっき子供に魔力は遺伝するか分からないと言っていたな。そして、今の話だと魔力がない者同士の子供でも魔力があることがあるらしい。
「ジアルのお父様ーーテヒシタ神官に先日会いましたが、ジアルのことを気にかけていました。ジアルは将来どうしたいとかって聞いてますか?」
「父親を慕っていますし私にも懐いてくれているので、本人は神官を希望しているんですが……」
ユーシアはどこか濁しながら言った。その言い方はまるで神官にはなって欲しくないような、そんな言い方だ。
「ジアルはきめ細やかな魔術を使えるのでどこでもきっとやっていけます」
安心させるようにトルデンがユーシアに微笑んだ。テヒシタ神官はこの前、神殿で会った人だ。あの人があのジアルの父親らしい。
「ユーシア、ムヒアス神官が神殿からいなくなったみたいなんですが、何か知りませんか?」
「いえ、私は何も……」
「そう、ですか……。ユーシア、トモヤはその……念じなくても、それこそ彼の意志に関係なく触れるだけで相手の怪我を貰い受けるみたいなんですが、そう言った事例は今までにありますか?」
「召喚者様の能力はルウファ新聞で拝見しましたが、念じなくても貰い受けることができるのは知りませんでした……。私にはまだ神託が降りたことがなく、どのような感覚か分からないのですが、きっと神託が降りてきた神官なら何か知っているはずです。あ、今回の神託が降りたのはムヒアス神官でしたね……」
ユーシアもそのことに気付いて少し考え込んだような表情をした。
「ムヒアス神官が神殿へとやって来た時、オークス騎士団長が神殿を管理すると聞きました。私はその時にはもう神殿から離れてこちらに住まわせて頂いていたのですが……神殿での業務が忙しくなったようでテヒシタが大変そうでした……」
ユーシアも元々神殿にはいたらしいが、ホルアンの母親が亡くなりホルアンが大きくなるまでルウファで一緒に過ごすことを許してもらったらしい。そして、先ほどジアルが神官になりたそうだと言った時に濁したのは、ジアルの父親が大変そうだと知っているからかもしれない。
魔術を練習しているホルアンとジアルを見た。ホルアンは石ころや果物に結界を張り、ジアルは無言で何かをしている。その様子を見たトルデンが練習している2人に近づく。
「ふふっ、ジアルも上手になりましたね」
「トルデン様!できました!」
「ホルアン、上手ですね。私は小さな結界しか張れないですが、ホルアンはきっともっと大きな結界を張れるようになるはずです」
トルデンは教え方が丁寧で、教えられている2人も慕っているようだ。この日、日が暮れるまでトルデンはホルアンとジアルに魔術を教えた。
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