もしも自分の人生が逆戻りしたら・・・

ムーワ

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第73章

ソウハルの勝負メシ

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ソウハルが順位戦に参加してから5年の月日が流れた。ソウハルはB1まで上がり、現在、A級昇級を目指して戦っている( 将棋の順位戦はC2、C1、B2、B1、A級の5段階のクラスがあり、名人に挑戦できるのはA級棋士のみ)。

すでにソウハルの年齢は20代になっており、まもなく美晴より年齢が若返る時期まできていた。

美晴は現在、彼女もでき将来、結婚を前提にお付き合いしていて、美妃も大学を卒業して自分で画家とイラストの仕事をこなしながら大学院で勉強をしている。

ソウハル一家は20代が3人いて、美妃はもうじき70代にもなるので近所からは不思議な家庭だと思われていた。

将棋を戦う棋士にとって勝負メシは勝敗に直結するほど重要である。特に朝から深夜まで対局することもある順位戦においては、常に頭をフル回転させなければならない。

プロ棋士の大半は出前などを注文していたが、ソウハルはいつもお昼はミキや美妃が作ってくれる弁当を食べ、夜は出前などの外食を食べていた。

ミキや美妃が作ってくれる弁当は2段式になっていて、一つにはご飯に梅干しが入っていたり、のり弁の時もあった。また、ふりかけを入れてくれることもあった。

もう一つにはソウハルの大好きな肉類(鳥の照り焼き、豚の生姜焼き、牛皿など)、魚(鯖、秋刀魚、鰯など)、野菜(炒め物など)、豆類などが入っていた。また、お弁当と一緒に必ずチョコレートを入れてくれた。

プロ棋士は対局中におやつタイムなどがあってチョコレートやケーキなどを食べることも多いが、糖分を補給することによって長時間にわたり深く考え続けることができるからである。オリンピック種目にもなっているカーリング女子なども途中でもぐもぐタイムなどで話題にもなったが、将棋のおやつタイムと似たような意味がある。

ソウハルは夜は餃子とライスを好んで注文することが多い。理由は餃子が大好物であるのと、ニンニク臭い餃子を食べることによって、相手のペースを少しでも乱せればと思っていた。だからニンニクをたっぷりと入れて餃子を食べる。実際には餃子の臭いで相手のペースを乱せるケースはほとんどないかもしれないが、気分的に少しでも相手のペースを乱せればと思っていたのだ。

実際、ソウハルはプロ棋士の一部から「餃子男」と呼ばれていた。理由はいつも注文するメニューは餃子だからである。

餃子といえばつい先日、井藤名人もうどん餃子を注文して話題になったが、ソウハルほど餃子を注文して食べる棋士はいない。

今日勝てばA級昇級を迎える大一番にソウハルは餃子とライスを食べて、ニンニク臭を放ちながら深夜まで将棋を指しA級昇級に花を添えた(続)





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