もしも自分の人生が逆戻りしたら・・・

ムーワ

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第69章

プロ編入試験第3局

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ソウハルは現在、プロ編入試験の成績が1勝1敗となっており、5番勝負で後2勝すればプロ入りである。

第3局目の対戦相手は本森四段である。本森四段は角道を止めるオーソドックスな振り飛車党で四間飛車の使い手としても知られている。ソウハルはいつもながらパソコンを使って本森四段の将棋を研究し、舟囲いからの居飛車急戦で戦おうと思っていた。

第3局目の当日、ソウハルはいつものようにミキと美妃が作ってくれた手作りの特製弁当を持って対局に臨んだ。ソウハルは対局前にする儀式として、マックスプラスという栄養ドリンクを飲んでいた。栄養ドリンクを飲み終えると対局室に入り、対戦相手が来るまでじっと瞑想して精神統一をしていた。

対局開始10分前になると本森四段が対局室に入ってきたが、ソウハルはすでに自分の世界に入っていた。振り駒の結果先手がソウハルに決まると対局が開始された。

先手、2六歩、後手、3四歩の出だしから予想通りに本森四段は角道を止めて四間飛車にしてきた。その後、ソウハルは舟囲い、本森四段は美濃囲いに構え、ソウハルは右銀を5七から4六へと進出させて25手目に3五歩と仕掛けた。ここまでのAIの形勢判断は若干、ソウハルが有利程度でほぼ互角の状況だった。

3五歩の仕掛けに対し、本森四段は振り飛車の常とう手段でもある3二飛車と寄り、3筋の攻防が始まった。

中盤本森四段が1五角から4八角成の意表をつく指し回しをしてきた。角銀交換の駒損だったが、本森四段の飛車も捌けたのでここでのAIの形勢判断もほぼ互角だった。その後、3九飛成と龍を作り難しい形勢が続いていた。

中盤桂馬の交換をした後、ソウハルが9五歩と指し端攻めが厳しく、若干優勢になった。本森四段も龍と8七の地点からソウハル玉を攻めようとするもソウハルが指した5九歩が将棋の格言にもある「金底の歩、岩よりも堅し」で少しずつ形勢の差が広がっていった。

終盤、本森四段が8七桂打ちと詰めろをかけるも、ソウハルが4九金打と飛車を弾いて8筋に香車を2枚並べて8四香と指すと本森四段は投了の意志表示をした。

感想戦では中盤までは非常に難しい形勢だったが、桂馬を交換して9五歩と端攻めを仕掛けたあたりからソウハルが少しずつリードしていったようである。

成績を2勝1敗としホッとしたソウハルだったが、次の対局相手は今期絶好調の藤齊四段だった。「よし次も勝ってプロ棋士になるぞ」と思ったソウハルは気分よく帰宅すると家族みんなでソウハルに「あと1勝だね」ってエールを送った(続)


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