もしも自分の人生が逆戻りしたら・・・

ムーワ

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第68章

プロ編入試験第2局

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ソウハルは初戦を落としてしまい、残り4局を3勝しなければ合格できない厳しい状況に立たされていた。

2局目の対戦相手はまだ四段になってから日も浅い山子四段だった。山子四段は居飛車党で角換わりや横歩取りなどの将棋を指している印象が強かったが、ソウハルは今回、振り飛車を採用しようと思った。ソウハルが前世の頃に比べると現在、角交換型の振り飛車を指す棋士も多くなったが、今回は角道を止めるオーソドックスな振り飛車で対抗しようと思っていた。

最近のソウハルは居飛車系の力将棋を得意としていたが、前世の時は振り飛車を良く指していた。

第1局が行われてから約1カ月、ソウハルは準備に準備を重ねて万全な体制で第2局目に臨むことができた。

ソウハル「今日は絶対に勝つよ」

ミキ「うん、私と美妃の特製弁当に大好物のカツも入れといたから絶対にカツわ」

ソウハルはミキと美妃の作った特製弁当を持って対局会場へ向かった。

ソウハルは会場へ着くと早めに対局室に入って、精神統一をしていた。しばらくすると、山子四段も対局室に入ってきて、一礼をして対局が始まった。振り駒の結果、先手は山子四段に決まった。山子四段は初手2六歩と指した。ソウハルは後手3四歩と指し、その後、居飛車対三間飛車の戦いになった。

最近の居飛車対振り飛車の戦いは居飛車の持久戦模様の将棋が多いが、山子四段は19手目に4六歩と指し、急戦模様の作戦を立ててきた。それに対してソウハルは4三銀と指すと山子四段は4五歩と早仕掛けで勝負をしてきた。ここまでのAIの形勢判断は若干、山子四段が優勢だった。

それに対してソウハルも振り飛車の常とう手段でもある駒をぶつけられた筋に飛車を寄る、4二飛車と指して以下、3七桂、3二金と進行した。

その後、角交換になり山子四段は5六歩と指したが、2四歩と飛車先を交換するチャンスだった。さらにソウハルが3五歩と桂頭を攻めてきたのに対して4七金と力強く指したが、ここでも2四歩と飛車先を交換する方がよかった。

ここからはソウハルの攻めが炸裂して優勢を拡大していった。ソウハルは堅陣の美濃囲いに対して山子四段は金銀2枚の薄い囲いだったので、ソウハルの攻めは一向に切れずそのまま押し切った。山子四段は「負けました」と投了の意志表示をすると互いに一礼をして対局は終了した。

感想戦でも中盤、山子四段が指した5六歩や4七金が良くなかったですねと話していた。

感想戦が終わってソウハルは貴重な1勝を挙げることができた。ソウハルは勝ってホッとしたというか、嬉しい気持ちでいっぱいだったが、次の対局に向けて明日から準備をしなければと思っていた(続)
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