もしも自分の人生が逆戻りしたら・・・

ムーワ

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第67章

プロ編入試験第1局

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美晴は来年、東京小説大学を受験し、美妃は来年東京絵描き高校受験することが決まった。

一方、ソウハルは半年後、プロ編入試験に挑戦することが決まった。プロ編入試験の対戦相手はまだ四段になったばかりの若手棋士との対戦になる。

しかも、ソウハルの初戦の対戦相手は1度勝利した本藤四段だった。前回は本藤四段に勝つことができたものの、本藤四段の勝率は8割をキープしており、全タイトルを独占している井藤名人と年間勝率王を争うほど著しく成長している棋士でもある。

美晴「お父さんの初戦の対戦相手は本藤四段だね」

ソウハル「前回、たまたま勝てたものの力は本藤四段の方が全然、上だから精一杯頑張るだけだよ」

美妃「また、お母さんと一緒に特製弁当を作るわ」

ミキ「そうね。大好きなサバ缶を使ったお弁当で頭をフル回転して頑張ってくださいね」

ソウハルは応援してくれている家族のためにも何が何でも勝ちたいと思っていた。本藤四段との対戦が決まってからは本藤四段の棋譜を並べてパソコンを使って研究をしていた。

一方、本藤四段も一度ソウハルに負けているだけあって本気モードでソウハルを打ち負かすための研究に取り組んでいた。

ソウハルと本藤四段の第1戦は8月の猛暑日に開催された。その日は最高気温が40度を超える猛烈な暑さだった。ソウハルはスーツを着て対局会場へ向かったが、途中でワイシャツがビッショリと濡れるぐらいたっぷりと汗をかいてしまい、予備で持参していたワイシャツに着替え直して対局に臨んだ。

ソウハルが会場に着くと、すでに会場に到着していた本藤四段が声をかけてきた。「藤羽さん、よろしくお願いします」。「こちらこそよろしくお願いします」。前回、対局した時の本藤四段と雰囲気が全く違っていたのだ。前回は笑顔で挨拶をしてくれたが、今回は「眼光鋭く本藤四段の気迫が伝わってきた」。

ソウハルのプロ編入試験の第1局が開始された。振り駒の結果、先手が本藤四段に決まった。先手、2六歩、後手、3四歩、先手2五歩、後手、3三角という感じで本藤四段が飛車先を突いていき、ソウハルが角で歩の交換を阻止した。ソウハルは本藤四段が得意とする雁木での勝負を選択した。

対する本藤四段も雁木模様から飛車を5筋に振って、5五の位を取ったが、ソウハルが5四歩と反発し、再度5五の位を確保した。

8筋の歩を交換して中盤まで若干、ソウハルがリードをしていたが、途中で9五歩と端を仕掛けた手がやや指し過ぎだったようで、その後も難しい局面が続いた。

最終盤に入ってソウハルが4六銀打と指し、本藤四段が同玉と応じた局面で詰みがあった。秒読みに追われていたソウハルは迷った末、金を取って4九龍と王手をかけた。しかし、本藤四段に5七王と指されて詰みはなくなり、数手進むとソウハルは「負けました」と無念の投了をした。

その後、感想戦が行われて、本藤四段から4九龍の局面で詰みがあったことを指摘されると、ソウハルは悔しそうな表情をした。

感想戦が終わって会場を去ったソウハルはいつものように大好物の牛丼のドカグイをして気持ちをスッキリさせると家に帰って次戦へ臨む準備に取り組んだ(続)



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