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第43章
ソフト指しに屈したソウハル
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1歳半検診を無事に終えた美晴はその後も歩けるようになるまで時間はかかったが、スクスクと成長していった。
ソウハル「美晴もやっと歩けるようになったね」
ミキ「そうね。1年と7カ月ぐらいかかったけど、やっと歩けるようになってよかったわ」
ソウハル「美晴のいいところはいつも笑顔でニコニコ笑っているところだよね」
ミキ「確かに。この子、公園の遊具などで遊んでいて途中から入ってきた子に占領されてもいつもニコニコ笑っているのよ」
ソウハル「へ~、僕ならそんなことされたら怒るけどね」
ミキ「私も怒るわ」
ソウハル「う~ん、どっちに似たのかな?」
ミキ「どっちなんだろうね(笑)ところでソウハルさん、今度、将棋の大会あるんでしょ」
ソウハル「今回こそは優勝したいって思っているんだ」
ミキ「私も美晴も応援しているわ」
いよいよソウハルが楽しみにしていたアマチュアの将棋大会が開催された。ソウハルは真剣師として鍛えた腕前を存分に発揮し、見事に県予選を通過し全国大会への出場切符を手に入れた。
ソウハル「問題なく予選は通過することができたよ」
ミキ「次は全国大会ね」
ソウハル「うん、全国各地の強豪が集まってくるから厳しい大会にはなると思うよ」
ミキ「美晴もパパが将棋を指しているところを見てると駒を持ってパパのマネをしているのよ」
ソウハル「ルールが全くわかっていなくても美晴はよく僕やママの行動は観察しているからね」
全国大会の前日、ソウハルは一人会場の近くのホテルに泊まった。最近の将棋界といえばAIの普及に伴い、パソコンを使っての研究が中心となっており、将棋の形勢判断にもソフトを使うことが多くなってきた。ソウハルが前世で将棋を指していた頃は、まだコンピューター将棋もほとんど普及しておらず、自分で強い人の棋譜を並べたり、詰将棋を解いたり、一部の仲間達と集まり研究会を開いて勉強していた。
ソウハルは最近、ソフトを使って研究するようになったが、昔ながらの棋譜を並べたり、詰将棋を解いたり、盤を通して実戦形式で対局することが多かった。
全国大会の当日、ソウハルが会場に入るとソウハルよりも若い20~30代ぐらいの学生やサラリーマンなどが多く、50代以上はほとんどいなかった。さらに奨励会をあと一歩のところで退会した人も出場しており、仮にプロ棋士が出場しても優勝するのも大変なぐらいのハイレベルな大会だった。
予選で2勝すれば決勝トーナメントに進出できる。ソウハルはあえて角換わりなどの相手の研究範囲だと思われる戦法は外して、力将棋に持ち込んだ。ソウハルは自分のペースの将棋に持ち込み、真剣師としての勝負強さを発揮し予選を突破した。
決勝トーナメントに進出したソウハルは予選同様、力戦形の将棋に持ち込み準決勝まで進出した。準決勝も序盤から定跡系を外した将棋に持ち込み中盤以降ソウハル優勢の展開になった。しかし、勝負所において絶妙手を連発した相手が優勢となるがソウハルも決め手を与えず大熱戦になった。
終盤勝負所を迎えた局面で相手が席を外した。ソウハルはいつも肝心なところで離席が多いなって思ったが、対局が続けられた。離席から戻ってきた相手が指した一手はソウハルが全く読んでいない好手を放ち、形勢は相手に傾きソウハルは負けてしまった。
ソウハルはどうもしっくりと来なかったが、負けてしまったので今回もアマチュアのタイトルを獲得することができなかった。
その後、決勝戦をソウハルは観戦した。決勝戦の時もソウハルと戦った対戦相手は勝負所で離席をすることが多かった。対局が終了し、離席の多かった対局者が優勝をしたが、運営側が準決勝同様に離席の多かった対局者に疑問を感じて事情を確認することになった。
すると優勝者が持参していた電子機器からは対局中に将棋ソフトを使用した形跡を発見した。
そこで運営側は「対局中にソフト指しによる不正が行われたと認定して、優勝者を失格処分にした」。
その結果、順位を繰り上げ準優勝者が優勝となり、ソウハルは2位となった。ただし、優勝者のみプロ棋戦に出場できるようになっており、ソウハルはプロ棋戦に出場することができなかった。
ソウハルは会場を出ると、一人近場の公園に行って「チキショー」と大声で叫んだ。ソウハルはしばらく公園のベンチに座って茫然としていると、公園では一人で歌を歌っているミュージシャンがいた。
水平線が見えるこの場所で 僕は何を見つけられるのだろう?
望む景色にたどりつけるかわからない だけど行かなくちゃ 出逢えないから
君に逢うために
彼女の名前は羽田りささん。「水平線」という曲を歌っていた。
彼女の歌を聴いていると元気が出てきて早く家に帰ろうと思った。
ミキに電話で報告すると励まされ、美晴の「パパ」という声を聞くと「よし、また次回頑張ろうと気持ちを切り替え帰宅した(続)
ソウハル「美晴もやっと歩けるようになったね」
ミキ「そうね。1年と7カ月ぐらいかかったけど、やっと歩けるようになってよかったわ」
ソウハル「美晴のいいところはいつも笑顔でニコニコ笑っているところだよね」
ミキ「確かに。この子、公園の遊具などで遊んでいて途中から入ってきた子に占領されてもいつもニコニコ笑っているのよ」
ソウハル「へ~、僕ならそんなことされたら怒るけどね」
ミキ「私も怒るわ」
ソウハル「う~ん、どっちに似たのかな?」
ミキ「どっちなんだろうね(笑)ところでソウハルさん、今度、将棋の大会あるんでしょ」
ソウハル「今回こそは優勝したいって思っているんだ」
ミキ「私も美晴も応援しているわ」
いよいよソウハルが楽しみにしていたアマチュアの将棋大会が開催された。ソウハルは真剣師として鍛えた腕前を存分に発揮し、見事に県予選を通過し全国大会への出場切符を手に入れた。
ソウハル「問題なく予選は通過することができたよ」
ミキ「次は全国大会ね」
ソウハル「うん、全国各地の強豪が集まってくるから厳しい大会にはなると思うよ」
ミキ「美晴もパパが将棋を指しているところを見てると駒を持ってパパのマネをしているのよ」
ソウハル「ルールが全くわかっていなくても美晴はよく僕やママの行動は観察しているからね」
全国大会の前日、ソウハルは一人会場の近くのホテルに泊まった。最近の将棋界といえばAIの普及に伴い、パソコンを使っての研究が中心となっており、将棋の形勢判断にもソフトを使うことが多くなってきた。ソウハルが前世で将棋を指していた頃は、まだコンピューター将棋もほとんど普及しておらず、自分で強い人の棋譜を並べたり、詰将棋を解いたり、一部の仲間達と集まり研究会を開いて勉強していた。
ソウハルは最近、ソフトを使って研究するようになったが、昔ながらの棋譜を並べたり、詰将棋を解いたり、盤を通して実戦形式で対局することが多かった。
全国大会の当日、ソウハルが会場に入るとソウハルよりも若い20~30代ぐらいの学生やサラリーマンなどが多く、50代以上はほとんどいなかった。さらに奨励会をあと一歩のところで退会した人も出場しており、仮にプロ棋士が出場しても優勝するのも大変なぐらいのハイレベルな大会だった。
予選で2勝すれば決勝トーナメントに進出できる。ソウハルはあえて角換わりなどの相手の研究範囲だと思われる戦法は外して、力将棋に持ち込んだ。ソウハルは自分のペースの将棋に持ち込み、真剣師としての勝負強さを発揮し予選を突破した。
決勝トーナメントに進出したソウハルは予選同様、力戦形の将棋に持ち込み準決勝まで進出した。準決勝も序盤から定跡系を外した将棋に持ち込み中盤以降ソウハル優勢の展開になった。しかし、勝負所において絶妙手を連発した相手が優勢となるがソウハルも決め手を与えず大熱戦になった。
終盤勝負所を迎えた局面で相手が席を外した。ソウハルはいつも肝心なところで離席が多いなって思ったが、対局が続けられた。離席から戻ってきた相手が指した一手はソウハルが全く読んでいない好手を放ち、形勢は相手に傾きソウハルは負けてしまった。
ソウハルはどうもしっくりと来なかったが、負けてしまったので今回もアマチュアのタイトルを獲得することができなかった。
その後、決勝戦をソウハルは観戦した。決勝戦の時もソウハルと戦った対戦相手は勝負所で離席をすることが多かった。対局が終了し、離席の多かった対局者が優勝をしたが、運営側が準決勝同様に離席の多かった対局者に疑問を感じて事情を確認することになった。
すると優勝者が持参していた電子機器からは対局中に将棋ソフトを使用した形跡を発見した。
そこで運営側は「対局中にソフト指しによる不正が行われたと認定して、優勝者を失格処分にした」。
その結果、順位を繰り上げ準優勝者が優勝となり、ソウハルは2位となった。ただし、優勝者のみプロ棋戦に出場できるようになっており、ソウハルはプロ棋戦に出場することができなかった。
ソウハルは会場を出ると、一人近場の公園に行って「チキショー」と大声で叫んだ。ソウハルはしばらく公園のベンチに座って茫然としていると、公園では一人で歌を歌っているミュージシャンがいた。
水平線が見えるこの場所で 僕は何を見つけられるのだろう?
望む景色にたどりつけるかわからない だけど行かなくちゃ 出逢えないから
君に逢うために
彼女の名前は羽田りささん。「水平線」という曲を歌っていた。
彼女の歌を聴いていると元気が出てきて早く家に帰ろうと思った。
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