ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

第36章

卒業そして大人への階段へ・・・

いよいよ、卒業式の日を迎えた。

これで僕の高校生活も終わるんだなって思うとヒデキは｢僕の高校生活っていったい何だったんだろう｣って考えながら登校していた。

学校へ登校している途中で偶然、｢おはよう｣って声をかけてきた女性がいた。制服姿の彼女は標準よりも短め丈のスカート、髪を後ろできれいに丸く束ねて、紺のハイソックスを履いていた。｢ノブコさん、おはよう｣。

ノブコ｢あっという間の3年間だったね｣

ヒデキ｢そうだね。図書館でいろいろお話できて楽しかったよ｣

ノブコ｢私も楽しかったわ｣

ヒデキはノブコと学校に着くまで話しをしていた。背の小さいノブコはヒデキの肩ぐらいまでしかなかったが、二人はまるで恋人のようにニコニコ笑いながら歩いていた。ヒデキはノブコと話しながらもトシオのことについて考えていた。｢トシオくんと僕はいつまでお付き合いするのかな｣。そんなことを考えていたら、あっという間に学校に到着した。

クラスにはお友達もいなかったヒデキは教室に入ると机に座ってずっと将来のことについて考えていた。

そんな一人ぼっちのヒデキに話しかけてくるクラスメイトもいたので、これでみんなともお別れだなって思ったヒデキは最後ぐらいはって思い、みんなの輪に入って話しをしていた。

卒業式の開始前、クラスメイトは一斉に体育館へ移動した。体育館では3年生全員が自分のイスに座って、下級生が3年生の後方の席に座り、他に来賓席や保護者席なども用意されていた。

始めに開式の辞から始まり、国歌斉唱が終わっていよいよメインの卒業証書授与式が始まった。

ヒデキは自分の名前が呼ばれるまでまだかまだかと待っていた。知っているお友達がどんな風に卒業証書を受け取るのかなって考えていると自分の出番が回ってきた。

担任の先生から｢○○ヒデキくん｣と呼ばれるとヒデキは一歩二歩、まるで高校球児の開会式のような行進をして歩きだした。校長から卒業証書を渡されると、両手で受け取りお辞儀をすると自分の席に向かって歩き出した。

3年生全員の卒業証書が授与されると校長の式辞、来賓紹介、在校生代表挨拶、卒業生の答辞が行われ、いよいよフィナーレの時が来た。みんなで校歌を斉唱し閉式の辞も終わり卒業生退場になった。

ヒデキにとって高校生活はあっという間の3年間だった。学校の友達はほとんどできなかったが、女の子の格好をして野球観戦に行ったことやトシオとのデートが一番の思い出として残っていた。学校内での出来事としては1年生の時にヨウコのことが気になったのと、図書館でのノブコとの出会いだった。

1年生の頃は結構、いじめられていたのでヨウコ達に守ってもらう感じで仲良くなって、2年生以降はいじめられることはなくなったが、トシオの野球のサポートのことで夢中になり、学校内での思い出といえばノブコとは一時期、喧嘩にもなりそうだったが、ヒデキにとってはノブコが一番の友達だった。

ヒデキは卒業式が終わるとクラスメイトに｢みんなありがとう｣と挨拶をして、ヨウコやノブコのところにも行って挨拶をした。

高校を卒業したヒデキは大人への階段へ一歩近づいていった(完)